10月27日に行われたプロ野球新人選手選択会議(ドラフト会議)において、伊藤隼太選手(環4)が阪神タイガースより1順目指名を受けました。それに伴い日吉キャンパスで行われた記者会見の模様をお伝えしたいと思います。
伊藤選手より挨拶
本日はお集まり頂きありがとうございました。先ほどプロ野球ドラフト会議で、阪神タイガースから1順目指名を受けたことに、素直に嬉しく大変光栄に思っています。今日指名されたことでひとつの区切りとなるかもしれないですが、僕たちには明後日から学生野球最後となる早慶戦という試合が控えておりますので、まずはそこで自分たちの有終の美を飾るべく、全力を出しきって参りたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
記者との質疑応答
―阪神のドラフト1位指名となりましたが今の率直な気持ちをお聞かせ下さい。
さっきも言ったのですが、本当に指名される瞬間まで、自分がどこに行くのかわからないという不安と、またどこにいってもやってやるというドキドキの緊張の中で、指名を待っていた時に、阪神タイガースから指名されて率直に嬉しく思いましたし、喜びという気持ちが正しいと思います。
―どのような思いでこの日を待っていましたか。
そうですね。そんなに自分の中では、なるようになると思っていたので、昨日も特別変わりなく、今日も変わりなく練習し、指名される瞬間を待っていました。
―希望と不安はどちらが大きかったですか。
半々くらいですね。
―今はほっとしているといったところでしょうか。
そうですね。そういう気持ちが強いです。
―続いて江藤監督にお伺いします。江藤監督が就任してから初めてのドラフト指名選手となりましたが、この瞬間を迎えて気持ちはいかがでしょうか。
(江藤監督)そうですね。いい所に決まったし、とにかく伊藤が言うように、本当にこっちの方が心配したんですけどね。プロに入るということは、野球をやっている人のひとつの目標ですから、非常に今はよかったなと思っています。
―ようやく実を結んだということでよろしいでしょうか。
(江藤監督)そうですね。これからプロ野球という人生が始まるんですけどね。ここまでやってきたことが認められたってことに関しては、よかったなと素直に喜んでいます。
―再び伊藤君にお伺いします。喜びという気持ちがあると思うのですが、誰に伝えたいと思いますか。
そうですね。まず本日指名の瞬間を一緒に待ちました、一緒に4年間戦って切磋琢磨して成長してきた4年生の仲間に伝えたいという気持ちはあります。また今日まで支えてくださった全ての人に感謝する中で、やっぱり両親というのは特別な存在ですし、自分の好きなようにやらせてくれて、僕のやりたいようにやらせてくれた両親に感謝の気持ちを持っています。
―阪神タイガースというチームにはどんな印象を持ちますか。
正直、入ってみないとわからない部分が多いんですけど、熱狂的なファンが多くて、そういうファンに愛されたチームじゃないかなと思います。
―実際に接してみたい選手、話してみたい選手などはいますか。
やっぱり、自分とタイプが被るという意味で、金本選手などの話は聞いてみたい気持ちはありますね。
―今度は慣れ親しんだ神宮球場から甲子園というところにフィールドを移しますが、そういった意味で楽しみはありますか。
そうですね。僕自身高校三年間、甲子園の土を踏んでいないですし、大学でも一度試合に出るチャンスはあったんですけど、そこでプレーすることはできなかったので、そういう意味でも、野球を始めたころから、高校野球でも目標としていましたし、プレーしてみたいという気持ちは大きいです。
―再び江藤監督にお伺いしますが、プロの世界を知っている江藤監督から今言葉をかけるとしたら、どういった言葉で送り出したいなと思われますか。
(江藤監督)そうですね。頑張れしかないですけどね。プロの世界のことはその時々、話の中では伊藤には伝えてきましたけどね。プロっていうのは自分の力で試すところですから、どれくらいが自分かなっていう場所ですから、とにかく頑張れしか言ってないですけどね。
―伊藤君にプロでの抱負を頂きたいんですけれども。
そうですね。今日指名されたことでひとつの区切りじゃないですけど、そういったものになったと思うんですけど、今が新たなスタートだと思うので、また入ってからが勝負だと思いますし、少しでも長く、少しでも活躍出来るように、今から頑張りたいですし、入ってからも努力を惜しむことなくやっていきたいと思います。
―どんな選手になりたいですか。
そうですね。存在感のある選手になりたいです。ファンの方やチームメートからも頼りにされるような、伊藤がいれば何とかなるんじゃないかなと周りに思わせるようなそういう選手になりたいです。
―このたび阪神タイガースに1位指名されたわけですけども、さきほど金本さんとお話ししたいとおっしゃっていましたが、具体的にどういうことを聞いてみたいっていうのはイメージされていますか。
そうですね。あれだけプロの世界で長く活躍されてる方なんで、そういう秘訣であったりだとか、体作りの部分であったりだとか、そういう部分は聞いてみたいですね。
―阪神のチーム自体若い選手が伸びてきていますし、具体的にあげると柴田選手であったり俊介選手であったり、伊藤選手のライバルになる同年代の選手が活躍しているわけですが、そういう伸びてきているなっていうのはご自身でも感じていますか。
正直あまり、見ないではないですけど、他の人を気にしていても仕方がないので、自分がやることをやって、チームに必要とされるような存在になるのが一番だと思うので、やっぱり周りにライバルは多いと思いますけど、まずはやっぱり自分がしっかりやることが一番だと考えています。
―阪神タイガースというのは、マスコミであるとかファンであるとか、大阪の、こちらとは気質が違うというか、ちょっと変わったようなチームなのですが、そういう場所で活躍するために一番大切なことは何だと思いますか。
自分がその場に行っていないですし、経験していないのでわからないですけど、自分をぶらさないっていうことが一番大切だと思います。どんな環境に行っても、今までやってきたことを継続しつつ、またその場に臨機応変に対応していくっていうのが大切だと思うので、自分というものをしっかり持ってやっていきたいと思います。
―今までやってきたことを継続してやっていきたいとおっしゃっていましたが、大学4年間で一番学んできたことはどういったことがあげられますか。
野球の技術的なことに関して言えば、本当に多くのことを学んで、一番っていうのは決めづらいんですけど、やっぱり大学4年間で多くの人と接して、成長してきた中で、人とのつながりであるとか、人間関係というのは自分の中で最も大切と思える部分であったので、そういった部分は今後にも活きてくると思うので、大学4年間の経験というのは、どういう場に行っても、活かしていきたいと思います。
―江藤監督にお聞きしたいのですが、あらためて伊藤選手のセールスポイント、プロに行ってもウリにしていける部分は何だと思いますか。
(江藤監督)三拍子揃っている選手っていうのはよく言いますけど、彼は走って、打って、投げてもスピードがある。プロで一番必要なのは強い体とスピードですから、それを伊藤は持っているということですね。私が最初に来たときにそれを感じました。肩にしても足にしてもですね。バッティングについてはみなさんご存じのとおりね。そのスピード感というのはプロで通用すると思っています。
―伊藤選手に再び伺いたいのですが、今日指名の瞬間を、どこで誰とどういう風に迎えて、その時に周りからどんな声をかけられましたか。
指名の瞬間は寮で下級生と4年生全員で見させていただきました。指名された瞬間は、みんな祝福してくれましたし、おめでとうという言葉もかけてくれましたし、ハイタッチなども求められました。
―プロに入っての目標は何ですか。
実際入ってみないとわからない部分が大きいですし、実際プロのレベルを自分自身体験していないので、今具体的なことは言えないんですけれど、長くプレーヤーとしてやって、長く活躍して、周りのファンの人から応援されるような選手になりたいですね。
―ルーキーイヤーでしか新人王という称号は取れませんが、1年目に活躍して取りたいという思いはありますか。
そういうところに具体的に目標を置くというよりは、目の前のことをやってきた成果とが自分だと思うので、その場その場でどういうことが必要で、どういう練習が必要なのか、自分で考えてやっていきたいと思うので、そういうところに目標は今は置かないようにしているというか、考えていないですね。
―結果的に取れればいいというスタンスですか。
そうですね。やれることをやった結果、あとから付いてくればいいなと考えています。
―同じリーグで活躍する野村選手が広島に決まって、また対戦することがあると思うんですけれど、いかがでしょうか。
大学時代も何度か対戦して、いいピッチャーだとわかっていましたし、大学の時も対戦するのはひとつの楽しみでもあったので、それはプロの世界に入っても変わらないと思います。
―甲子園で満員のファンが待っていると思いますが、ファンの方にメッセージをお願いします。
阪神タイガースの一員として、チームの力になれるように頑張ります。
―江藤監督にお伺いしたいのですが、伊藤君の1年目に求めるもの、達成してほしいことはありますか。
(江藤監督)まずは一軍に入ってほしいというところからスタートですよね、プロ野球の場合は。ですからキャンプでケガをしないようにということですよね。ケガをしたらプロ野球の場合は…。かといって気を抜くとかそんなんじゃなくて、目一杯やってもケガをしない、体が壊れない、そういう体づくりをしてキャンプに行って欲しいという思いです。
―伊藤君の持っている実力からすれば、新人王なり一軍で十分通用すると感じていますか。
(江藤監督)それは思っています。ただ新人王とかの賞は、さっき伊藤が言ったとおりですが。それくらいの実力を持っているということで、タイガースから1位指名を受けたんだと思っています。本人もそういう気持ちで入っていけばいいと思うんですよ。ですから、やってきたことをやったら自然に結果はついてくるという期待はしています。
―伊藤君にお伺いしたいのですが、菅野君が日本ハムに指名を受けましたが、もしかしたら巨人で阪神と対戦するのかなとも思っていたと思うのですが率直な感想は。
菅野の気持ちもわからないですし、僕自身コメントしづらいですね。なにがどうなったかわからないので、そこは難しいところであると思います。
―江藤監督にお伺いしたいのですが、江藤監督もこれまで数多くの選手を見てきたと思いますが、あえて例えるならば伊藤君はどの選手のようなプレーヤーですか。
(江藤監督)よく高橋由伸と比較されて、由伸2世とか言われますが、またちょっと違うんですよね。ですから、全て三拍子揃っていると先ほど言いましたけど、そういう選手には間違いないのですが、広い甲子園に行った時には、二塁打、三塁打が増えてくる。ですから、できたら金本選手みたいになってくれればいいかなという期待はしています。
―伊藤選手に質問なのですが、やはり慶應出身ということで高橋選手と比較されると思うのですが、比較されることについては光栄に思っていますか。
僕自身は光栄に思うんですけれども、由伸さんには少し失礼じゃないかなと。大学の実績が全然違うので、僕はまだまだ由伸さんと肩を並べたと思っていないですし、現時点で目標というよりも憧れに近い存在なので、比較されることに関しては、自分自身は光栄というかそういう気持ちは特にないです。
―阪神対巨人は注目の対戦になると思いますが、試合の中で(高橋選手と)直接戦うことにもなりますが、楽しみにされていますか。
後輩としても、もちろんその場に行けば負けられない相手になると思うんですけど、プレーひとつを見るにしても、非常に楽しみに試合に臨みたいと思いますね。
―今からのプロ野球人生でまだまだ成長されると思いますが、高橋さんのようにプロ野球の顔になっていきたいという思いはありますか。
先ほども申しましたように、存在感のある選手と言いましたけども、そういう選手がプロ野球の中でも代表する選手であるならば、そういうものを目指してやっていきたいと思います。
―キャプテンを任され、四番をはってきたこの一年間、どういう思いで過ごされてきましたか。
正直、まだ終わってないですけど、ここまで大変だとは思わなかったですね。キャプテンに監督から指名されたんですけど、指名された時は、自分の好きなように今まで通りやってくれと言われて、自分もそういうつもりでやってきたんですけれども、まず自分のことよりもチームのことを考えてしまいますし、自分が打ってもチームが負けたら悔しいですし、自分が打たなくてもチームが勝てば嬉しいですし、でもそういうことを学べたのは非常に大きな一年だったかなと思いますね。
―キャプテンを務めた中でいろいろな悩みがあったと思うのですが、野球の技術論とは別の部分で壁にぶち当たった経験はありましたか。
今年の秋はチームが思うような成績を残せていないですし、自分もふがいない結果に終わっているんですけれど、そういう時に自分に何ができるのだろうかということは考えましたし、考えた中でチームの成績が出なかったというのは、まだまだ自分の力不足だと思いますし、でも長い目で見れば、この経験が次に活かせればいいなと考えています。
―六大学出身の選手で、昨年であれば斎藤選手であるとか大石選手であるとか福井選手などがいますが、そのような選手も含めてプロの中で対戦してみたい投手はいますか。
みんな対戦してみたいですね。誰とかではなくて、プロ野球の世界にはすごいピッチャーも多いですし、プロの世界で投げているピッチャーはそれぐらいのレベルのピッチャーだと思うので、みんなと対戦してみたいですし、そういうピッチャーから打ってみたいという気持ちは強いです。
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