【ラクロス(男子)】「強さの証明」20年ぶり早慶戦4連覇! 岸敬太郎が4得点の活躍/第33回早慶ラクロス定期戦

男子ラクロス

女子戦の盛り上がり冷めやらぬ中、超満員の観客に見守られて男子戦FOを迎えた。試合は、第1Qを終えた時点で0-2。第2Qでは、MF岸敬太郎(政3・慶應)が2得点を挙げ、2-3で試合を折り返す。後半は、MF加藤彰悟(経3・慶應)のゴールを皮切りに、MF・岸、AT・福田天真(法3・國學院久我山)らが立て続けにゴール。増田友翔(経4・慶應)をはじめとしたDF陣のチャンスメイクや、FO鈴木ケン春海(商4・慶應NY)の活躍も光り、9-5で早慶戦優勝。なお、岸は4ゴールの活躍を見せた。暑さや選手の負傷交代等のアクシデントに動じることもなく、一人ひとりが自らの役割を全う。全員で走り抜き、早慶戦4連覇を成し遂げた。そして「21年ぶりの4年連続アベック優勝」という新たな歴史を刻み、慶大ラクロスの強さを「証明」した。

◇スタメン

AT

#1 岸敬太郎(政3・慶應)

#3 池田朋史(商4・慶應)

#4 福田天真(法3・國學院久我山)

 

MF

#8 石川叶大(経4・慶應)

 

LMF

#17 関根瑠偉(政4・慶應)

 

DF

#5 峰岸諒(環3・慶應湘南藤沢)

#16 増田友翔(経4・慶應)

#29 中本孝太郎(政3・慶應)

 

G

#2 岩城敦大(法3・慶應)

 

FO

#33 鈴木ケン春海(商4・慶應NY)

 

♢得点♢

 

1Q

2Q

3Q

4Q

慶大

0       

2        

3     

4  

9    

慶大得点者

岸(2)

加藤、福田天真、岸

福田天真、IH、岸、太夫

試合開始のFOは鈴木ケン春海が制し、まずは慶應がポゼッションを握る。早稲田の厳しいチェックに遭い守備を強いられた場面でも、G・岩城敦大(法3・慶應)が序盤から好セーブを連発。流れを渡さない。DMF・福田崇斗(商2・本郷)も1on1に粘り強く対応するなど、守備で粘りを見せる。11分には、慶應がスラッシングのファウルを取られ、2人のマンダウンという苦しい状況に追い込まれる。ここで早大にパスを回され、悔しくも先制点を許してしまう。その後も、グラウンドボールからのチャンスを活かしきれないまま迎えた14分、早くも早大に追加点を献上し0ー2。主将/AT・池田朋史(商4・慶應)やMF・大山颯輝(経4・慶應)を中心に好機を探るも、惜しくも得点には至らず。2点ビハインドで第2Qへ。

FO・鈴木ケン春海

続く第2Qは、ゴール裏でのボールダウンからロングパスで一気にゴールへと迫られ、立ち上がりから大きなピンチを迎える。ここはDF・峰岸諒(環3・慶應湘南藤沢)の意地のディフェンスで難を逃れるも、パスミスから立て続けにシュートを放たれる苦しい展開に。それでも、チェイスでの粘り強さや守備での集中力を発揮し、決定機を与えない。早大ファウルで慶大攻撃を迎えると、迎えた4分。中西海(経4・海城)が1on1で相手DFを切り崩すと、クリース内に飛び込んだ岸敬太郎が冷静なシュートを決め、まずは1点を返す。得点後のFOでは、こぼれ球を副将/DMF・石川叶大(経4・慶應)が華麗にスクープしてポゼッションを獲得する。慶大攻撃が続く中、相手Gが負傷退場となるアクシデントも生じるが、動じることなく試合を展開。7分には、ゴール裏のAT・福田天真からクリース内で待ち構えていた岸敬太郎が早くも2ゴール目を叩き込み、2ー2の同点とする。しかし、直後にはボールダウンから速攻を仕掛けられて失点。再び1点のリードを許す。第3Q終盤、再び攻撃のリズムを取り戻した慶大はパスを回しながら立て続けにシュートを放つが、ゴールネットを揺らすことはできず。2ー3の1点ビハインドで前半を終える。

ゴールを喜ぶ福田天真(左)と岸敬太郎(右)

第3Qは開始2分、岸敬太郎が1on1で相手DFを突破し、ゴール前のMF・加藤彰悟(経3・慶應)へパスを繋ぐ。これを加藤が冷静に沈めて3ー3。再び試合を振り出しに戻す。勢い乗った慶大は、福田天真がキレのあるロングシュートを決めて勝ち越しに成功すると、岸敬太郎もこの試合3得点目を挙げ、スコアは5ー3に。ディフェンス陣も奮闘を見せ、厳しいマッチアップで早大オフェンスの突破を許さない。さらに、G・岩城敦大(法3・慶應)の好セーブもチームを援護する。慶大は第3Qで一気に流れを引き寄せ、5ー3の2点リードで最終Qへ繋げる。

シュートを放つMF・加藤彰悟

 最後まで油断はできない第4Q。開始早々に福田天真が強烈なランニングシュートを叩き込み、6ー3。直後に自陣で相手のボールダウンを誘いグラウンドボールから混戦が発生すると、増田友翔が華麗にボールを掬い上げ、そのまま敵陣へと一気に駆け上がる。増田が勢いよくロングクロスを振りかざすと、こぼれ球はゴールへと吸い込まれ7ー3。さらに6分、鈴木ケン春海が得点後のFOを制すると、パスを受けた岸敬太郎が圧巻のランニングシュートを決め、この試合4得点目をマーク。8ー3と、リードを5点に広げる。第4Q中盤には2枚目の早大Gも負傷退場となり、会場は一時騒然。急遽、Gではない選手が早大ゴールを守るべくフィールドへ入ると、スタンドからは大きな拍手と声援が送られる。試合が再開すると間も無く早大に2点を返され、3分を残して8ー5の3点差に迫られる。さらに、慶大も負傷によりコートを後にする選手が増えるなど、雲行きは怪しくなる。そんな中、立ち込める暗雲を晴らしたのがMF・太夫勇人(医4・慶應)。DF・峰岸諒がフルフィールドを駆け上がりクリアに成功すると、敵陣左サイドで待ち構えていた太夫へとパス。太夫が放った渾身の一撃がゴールネットを突き刺し、得点板に大きな1点を刻む。その後も慶大がポゼッションを握ると、程なくして試合終了のホイッスルが鳴り響く。慶大は9ー5でワセダを下し、20年ぶりの4連覇を達成。伝統の一戦に新たな歴史を刻んだ。

ゴールを決めたMF・太夫勇人

 立ち上がりこそ早稲田の堅守に苦しみ、2点のビハインドを背負う形となったが、第2Qからは徐々に慶大らしさが復活。攻撃陣は機動力と連携を活かしてゴールを重ね、守備陣も要所で集中したディフェンスと粘り強さを発揮した。特に、FOで圧倒的な勝率を誇ったFOの存在は、試合全体の流れを大きく左右する要因となった。後半に入ってからの慶大は、まさに「走り切る」強さを体現。相手ゴーリーの負傷交代や両チームに負傷者が相次ぐ予想外の展開にも動じることなく、個々が自分の役割を全うし、チーム全体で主導権を握り続けた。20年ぶりの4連覇ーー。リーグ戦の開幕を前に、慶大の強さを「証明」する一戦となった。

優勝後の集合写真

(取材:牧瀬藍、長掛真依、愛宕百華、竹腰環、真田海翔、梅木陽咲)

▽以下、選手インタビュー

主将/AT・池田朋史選手(商4・慶應)

ーー最後の早慶戦優勝おめでとうございます!率直に今のお気持ちは

勝ててほっとしています。 

ーーハーフタイムではどのような事を話し合われましたか

1Qはゲームプラン的に、0得点は許容していて。その中で(2Qで)2点取れたのでチームとしては、流れは持ってきているなという印象があった。3Q以降も、このまま継続していこうということでチームで盛り上げてきました。

ーー今日の勝因はどこにあると感じているか

全員がチームのために走り切ったことかなと思います。足を攣る人も結構出て、そこは日頃の練習が足りないということだと思うので、そこは改心して夏の開幕戦に向けてやっていきます。

ーーリーグ戦へ向けてチームとして、調整・強化していきたい部分は

ゲームの流れというのを1Qは掴みきれなかったな、というふうに思っています。ゲームを進めていく力というのはまだまだ改善できると思うので、そこはチームとして意識するのと、走り切る部分は全然足りないところだと思ったので、今後も基礎のところからもう一回徹底していきたいなと思います。

ーー個人として調整・強化していきたい部分は

0得点で終わってしまったんですけれども、やはり主将として引っ張っていく立場なので、個人で流れを変えられるようなプレイヤーになれるといいかなと思います。

 

MF・太夫勇人(医4・慶應)

ーー早慶戦4連覇で4年間負けなし、最後の早慶戦を見事勝利で飾りましたが、率直なお気持ちを教えてください

正直、ホッとしたというのが一番の気持ちです。偉大な先輩たちが築いてきた「早慶戦無敗」の歴史を自分たちの代で途切れさせてしまうんじゃないかというプレッシャーはずっと感じていました。特に六大学戦で早稲田に敗れていた分、不安も強くて。でも、だからこそ、あの独特な雰囲気の中で最後に勝利を掴んだ時の喜びは本当に大きかったです。

ーー試合内容を振り返って

1Qでいきなり2点先制されて、正直かなり焦りました。早稲田の勢いに飲まれそうになったし、このまま流れを持っていかれるかもしれないという緊張感もありました。でも、そこをチーム全体で落ち着いて受け止めて、少しずつ自分たちのテンポに持ち直せたことが勝因だったと思います。

ーーゴールシーンを振り返って

自分の持ち味はやっぱりスタンシューだと思っていて、早慶戦でも得点するとしたらそこしかないと試合前からずっと考えていました。実際の場面では、相手のゴーリーが正規の選手ではなかったこともあって、「ここなら打てる」と判断しました。普段ならあの距離では打たないような位置でしたが、ラクロス人生の集大成として思い切って振り抜いたシュートが決まってくれて、本当に嬉しかったです。あの瞬間は、これまでの努力がすべて繋がったような感覚でした。

ーーご自身のプレーを振り返って

ゴールを決めることはできましたが、試合を通しての出場時間は非常に限られていて、正直すごく悔しかったです。チームとしては勝てたし、自分も得点できた。でも、「もっとやれたはず」という思いがずっと残っていて、それが今の自分の課題だと強く感じています。もっと信頼される選手にならなければいけない、そう実感しました。

ーーラストシーズンはどんな1年にしたいですか

高校から続けてきたラクロスも、いよいよ最後のシーズンになります。今年は4年生として、結果だけじゃなく、姿勢や態度でもチームを引っ張っていける存在になるべきだと考えています。そして何より、これがラストシーズンだからこそ、仲間と一緒に過ごす時間や試合の1つ1つを大切にして、悔いなく思いっきりラクロスを楽しみたいと思っています。

 

DF・増田友翔選手(経4・慶應)

ーー最後の早慶戦優勝おめでとうございます!率直に今のお気持ちは

嬉しいです!

ーー試合内容を振り返って

ディフェンスとしては、決めた事を最後までやりきれたのはすごく良かったところなんですけれども、オフェンスに繋げるプレーだったりとか、切り替えの部分で失点をしてしまったのは反省点かなと思います。

ーーハーフタイムではどのような事を話し合われましたか

なかなかオフェンスがうまくいっていなかったんですけど、その中でディフェンスの自分たちにできるのはオフェンスに一個一個ボールを繋いでいくこと。それを、チームみんなで再確認して後半に臨みました。

ーーご自身のプレーを振り返って

基本的に結構良かったかなというふうには思っているんですけど、最後に足を攣ってしまって体力不足という事を認識したので、リーグ戦に向けてそこは強化していきたいなと思います。

ーー良かったところとは

チームで決めたポイントを自分が率先してまとめあげて、ゴールを守れたというのは良かったところかなと思います。

ーーグラボからフルフィールドを駆け上がった場面、振り返っていただいてもよろしいでしょうか

あれは、本当に僕がグラボをして運んで行って、シュートを打って…あれは僕の得点です!(笑)

ーーゴールが決まるなという確信はありましたか

本当にゴールまでの道筋が見えたという感じです(笑)。道筋が見えてました!

ーーリーグ戦へ向けて

全日本選手権優勝に向けて、まずは7月5日のリーグ戦から何試合もタフな試合は続くと思うんですけど、一つ一つ勝って最後に優勝できるように頑張っていきたいと思います。

 

AT・岸敬太郎(政4・慶應)

ーー早慶戦優勝おめでとうございます!率直に今のお気持ちは

六大戦でも早稲田には負けていて、早稲田は無敗のチームだったので勝てるかなという不安はあったんですけれど、勝ててよかったです!

ーー試合内容を振り返って

うまくいったかなとは思っていて。早稲田はオフェンスが強いので、いつもは点を取られて慶應のオフェンスも点を取り返して、みたいな試合が多いんですけど、今日はディフェンスがすごく良くて失点が少なかったので、オフェンスとしてもそんなに気負わずにやれたのでこのスコアになったのかなと思います。

ーー六大戦と戦い方を変えた部分はありましたか

六大戦ではショットのミスでターンオーバーが多かったので、そこはあまり打たないように確実なショットを打とうという話をして臨みましたね。

ーーハーフタイムではどのような事を話し合われましたか

前半はロースコアで自分たちが点を取らなくても良いという方針で臨んでいたので、1点ビハインドでも全然焦ってなくて。負けていたけれど、全員が「いけるっしょ!」という感じで入っていたので、そんなに変えたこともないですし焦りもなかったです。

ーー早慶戦で4ゴールの活躍でした!ご自身のプレーを振り返っていかがですか

まあちょっと上出来すぎる感じはしますけれど、今までの努力がここで形になって良かったなと思います。

ーーそれぞれゴールシーンは覚えていますか?

全部ちゃんと覚えてますよ!

1点目は裏からのフィードで点を取って。一応ロースコア想定で前半は負けてても良いという話はしたんですけれど、2点ビハインドはちょっと嫌だったので何が何でも1点を取りたいなという状況で自分が取れそうだったので、絶対決めるという気持ちで決めました!

2点目はグラボから崩れた形で、運が良かったという言い方もできると思うんですけれど、これも決められたらアツいなと思いながらプレーしていたので、決められて良かったなと思います。

3点目は自分の得意な形。ランシューが得意なので、自分のプレーが発揮できたのかなと思っています!

4点目は相手が(慶大のボールを)落とさないと負ける状況でアグレッシブに来たので、その裏をとってやってやりました!

ーーリーグ戦へ向けて

まず、早稲田に勝てたことはリーグ戦前の自信になりました。初戦の日体はこの間の試合で負けてしまったので、初戦からしっかり勝って、去年と一緒でリーグ戦全勝で終えたいと思います!

 

AT・福田天真 選手(法3・國學院久我山)

ーー早慶戦優勝おめでとうございます!率直に今のお気持ちは

4連覇できて正直ほっとしています。結構タフな試合になるだろうなとは思っていたんですけど、思ったよりオフェンスが上手くハマって、みんなの良いところがちゃんと出たのが大きかったです。ちょっと点差もつけられて、いい形で勝てて本当によかったです。

ーーオフェンスの良さが出たとおっしゃっていましたが、具体的にはどんなプレーが印象に残っていますか?

今年のオフェンスは、岸選手みたいに上からのショットが打てる、ショット力のある選手が多かったんですよね。そういう強みをしっかり活かして、得点につなげられたところがすごく良かったと思ってます。

ーー3Qで福田選手にも1ゴール目が生まれましたが、どんなお気持ちでしたか

1・2Qで結構ショットは狙ってたんですけど、なかなか決まらなくて…。だからこそ、あの3Qでようやく決められた時は、シンプルにホッとしました。それが勝ち越しのゴールだったというのもあって、チームとして欲しかった場面で取れたのはすごく嬉しかったです。

 ーー今回の勝利でチームにも勢いがついたのではないかと思いますが、どう感じていますか

今年に入ってからは公式戦で負けが続いてて、正直チームの雰囲気もあまり良くなかったんです。でも今回の勝ちをきっかけに、みんなの空気が少しずつ前向きになってきた感じがしていて。このまま良い流れに乗って、全日本選手権優勝まで突き進めたらなと思ってます。

 ーー今年のチームとして、そして個人としての抱負をお願いします

個人としては、関東ファイナルとか全学(全日本大学選手権)でMVPを取ったり、リーグ戦では得点王を狙いたいと思ってます。チームとしては、やっぱり全日本選手権で優勝するっていうのが一番の目標なので、そこに向かってしっかり頑張っていきたいです。

 

G・岩城敦大選手(法3・慶應)

ーー早慶戦優勝おめでとうございます!率直に今のお気持ちは

まずはすごく安心したというか、ほっとしたところが大きいです。六大戦などの直近の試合では苦しいというか、負けが続いていてあまり思うようなラクロスができていなかった中で、今日の早慶戦という舞台で勝ててほっとしています。

 ーーハーフタイムではどのような事を話し合われましたか

前半ビハインドの状態ではあったんですけど、特段気にしなくていいよっていう声がけをしました。その理由としては、早稲田に流れを持ってかれるような失点だったというよりは、流れを持っていかれないまま失点したような形であって、その後で僕らがどういうアクションをおこしていくかで十分流れを取り戻せるというようなことは分かっていたのでそういった声がけをしました。

ーー今年もたくさんの好セーブがみられましたが、早稲田の攻撃に対してどのようなことを考えてプレーされていましたか

早稲田はシュートが上手な選手が多かったので、いかにして選手が自由にシュートを打てないようにするかということを考えていて、そのためにデフェンスに対して声がけをしていくというようなことをしていました。その結果、早稲田の得意な形のプレーからの失点は少なかったのでそこは良かったかなと思います。

 ーー今後の目標や抱負を教えてください。

今シーズンから、慶應の伝統ある守護神の番号の2番をつけさせていただいている中で、ゴーリーとして、自分から点数がとれるポジションではないですけれど、自分のプレーで流れを持ってきて勝利に近づけるプレーをしていけたらなと思います。

 

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