第87回関東大学バスケットボールリーグ戦
2011/10/30(日)@慶應義塾大学日吉記念館
慶大‐青学大
長きに渡ったリーグ戦も締めくくりの最終戦を迎えた。これまで最下位だった明大がこの日勝利したため、慶大はこの試合に負けると最下位という厳しい立場に追い込まれた。そんな中迎える相手は王者・青学大。失うものは何もない。慶大は王者に果敢に挑んでいった。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
慶大 | 18 | 17 | 15 | 17 | 67 |
青学大 | 26 | 15 | 23 | 25 | 89 |
慶大のスタメンは家治主将(環4)、蛯名(法2)、本橋(環2)、中島(総2)、伊藤(環1)。
序盤から慶大は青学大に対し臆することなく積極的なプレーを見せる。蛯名、中島の2年生コンビが連続得点を挙げれば、家治もフリースローから得点し10-8と慶大リード。序盤は慶大が先行する展開となる。ただその後、ゾーンディフェンスを敷いてきた相手を攻めあぐねる。家治がベンチに下がっている間オフェンスが停滞し、青学大に逆転を許す。終盤、投入された金子副将(環4)がオフェンスリバウンドを押し込むも、ラストプレーで相手にブザービーターを決められ、18-26とビハインドで1Qを終える。2Q、家治をコートに戻した慶大は息を吹き返す。本橋・中島のハイローから中島がゴール下でバスケットカウント。さらに伊藤、本橋、家治と綺麗に繋がり速攻が決まる。ここで青学大は再びゾーンディフェンスを敷くが、今度は伊藤が打開する。ゾーンの隙間を縫うようにドライブで切り込み得点。ミドルシュートもきっちりと決める。こうなると流れは慶大に。タイムアウト後のオフェンスでもサインプレーが見事に機能。ハイポストの家治のアシストで本橋がバスケットカウントを決める。終盤には伊藤のスティールから蛯名がミドルシュートを沈める。35-41と点差を詰めて2Qを終える。
後半、伊藤のスティールから権田が速攻に走る。この1年生の気迫あふれるプレーで勢いづいた慶大は、蛯名のドライブインから本橋がゴール下でバスケットカウントを決める。さらには伊藤のスリーポイントが飛び出し、44-51と食い下がる慶大。だが、このいい流れを継続できないのが今のチームの苦しい所。相手の個人技を止めることが出来ず、少しずつ点差が開いていく。その後、家治がベンチに下がると慶大は得点が止まってしまう。権田のミドルシュートで何とか得点を繋いでいくものの、50-64で3Q終了。4Q、蛯名のスリーポイントで反撃ののろしを上げるが、そこから慶大は相手の個人技と、ゾーンディフェンスに苦しむ。青学大#14辻のスリーポイントが連続して決まり、あっという間に点差は30点まで開いてしまう。追い上げたい慶大は終盤、金子が厳しい体勢からスリーポイントを決めるなど最後まで粘りを見せたが、67-89で試合終了。リーグ最終戦は黒星となった。
9週間、18試合に及ぶ長いリーグ戦が終わった。最下位という結果に、選手達は「しんどかった」と口を揃えて語った。ただ、そんな苦しい戦いの中にも収穫はあった。チームとしてなかなか機能しなかった前半戦を乗り越え、8週目には2連勝を挙げる。そこには確かに成長した慶大の姿があった。「ディフェンスを厳しくやって、自分達のリズムを作っていくというスタイルが明確になった」(本橋)。慶大伝統のトランジションバスケットが形になりつつある。入れ替え戦までにチーム全体に浸透させたい所だ。次週に迫っている入れ替え戦。そこには崖っぷちの戦いならではの独特の雰囲気がある。プレッシャーからシュートが入らないことも考えられる。ただ、慶大が目指すのは個人技に頼らないバスケットである。これまで伝統として積み重ねてきた「しっかり守って早攻め」(佐々木HC)という戦い方を1試合を通してやりきることが出来れば、結果は自ずとついてくるはずだ。1部残留は「伝統と結果の継承」(金子)を果たすことが出来るどうかに懸かっている。
By Yosuke Okada
佐々木HC
力がない。4年生の力が無いっていうのは入れ替え戦に向けて大きな不安材料です。(リーグ戦を終えて)チームとしてのまとまりというか、こういうことをやるよというチーム一丸で集中してやるということが最後までできなかったです。(東海大戦からの2連敗について)ほかにももったいない試合がいっぱいあるんだけど、結局4年生がキーのところで力を発揮できてないな。本当にそれに尽きる。(リーグ戦を通じての収穫について)中島がまあまあかなっていうところと、本橋がある程度休みを入れながらやれば使えるというところ。あと伊藤が完全にポイントガードとして安定したことが収穫かな。(チームを一丸にするために)入れ替え戦は相当なプレッシャーがかかるので、3年生以下だけでは、戦えないので、この1週間4年生がどれくらい本気で練習にとり組んで試合でやれるかっていうところなんだけど、18試合やってもなかなかいい芽が出ないというのは相当大変かな。(相手が日体大ということについて)春の時点では110対90で一応逃げ切ってるんだけど、相手は去年の準優勝チームだということで来ているからあんな感じになったと思う。だから実は相当強いんじゃないかと思う。入れ替え戦は相当大変です。
家治主将
1年生で入ってからこんなに勝てないリーグ戦は初めてでした。強い慶應でずっとやってきて、今年はBIG3と呼ばれてた方々が抜けて苦しいとは言われていたんですけど、みんなで夏合宿など頑張って、下馬評では強いとは言われていなかったんですけど自信を持ってリーグ戦に臨みました。序盤の大東で良い入りが出来たんですけど、そこから10点以内の競る試合もなかなか勝てず、最終的に4勝しかできなかったんで、そういう意味では精神的には少ししんどいリーグだったかなと思います。(周りに下級生が多いが)試合をやる中で周りが下級生主体というのはあったんですけど、それは気になりませんでした。試合に出る出ない関係なく4年生はみんなが声かけてくれますし、試合では下級生が頑張ってくれてたので、精神的にしんどいのはキャプテンだったからというのは少しあったと思うんですけど、みんなのおかげでしっかりした気持ちでリーグに臨めたと思います。(試合後にスタートで話し合うことが多かったが)今年から出る選手が多くて練習とは違う、試合でしか味わえない経験があると思うので、その中で不安とか疑問に残ったことがあったと思うので、うまくいかなかったこと、次の試合に繋がるようなことを毎回話していました。主に試合の話について話していました。(入れ替え戦に向けて)先生も仰られていたんですけど、ムラがあったら強いチームとは言えないんで、この1週間の練習、元気がまだ足りないと言われるので元気を出してやっていきたいと思います。僕としては下級生が多いチームだったんで、来年、再来年1部で試合させてあげたいです。4年生のみんなは1部に何としても残らなければならないという気持ちが強いので、月曜日の日体との試合のことだけを考えて1週間過ごしていきたいです。不安要素を1つも残さず入れ替え戦に臨みたいと思います。
蛯名
最終試合ということで、今までやってきたことをしっかり出そうということでした。途中に1、2年生だけの時間帯があったので、入れ替え戦のことも想定しつつ、2年後のことも想定しつつやって、いいプレーも出たので、次につながる試合だったと思います。(リーグ戦全体を振り返って)前半よりは後半に調子が上がってきて、個人的にも得点やリバウンドにも絡めたりしたので、当初はもっと成長したいなと思っていたので、そこまで到達できなかったのは残念ですけど、まだ入れ替え戦もあるんで、とりあえず切り替えたいです。リーグ戦を通して振り返ると、一言で言うとしんどかったですね。こんなに負けたこともなかったので。でも2年生の今の時期に、こういう挫折じゃないですけど、低迷してすごい悩んで考えたっていう経験が、この先に活きてくればいいかなと思ってます。(結果が出ない時にどのようなことを考えていたか)どうしたら勝てるのかっていうのを考えても、僕らは本当に弱くてそういうことを考えるレベルじゃなくて、とりあえず先生に言われたことをやろうとか、意識を変えようとか、そういうことは考えてはいました。本当にどん底だったので、一から全部考えたんですけど、でもその考えたことがこの間の専修戦だったり東海戦で活きたかっていうとそれもわからないです。チームや個人の成長っていうのは唐突なもので、定期的に成長出来るわけではなくて、今までやって来た積み重ねがあって、急に良くなるものだと思います。なので、入れ替え戦でも成長したいと思ってます。(リーグを通しての収穫は)思い切りよくプレー出来るようになった気がしてます。春はオフェンスでチームが上手く回ってなくて、攻めるにも狭くて攻めれなかったり、後半に入ってOBの方々とか選手の中でも色々指摘して下さった方がいて、後は自分でも考えて、パスでもドライブでもシュートでも思い切りよく出来るようになって、それがチームのプラスになった試合もありました。こういうプレースタイルでいこうかなという風に思えたので、後半になるにつれてプレーを確率できたというのが収穫だったかなと思います。(課題は)ディフェンスですね。シューターにつくのが本当に苦手です。辻さん(青学大#14辻)とか飛田選手(日大#11飛田)とか狩野選手(東海大#33狩野)とか。逆に宇都(専大#11宇都)とかの方が得意です。これからはディフェンスで相手を抑えるのが仕事になると思うのでしっかりやりたいですね。高校の時は出来たと思うんですけど、大学入ってできなくなっちゃったので、シューターに対してのディフェンスが課題です。(フロアリーダーとしての意識は)そんなに意識することはなかったんですけど、やっぱり不甲斐ないプレーは出来ないです。来年のことを考えても、芯のあるプレーヤーになりたいですね。ディフェンスだったら大事な時に抜かれないとか、オフェンスだったら点の欲しい時に点を取ったりファウルをもらったりだとか、ここ一本のリバウンドを取ったりだとか、そういうプレーでチームの出来が悪い時間を繋げる選手になりたいですね。(酒井・環卒のようなプレーか)そうですね。やっぱり去年のリーグでもニノさん(二ノ宮・環卒)も、岩下さん(岩下・総卒)もいないのに勝てていたのは、あの人がいたからだと思うので、早くああいう選手なりたいです。(そのために必要なことは)気持ちですかね。でも去年や春シーズンに比べてあんまりイライラすることもなくなりました。だからやっぱり焦りですかね。余裕がないというか…。まあそれがわかったら苦労しませんよね(笑)。(入れ替え戦に向けて)日体ということで、本当にもうそこしか見ないでいきたいと思ってます。本当に2部には行きたくないので、入れ替え戦のことだけを考えようと思ってるんですけど、授業もあるので、そこらへんを兼ね合わせながらやりたいです。でも本当にここだけは負けたくないですね。いい流れがあるので、その流れをいかに持続させるかが大事だと思っていて、そのためにも流れが悪い時にさっき言ったようなプレーで繋いでいければいいかなっていうのは思ってます。
中島
今日の試合は青学大ということで、日本で一番強い相手だったので、入れ替え戦に向けて強い気持ちで臨みました。前半はチームとしても個人としてもいい感じで終われたんですけど、後半は相手のゾーンを攻めきれなかったり、辻さんのスリーポイントにやられて点差を広げられてしまいました。けど前半の出来については入れ替え戦に向けて自信を持てるものだと思います。(リーグ戦を通じて)このリーグ戦で個人としてすごい成長したかったんですけど、全くできなくてもったいない期間を過ごしてしまったということが率直な感想です。その原因というのを一回立ち止まって考えて、そのままインカレ、さらには来年につなげていきたいと思います。(入れ替え戦の相手が日体大ということについて)春の練習試合で一度戦ったんで、マッチアップする相手とか、漠然としたイメージはあるんですけど、相手もこのリーグ戦を通じて成長しているかもしれないし、2部で優勝したという勢いがあるので自分達がチャレンジャーという気持ちで立ち向かって、必ず勝ちたいと思います。
本橋
前半まではちゃんとついて行けてたと思うんですけど、後半に相手のディフェンスに対応しきれず、自分達が後手に回っちゃった部分は反省しなきゃいけないです。(リバウンドについて)前回やった時よりはやりあえていたと思うんですけど、まだまだ納得いかない部分も多いです。(リーグ戦を振り返って)始める前から今年は厳しい戦いになることが予想できてたんですけど結果が結果なんで、まずはリーグ戦を通して得た反省や、伸ばせる部分を整理して1週間後の入れ替え戦に向けて、全力で練習して臨みたいです。(具体的に)リズムを作れる面はオフェンスでもディフェンスでもすごいありました。具体的にはディフェンスを厳しくやって、自分達のリズムを作っていくというスタイルが明確になったところもあったので、そういうところをもっと伸ばしていきたいです。悪い面については、相手に合わせてしまう面があるので、そういうところは修正していきたいです。(入れ替え戦が日体大ということについて)春に1回練習試合をやってるんですけど、その時は走りあいみたいになって、結局20点差ぐらいで勝ってはいるんですけど、あんまり自分達のチームのかたちも決まってなかったので内容は参考にならないと思います。相手の動きとか、自分のマークマンとかをビデオで見て研究したいと思います。あと1年生とかスタッフの人が2部のビデオを撮りに行ってくれたので負けられません。(入れ替え戦に向けて)1週間死ぬ気でやります。やっぱり1部でやらないと自分達も成長できないと思うので、絶対1部に残って、今年のインカレにもつなげ、来年から新しいスタートを切れるようにしたいです。
伊藤
一位の青山学院との試合で、今までリーグ戦を通じて良かったこと、悪かったことがあるんですけど今日は最後なので自分たちにできることを精一杯やろうと臨みました。結果として2,30点離れてしまったんですけどよかった所もありましたし、入れ替え戦もあるのでこれから練習していきたいです。(良かった所とは)ディフェンスを僕自身頑張れて、ディフェンスから速攻の形が随所に出せたんですけど、やっぱり青学は高さもあってリバウンドが強くて取られてしまったのでそこは練習で直していきたいです。(リーグ戦を振り返って)長いようで短かったんですけど、自分はスタメンで出させていただいて得るものも大きかったですし体のケア・心のケアで学ぶ部分が多かったですね。こういう経験をさせて頂いたので周りの人に感謝したいです。(成長した部分と課題は)ディフェンスはもともと自信がありましたし通用したので良かったです。課題はオフェンスで、最初はドライブとかで攻めれたんですけど段々マークも厳しくなってきてそういう時に外のシュートが重要なんですけどそれが入らなかったので外のシュートが課題ですね。あとは球離れをもっと早くしたいです。(伊藤選手の理想のポイントガード像は)去年は二ノ宮(前主将・環卒)さんがガードとしてチームを引っ張っていたんですけど、自分は二ノ宮さんとはタイプが違うので、パスをさばけて点も取れる、地味なところで堅実にゲームメイク出来る選手になりたいです。今リーグは負けが続いてガードとして責任も感じているのでチームを勝たせるガードになりたいです。(入れ替え戦に向けて)出だしの1試合目が大事なので、どんな空気かわからないんですけど2部で勢いに乗っているチームですし受身にならないで全力で立ち向かって勝ちたいです。
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