【アメフト】「詰めの甘さを痛感」前半に痛恨4TDで追い上げも及ばず WR・久保宙は90ydの独走TD/第73回早慶アメリカンフットボール対校戦

アメフト

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青空に包まれた駒沢陸上競技場で、第73回早慶アメリカンフットボール対校戦が幕を開けた。第1Qは2つのタッチダウンを許し、0ー14と苦しい立ち上がりに。それでも、WR・久保宙(経4・慶應)が90ヤード超えの独走から圧巻のキックオフリターンタッチダウンを決め、慶大の意地を見せる。第2Qでも立て続けに7点を献上するが、QB・山岡葵竜(政4・佼成学園)がWR陣をうまく使い分けてフレッシュを獲得し、LB・岡村英一郎(経3・慶應)のキック成功でまずは3点を返す。反撃に転じたい第3Qは早大を無得点に抑えると、キックで3点を返し10ー28。慶大が2連続でランを成功させ3rd&1を迎えたところで、第3Qを終える。最終第4Qは、慶大攻撃の続きから試合再開。陣地を稼ぎながらも追加点を奪えないが、直後の守備ではセーフティで2点を追加し15ー28とする。攻撃では、QB・山岡やWR・佐藤勇太(総2・慶應)らがスーパープレーで勝負に出るも、エンドゾーンでボールを受けた山岡の腕からボールが溢れタッチダウンとはならず。流れを掴みかけた慶大だったが、最後にタッチダウンを決められ試合終了。15ー35で悔しくも早大に敗れた。

 

4月29日(火)@駒沢陸上競技場 第73回早慶アメリカンフットボール対校戦

 

 

慶應義塾大学UNICORNS

早稲田大学 BIG BEARS

第1Q

14

第2Q

14

第3Q

第4Q

15

35

前年春に続き、早慶戦の大舞台で司令塔を任されたのはQB・山岡葵竜。第1Qは、RB・山内啓耀(経4・慶應)のランなどで敵陣に切り込むも、うまく攻撃を展開できずに苦しい立ち上がりとなる。それでも、LB・国井智暉(経3・慶應)のインターセプトやLB・赤木龍士朗(政4・鎌倉学園)のタックルなど、要所で守備が光る。3度目の攻撃では、インターフェアランスで15ヤードを獲得し、敵陣17ヤードへ。QB・山岡葵竜が2ヤード、5ヤードと着実に陣地を獲得して好機を演出するもフィールドゴールはバー外へと逸れ、先制点を逃す。すると、残り6分半で迎えた直後の早大攻撃。ロングパスからタッチダウンを許して先制点を献上。慶大のランプレーやDB・加藤雄大(理2・本郷)の素晴らしいパントも見られるが、再びタッチダウンから7点を許し0ー14とリードを広げられる。それでも、ここで慶大のWR・久保宙が早大の勢いに楔を打つ。キックオフから一気に90ヤード以上を独走した久保は、昨秋の早慶戦に続くキックオフリターンタッチダウンで6点を返す。直後のキックも決まり、7ー14としたところで第1Qが終了する。

キックオフリターンタッチダウンを決めた久保宙

ロースコアで後半へと繋げたい第2Qだが、尚も攻撃で勢いに乗ることができず。開始早々から立て続けに7点を献上。7ー28とビハインドを広げられてしまう。それでも、QB・山岡葵竜からWR・久保宙への針に糸を通すようなロングパスが通り、久々のフレッシュを獲得。直後には山岡がスクランブルからWR・佐藤勇太へパスを狙うが、惜しくもインターセプトで勢いを抑えられてしまう。その後の慶大攻撃では、山岡からWR・田村遼(法4・慶應)へのロングパスを確実に決め、敵陣40ヤード付近まで陣地を回復。久保や鈴木郁実(総3・公文国際)らWR陣をうまく使ってフレッシュを獲得し、LB・岡村英一郎(経3・慶應)のキック成功で10ー28。さらに、LB・松岡尚吾(環2・鎌倉学園)がタックルで早稲田の陣地を大きく押し戻すと、観客席は大歓声に包まれる。パントリターンでは、RB・田中玄樹(理2・本郷)がラグビーで鍛え上げたフットワークで会場を魅了。残り2分を切った場面では、QB・山岡がスクランブルで敵陣43ヤード付近まで一気に攻め込むなど粘りを見せるも、追加点とはならず。10ー28で前半を終える。

LB・岡村英一郎のキック

ハーフタイムを挟み、ここから一気に反撃へと転じたい慶大。QB・山岡葵竜のスクランブルやRB・山内啓耀のランで連続1stダウンを奪うも、フォルススタートで5ヤード罰退。1stダウン獲得が難しくなった慶大はパントを選び、攻撃権を返上する。早大攻撃ではランからロングゲインをくらうが、ここでDB・山下遥(経2・慶應)がインターセプトに成功する。続く慶大攻撃では、3rd&10の場面で早大反則により15ヤード獲得で1stダウン。RB・田中玄樹が中央突破で8ヤード稼ぐなど敵陣へ迫るが、ここはフィールドゴールを選択。LB・岡村英一郎がキックを成功させ、13ー28とする。守備ではフィールド中央まで迫られるピンチを無失点に抑えると、QB・山岡のスクランブルでフレッシュ獲得。さらに、RB・須藤大樹(理2・慶應)のランで1ヤード、RB・山内啓耀のランで8ヤード進んだところで、第3Q終了を迎える。

RB・山内啓耀のランが光った

勝敗を決する運命の最終第4Qは、慶大攻撃で再開。残り1ヤードを押し込みフレッシュを獲得すると、再びRB・山内啓耀のランなどで敵陣40ヤード付近まで迫っていく。さらに、QB・山岡葵竜がスクランブルで5ヤード進めるも、後が続かず。最後は完璧なパントキックで早大を自陣1ヤードに止めると、早大のランプレーを天野甲明(政2・鎌倉学園)がロスタックル。セーフティで2点を追加し、15ー28とする。自陣43ヤードから開始した慶大攻撃は、RB・山内啓耀のランやQB・山岡葵竜からWR・田村遼へのパスが光り、3連続のフレッシュ獲得。ゴールラインまでは、残り4ヤード。

QB1枚で戦い抜いた山岡葵竜

ここでQB・山岡が勝負に出る。試合再開と同時に、バックスの選手とWR・佐藤勇太が山岡の後方へ。山岡からバックスの選手、そして佐藤勇太へと2連続バックパスを繋ぐ間に、山岡はエンドゾーンへ駆け上がる。そして佐藤勇太の投げたボールは、完璧な軌道を描いてエンドゾーンで待つ山岡の元へ。しかし、皮肉にもボールは山岡の両腕からこぼれ落ち、タッチダウンとはならず。山岡は悔しさを滲ませる。そのまま4thダウンまで得点を奪えず攻守交代すると、残り1分47秒で迎えた早大攻撃。2連続でロングパスを繋がれ、瞬く間に早大のタッチダウン。最後まで粘り強く敵陣を目指すも、試合終了のホイッスル。後半にかけて追い上げを見せた慶大だが、一歩及ばず。15ー35で早大に敗れた。

2年生ながら存在感を発揮した佐藤勇太

なお、優秀選手にはキックオフリターンタッチダウンを決めたWR・久保宙が選出された。

表彰後の記念撮影に応じるWR・久保宙

               (取材:長掛真依、神戸佑貴、吹山航生、野田誉志樹)

 

▽以下、選手インタビュー

WR・久保宙選手(経4・慶應)

ーー最高学年として、どのような役割を意識されていますか

自分は1年生から公式戦にスタメンで出させてもらっているので、プレーで背中を見せれるように、1個1個の質にこだわって取り組んでいきます。

ーーここまでのシーズンを振り返っていかがですか

日本一を目指すに当たって、まだまだだなと思うのが正直なところです。オフェンスであればランもパスもどちらの精度も今日の試合も含めてまだ低いなと思いますし、ディフェンスも1発で持っていかれてしまう部分であったり、まだ修正できる所はたくさんあるので、そこを1個ずつチームの課題として捉えて、克服していきたいと考えています。

ーーついにラストシーズンですが、どんな1年にしたいですか

今年はこのフットボールとしてだけではなくて、人としての部分。例えば礼儀であったりという部分にもフォーカスして、しっかりチームとして成長していきたいと考えています。日本一を目指す上で、もちろんフットボールの選手としての技術も全員に求めていきますけれども、それ以上に人としてやらなければいけないことを、チームとして、部としてしっかり捉えて、その部分の成長っていうのもしっかり考えていきたいです。

ーー今日のプレーを振り返って

個人としては、タッチダウン取れたり、パスも取れたんですけれども、自分の中ではあくまでもチームを勝ちに導ける選手を目指しているので。レシーバーとして、タッチダウンを持ってこられなかったので、そこは自分の反省すべきところかなという風に思います。

ーー昨秋の早慶戦同様に、久保選手のキックオフリターンがありました。久保選手の中でこのプレーはどのように捉えていますか

キックはアメフトの中で甘く見られがちな部分だと思いますけれど、オフェンスとディフェンスをつなぐ一番重要なプレーだと思うので、そこをしっかり意識してプレーしていきたいです。

 

QB・山岡葵竜選手(政4・佼成学園)

ーー春の早慶戦は最後でしたが、振り返っていかですか

本当に楽しいイベントだなと。本当に設営とかも1個上の先輩とかがやってくれたりとか、OB会とかに本当に支えられているなというのを毎回痛感できるイベントで、誇りをかけて挑む試合で、本当に楽しかったです。

ーー試合内容を振り返って

やっぱり慶應の一番課題としている入りの部分で、火がつき切らずに結局流れを持って行かれて、終始苦しい展開になってしまった。後半に流れを掴むことはできたけれど、最後の詰めの部分が甘かったので、結果として負けてしまったと思います。結論として良い部分は、自分たちのやりたかったランオフェンスとか、ランの裏プレーを展開することはできたけれど、悪かった部分として詰めの甘さを痛感したので今後の練習でそこは強化していきたいなと思います。

ーー後半で流れを掴めたきっかけは

一番あるのは、ランが出始めたことかな。それによってテンポを掴んで、ランの裏プレーとかが出るようになったのも大きかったかなと思います。自分自身のことでいうと、割り切りというか、PPがもれてきたらすぐにスクランブルするという判断をするようになって、割とテンポを掴めたかなと思います。

ーー練習で想定した通りにプレーはできましたか

全部が全部うまくいったわけではないし、最初はランが手詰まってサードダウンロングになってしまって繋げない部分もあったけれど、後半とかは練習通りランを出して粘り強くドライブをし続けるという部分では練習通りできていたかなと思います。

ーーワセダのプレーはどのように感じましたか

本当に良きライバルだなという感じで、カウントダウンの撮影とかでも向こうのメンバーと顔合わせする機会もあってそこで顔見知りになって、試合中も自分の名前を呼んで煽ってくるようなこともあったけれど、それもそれで総じて面白いな、楽しいなという印象があって。個人的には、秋は絶対倒したい相手。秋の早慶戦で早稲田とはラストになるかなと思うので、絶対に倒したい相手だなと思っています。

ーースーパープレーすごく惜しい場面もありました

あれは、恥ずかしいですね(笑)。みんなごめんの一言です。あれは準備していて、最高のタイミングでボールが来たけれど繋ぎきれず。勇太くん(=WR・佐藤勇太)のパスがドンピシャで良すぎて、逆に甘えてしまって。あれは取らないと本当にダメだったなと思います。

ーーQB2選手が卒業されて、山岡選手1枚で臨まれていますが

本当にそこがネックで。まずQB1枚回しになって、チームにおける取り組み方、チームに対して働きかける姿勢というのも変えなければいけなくて、俺自身の一つ一つの言動とか振る舞い、プレーが全体に対して波及している。そういう状態にあるから、そこに関してはより一層最終学年になって、オフェンスリーダーにもなって意識している部分ではあります。個人のプレーとしては、QBが1枚回しになって、今まで気づくことができていなかったフットボール面の課題に気付かされる日々で、今日の試合でもプレッシャーがある中でのスローイングの精度であったり、チームが落ち込んでいる時に鼓舞する能力だとか、そこの部分が足りないな、個人として課題だなと気づくことができているので。本当に毎試合、毎試合を成長の糧として捉えているので、楽しいなというのは感じています。

ーー今年はどんなオフェンスを組織していきたいですか

今年は本当に組織、チームワークを重視していきたいです。去年と比べて、1アスリートとか個人の能力ではどうしても劣ってしまう部分というのがある中で、どう戦っていくかを考えた時にチームワークの醍醐味であるランプレー、一人一人が最後まで徹底していないと成り立たないランプレーを主軸としながら、ランプレーはずっと慶應が目を背けてきた課題でもあったので、そこの部分を特にこだわっていきたいなと思います。

ーー次戦以降への意気込みをお願いします。

法政のエースレシーバーである高津佐隼世(キャリデザ4・佼成学園)という人が高校(=佼成学園)の同期で、彼は日本のフットボールを代表するような選手なので、同期として負けられないなという思いもありますし、そこは法政に対しても特に意識している部分でもありますね。早稲田戦で見つけた個人的な課題も修正して、かつチームの課題もユニットとして取り組んで、良い試合ができるように頑張っていきたいなと思います。

 

LB・国井智暉選手(経3・慶應)

ーー試合を振り返って

前半に完全に流れを持っていかれていきなり厳しい展開になったので、前半の2シリーズが悔やまれます。

ーーワセダ相手にどのような戦いを想定されていましたか

(ワセダは)RBがいいので本当ランだけは気をつけていましたが、ちょっと流れにやられてしまいました。

ーー今季はどんな1年にしたいですか

タックルの精度をできる限り上げてランストップ、パスに持ち込むという、ディフェンスの守り方を出来るといいなと思います。

ーー相手の1stダウンを阻止してパントに追い込む守備も光りましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

ビッグプレーが数プレーあったんですけど、やっぱりタッチダウンを取られたシリーズで、完全には止めきれなかった場面があったので。やっぱりビッグプレーもそうですけれど、精度100%っていうところが僕自身の目標なので、100%の守りっていうのが出来なかったのが悔しいです。

ーー秋の早慶戦へ向けて伸ばしたい部分は

早稲田に今回やられた原因として、やっぱりランで流れを持ってiかれたというのがあって。まずそのランをしっかり止めれば、パスゲームに持ち込めば全然止められる相手だったと思いますし、自分たちのディフェンスとしても計算できると思うので。まずランを改善していきたいと思います。ランニングバックのプレーをしっかり止めという部分を、秋までに精度を高めていきたいというふうに思います!

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