【ラクロス(男子)】「チームがまた一つ強くなれた」 全員で掴んだ開幕勝利  DF組織力で強敵・日体封じる/第37回関東学生ラクロスリーグ戦vs日体大

男子ラクロス

慶大は、開幕戦にして同ブロック1番の強敵・日体大と対戦した。第1Qから、LMF・関根瑠偉(政4・慶應)がフィールドを貫く55ヤードのロングシュートを決め、先制に成功。会場を魅了する。その後は激しい攻防が繰り広げられる中、副将/DMF・石川叶大(経4・慶應)や驚異的なセーブ率を誇るG・岩城敦大(法3・慶應)を中心にディフェンス陣が組織力で鉄壁の砦を築き、前半を無失点で終える。第3Q開始早々には、MF・中西海(経4・慶應)が大きな追加点を叩き込み、会場を再び歓喜に包む。同Q後半に1点を返されるも、第4Q終了間際に中西海が2ゴール目を叩き込み3−1。強敵・日体大とのロースコアゲームを制し、3ー1で白星発進を飾った。

◇スタメン

AT

#3 池田朋史(商4・慶應)

#4 福田天真(法3・國學院久我山)

#52 鈴木孝人(法2・学習院高等科)

MF

#0 山田洸土(政4・慶應NY)

LMF

#17 関根瑠偉(政4・慶應) 

DF

#5 峰岸諒(環3・慶應湘南藤沢)

#16 増田友翔(経4・慶應)

#84 泰松基紀(経3・海城)

G

#2 岩城敦大(法3・慶應)

FO

#33 鈴木ケン春海(商4・慶應NY)

 

♢得点♢

 

1Q

2Q

3Q

4Q

慶大

1      

0      

1    

1 

3   

日体大

慶大得点者  

関根

― 

中西            

中西           

夏の日差しが照りつける7月の富士通スタジアム川崎で、関東学生ラクロスリーグが幕を開けた。主将・池田朋史(商4・慶應)が制作した楽曲を背に、選手たちがフィールドへと入場。対するは、2年前に同会場で行われた開幕戦、さらには春の最強決定戦で敗北を喫した日体大だ。慶大は雪辱を果たすべく、そして日本一への確かな一歩を刻むべく、重要な一戦に臨む。

池田の音楽に合わせて入場する選手たち

第1Qは鈴木ケン春海(商4・慶應NY)がFOを制し、慶大ポゼッションで試合が始まる。しかし、序盤は我慢の時間が続く。両者に得点が生まれないまま一進一退の攻防が繰り広げられる中、守備ではG・岩城敦大を筆頭に鉄壁の砦を築き得点を許さない。迎えた13分、チェイスでポゼッションを奪還した慶大は、LMF・関根瑠偉(政4・慶應)が試合を動かす。ディフェンスを司る伝統の「17」番が自陣中央でロングクロスを振りかざすと、放たれたボールは会場中の視線を集めながらフィールド中央を貫き、ゴールネットへ吸い込まれる。55ヤードを超える関根の先制ゴールに会場が沸いたところで、第1Qが終了する。

 

続く第2Qでは、フィールド中央に増成琉之助(政4・慶應)が膝をつく。ウィングの関根瑠偉のフォローで慶大がポゼッションを獲得すると、MF・中西海とゴール裏のAT・池田朋史を起点に攻撃を展開する。慶大ファウルで日体へとポゼッションを移譲するが、ここはDMF・石川叶大が厳しいマッチアップで相手のシュートコースを狭める。圧倒的な守備範囲を誇るG・岩城敦大の素晴らしいセーブで再び慶大攻撃へと転じるが、チェイスで競り負け再び我慢の時間へ。それでも、DMF・関志翔(政4・國學院久我山)とDF・泰松基紀(経3・海城)がボールダウンを誘い攻撃へ転じると、初スタメンのAT・鈴木孝人(法2・学習院高等科)がクリース内に侵入。渾身のシュートを叩きつけるが、相手選手に阻まれ惜しくもゴールとはならない。その後も、AT・池田を中心に何度もゴールへ迫るが得点は動かず、1-0のロースコアで後半戦へ突入する。

プレーでもチームを牽引する副将DMF・石川叶大

日体大相手に1点差と、油断は許されない第3Q。膠着した試合を動かしたのは、またも慶大だった。MF・山崎将英(法3・慶應志木)がジャンプシュートで相手ディフェンスを崩すと、尚も慶大ポゼッションでボールはMF・中西海へ。開始2分、中西は相手DF3枚に囲まれながらも、空いたスペースからアンダーシュートを突き刺し2ー0とする。しかし、その後はパスミスからボールを奪われ日体大に流れが傾く。相手のシュートミスやG・岩城のスーパーセーブで度重なるピンチを凌ぐも、慶大ファウルにより自陣ゴール右前で試合が中断。試合が再開すると、息つく間も無くシュートを放たれ1点を献上する。それでも、直後のFOを鈴木ケン春海が一瞬で制すると、再び慶大攻撃へ。AT・浅尾洋佑(環4・慶應湘南藤沢)のまくりシュートは惜しくも相手Gのファインセーブに拒まれるが、MF・大類慈英(商3・慶應)の素晴らしいクロス捌きでボールダウンを誘うなど、主導権を握らせないまま2-1で最終第4Qへと繋げる。 

アンダーシュートを叩き込むMF・中西海

勝敗を決する第4Qは、開幕戦勝利をかけて両者の意地がぶつかり合う。暑さと激しい攻防により慶大選手に負傷が相次ぐなどハプニングも生じるが、逆転を願いシュートを放つ日体大オフェンスをG・岩城敦大がスーパーセーブで一蹴する。グラウンドボールが発生すれば、慶大DFを司どる4年生コンビ・関根瑠偉と増田友翔(経4・慶應)、さらにはDMF・石川叶大が技術の高さを見せ、攻撃へと繋げる。そして残り4分の場面で、再び慶大の強さが光る。関根がボールダウンから完璧なパスでサイドチェンジに成功すると、一気に攻撃へ展開。ゴール前に駆け上がったMF・中西海は、勝利への執念を感じさせる渾身の一撃でゴールネットを揺らし、2ゴール目をマーク。勝利を大きく手繰り寄せる3点目に、会場は興奮の渦に包まれる。その後はマンダウンで苦しい戦いを強いられるも、ディフェンス陣が集中力を切らさずゴールを守り抜いたところで、試合終了のホイッスル。3ー1で日体大を下し、2年前の雪辱を果たすと同時に、日本一へ幸先の良いスタートを切った。

開幕勝利を喜ぶ選手たち

(取材・編集:長掛真依、取材:牧瀬藍、林佑真、愛宕百華、梅木陽咲、野口ことみ)

 

▽以下、選手インタビュー:石川叶大/関根瑠偉/中西海/岩城敦大

副将/DMF・石川叶大選手(経4・慶應)

ーー強敵の日体に勝って、開幕戦勝利で飾りました。今の率直なお気持ちを教えてください!

この試合が開幕戦ですし、山場。一番の強敵だというのはみんな共通認識として取れていて、ここが一番乗り切らなければいけないところで。合宿も経てめちゃくちゃ疲労が溜まっている中で、本当に気持ちで勝ち切れた、チームで勝ち切れたなというのがすごい嬉しくて。ここでチームが一つ強くなれた気がするから、より成長していって全日(全日本選手権大会)に向かって突っ走って行きたいなと思います。

ーー試合内容を振り返っていかがですか

ディフェンスとしての話になりますが、元々決めていたこと、ルールみたいなものがすごくあって、そこをすごく守り切れたディフェンスでした。その作戦がハマっていたから1失点に4Q通して抑えられたし、全体のフルフィールドとかオフェンスも含めて、オフェンスはちょっと決められないシーンも結構あったけれど、それでもディフェンスは絶対耐え抜いてクリアをゆっくり上げたり守り切れたので、すごいチームとしても良かった試合だったかなと思います!

ーーディフェンスとして、具体的に良かった点は

先ほどの話とも被るんですけれど、うちはGの岩城(=岩城敦大、法3・慶應)がめちゃくちゃ止めてくれるので。岩城のデンジャーゾーン、打たれちゃいけないゾーンがすごい狭めなので、そこに合わせて俺らがどこで打たせて良いのか、どこで打たせちゃダメなのか、どっちに抜かせるべきなのかというのを常に声を出し続けてできたのがすごい良かったなと思います。

ーーご自身の活躍も振り返ってください!

ハーフフィールドのところはもう満点と言いたいくらいのところなんですけれども、フルフィールドのところで今回自分たちがあまり攻めない、ゆっくりゆっくりクリアを上げていくプレースタイルだったから良いんですけれど、そこでやっぱり突破力というところ、オフェンス能力みたいなところはまだまだだなと自分でも感じたので、グラボも一個危なかったですし。やっぱりそういうところで現状に満足せず、自分の課題を見つけてしっかり成長して行きたいなと思います。

ーーラストイヤーどんなシーズンにしたい、どんな役割を果たしていきたいですか

副将としてというところでいくと「チームのコントロール」というところです。やっぱりトップに立つ人としてAチームだけを見ていてはダメなので、A、B、C、アーセナルという4つのチーム、140人の組織を引っ張っていくんだというのはもちろんあるんですけれど、それをプレーで見せていかなければいけないなというところがすごいあって。自分が当たり前に一番声を出すし、一番抜かれないし、一番グラボも掬うし、背中でも語れるような人には成長していきたいなと思います。

ーー次戦の一橋戦へ向けてもっとのばしていきたいところ、意気込みなどをお願いします!

一橋戦は全然まだスカウティングとかもしていなくて、どう戦うとかは決めていないんですけれど、やっぱりディフェンス全体の「Solid」って僕たち言っているんですけど、決めたルールを守ってみんなが規律を守ったディフェンスもそうだし、フルフィールドもそうだし、オフェンスもそうだし、というのを徹底していきたいなとは思うので、そこは注目していただきたいです!

 

DF・関根瑠偉選手(政4・慶應)

ーー今日の試合をチームとして振り返っていかがでしがたか

試合前からロースコアの展開になると予想していました。日体大は結構ハイペースで攻めてくる想定で、自分たちはそれに付き合わずにボールを落ち着かせながら、ゲームプラン通りにできた感じです。

ーー55ydのロングゴールを振り返って

スカウティングをしている中で、日体大はテンマンライド(Gがゴールから離れてライドに参加するため10名で相手選手につく)をやってくるなと思っていたので、ゴールのチャンスは来るなと感じていました。試合の3日前くらい前まで合宿をしていて、そこでずっとロングシュートを練習してきたので自信を持ってシュートを打つことができました。

ーーご自身の強みはこの試合で出せましたか

自分はあまり長いパスは出さなかったんですけど、ロングパスを出せばライドを一瞬で崩すことができるし、そういうところで自分たちのクロスワークの強みを活かせたなと思います。

ーー今回の試合に向けて取り組んできたことは

ずっと自分たちがやってきたマンツーマンをやろうという中で、相手にはキーマンが何人かいて、その人たちとのマッチアップはロングの中でも拘っていたし、ロングとショートであまりミスマッチが起きないようにする、ということを常に共通認識として持っていたので、相手のキーマンに上手くプレーをさせないということは意識できました。

ーー強敵・日体大を倒せた勝因は

今季、練習試合と最強決定戦の準々決勝の2試合、日体大と戦ってどちらの試合も負けていたんですけど、どちらも自分たちの思うようなゲームプランで試合を運べていなかったことが原因で負けてしまいました。特に最強決定戦では相手のトランジションにはまってしまって失点したり、自分たちのフィールドで勝負させてもらえなかったりしたので、その反省を活かして今日の試合に向けて対策してきたし、自分たちがどういうラクロスをしたいか、みんなが共通認識を持つことができていたので、そういうところの積み重ねの成果が今回の試合で出せたのかなと思います。

ーー次戦の一橋戦へ向けてもっとのばしていきたいところ、意気込みなどをお願いします!

今日の開幕戦に向けてギアを上げた部分はあったので、ここで燃え尽きて崩れることがないようにしたいです。一橋大も良いラクロスをする強いチームだと思っているので、引き続きギアを落とすことなく、暑い中ですけどまたさらに上げるくらいの勢いで練習して、勝ちたいと思います。

 

MF・中西海選手(経4・海城)

ーー強敵の日体に勝って、開幕戦勝利で飾りました。今の率直なお気持ちを教えてください!

開幕戦という非常に大切な試合で勝ちきれて本当に嬉しいです!

ーー試合内容を振り返っていかがですか

序盤中々苦しい展開でしたが、直前の合宿で確認したことを遂行できたこと、そして何よりもここ1ヶ月大切にしてきた粘り強さを発揮できたことが良かったと思います。

ーーチームに勝利をもたらす2ゴールの活躍もありましたが、ご自身のプレーを振り返ってください

暑さもあり体力面で至らないところがありましたが、試合を通して集中力を維持できたと思います。

ーーゴールシーンをそれぞれ振り返っていただきたいです

1点目は合宿で課題にもなっていた、中への入り込みを試合の場で発揮できて良かったです。2点目は普段の練習からも得意にしているプレーで、試合の場で出来て良かったです。

ーー昨季の主将・藤岡凜大さんも今季期待する選手として中西選手の名前を挙げていました。ラストシーズンの中でどんな役割を果たしていきたい、あるいは目標にしていることはありますか

藤岡凜大さんのように、得点もアシストも量産できるような選手になることが目標です!

ーー次戦の一橋戦へ向けてもっとのばしていきたいところ、意気込みなどをお願いします!

常に活躍できるように得点力を伸ばしていきたいです。

 

G・岩城敦大選手(法3・慶應)

ーーリーグ初戦を振り返っていかがですか

まずは本当に勝ててよかったなと思っています。ブロックの内容を見て日体が一番の強敵かなと考えていたので、その相手に開幕戦という舞台で、辛勝ながらも勝つことができてよかったなと思います。

ーー勝因として特に大きかったと感じるポイントは

ディフェンスの組織力の面がやっぱり一番の勝因かなと考えています。我々がやっているマンツーのディフェンスのところで、個が負けずに、相手にショットを打たれたとしても、相手に気持ちよくショットを打たせてはいなかったというところで、ディフェンス組織が、日体のオフェンス陣を上手く守ることができていたのかなと思っていて。そこが勝因だと思います。

ーーさすがのプレーでした!ご自身のプレーを振り返っていかがですか

なんかうまくいったなぁというのが率直なところです(笑)。直前の合宿を通してある程度自分のプレーには自信を持っていたので、自分のやりたいプレーとか、自分がこういうところで止めなきゃいけないな、みたいな勝負どころにうまく全部勝った試合だったかなと思います。

ーー1失点に抑えた慶應のディフェンス陣を振り返っていかがですか

あの1失点の内容もヒューマンエラーというか、全員の共通認識が取れる前にプレーが始まってしまって取られてしまった、いわゆる事故失点みたいなもので。それ以外のところに関しては、もう本当にディフェンスがばっちり守ってくれたかなと思っています。

ーー次戦の一橋戦へ向けてもっとのばしていきたいところ、意気込みなどをお願いします!

今回とやることは大きく変えずに、個で勝ち切るディフェンスというのをやっていって、最終的に失点を少なく守れたらいいかなと思います。

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