スローガンの「PRIDE」を胸に、ここまで走り続けてきた慶大バレー部。チーム山元で戦う最後の大会・全日本インカレの直前企画と題し、スパイカー対談とリベロ対談をお届けする。第2弾はリベロ対談。慶大には現在、主将・山元康生(法4・慶應)、平山一之心(商4・甲南)、今田匠海(政2・慶應)、緒方哲平(環2・日向学院)、井上航(経1・慶應)、重枝良政(経1・慶應湘南藤沢)の6選手が在籍している。そんな個性溢れる“慶應リベロズ”の魅力をぜひご堪能いただきたい。これを読めば、リベロ目線の新たな角度から全カレを楽しめること間違いなし!
※平山選手は学業の都合により欠席されました
ーー他己紹介からお願いします!
山元→今田:今田匠海くんです。2個差なので、中等部の頃から計4年間一緒にやっています。自分と同じ進路を辿ってきているので親近感もありますし、(今田の)お兄ちゃんも含めて今田家にはバレーボール人生ですごくお世話になっています。性格面では、末っ子感というか、先輩・後輩・同期を含めて人に懐く、コミュニケーションの取り方が上手いなと思っています。プレー面では、身体能力がすごくて「それ取れるんか」っていうボールも飛びついて取ったり、安定感はもちろんなんですけどチームの中でもトップクラスの身体能力を持っていて、チームの守護神として頑張ってくれているので。全カレでも乞うご期待ということで、紺ユニ4番の今田匠海くんを応援してあげてください!

2年生守護神・今田匠海
重枝→山元:繋がりとしては、康生さんの弟がSFCバレー部の2個下の後輩として入ってきて、僕が高校3年生で康生さんが2年生の時の早慶戦で康生さんを見ていて、その人の弟が後輩に入ってくるということですごく楽しみにしていた記憶があります。大学に入ってからは、4年生の康生さんはキャプテンとして素晴らしい。僕もSFCでキャプテンをやっていた時期があったんですけど、比べ物にならないくらい考えてることが深くて、一番尊敬しているところはチーム全体を見れていること。出ている選手だけじゃなくて、出ていない僕たちのこともすごく見てくれている。本当はすごい明るいキャラで周りと親しんでいるんだろうなと思いながらも、やっぱりキャプテンとしていうべきことは言ってくれる。僕もキャプテンをやっていたからこそ難しさが分かるので、チームの雰囲気を壊さないように言うべきことをいうというのを簡単に成し遂げている。僕もチーム全体を見る広い視野を持って行きたいと思います。

主将の山元康生
井上→重枝:重枝良政くんです。僕と同学年の1年生で学部も経済学部で一緒です。僕のイメージは高校(慶應高)時代にSFC会場で練習試合をしていたんですけど、パワーのあるスパイクがすごいなという印象でした。実際に顔を合わせたらすごい明るくて、今では1年生のムードメーカーです。筋肉もすごいんですけどね(笑)。スパイカーの印象が強いのでリベロをやるって聞いてびっくりしましたけれど、同じ学年、同じポジションということで切磋琢磨しながら頑張っていけたらいいなと思っています。彼のプレーの特徴としては、小学校でテニス、中学校で野球をやっていたりと本当に運動神経が良くて、遠いボールが来た時にボールの下に回り込む速さとかタッチの幅だったり、身体能力を活かしたプレーが得意な選手です。

1年生の重枝良政
緒方→井上:井上航くんの第一印象は、すごい真面目であんまり面白くなさそうだなというのがあったんですけど、意外におちゃらける、ツッコミもボケもいける二刀流です。真面目なところはもちろんあるんですけど、ふざけもできるから先輩からも好かれているし、同期の誰とでも仲が良い。プレーに関しては堅実で安定感のある選手だなと思っていて、レシーブに関してはもちろん、ピンチサーバーで全然サーブもミスらないし、相手を崩してピンチの場面でも活躍できているということで、プレーだけじゃなくて自分の役割を理解しているのがすごい伝わってきます。自主練とかに誘っても必ずすぐ来てくれるので、良い後輩であり、ライバルとして一緒に頑張っています。

1年生の井上航
今田→緒方:緒方哲平くんです。同期としてリベロが入ってくるということで結構ライバル意識を持っていたんですけど、ライバルというよりかは一緒に切磋琢磨して成長していく感じのキャラだったなと思っていて、最初は結構抜けているところが多い子なのかなと思っていたんですけどそんなことはなくて。練習中も色々考えていたり、練習以外でも理論から攻めるタイプなのが意外でしたね。
山元:(緒方に)照れてるの?(笑)
緒方:よくわかってるなと思って!(笑)
今田:バレーに関してはもちろん技術も高いし、運動神経も良いし守備範囲も広いんですけど、スパイクとかダントスとかもジャンプトスしたりでオールラウンダーだなと。バレー部全体を見てもオールラウンダー度ではトップレベルで、それも運動神経の良さが現れているんじゃないかなと尊敬している部分でもあります。あとはチームの中でバレーを一番楽しんでプレーしているのが表情で伝わってくるので、そこが1番の魅力かなと思います。

2年生の緒方哲平
ーー平山選手については

4年生の平山一之心
井上:チームにすごい良い影響をもたらしてくれる先輩だなと思います。練習前の課題共有の時間に、誰と組んでも一つ一つの練習に際して理論立てて課題共有をしてくれるので気づきを得ることも多いですし。すごい考えてプレーされているんだなと思いますし、盛り上げる声というのはすごいなと思います。ベンチでも、上でもチーム全体の雰囲気を上げてくれるから、コート上の選手も気持ち良くプレーできているんじゃないかなと思います。なのですごく大好きな先輩です。あとオンとオフがすごいしっかりしている先輩です(笑)。
緒方:僕から見るのしんさんは、一言で言うと「漢」って感じの先輩で、見た目もそうですし中身も真っ直ぐですし、人によって態度を変えることなく一人ひとりに真摯に向き合えるところがすごいかっこいいなという印象です。バレーボールにおいては、サボらない。何事にも全力で取り組んでいるところが、一番尊敬しているところでもあります。
今田:のしんさんは、すごい物事の核心が見えている人だなと思っています。航も言ってた課題共有においても、その練習がどこにつながるのかを考えて喋っているなと思いますし、とにかく言語化能力が高い。結構ペアになることも多いんですけど、毎回この人は頭が良いなと思うことも多いので、バレーにおいては哲平と同じで本当にサボらない。練習前に立てた課題に対して正面からしっかり向き合っている印象。だからこそどんどんサーブも強くなっているし、レシーブもうまくなっているので真似していきたいなと思っています。あと欠かせないのは筋肉。のしんさんはどっからどう見てもマッチョで、本当にカッコ良い漢なので。4年生になる頃には、あの身体に近づけるように頑張りたいと思います。
ーーリベロが6人いることは珍しいと思いますが、6人の思い出は
山元:1年生2人が入る前にも一回焼肉に行って、入った後もひようら(日吉の商店街)でご飯に行きました。今まで先輩にリベロが少なかったというのもありますけれど、割とこの4年間の中では一番ご飯に行ったりとか話す機会は多いのかなと思います。一回この4人(2年・4年)で行った時にすごくたくさん量を提供していただいて、緒方くんが食べすぎて…という事件はあったりしましたね(笑)。
ーーバレーの話はされますか
山元:あんまりしないよね(笑)。
一同:あんまりしないですね(笑)
山元:その時にはしないですけど、プレー中とかに6人で集まるとかではないですけど個別に今こうだったよねとか、僕と航は似たポジションをやっているので、今はこういう取り方とか待ち方が良かったねとか、一緒に自主練することもありますし、それぞれコミュニケーションは取っているかなというのは印象としてあります。
緒方:バレーの話よりかは恋バナをすることが多くて、のしんさんが僕達に恋愛テクニックを伝授してくださるんですよ。のしんさんと航の恋愛の口論がすごく面白くて(笑)。2人とも自分の意見をぶつけ合っているのが自分の中で印象に残っています。
井上:純愛の価値観がちょっと違って…あんまり詳しく覚えていないですけれど(笑)。のしんさんは恋愛がすごくお上手なので…
一同:爆笑
井上:教わったりもするんですけど、そこの価値観だけちょっと合わなかったなと。すごく楽しく話させていただきました。
今田:航とは高校も一緒だったんですけど、トークがすごい面白くなった。話すとこんなに面白いんだとか、オチの付け方が面白くて6人全員で大爆笑みたいな。
井上:自分はそんなに話が面白いと思っていないので嬉しいです。

トークで爆笑を誘った井上
重枝:僕もリベロ飯の話なんですけど、1年生から順番に近況を話していって、のしんさんが最後に話す時にオチがすごい面白いから話が面白い人ってこういうふうに喋るんだなってお勉強になります。真面目な話で言えば、リベロが6人いるのでそれぞれ役割が変わってくるんですけど、レシーブをメインにするリベロだからこそ、5人から学ぶことも多いなと思っています。哲平さんだったら低姿勢から確実にセッターにまとめる能力だったり、匠海さんだったらフライングでどんな球も触って次の人に繋げるみたいに学べることも多いので、自分がいちばんリベロの経験が短いからこそ5人から学べる貴重な1年間と思います。
ーーこの6人でチームを組むなら?
山元:重枝とのしんがレフトで、(山元と井上が)ミドル?
緒方:俺と匠海がツーセッターで。え、普通に強いっす。
山元:普通にいけるな!
緒方:まあ関東5部くらいなら?
山元:流石にナメてる(笑)。
今田:関東3部とかいけそう。
一同:3部は無理よ(笑)。
山元:ブロックどうすんの?
緒方:関東4部目指せるくらいすね。
山元:もうフロア6枚ディグでね。
ーーキャプテン経験者も多いですよね
山元:たしかに。まあキャプテンは平山さんかな?
一同:えー!?
井上:康生さんかな?
ーーそれぞれどんな強みのあるリベロですか
山元→重枝:上にもリベロがたくさんいるのでリベロとしてプレーする機会はすごく少なかったと思うんですけど、個別の練習とかは一緒にやってきた中でディグとか、身体能力の高さがあるからこそダイナミックなプレーというか、守備範囲が広い印象があります。来年以降、特にディグ面ではチーム1になっていけるんじゃないかと楽しみにしています。
重枝→井上:航は同期としてお互い切磋琢磨していく存在だと思いますし、高校からリベロをやっているので身体の重心が綺麗で、ブレることなく毎回理想的な形でワンタッチボールとかも練習していて、任された時に役割を遂行できる。ピンチサーバーとしてもしっかりサーブを入れてディグを上げるという役割を意識して練習から取り組めているのですごく尊敬しています。
井上→緒方:ディグリベロとしての出場がメインになると思うんですけど、早慶戦でもたくさん上げていたし、リーグ戦でも大事なところで1本を拾える勝負強い選手だと思います。一緒に練習していて、すごくサーブキャッチが上手だなと思いました。セッターが上げやすいボールを返したり、面の残し方とかもすごい綺麗で基礎に忠実で身体能力も高い、リベロのお手本のような選手で尊敬しています。
緒方→今田:匠海は、全てにおいて高い技術力を誇っている。レセプションに関しても、ディグも、トスに関してもレベルが高くて、特に自分がすごいなと思うのはサーブキャッチの安定感。ピンチの場面とかビハインド状況だとすごいプレッシャーがかかるんですけど、動じることなく返せているのが自分との差かなと思います。バレーボールがうまくなること、勝利への執念がすごいなと思っていて、きつい練習も自分からどんどん取り組んでいく。その姿勢もすごい尊敬しています。
今田→山元:何をとっても安定感がすごいなと思っていて、どんなサーブでも必ずコート内には残すしほぼほぼ全部Aパスみたいな。最近で言うと、ディグのバックセンターの位置どりとかもすごい安定していて、昨日とかもほぼ全部上げていたし、そこはすごいなと思いますね。中学校からずっと見てきましたけど、大学4年生になってキャプテンになって統率力が圧倒的にすごい。康生さんがこう言ったら「たしかに」と思わせるような喋り方だったり、振る舞いがあって、このチームが最終的にまとまったのは康生さんがいたからだと思います。もし康生さんがいなかったら全部の学年が、バラバラのまま全カレに向かうことになっていたと思いますし、僕も高校時代にキャプテンをやっていたからその難しさはわかるのですごい尊敬しています。

仲間からの信頼も厚い主将・山元
ーーリベロというポジションの魅力は
重枝:僕は、そもそもバレーを始めた理由が面白くて。中学は野球で守備をやっていたんですけど、7イニングでゴロが1本か2本しか来ないのにそこで落としたら大戦犯ですごいプレッシャーかかるけど、バレーはどんなに大きいミスをしても1点しか落とさないから気楽だなと思ってスパイカー時代はやっていました。だけど、実際にリベロをやってみたら自分のミスを自分で取り返せない。上げ続けることでしか評価されないポジションだからこそ、いかに100%のパフォーマンスを出し続けられるか、普段の練習が問われるポジションかなと思います。
緒方:自分はスパイクもセッターもやっていた経験があるんですけど、いちばん難しいポジションに感じています。自分の自己効力感とかモチベーションを保つのがいちばん難しいかなと思っています。
井上:自分は中学の時スパイカーをやっていて、もちろんレシーブを上げてくれるリベロという存在の大きさは感じていましたけれど、実際にやってみて1本目を上げるのがいかに難しいかということを実感しました。あとは、スパイカーに決めて欲しいなという想いを抱くようになりました。自分が上げないと攻撃に繋がらないので、やっぱりプレッシャーはすごい感じます。スパイカーの目線で言うと、良いスパイクを拾われたら嫌なのでそう言った意味でも点数は直接取れないんですけど、相手にプレッシャーをかけて間接的にミスを誘って得点することはできると思っています。あとはコート上の監督だと思ってやっています。
今田:リベロは一番気持ち良い瞬間が多いポジションなのかなと思っています。プレー中はいろんなことを考えて取り方とか位置どりを変えたりするんですけど、ブロックと連携して後ろのトータルディフェンスで自分のところに来るように仕向けたボールが、ちゃんと自分のところに来て上がったりとか、自分が上げたボールをスパイカーがしっかり決めてくれたとか。自分で考えた位置どりにハマった時が一番気持ちよくて、リベロをやってて楽しい嬉しいって思える瞬間だと思うので、一番楽しいポジションだと思っています。自分がスパイクを決めるポジションではないので1点に一喜一憂しにくいので、一番コート内を俯瞰して見られるし、一番声を出してコート内の監督的な存在として周りに気を配りながらプレーできるポジションだと思っています。
山元:みんなが話してくれたリベロ論はそれぞれの経験に基づくもので、もちろん正しいと思うんですけど、僕はいかに精神的支柱になれるかが大事だと思っています。どうしても点が取れないポジションなので、余裕がない時にミスばっかりにフォーカスしてしまうとどんどん苦しくなって。それを止めようとしてまた自分に矢印が向いて、余裕がどんどんなくなってしまうと思うんです。だけど、強いリベロというのはそこに余裕があるからこそ人を動かす力だったりとか、声かけの仕方でチーム全体を支える縁の下の力持ちになれるのかなと思っているので。プレーじゃないところでいかに気を配って、それを周りに還元していけるかがリベロの面白いところであり、難しいところであるかなと思っています。
ーー最後に全カレに向けて
今田:全カレは4年生と戦える最後の大会なのでとにかく1千でも1点でも長く戦えるようにチーム一丸となって戦いたいです。あとはもう、とにかく自分たちのせいで4年生に悔いが残るのは違うと思うので、チームとしても、リベロ全体としても、学年としても、個人としても妥協せずに残りの期間を戦っていきたいなと思います。
井上:やっぱりこの1年間、4年生にはすごいお世話になったので、4年生を勝たせられるように目標のベスト8に向かって一戦必勝で頑張っていきたいです。4年生と1秒でも長くやっていきたいという想いがあるので、もし自分が試合に出る機会があったら自分の与えられた役割をしっかりまっとうしたいと思います。
重枝:この1年間は与えられた自分の役割を遂行するということの重要さを学んだ1年だったので、4年生の最後の舞台でもあるし、自分が1年生として戦う最後の大会でもあるので。自分の役割を遂行して勝ちたいと思います。
緒方:もちろん4年生にはすごいお世話になっているので4年生のためにという思いはあるんですけど、自分に打ち勝つこと、克己心をすごく大事にしていて。プレーにおいて、まだ自分の殻を破れていないと認識しているので、残り少ないんですけど1日1日を全力でやってサボる自分に打ち勝つことを意識して臨みたいと思います。
山元:みんなが言ってくれたことに近いんですけど、1分1秒でも長くやりたい。ベスト16までしか経験したことがないですし、ベスト8という目標を掲げている以上は8に行きたい。航はインターハイで8を経験してますけど、塾高の後輩たちもなかなか16の壁は破れていないので、慶應義塾バレー部としても16の壁を破りにいきたいなという想いがあります。あと僕の個人的な感情なんですけど、すごいみんなのことが好きなんです。みんな頭が良いし、自分で考えられるし1年から3年のみんなが真面目に一生懸命取り組む姿を見てきてすごい愛着もあるし、良い仲間に恵まれたなと思っているからこそ、1分1秒でも長くバレーをしたい。あと、このチームが良いプレーをしている時ってみんなすごい良い表情をして笑顔でプレーしているなと思うので。バレーは流れのスポーツなので良い時も悪い時もあるんですけど、その中でも楽しむことだったり一生懸命仲間と1点を取りに行く。良い表情で最後までプレーし続けてくれたら嬉しいですし、自分もいつでも出る準備をし続けて、最後に全カレが良い大会だったなと思えるようにしていきたいと思います。

後日6人の写真を撮影していただきました!
ーー貴重なお話をありがとうございました!
(取材:長掛真依)

