12月18日から21日にかけて行われたレスリング天皇杯全日本選手権。最終日となる4日目には男子フリースタイル74㌔級の3位決定戦に瀧澤勇仁(経1・慶應)が、女子62㌔級の決勝に尾﨑野乃香(環4・帝京)が出場した。瀧澤は社会人の強豪相手に惜敗したものの、尾﨑は今夏の明治杯決勝で敗れていた元木咲良(育英大助手)を破り、見事天皇杯の二連覇を果たした。
2025年12月21日(日)@駒沢体育館
【試合結果】
〈男子フリースタイル74㌔級〉
3位決定戦
⚫️瀧澤勇仁(慶大)[VPO 6:00=1-4]小川統己(川金ホールディングス)○
〈女子62㌔級〉
決勝
○尾﨑野乃香(慶大)[VPO 6:00=3-3]元木咲良(育英大助手)⚫️
男子74㌔級準々決勝で敗れ3位決定戦に回った瀧澤勇仁(経1・慶應)の相手は小川統己(川金ホールディングス)。以前東洋大学の主将も務めた社会人の実力者を相手に瀧澤は表彰台を勝ち取ることが出来るか注目だ。

天皇杯の大舞台で表彰台を目指す
試合開始から両者互角の展開が続く中で先に得点を奪ったのは瀧澤だった。グラウンドの攻防から相手をサークル外に押し出し1点を先制する。しかしその後同点に追いつかれ1-1で試合を折り返すと、第2ピリオドから圧力を強めてきた相手の攻勢を凌ぎきることが出来ず、立て続けに点を失い1-4とされてしまう。

社会人相手に互角の戦いを繰り広げる
その後何とか追いつきたい瀧澤は果敢にタックルを仕掛けるも相手に上手くいなされ得点につなげることが出来ないまま試合終了。瀧澤は1-4で敗れ惜しくも天皇杯の表彰台を逃すこととなった。

表彰台を勝ち取ることは叶わなかった
複数人の五輪メダリスト・世界選手権覇者の試合が続き、会場の盛り上がりも最高潮の中で迎えた女子62㌔級決勝。パリ五輪68㌔級銅メダリストにして前年度62㌔級優勝、天皇杯を獲得した尾﨑野乃香(環4・帝京)とパリ五輪62㌔級金メダリスト元木咲良(育英大学助手)。今夏の明治杯で対戦し激闘を繰り広げた両者が決勝の舞台で再び激突した。

最強のライバル相手に勝利を掴み取れるか
今天皇杯のラストを飾る試合となった当試合は第一ピリオドから両者一進一退の攻防が続き、共に相手にタックルを許す隙を与えないまま試合が進んでいく。しかし第1ピリオド4分15秒、尾﨑が2回目のパッシブの警告を受けアクティビティタイムで得点が出来ずに1点を失うと、そのままのスコアで前半を終える。

両者一進一退の攻防が続く
すると第2ピリオド2分25秒に元木も2回目のパッシブの警告を受けたことで結果的に尾﨑に1点が入り同点に追いつく。しかし追いついた直後、元木の素早いタックルに対し尾﨑は一瞬隙を突かれた形になり足を取られる。バランスを崩しながらサークル外へ押し出された尾﨑は2点を失い1-3となってしまう。同点に追いつきたい尾﨑は残り時間僅かとなった36秒、片足タックルを仕掛けて相手の足を取ると、バックポジションの得点により2点を獲得する。

試合終盤の片足タックルが勝敗を左右した
この攻防で尾﨑は3-3の同点に追い付くとともに、このまま試合が終わればより後に得点を得た尾﨑の優勢勝ちという状況に持ち込む。そして残り時間で何としても得点しなければならなかった元木の猛攻を最後まで凌ぎ切り、最強のライバル相手に今夏の明治杯のリベンジを果たす形で見事天皇杯の連覇を達成した。

二年連続で天皇杯の頂点を掴み取った
表彰台は叶わなかったものの、大学1年生ながら天皇杯の檜舞台で社会人相手に果敢に挑んだ瀧澤。慶大レスリングの「未来」として今後さらなる活躍を見せてくれるはずだ。そして今夏の明治杯決勝・プレーオフで劇的な敗戦を喫した相手に対して見事なリベンジを果たし、2年連続で天皇杯の頂に立った尾﨑。慶大レスリングを牽引し続けてきた彼女は今後天皇杯の舞台にとどまらず、さらなる挑戦を成し遂げ世界の頂へと歩を進めていく。
(記事:野村康介 取材:塩田隆貴、野村康介)
【インタビュー】
◇尾﨑野乃香(環4・帝京)
ーー明治杯のリベンジマッチとなる元木選手との再戦にどのような気持ちで臨んだか?強い選手なので、自分を信じて、
やってきた事を信じて頑張ろうっていうただそれだけでした。
相手のやってくることも意識したんですけど、
自分を信じて頑張りました。
ーー中盤に勝ち越しを許した際の心境は?
全く焦らずに自分も最後に取り返せば大丈夫と考えて落ち着いていました。
ーー試合に勝利した感想と、今後の意気込みをお願いします。
今は凄く嬉しいですし、半年間の国際大会に出場する権利を得たので、そこで活躍出来るように頑張ることと、相手選手の皆さんも頑張って試合に臨んでくると思うので次勝つためにまた新たな気持ちで頑張ります。