悲願の「日本一」達成へ—。慶大蹴球部は第62回全国大学ラグビー選手権大会の初戦、京都産業大学との試合に臨んだ。
花園ラグビー場は地元・京産大を後押しするムードに包まれ、慶大は先制トライを許す厳しい立ち上がりとなる。それでも伝統の「魂のタックル」で京産大の猛攻をしのぐと、前半26分にWTB小野澤謙真(環2・静岡聖光学院)のトライとSO小林祐貴(政1・慶應)のコンバージョンで一時逆転に成功する。しかし終盤に2トライを許しビハインドで試合を折り返す。
それでも風上に回った後半、闘志みなぎるタイガージャージが京産大に牙をむく。小林のペナルティゴール、小野澤とPR井吹勇吾(環2・桐蔭学園)のトライと畳みかけ、再び逆転に成功。それでも地元・関西で負けることは許されない京産大も反撃し、一進一退の攻防が繰り広げられる。
そんな中、試合終了間際の後半37分、ディフェンスラインを切り裂いたWTB石垣慎之介(政4・慶應志木)からパスを受けたSH橋本弾介(法4・慶應)が相手の追走を振り切って逆転トライ。4年生の意地で奪った渾身の一撃により、慶大は勝利に大きく近づく。しかし直後の40分、痛恨のサヨナラ逆転トライを献上。ノーサイドの笛が「日本一」を目指した旅路の終わりを告げた。
目標には届かなかった慶大蹴球部だったが、公式戦ラストゲームとなった126代の選手たちは、4年間の集大成を見せ、4年生のリーダーシップの下、下級生も自身の持ち味を遺憾無く発揮した。酸いも甘いも様々な経験を培った下級生が、来年この悔しさを晴らしてくれるだろう。
2025年12月14日(日)第62回全国大学ラグビー選手権大会 対京都産業大学 @東大阪市花園ラグビー場
●慶大 36{7-29、29―21}40 京産大○
第62回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 | ||||
慶應義塾大学 | 2025/12/14(日) | 京都産業大学 | ||
前半 | 後半 | 前半 | 後半 | |
1 | 4 | トライ(T) | 3 | 3 |
1 | 3 | コンバージョン(G) | 2 | 3 |
0 | 1 | ペナルティゴール(PG) | 0 | 0 |
0 | 0 | ドロップゴール(DG) | 0 | 0 |
7 | 29 | 計 | 19 | 21 |
36 | 合計 | 40 | ||
前半26分 小野澤(T) 前半27分 小林(G) 後半3分 小林(PG) 後半14分 小野澤(T) 後半19分 井吹(T) 後半20分 小林(G) 後半26分 石垣(T) 後半26分 小林(G) 後半37分 橋本(T) 後半38分 小林(G) | 得点者 | 前半5分 平野(T) 前半6分 高木(G) 前半30分 佐名木(T) 前半31分 高木(G) 前半37分 平野(T) 前半38分 高木(G) 後半29分 エロ二(T) 後半30分 高木(G) 後半31分 石橋(T) 後半32分 高木(G) 後半40分 一柳(T) 後半41分 高木(G) | ||
慶應義塾大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 井吹 勇吾 | 175/100 | 環2 | 桐蔭学園 |
2 | 藤森 貴大 | 173/102 | 経3 | 慶應 |
3 | 中谷 太星 | 180/115 | 環2 | 東福岡 |
4 | 西野 誠一朗 | 184/92 | 法1 | 桐蔭学園 |
5 | キーヴァー ブラッドリー京 | 182/90 | 総2 | 常翔学園 |
6 | 恩田 優一郎 | 175/100 | 政3 | 慶應 |
7 | 申 驥世 | 175/93 | 文1 | 桐蔭学園 |
8 | 中野 誠章 | 176/107 | 文2 | 桐蔭学園 |
9 | 橋本 弾介 | 169/76 | 法4 | 慶應 |
10 | 小林 祐貴 | 168/75 | 政1 | 慶應 |
11 | 伊吹央 | 176/81 | 経4 | 慶應 |
12 | 今野 椋平 | 183/90 | 環4 | 桐蔭学園 |
13 | 小舘 太進 | 173/84 | 商4 | 茗溪学園 |
14 | 小野澤 謙真 | 180/90 | 環2 | 静岡聖光学院 |
15 | 田村 優太郎 | 174/80 | 総2 | 茗溪学園 |
16 | 渥美 和政 | 173/103 | 経4 | 慶應 |
17 | 山中 優太郎 | 177/102 | 商4 | 慶應 |
18 | 廣瀬 宇一朗 | 180/111 | 環2 | 桐蔭学園 |
19 | 岩垂 樹希 | 177/99 | 政4 | 慶應 |
20 | 持木 太心 | 180/95 | 総2 | 桐蔭学園 |
21 | 森 航希 | 170/75 | 環3 | 桐蔭学園 |
22 | 安西 良太郎 | 180/84 | 商1 | 慶應 |
23 | 石垣 慎之介 | 176/82 | 政4 | 慶應志木 |
京都産業大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 小林 龍昇 | 172/103 | 経営3 | 金光藤蔭 |
2 | 平野 龍 | 180/100 | 経営4 | 札幌山の手 |
3 | 佐名木 風雅 | 183/115 | 経営2 | 関西大学北陽 |
4 | 石橋 チューカ | 190/106 | 経営3 | 報徳学園 |
5 | 石川 東樹 | 185/102 | 経済3 | 大分東明 |
6 | 髙木 彗那 | 174/102 | 法2 | 札幌山の手 |
7 | 伊藤 森心 | 175/91 | 国際関係4 | 松山聖稜 |
8 | シオネ ポルテレ | 184/110 | 現代社会4 | 目黒学院 |
9 | 高木 城治 | 165/75 | 経営3 | 東福岡 |
10 | 奈須 貴大 | 178/87 | 現代社会4 | 光泉カトリック |
11 | エロニ ナブラギ | 185/103 | 現代社会3 | 大分東明 |
12 | 神 拓実 | 177/88 | 現代社会2 | 東福岡 |
13 | 平山 尚樹 | 174/92 | 現代社会4 | 東福岡 |
14 | 小林 修市 | 176/83 | 経営4 | 京都成章 |
15 | 宮里 快一 | 182/86 | 経営2 | 名護 |
16 | 谷村 穣太郎 | 174/95 | 現代社会3 | 日本航空石川 |
17 | 佐藤 颯 | 170/105 | 法2 | 大分東明 |
18 | 川北 啓太 | 182/110 | 経済2 | 常翔学園 |
19 | シオネ マヘ | 188/112 | 現代社会2 | 高川学園 |
20 | 一柳 尚斗 | 185/100 | 経済3 | 兵庫工業 |
21 | 山本 雄聖 | 170/66 | 現代社会4 | 洛北高校 |
22 | 太田 陸斗 | 172/80 | 経済2 | 京都成章 |
23 | 福永 然 | 177/85 | 法3 | 同朋 |
12月14日「日本一」をスローガンに掲げる蹴球部は、全国の大学が日本一をかけて争う、負けたら終わりの一発勝負・大学選手権の初戦に挑んだ。
対するは関西リーグで2位につけた強豪・京都産業大学。公式戦における京産大との前回対戦は2022年で、奇しくも今回と同じく関西で開催された。この試合で慶大は京産大に1点差で敗れ、現在リーグワンや日本代表で活躍する中楠一期(令5卒・現BR東京)らが在籍した123代の公式戦ラストゲームとなった。当時1年生ながらこの試合にスタメン出場していた今野主将を中心に、黒黄軍団は因縁の相手へのリベンジに燃えていた。高校時代に今野主将が日本一を達成した聖地・花園ラグビー場で、大学日本一への第一歩を踏み出したい。

コイントスで前半に風下側のエンドを選んだ慶大は序盤、苦戦を強いられることとなる。風に加え、慶大陣地から見て左サイドのピッチは強い日差しに照らされており、京産大が蹴るキックに対し、慶大は2つの天候由来の障害を抱えることとなる。そんな状況で、ハイパントを起点に自陣に押し込まれた前半5分、京産大に先制トライを許す。点差を縮めたい慶大だったが、試合再開直後に敵陣で得たマイボールラインアウトをスティールされるなど、敵陣深くに迫る時間を作れない。
それでも慶大は、今季のチームの武器であるディフェンスで流れを変える。鋭いスティールでピンチをチャンスに変えるNO8中野、攻守両面でスピードを活かしたアグレッシブなプレーで魅せるSO小林、この試合からスタメンに復帰し、持ち味の推進力に磨きがかかるCTB小舘らの「魂のタックル」で京産大のオフェンスの芽を摘む。更に、対抗戦終盤に課題となっていたスクラムでも、相手のコラプシングを誘発することに成功。若いFW陣の奮闘も光った。

すると24分、敵陣での京産大ボールラインアウトからのモールの場面で、モールからボールを持ち出した相手FWに対し、FB田村のタックルとSH橋本のスティールでノットリリースザボールを誘発。敵陣22m内でマイボールラインアウトを獲得する。このラインアウトをしっかり確保すると、まずはモールで敵陣に迫り、次にSH橋本が素早い球出しでピッチ中央から左右にパスを振って京産大のディフェンスを混乱させる。

相手のディフェンスラインが整わないうちに左サイドのタッチライン際までボールを回すと、最後はWTB小野澤が「うなぎステップ」で2人を抜き去りインゴールへ。更に難しい角度からのコンバージョンを小林が沈め、7-5と逆転に成功する。


しかし逆転直後から自陣に押し込まれる時間帯が続くと、31分にラインアウトから逆サイドへの展開を起点に京産大にトライを献上。7-12と再びビハインドに転じる。更に36分、長いキックを起点に自陣深くに迫られると、ペナルティが嵩む中で最後は自陣5mでのラインアウトからのモールでトライを許し、更に点差を広げられる。なるべく点差を詰めておきたい慶大だったが、最後は敵陣22m内に迫りながら得点を奪いきれず、スコアは7-19のままハーフタイムを迎えた。

生駒山地の方角に向かって斜めに吹き荒れる強い逆風に加え、学生ラグビーの醍醐味の1つであり、関東勢にとって関西で開催される試合において脅威となる「関西ホーム・関東アウェイ」の雰囲気に包まれる逆境の中、2トライ1ゴール差と逆転を十分に狙える点差で試合を折り返した慶大。今季、前半に風下エンドを選択して自慢のディフェンスでロースコアに抑え、風上に回る後半に勝負をかけるゲームプランを多く用いている慶大にとって、このビハインドは想定の範囲内だ。誇り高き黒黄の戦士たちによる逆襲の40分が始まる。
慶大のキックオフで始まった後半2分、相手のハイパントをキャッチした田村を起点にフェーズを重ねる。BK陣の堅実なパス回しが功を奏し、ペナルティキックの機会を獲得。小林が難なく決め、点差を縮める。ここで慶大はPRに廣瀬、WTBに石垣を投入し、流れを掴み取りにかかる。

自陣でのプレーが続き我慢の時間が要されるが、慶大の誇るディフェンスでトライラインを明け渡すことはない。12分、相手ボールスクラムから重なったフェーズの中でパスが乱れた隙をついた中野がスティール。自身の得意のプレーを炸裂させ、吠えた。

今野が蹴り出し、敵陣10mでのラインアウトを成功させる。モールで攻め込んだのち、逆サイドで待っていた石垣にキックでパスが回ると、一気に速いテンポでフェーズを重ねる。最後は小野澤が22mラインから相手を寄せ付けないランでこの試合2つ目のトライを収めた。4点差に迫る。


今野が蹴ったボールが5mライン付近でルーズボールとなり相手選手が外へ蹴り出したため、マイボールラインアウトに。キーヴァーが確実にボールを手に収めると、モールから申が囮(おとり)になるように走り出すサインプレー。翻弄された相手ディフェンスの間を縫って井吹がトライエリアに飛びこんだ。会場の誰もが申の動きに騙され、相手選手も頭を抱える逆転トライとなった。

22-19で迎えた25分、敵陣22mライン付近でのマイボールラインアウトで相手のノットワンメーターを誘い、細かいパスでジリジリと攻め込む。フェーズが6つ重なったところで相手ディフェンスが揃わない左サイドにアタックラインを形成した慶大が最後は石垣にボールを回し、そのままライン際でトライを決めた。難しい角度のコンバージョンも小林が収め、スコアを29-19とした。



その後キックオフレシーブとなった慶大ディフェンスの合間を抜けられ、およそ3分後にトライを献上する。続く2分後にも、慶大リスタートのボールでそのままゲインを続けられ、相手FWの重量のあるキャリーを留めることができず、スコアをひっくり返される。
33-29で迎えた36分、自陣でマイボールとした慶大は徐々に攻撃を展開。再び左サイドで待っていた石垣が相手ディフェンスを切り裂く鋭いステップでビッグゲイン。敵陣22mライン付近でサポートに入った橋本がそのまま独走トライ。4年生の意地を見せたプレーで再び逆転に成功し、36-33とする。会場の誰もが結果を予測できないシーソーゲームとなった。



京産大のリスタートのボールを取りきれず、慶大は残り2分、我慢を強いられることに。その後モールの隙をうまく抜けられ、トライラインギリギリでのFW勝負となった。今季幾度も耐えてきたこの状況で慶大の「魂のタックル」に期待が寄せられたが、試合終了間際に京産大の確実な攻勢を防ぎきれず、逆転サヨナラトライを許した。


この敗戦をもって、126代(4年生)は引退となった。春季大会3勝2敗でBグループ2位、秋季対抗戦3勝4敗でAグループ5位という結果に終わったが、春季大会、秋季対抗戦ともに白星発進で数多くの記憶に残る好ゲームを繰り広げてきた。今年度は1・2年生の活躍が注目された一方、BK陣で舵を取り続けたのはやはり4年生。主将・今野に加え、伊吹や橋本らコンスタントに結果を出し続けるプレーヤーのおかげでチームを保てていたに違いない。また、昨年度とは打って変わって下級生の多いFW陣を縁の下で支えたのは渥美。リーダーの米津幸治(商4・慶應)が怪我で離脱する中、中山大暉(令7卒)の抜けた穴を感じさせない安定感で春秋通してすべてにメンバー入りを果たした。
ケイスポのインタビュー中にも「みんなが繋いでくれたおかげ」「僕一人のトライではない」と謙虚さと仲間想いな部分が随所に見られた126代の部員たちは個性豊かで日々笑いが絶えない代だという。そんな仲間とともに厳しい壁を何度も叩き、もがいてきた126代の作るチームだからこそ、下級生が伸び伸びとプレーできる環境となっていたのだ。「正月越え」さらには「日本一」に手が届かなかった歯痒さは後輩たちも同じ。衰えを知らない彼らが来年度以降作り上げるチームの強さは計り知れないだろう。
以下、試合後インタビュー↓↓
ーー今日の試合を振り返って
青貫監督:関西というアウェイの中で、選手たちは本当に自分たちがやってきたことを遺憾無く発揮してくれたと思います。最後勝ちきれなかったのは、まだまだ自分たちの力が足りていなかった。そこまでのチームに持っていけなかった自分の責任だと思います。4年生には申し訳ないと思っていますし、この悔しい思いを来年に引き継いで、必ず慶應を復活させたいと思っています。
今野主将:今、試合後で自分自身頭が真っ白なのですが、やはり監督もおっしゃっていたとおり、最後1トライ取られるか取られないかというところで試合を進めていく中で、やっぱり自分たちの実力が足りなかったというところが最後の結果につながった、ただそれだけだと思います。でも、自分自身もそうですし、この126代は始まった時から日本一を目指して、絶対に全員で年越しするっていう目標を掲げて部員全員で頑張っていたんですけど、力が及ばずでした。それでもできる準備はして、この試合に臨めたと思います。
ーーアウェイの地で関西のチームと戦う難しさについて
青貫監督:まず、今年の4年生が1年生の時の大学選手権のベスト8で京都産業大学さんに1点差で負けました。やはり土地も観客もアウェイですし、そんな中で互角の力で臨んでは勝利することができないので、相手を圧倒するくらいの力をそれまでにつけておかないといけないと思います。そこまでにできなかったのは、自分の指揮官としての力不足だと思います。
ーーハーフタイムではどのようなことをチームとして修正を加えたか
今野主将:自分たちは試合前のミーティングで試合の想定をしていく中で、前半は風下をとって我慢する時間が増える。後半は風上になって有利になるので2、3トライ差は自分たちの想定内でした。そこで2トライ差以内で折り返したので、しっかり焦らずにという感じでした。ディフェンスの部分でも、規律が少し乱れてペナルティをしてしまって自陣に食い込まれるというシーンは多くありましたけど、ディフェンスで体を当てているところでも、負けている感じはしなかったので、自分たちがやってきたことに自信を持つというところ。あと、後半風上だったので、落ち着いてエリアを取って、敵陣に入って継続すればトライを取れるということをチームに言い聞かせて後半に入りました。
ーー悔やまれるシーンは
今野主将:後半連続トライを取っていく中で、キックオフレシーブになった時に2回くらいボールをロストして、乱れたままエグジットするというシーンが何個かあったと思うんですけど、その時にキャッチからしっかりチームを落ち着かせてエリアを取れればこのような結果にはなってなかったのかなと思います。あと、自分たちがキックオフの時に、トライを取られた後相手のNO8の選手に走られて、自陣まで食い込まれて、自分たちの強みとするディフェンスを崩されてしまったところがキーポイントだったのかなと思います。
ーー後半はすごくいい始まりだったが、どう考えるか
今野主将:自分たちがいけているという感覚と、自信が少し過信になりすぎて、アタックのところではすごく流れに乗れてチームもいい雰囲気できていたんですけど、ディフェンスの切り替えのところでうまく切り替えができずに取られてしまったのかなと思います。

--今日の試合を振り返って
僕たちらしい試合が出来た一方、細かいことに拘り続けた中で、ラインアウトやキックオフなど、1年間通して課題として残り続けてきた部分が出てしまって、悔しい終わり方をしてしまったと思っています。
--自陣に押し込まれた前半の試合運びについて
エンドは自分たちで選んだので、前半押し込まれることはある程度織り込み済みでした。ただ前半最後のプレーのように、少し慌ててしまったり、詰めの甘いところもあって、もう少し後半に向けて楽な展開に持ち込めたのではないかと思います。
--風上に回った後半、ゲームメイクで意識したこと
キックも上手く使いながらですが、ボールを持って攻めるのが今年の慶應がやってきたことでしたし、自分たちのアタックなら相手のディフェンスを崩し切れるという感覚もあったので、思い切って攻めることを意識していました。
--今日のご自身のプレーを振り返って
4年間の集大成が出せたと思っています。トライもずっと狙ってきた形から取れましたし、キックへのチャージは今年、チームの中で役割として担ってきたものだったので、相手に圧力をかけ続けられたと思います。色んなプレーが出来ることが僕の強みですし、その強みをピッチで表現することが出来たと感じています。ただ、1個でもキックチャージを成功させていればまた違う展開に持っていけたのかなとも思いますし、後半の最後、相手の9番にラックサイドを抜かれてしまったのは僕なので、僕個人の詰めの甘さが出てしまった部分もありました。ここで終わるとは思っていなかったですが、引退してしまうので、後は今年1年頑張ってくれた活きのいい後輩たちに託します。彼らなら必ず来年も良いチームになってくれると確信しています。個人としては良いプレーが出来ましたし、自分を褒めたいなと思っています。
ーー126代ラストゲームとなったが、同期との4年間を振り返って
同期にはいろんなメンバーがいて、個性が強い一方で、グラウンドの中の結束も強い代だったと思います。そんな僕たち4年生が最後締められなかったことがこういう結果に繋がったと思いますし、良いゲームはできましたが負けてしまったので、僕たちの代の反省として、各々これから社会人として頑張っていく中で、この負けを活かせればと思います。
ーー後輩に期待すること
出来れば対抗戦で優勝して、関西で試合をせずに選手権を勝ち上がってほしいですが、僕たちは4年間、関西の地で勝つことが出来なかったのが心残りです。後輩たちには、関西で試合をやることになっても臆せずにチームを引っ張っていってほしいなと思います。今年1年で色々な経験を積んだ後輩たちなので、来年のチームも楽しみです。毎試合見に来たいと思っています。
ーー今日の試合を振り返って
やっぱり選手権ということで結果がすべてということで、色々内容はありましたけど、最終的な結果として負けてしまった。最後に耐えきれなかったのが大きかったと思います。
ーーリザーブでの出場だったが、どのような気持ちで臨んだか
負けたら最後、自分自身も負けたらラグビー人生最後になる試合。チームの点差とか色々ありましたけど、まず第一は「楽しむ」というところ。それに加えて、しっかり自分の持ち味である「ボールを持って走る」というところを意識して入りました。
ーーご自身のトライを振り返って
本当に花園って高校時代目指していても全く届かなかったという場所で、トライを取れたのは本当に嬉しかったです。チームにとってもあの時間帯で、あの点差でのトライはすごく大きかったと思います。いつもインサイドがすごくいいボールを供給してくれるので、そこにいつも感謝しています。
ーー126代ラストの試合となりましたが、4年間はいかがでしたか
本当に最高の4年間だったと思います。高校まで全然強くないチームでラグビーをしてきた中で、ラグビーの新しい世界を見せてくれた。仲間の大切さを改めて知ることができた4年間だったと思うので、まずは同期に感謝したいです。
ーー後輩に期待すること
本当に下級生にいい選手が揃っているので、「自分たちの分まで」というつもりは全然なくて。自分たちの代で色々あった悔しさを今後の糧にして、活かしてほしいです。なかなか「正月越え」ができていないので、そこから最後の日本一まで頑張っていってほしいなと思います。
ーー今日の試合を振り返って
悔しいという一言に尽きると思います。最後、相手に良い形でやられてしまったので、来年以降悔いの残らないようにやっていくしかないと思います。
ーー前半はスクラムで反則を取られがちだったが、後半に修正。要因は
あまり押し負けたという感覚はなく、勝っている中で自分がチェイスをかけきれていないという感覚だったので、スクラムそのものの修正というより、レフェリーの方としっかりコミュニケーションを取って、何が良いのか、悪いのか、基準のすり合わせを通したことが修正に繋がったというイメージです。
ーーラインアウトから挙げたトライを振り返って
練習中から成功率が高いプレーだったので、自分たちが用意していたサインプレーでトライを取り切って、士気を高めるような、流れを掴むようなトライになったと思っていました。しかしそこで波に乗り切れず、相手に修正されてしまったのに対して、自分たちは対応しきれませんでした。トライ自体はとても良い形から奪えましたが、その後のプレーの連動の部分がもったいなかったと思っています。
ーーこの試合で勝つために足りなかったこと
最後まで走り切る部分が大事だと思います。慶應は他大学と比べて体が小さく、体を張る部分でしか相手に勝てないので、最後まで自分たちが相手に食らいついていくという部分が次のシーズンからは必要だと考えています。
ーー来年へ向けて磨きたい部分
自分としてはセットプレーの部分を更に成長させていただきたいです。このチームで、セットプレーの部分で信頼していただけていると思っているので、セットピースで味方を引っ張り、相手の雰囲気を落としていくような選手を目指していきたいと思います。
ーー今日の試合を振り返って
最初僕のミスから始まって、そこから勝ったり負けていたりして、点差は揺れたんですけど、ずっと自分たちは自信を持って、1年の積み上げを頑張って出せたので、楽しい試合でした。
ーー早慶戦以来の出場、どのような気持ちで挑んだか
特別な思いとかはなくて、いつも通りをみんなで意識して、高ぶりすぎないように、自分たちのプレーを出せるように全員で意識していました。
ーーご自身のトライをそれぞれ振り返って
1トライ目も2トライ目もBKで取ったトライで、すごく良かったなと思います。特に2トライ目は、きつい中で自分たちがやってきた声掛けとか、スキルが出せたトライだったと思います。
ーーこの試合をどう来年に活かしていきたいか
まずBKはすごく4年生が多くて、4年生ならではの役割を担ってくれていた人たちがたくさんいるので、そういうところをまずはみんなでカバーすることが大事だと思います。でもそれだけではまだ勝てないので、そこからさらに積み上げられるように、僕だったらランとか、自分の強みをさらに伸ばして活躍できるようにしたいです。
(取材:島森沙奈美、月井遥香、髙木謙)

