慶應スポーツ新聞会

【バスケ】2012開幕特集 第4弾 佐々木 三男HCインタビュー

 

 2012開幕特集 第4弾は佐々木 三男HCインタビュー。慶大HCに就任するやいなや「トランジションバスケット」を伝統として浸透させた佐々木HC。その指導に導かれるように慶大は躍進を遂げ、2度のインカレ優勝を成し遂げた。その細やかな指導には、バスケットに対する深い見識はもちろんのこと、人間性を育てる「教育者」としての一面も垣間見える。2部降格という屈辱を味わった昨季を経て、今季は大型ルーキーたちも入学。充実の戦力で1部昇格を目指す。

 

――リーグ戦2部降格という結果に終わった昨季を振り返って

指導者が悪いんですよ。あんな所で負けるなんて。

――昨季苦しんだ最大の要因は

やっぱりシュートを入れきれないこと。ノーマークの所でイージーミスをしている。それからパスミスも多かったですね。

――昨季は精神的支柱が不在だったとリーグ戦の最後にもおっしゃっていましたが、その反省は今に生かされていますか

いま桂(政4)を相当やっつけているんですよ。責任感を持たせるために、意図的に試合にも出して声掛けもしているんですけど、それもあまり長い時間ではないです。六大学の後の電鉄杯ぐらいまでなので、それまでに彼がどう変わるかですね。今日は一瞬リバウンドに絡んだんですよ。でもそういうのが継続出来ないんですよね。それは去年の反省でもあります。

「責任感を持たせるために、意図的に試合にも出して声掛けもしている」(佐々木HC)という桂。主将の重責を全うすることが出来るか

――生徒の質という点では、昨季のリーグ戦中にもこれまでの生徒にはあった素直さが欠けているということをおっしゃっていましたが、それは生徒の質が変わって来ているということですか

そうですね。それと僕に言わせると、IQが低いんですよ。今まで習ってきたことと違うことを言われた時に、素直に表現してみるというIQが足りない。モチベーションビデオとかもたくさん渡してるんです。石川佳純さんがどういう苦労があってオリンピック出場を勝ち取ったのかというビデオも渡してる。それはこの子達と一緒なんです。もがいて溺れてしまったら意味がないんですよ。もがきながら何とか光を見出すという所にこの子達のいい所を見出さないといけないと思うんだけど、やっぱり素直さが欠けていますね。

――そうした中で佐々木HC自身の指導に変化はありますか

色んな投げかけをしてはいます。でもやっぱり生徒自身のやってやろうという気持ちが大切なんです。僕は泥臭さというのは知力だと思っていて、リバウンドが取れなかったら下で取ろうというようなことはまさにインテリジェンスなんですよ。昔の子はそういう風に頑張ってきたんです。シュートが入らなければ、リバウンドを取ったりディフェンスを頑張るという風に。そういう食らいついていく部分が不足していますね。

――佐々木HCから見て大学で伸びる選手はどういう選手ですか

やっぱり素直さがある選手ですよ。いま参加してる秋田高校の山崎君(環1)なんかは練習をやらせたらそんなに上手ではないですよ。ただ試合になったらリバウンドとディフェンスという自分の仕事をしっかりやれているから、試合に出てもそんなに違和感なくやれているんです。

 

「言われてることをやるしかないんだというクレバーさが大事」 

 

――4年前に2部降格した時と比べてチームの状況は

やっぱりバスケットのIQという面で違いがあります。例えば、二ノ宮(二ノ宮康平・環卒・現トヨタアルバルク)と鈴木(鈴木惇志・政卒・現慶大AC)のどっちがバスケットが上手いかと言われれば、みんな二ノ宮と答えますよ。ただ、*最後にインターセプトしたのは鈴木です。あの時二ノ宮がファウルゲームですよねと言ってきたから、もう1回全員を集めてそれは違うと。ファウルゲームをやったんじゃ勝てません。こういうディフェンスをやると国士舘はバックコートにバウンドパスをするから、そのバウンドパスを取りにいけと。それを取れなかったら負けだよと。そしたら鈴木は取って来たわけです。そういう風な言われてることをやるしかないんだというクレバーさが大事なんですよ。そこらへんの素直さが今の子には足りていませんね。

――それはいま慶大にいる選手全員に言えることですか

そうですね。ただ、新1年生はこうやれと言うとその通りにやるから、まだ望みはあると思いますね。逆にルーキーがいないと相当苦しいです。ただ彼らがしっかりと馴染めば15点ぐらいはひっくり返しますよ。捨てたもんじゃないです。

「即戦力」(佐々木HC)と期待される大元

――新入生の印象は

黒木(環1)はね、すごくいい子で、この間現役の学生の御宅に3日間泊まったんですよ。それで僕がお礼に御宅にお電話したらお母さんが、彼はものすごく礼儀正しいと言ってくれて、少し話してみると、少し取っ付きづらい子なんだけど頭は悪くない。きちんと受け答えが出来る子ですよと。それと大元君(環1)は相当練習にも来ていて、身体もしっかりしているので即戦力だと思います。真木(環1)に関しては、以前一回練習に来た時は相当体力が落ちていたんだけど、最近練習を見たらかなり動けていて、身体を作り直して来ていたので、そういう意味でいうと心構えはいいなという印象です。あと、さっきも言った秋田高校から来た山崎君が素直でなかなかいいので、そのまま育って欲しいなと思ってます。賢くて謙虚にやってくれてるので、慶関やトーナメントや早慶戦でも相当使ってみようかなと思います。練習ではあんまり上手ではないんですけどね。これは最近の子の傾向なんですよ。基本的な練習は出来ないんだけど、試合をやらせるとそれなりにやる。これはミニバスもそうだし、日本の練習はよくないのかもしれませんね。福元(環1)については高校の時に膝を怪我していて、本人はもう大丈夫ですと言ってるんですけど、練習を見た感じだと、瞬発的な動きが出来る子だという印象を受けたので、少し怪我にも気をつけてやらせないといけないですね。

――今年はルーキーが試合に絡んでくるということですか

少なくとも3人は出すつもりでいますよ。スタメンは2人ぐらいだと思うけどね。

 

「得点を取る精度を上げていかないといけない」

 

――今季の目指すバスケットは昨季から変化はありますか

もう1回ディフェンスをやるしかないですね。今までやってきた早攻めは今はやらせていません。ディフェンスを方に目を向けているので。

「もがきながら何とか光を見出すという所に、この子達のいい所を見出さないといけない」(佐々木HC)

――冬から春にかけての練習はどのようなことに重点を置いてきましたか

体力強化とディフェンスのフットワークです。

――これから仕上げていくポイントはなんですか

得点を取る精度を上げていかないといけないですよね。守ったはいいけどシュートを入れられないんじゃ意味がないので。

――今季は4年生の人数が少ないですが

人数が少なくても、試合に出られなくても、精神的な支柱にはなれると思うんだけど、今の所そういう気概があまり感じられません。僕から何を言われても頑張りますと言えるようなファイトが欲しいですね。

――佐々木HCが精神的支柱として期待している選手は

それはもう桂ですよ。彼を叩きあげるしかないです。リバウンド取りに行けよと言われたら取りに行くだけのことは出来てるんだから、それを毎回の練習でやらないといけません。

――今季のキーマンやメンバーの構想などがあれば教えてください

ある意味今安定しているのは伊藤(環2)しかいないですよ。だから他の選手、本橋(環3)なり権田(政2)なりがどれだけ成長するかですね。まあ3人がしっかりとすればチームにはなるので。これに加えて黒木だったり大元だったり福元だったりが形になれば十分戦えますよ。

――新3年生については

期待はしているんですが、全体的にものになっていませんね。ただ、その中でも平石(環3)、大木(経3)、田中(環3)を今はやらせるようにしていて、平石がだいぶ形になってきたかなと思います。田中と大木も含めて、ここぞという時にディフェンスなどのスペシャルプレーを期待するような選手起用をしたいと思っています。

 

「スコアラーにならないといけない」(佐々木HC)という矢嶋

――慶大は田上選手(田上和佳・環卒)や鈴木惇ACのように、3年目で開花する選手が多いと思うのですが

そういう意味で言うと、矢嶋(総3)、蛯名(法3)、中島(総3)がスコアラーにならないといけません。彼らがしっかりとすれば1年が少しは気楽に出来るので、いい所が引き出せると思います。だからまさにその3人がスコアラーにならないと、1年生にまで悪い影響が出てしまいます。

――今季は蛯名選手が3年生ながら副将に就任したということですが、その意図は

僕が4年に言ったのは、少ない人数でやろうとしていたので、なんで3年を入れたり、全体で話し合って俺たちはこうしたいんだ、ということをやらないんだと。それで無理やり彼を入れた形だから、まだしっくりいってないですね。それで本人は頑張ろうと思って怪我をしちゃったんだけど、そこらへんが去年同様チグハグさが解消されていません。

――今季のリーグ戦は留学生のセンターが多くいる2部での戦いになりますが

今はそれを想定して、ワン・フォーみたいな形でスクリーンを使ってやろうとしています。なので、それをもう少し時間をかけてやれば、高さ対策はなんとかなるかなと思っています。スクリーンをかけて大きいセンターを引っ張り出して、出て来なければ打つという形。そこで決め切れないのが課題なんですけどね。

――それでは最後に今季の4つの大会(トーナメント、早慶戦、リーグ戦、インカレ)での展望や目標を教えてください

トーナメントはベスト16の所で筑波と当たるので、その関門はどうしても乗り越えないといけません。そこをなんとか乗り越えれば、早慶戦やリーグ戦、インカレにも繋がってくると思います。

 

*2008年、関東大学2部リーグ国士館大戦1戦目。慶大は4Q残り25.3秒で107-114の7点ビハインド。19.8秒での二ノ宮(当時2年)のスリーポイントが決まり4点差。さらに残り10.9秒で小林大祐(総卒・現日立サンロッカーズ・当時3年)が2点差に詰め寄るシュートを決めると国士館大はタイムアウト。ハーフラインからのスローインとなった国士舘大がコートへボールを入れると、鈴木惇主将(当時4年)がこれをインターセプト。そのまま得点に繋げ同点に。試合はそのままオーバータイムに突入し、慶大が見事逆転勝利を収めた。

*この取材は3月20日に行いました。 

(取材・写真撮影 岡田洋介、丸山由鶴、水島涼太)

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