ついに、秋リーグが開幕。関東1部復帰を目指す慶大にとって、負けられない戦いが始まる。初戦の相手は春7位の亜大。第1セットは、“慶大らしい”サーブ&ブロックでポイントを重ね、幸先の良い立ち上がり。ブロックで亜大の攻撃を封じれば、慶大のエース・入来晃徳(環4・佐世保南)が強烈なスパイクで相手選手の腕を弾く。着実にリードを広げると、最後はMB・稲井正太郎(法2・慶應)がクイックを決め、25-18で第1セットを勝ち取る。しかし、ポイントを重ねるごとに亜大スパイカー陣がタイミングやコースをずらして慶應のブロックに適応し始め、フェイントやサイドアウトでの失点が増えていく。それでも、流れを大きく引き寄せるMB・稲井の1枚ブロックが決まると、リーグ戦初出場のL・井上航(経1・慶應)の素晴らしいディグもチームを勢いづけ、25-20で第2セットも慶大が連取する。第3セットは、S・松田悠冬(商1・慶應)が攻撃をうまく使い分け、各々が強みを発揮。マッチポイントから3連続で相手に得点を許す場面もあったが、25-21で第3セットも慶大が勝ち取りゲームセット。ストレートで亜大を下し、開幕戦を勝利で飾った。
2025年9月6日(土)
2025秋季リーグ @立正大学熊谷キャンパス
慶大×亜大
得点 |
|
|
慶大 | セット | 亜大 |
25 | 1 | 18 |
25 | 2 | 20 |
25 | 3 | 21 |
出場選手 |
|
|
ポジション | 背番号 | 名前(学部学年・出身校) |
MB | 9 | 松山鼓太郎(商3・慶應) |
OP | 11 | 入来晃徳(環4・佐世保南) |
OH | 6 | 山口快人(経3・慶應) |
MB | 22 | 稲井正太郎(法2・慶應) |
S | 13 | 松田悠冬(商1・慶應) |
OH | 2 | 清水悠斗(総2・習志野) |
L | 4 | 今田匠海(政2・慶應) |
途中出場 |
|
|
S | 15 | 久保田健介(商4・慶應湘南藤沢) |
S | 26 | 岩間祥成(環2・成城) |
L | 21 | 井上航(経1・慶應) |
第1セットは先制点こそ許すも、入来晃徳がスパイクですぐさま牽制。松山鼓太郎(商3・慶應)のサーブで崩れた相手の返球を山口快人(経3・慶應)がブロック。慶大が得意とするサーブ&ブロックで点を重ね、3-2。さらに、入来のサービスエースが2連続で決まるなど、慶大は4連続ブレイクに成功する。亜大のタイムアウト後も、MB・稲井正太郎と山口の2枚ブロックで相手のスパイクを封じ、流れを渡さない。15-7の場面ではサーバーとして久保田健介(商4・慶應湘南藤沢)が投入される。入来、松田悠冬がボールを繋ぎ、山口が2枚ブロックを瞬時に見極め、強烈なスパイクでブレイク。セット後半、亜大の緩急ある攻撃に揺さぶられるも、点差を広げたまま25-18で第1セットを奪う。

山口快人のブロック
第2セット序盤は、競った展開となる。第1セット同様、武器であるサーブ&ブロックを軸にゲームを展開したい慶大だが、亜大にブロックを攻略され始める。スパイクのタイミングをずらされ、フェイントを拾えず失点。うまくボールを当てられ、サイドアウトで失点。エース・入来晃徳のスパイクやMB・松山鼓太郎のクイックが決まりながらも、試合は拮抗したまま10-10を迎える。一進一退の攻防に終止符を打ったのは、MB・稲井正太郎。悔しさを修正力に変えて、まずは亜大スパイカーを1枚で仕留める。流れを作るこのプレーに、亜大はタイムアウトを要求。それでも慶大の勢いは止まらない。相手のミスに加えて稲井のブロックが炸裂し、4連続ブレイクに成功。15-10と、亜大を一気に突き放す。21-15の場面では、L・井上航がサーバーとしてリーグ戦初出場。ロングラリーとなったこのポイントでは、井上が実に3回の正確なディグでチームに貢献。このポイントを奪い、リードを7点に広げる。24-20でマッチポイントを迎えると、最後はOH・清水悠斗(総2・習志野)が冷静に押し込み、25ー20。2セット目も慶大が連取し、開幕戦ストレート勝利へ残すはあと1セット。

初出場ながら結果を残した井上航
第3セット、慶大は春に続いて亜大にストレート勝利し、初戦を白星で飾りたいところ。セット序盤、OP・入来晃徳とOH・山口快人に続き、S・松田悠冬もスパイクで得点する。しかし、5-1の場面から松田とスパイカー陣の息が合わず、2連続で得点を奪われる。その後、稲井が得意のAクイックとブロックで再び点差を広げるも、相手の鋭いスパイク、さらにロングラリーを制されたことにより試合は拮抗する。スパイカー陣をうまく使い分け、今度はOH・清水悠斗が立て続けに得点を決めるが、相手も左右に揺さぶりをかけてスパイクを叩き込んでくる。セット中盤はサイドアウトの取り合いとなり、17-14。セット後半にはMB・松山鼓太郎のクイックやブロックも光り、着実に点を重ねた慶大が24-18でマッチポイントに迫る。亜大の粘り強い守備を前に3連続ポイントを許すが、最後は山口のレフトスパイクが決まり25-21。セットカウント3-0で慶大が勝利した。

MBとして大きく成長した松山鼓太郎
(取材:長掛真依、梅木陽咲)
ーー開幕戦を勝利しましたが、この1勝をどのように捉えていますか
開幕戦というリーグで1回しかない試合で勝てたことは嬉しく思いますし、チームとしても大きな怪我なく迎えられたのが一番よかったことかなと思います。
ーー試合内容を振り返っていかがですか
結果は3-0のストレートで非常に喜ばしい結果だったと思います。内容を見てみると、安定したパスから攻撃を組み立てて、守備の際にもブロックが機能したことで、我々がやりたいバレーボールというのを、相手よりも多く展開することができたと思います。なぜそれができたかというと、夏の準備期間の間に取り組んできたものが随所にしっかり発揮されたからできたんじゃないかと思います。
ーー序盤はサーブ&ブロックが決まっていましたが、徐々に亜大も対応してきていた印象でした。それに対する慶大の修正力といった点ではいかがですか
途中で相手が対応してきたものに、慶大が瞬時に対応するのは難しかったと思うのですが、それでもここぞの場面で相手を崩すことができていたので、そういう意味では修正して対応できていたと思います。
ーーサーバーで井上航選手(経1・慶應)が出場し、ディグでの活躍も見られましたが
ワンポイント、ワンチャンスしかない中であの活躍ができるというのは彼の日頃のひたむきな努力があってこそだというのを、ものすごく感じました。みんな努力はしているんですけど、あのワンチャンスでどのボールもしっかりこなした、これは並大抵の努力じゃないと思います。そういう選手が、一瞬だったかもしれないですけど大きく照らされる瞬間に、自分もいられて、指導者冥利に尽きるなと思いました。
ーー次戦は3部から昇格した桜美林大との試合ですが、どのような印象を持たれていますか
勢いのあるチームだと思います。背は高くないですけど、それぞれが思い切りをもってプレーしていて、レシーブについても自信のある選手が何人かいると思うので、そういう相手の強みを発揮させないような展開が上手くできたらいいなと思います。
ーーこのリーグ戦、そして1部復帰のために慶大が必要なことはどのようなことだとお考えですか
松田(=松田悠冬、商1・慶應)の成長が一番だと思います。加えて、それに応えるスパイカー陣。ここの攻撃力が安定してくれば、入れ替え戦、そして1部というものが近づいてくるんじゃないかなと思います。
ーー秋季リーグ開幕戦、サーバーで出場してディグでの活躍もありましたが、振り返っていかがですか
自分の武器はレシーブだと思っているので、サーブで点を取ることよりも、サーブを入れた後どうするかが大事だと思っています。実際今日はレシーブの機会が3回あって、しっかり全部拾えて、チームの得点に繋げられたので、よかったと思います。
ーー今日の試合内容は全体的にいかがでしたか
リーグ初戦で難しいところもあったと思うんですけど、外から見ていて、すごくいい雰囲気でできていたんじゃないかなと思います。ただ、まだ所々ミスがあったので、上のチームと戦うためにはもっとトレーニングを重ねて、今後のリーグ戦に標準を合わせていけたらいいなと思います。
ーーこの夏はどのようなことに注力して練習しましたか
チームとしては繋ぎの部分を強化しています。低いボールといった球際の部分にどうアプローチするかだったり、ディグを拾った後の二段トスでしっかりスパイクが打てるところまで持っていくことだったり。自分はリベロなので、レシーブに重点を置いてやってきました。
ーーこれからのリーグ戦に向けて意気込みをお願いします
僕は今日みたいなサーブからのレシーブという場面での出場が多いと思うので、まずはしっかりレシーブに重点を置いて強化していきたいなと思いますし、あとはベンチに入ることも当たり前じゃないと思うので、しっかりポジションを確立できるように頑張りたいなと思います。
ーー試合内容を振り返って
亜細亜の前情報で「慶應が1番山場で、絶対倒す」みたいなことを聞いていたので、こっちもすごい雰囲気を盛り上げて絶対勝とうという気持ちでやっていました。アップから全員すごい良い雰囲気でできていて、1試合通してもあまり沈むこともほとんどなかったのでチームとしてもすごく良かったかなと思います。
ーーサーブ&ブロックで決め切る場面も多くありました
夏休み期間はハイセットという高いトスをブロックを強化していて、そこの成果を出していきたいなと考えていたのですごく良かったんじゃないかなと思います。
ーーご自身のプレーは振り返っていかがでしたか
最初はすごい緊張していてぎこちない動きだったんですけど、2、3セット目は結構リラックスして、周りにも声をかけたりできたので全体通して楽しくできたのかなと思います。
ーー今後さらに伸ばしていきたい部分は
チームとしては、オフェンス面がすごく良くなってきていると思うので、あとはディフェンス面。レシーブの後衛の動きというのを全体的に仕上げていきたいなという感じですね。
ーー桜美林戦への意気込みをお願いします!
明日は中学時代の選抜の親友がいるので、ちょっとその人ともバチバチしながら負けないように頑張りたいと思います!