関東大学対抗戦の開幕より一足早く、関東大学第47回ジュニア選手権大会が開催された。
対抗戦開幕に向けて良い流れを作りたい慶大だったが、序盤から明大の素早いアタックに苦しみ、前半16分までに3トライを許す苦しい立ち上がりとなる。反転攻勢に出たい慶大は20分、SO小林がトライを決め、自らコンバージョンキックを沈め点差を縮める。
しかし、この後も明大の勢いは止まらず、更に3トライを奪われ、7-42で試合を折り返す。
後半、なんとか巻き返したい慶大は、9分にFB武居が自ら蹴ったハイパントを拾って独走して後半最初のトライを上げ、16分には完璧な崩しからWTB安西がトライを挙げて反撃の狼煙をあげる。それでも、昨年のJr選手権で首位と勝点4差の2位につけた明大に徐々に点差を広げられると、最終スコア17-85の完敗となった。
大きな壁に直面した慶大だが、この敗北を糧に更なるレベルアップを成し遂げ、対抗戦、大学選手権でのリベンジに期待したい。
2025年9月7日(日)第47回関東大学ジュニア選手権大会カテゴリー1 対明治大学 @慶大下田グラウンド
○慶大 17{7―42、10―43}85 明大●
第47回関東大学ジュニア選手権大会 | ||||
慶應義塾大学 | 2025/9/7(日) | 明治大学 | ||
前半 | 後半 | 前半 | 後半 | |
1 | 2 | トライ(T) | 6 | 7 |
1 | 0 | コンバージョン(G) | 6 | 4 |
0 | 0 | ペナルティゴール(PG) | 0 | 0 |
0 | 0 | ドロップゴール(DG) | 0 | 0 |
7 | 10 | 計 | 42 | 43 |
17 | 合計 | 85 |
慶應義塾大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 山中 優太郎 | 177/102 | 商4 | 慶應 |
2 | 安藤 佑真 | 174/84 | 政1 | 慶應志木 |
3 | 山北 響己 | 177/98 | 経1 | 慶應志木 |
4 | 加藤 光 | 182/100 | 法2 | 慶應志木 |
5 | 笠原 大介 | 180/96 | 商4 | 慶應 |
6 | 米津 幸治 | 175/91 | 商4 | 慶應 |
7 | 小川 和真 | 176/78 | 政1 | 茗溪学園 |
8 | 佐藤 龍吾 | 178/98 | 商2 | 慶應志木 |
9 | 森 航希 | 170/75 | 環3 | 桐蔭学園 |
10 | 小林 祐貴 | 168/75 | 政1 | 慶應 |
11 | 安西 良太郎 | 180/84 | 商1 | 慶應 |
12 | 百田 航 | 182/82 | 政4 | 慶應 |
13 | 江頭 駿 | 174/82 | 経4 | 慶應 |
14 | 松田 怜大 | 174/83 | 環3 | 桐蔭学園 |
15 | 武居 泰獅 | 178/80 | 法2 | 桐蔭学園 |
16 | 玉塚 雄大 | 177/96 | 経1 | 慶應 |
17 | 鈴木 将智世 | 173/93 | 法3 | 慶應 |
18 | 湯口 竜迅 | 171/89 | 文1 | 鎌倉学園 |
19 | 佐々木 一帆 | 180/97 | 経3 | 慶應志木 |
20 | 本田 李成 | 179/90 | 政1 | 慶應 |
21 | 杉山 雅咲 | 170/75 | 総4 | 大阪桐蔭 |
22 | 和田 健太郎 | 168/73 | 理2 | 清真学園 |
23 | 草薙 拓海 | 177/87 | 政1 | 桐蔭学園 |
明治大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 伊藤 潤乃助 | 175/109 | 文4 | 常翔学園 |
2 | 高比良 恭介 | 176/103 | 政経2 | 東福岡 |
3 | 富田 陸 | 182/125 | 政経4 | 大阪桐蔭 |
4 | 倉掛 太雅 | 190/99 | 政経2 | 東福岡 |
5 | 百武 聖仁 | 187/108 | 商1 | 東海大大阪仰星 |
6 | 久保 太進 | 180/99 | 法2 | 長崎北陽台 |
7 | 工藤 大和 | 184/98 | 政経1 | 明大中野 |
8 | 中川 功己 | 182/101 | 経3 | 流通経済大柏 |
9 | 小倉 光希矢 | 164/67 | 商2 | 國學院栃木 |
10 | 神尾 樹凛 | 173/80 | 政経1 | 國學院栃木 |
11 | 海老澤 琥珀 | 173/82 | 情コミ3 | 報徳学園 |
12 | 蓬田 雄 | 173/94 | 政経4 | 流通経済大柏 |
13 | 大和 哲将 | 170/84 | 政経2 | 佐賀工 |
14 | 大沼 隼人 | 184/87 | 政経3 | 國學院久我山 |
15 | 山川 遥之 | 178/82 | 経4 | 尾道 |
16 | 原 悠翔 | 177/98 | 政経1 | 大阪桐蔭 |
17 | 井本 章介 | 178/100 | 情コミ1 | 常翔学園 |
18 | 朝島 燎夏 | 183/121 | 法4 | 正則 |
19 | 古賀 大輝 | 191/85 | 政経2 | 佐賀工 |
20 | 長谷川 壮馬 | 180/81 | 商2 | 明大中野八王子 |
21 | 田中 景勝 | 169/74 | 文3 | 常翔学園 |
22 | 宮﨑 和史 | 180/93 | 情コミ2 | 石見智翠館 |
23 | 伊藤 利江人 | 173/78 | 商3 | 報徳学園 |
関東大学ラグビー対抗戦に先立ち開幕した大学ジュニア選手権。昨年は明大に7-73と大敗を喫した慶大だが、今季は高校日本代表経験を持つ1年生SO小林とWTB安西がスタメンに名を連ねた。用意された観客席を埋め尽くす大勢の観客が見守る中、慶大のキックオフで試合が幕を開けた。
前半2分、自陣5mライン付近で与えたラインアウトからモールで押し切られ先制を許す。10分にも相手ボールラインアウトからのサインプレーで追加トライを奪われ、16分までに0−21と大きくリードを許した。反撃に出たい慶大は、敵陣深くでのラインアウトからモールを形成。FWが何度か縦に当たった後、ユーズイットのコールでボールを展開する。パスはずれたものの、SO小林が反応良くスピードに乗り、相手のギャップを突いてトライ。続くコンバージョンキックも自ら沈め点差を縮めた。
しかし22分、ディフェンスが後手に回り、オフロードを繋がれて再びトライを許し、さらに35分にはラインアウトを失った流れから抜け出されトライを許すなど明大の勢いを止められず、7ー42と大きくリードを許して前半を終える。
明大に大量リードを許す展開となった慶大は、後半からハーフ団を入れ替える。SH森に替えて杉山、SO小林に替えて和田を投入し、新たな司令塔コンビを軸に巻き返しを図った。
しかし、体格で勝る明大の圧力を跳ね返すことができず、更に2トライを奪われる苦しい立ち上がりとなる。
それでも慶大は9分、蹴り合いの展開からFB武居が蹴ったハイパントを自らキャッチし、そのまま快速を飛ばして明大ディフェンスラインを抜き去ってトライ。名門・桐蔭学園出身の韋駄天がスーパープレーを見せ、反撃の狼煙を上げる。
ここで畳み掛けたい慶大はPR山中に替えて鈴木を投入。すると14分、後半から投入されたSH杉山が意表をついてランを仕掛けると、オフロードパスが繋がり明大ディフェンスラインを突破。最後は高校日本代表WTB安西がインゴール隅にトライを決め、明大に食い下がる。
勢いを途切れさせたくない慶大は、ここでLO笠原に替えて佐々木を投入。しかし、中盤以降は分厚い選手層を持つ明大にじわじわと点差を広げられていく展開が続く。
終盤、慶大はFB武居に替えて草薙、LO加藤に替えて本田という2人の1年生を投入したが、得点を奪うには至らず、最終的には17-85と大差での敗北を喫し、ジュニア選手権は黒星発進となった。
昨年と比較してトライの本数は多くなったものの、同時に失点も増え、リベンジを果たすことは出来なかった。しかし、1週間後には春の交流大会で敗れた青山学院大学との対抗戦開幕戦を迎える。この試合で培った経験を糧に、黒黄の戦士たちは対抗戦開幕に向けて闘志を燃やす。
以下、選手インタビュー↓
FL米津幸治選手
ーーゲームキャプテンとして今日の試合全体を振り返っての率直な感想を教えてください
点数も離れてしまったし、率直な感想としては、明大の方がアグレッシブにアクションしてチャレンジしていて全員が繋がっていたというかそういうイメージを持ちました。
ーー劣勢の場面が多い中で、チーム内でどういった声がけを意識されていましたか
相手に合わせるのではなくて自分たちがやってきた、練習で積み重ねてきたことをまずはやりきって、発揮して、そこからレビューしていこうという話をしていました。
ーーこの試合から出た課題・修正点はどのような点が挙げられますか
決められたフォーカスに対してやり切るというところがまだできていなかったと思うので、まずはそこを直すというところと、明大の方がかなりチャレンジしていたというところで、もっと自分たちも攻められたらなという反省があります。あとは試合中の雰囲気が全体として暗かったという個人の意見もあるのでそういったところで、いいプレーには素直にもっと盛り上がるような声かけとかもあったらなと思います。
ーー最後に対抗戦に向けての意気込みを教えてください(取材時は対抗戦開幕前)
青学大戦では目標を達成するためにも絶対に負けられない試合だと思うので、まずは自分たちが決めたフォーカスを絶対にやりきって、かつFWリーダーとしては、FWで勝てたと言われるレビューが増えたらなと思います。セットプレーやフォーカスにこだわってやりきれたらなと思います。
WTB安西良太郎選手
ーー今日の試合を振り返って
全ての部分で負けてしまったという印象です。具体的な敗因が何かある、と言うより、コンタクト、スキルなど、様々な面で上回られてしまいました。
ーー守備の時間が長かった試合だったがどういう意識でプレーしていたか
自分たちは体が小さいので、前に出てプレッシャーをかけることを意識していました。前半はある程度機能していた部分もあったのですが、後半まで持続させることはできず、課題が残りました。
ーー後半に挙げたトライを振り返って
僕は外に張っていただけですが、チームとして、敵陣でプレーをして相手のミスにつけ込んでトライを取れたことは良かったです。前半から、あのような攻撃の試行回数をもっと増やすことができれば、もう少し違う結果になったのでは無いかと思います。
ーー対抗戦開幕に向けて(取材時は対抗戦開幕前)
まず、春の交流大会で負けている中で、内容も大事ですが、とにかく1点でも上回ることが重要だと思います。個人としては、試合のメンバーに選ばれるように良い準備をして行きたいです。
SO小林祐貴選手
ーー今日の試合を振り返って
チームとして秋シーズンの最初の公式戦だったのですごい大事な試合だったと思うんですけど、相手よりもマインドのところでだいぶ負けてしまって、準備してたことが出し切れなかったので、悔しい結果になったかなと思います。
ーーハーフ団として何を意識してプレーしていたか
自分自身の強みは自分で仕掛けるところなんですけど、今日は(秋シーズン)最初の試合っていうところで、オーガナイズ(を意識した)、自分で持ち込むというよりはキックを蹴ったり、パスでフォワードの選手に当てたりとか、周りを使うところを意識して。ハーフ団としては、早く選手を位置に立たせて周りを使っていくところを結構意識してゲームメイクしてました。
ーー苦しい展開の中でトライを挙げ、コンバージョンを成功。感触は
あのトライだけで切り取ったら、アドバンテージもらって、バックスでチャレンジして、結果トライ取れたんですごいいいシーンだったと思うんですけど、やっぱり全体として振り返ったらあそこ以外はあんまりいいシーン・チャンスつくれてなかったんで、どっちかと言ったら悔しいのが大きいですね。
ーー対抗戦開幕に向けて(取材時は対抗戦開幕前)
来週青学大戦で本当に負けられない試合なんですけど、個人としてはまずメンバー入るところ、結構ギリギリ入れるか入れないかのところだと自分で思ってるので、一個一個のプレーの精度上げて、コミュニケーションいろんな人たちと取って、メンバー入れたらうちの強み出して、勝利に貢献出来たらいいかなと思います。
(取材:塩田隆貴、小野寺叶翔、柄澤晃希、髙木謙)