【アメフト】早慶戦2年ぶりの勝利!接戦を制し雪辱を果たす 早大戦

 

2年ぶりの早慶戦勝利に若き血が響き渡る

初夏の陽気となったこの日、慶大は早大BIG BEARSとの試合に臨んだ。ゴール前で何度もチャンスを作りながら、最後を決めきれずに涙をのんだ昨年の早慶戦から1年。慶大UNICORNSは、序盤のチャンスで着実に得点すると、早大の猛追を受けながらもディフェンスの奮闘でリードを守りきり2年ぶりの対校戦勝利を飾った。

4月29日(日)第60回早慶アメリカンフットボール対抗戦 13:00 K.O. @駒沢陸上競技場

早稲田大学

14

計21

慶應義塾大学

14

計24

試合は慶大のキックオフでスタート、早大が自陣25yから攻撃を開始する。早大最初の攻撃シリーズで慶大ディフェンス・DBの三津谷(経2・慶應高)がインターセプトを決め、慶大に攻撃権をもたらす。

ディフェンスが作った流れに乗り、慶大オフェンスはパスとラン、QBのスクランブルなど、多彩な攻撃で一気に敵陣ゴール前へ攻め込むと、最後は主将・上保(経4・慶應高)が中央を走りこみTD、7-0と先制する。

先制のTDを決め、ガッツポーズする上保主将

その後の早稲田の攻撃シリーズでは、じわじわと慶應自陣へ攻め込まれるも、副将のDB平野(経4・慶應高)が見事にインターセプト、再び流れを取り戻す。

再び慶大のオフェンスでは、先発QB堀井(商4・高槻高)が、パス主導でオフェンスを組み立て、WRの中澤(法4・慶應湘南藤沢高)や、WR笠原(総3・浅野高)へのパスで続々と1stダウンを獲得する。エンドが変わり第2Q、意表を突くWR吉田(法3・慶應高)へのふわりと浮かせたパスは惜しくも早稲田ディフェンスに阻まれTD成らず4thダウン。慶大はFGを選択、これをK斉藤(商3・慶應高)が着実に決め、スコアを10-0とする。

直後の慶大のキックオフを、早大RB井上が80yのビッグリターンで敵陣20y地点まで攻め込むと、次のプレーで早大RB大野が20yを走りきりTD、点差を縮める。

慶大と早大は、その後もお互いチャンスを作り、敵陣まで攻め込むも、最後までは決めきれずに前半を終える。

後半は早大のキックオフ、早稲田のリターンでスタート。慶大は自陣20y地点から攻撃を開始する。前半の勢いそのままに、慶大は、堀井からTE兼田(商3・慶應高)へのパスやRB蜂須賀(政4・慶應湘南藤沢高)のランなどであっという間に敵陣へ攻め込み、最後は前半の悔しさを取り返さんとばかりに、堀井からのパスをWR吉田がエンドゾーンでキャッチ、TD。17-7と点差を広げる。

慶大ディフェンスの奮闘もあり、直後の早大オフェンスはわずか1シリーズで攻撃を終了し、パントを選択する。しかしこのパントをブロックすると、慶大LBの石坪(政4・慶應高)がボールをそのまま拾って走りこみTD。点差を24-7と広げ、石坪は怪我からの完全復活を印象付けた。

WR笠原にはQBからも絶大な信頼が寄せられている

ここからは「過信し、慌ててしまった」(上保主将)というように、しばらく早大の時間が続く。慶大オフェンスが再び敵陣へ迫るも、あと一歩のところで早大ディフェンスにインターセプトを決められる。その後の早大オフェンスシリーズは、敵陣へ入るやいなや、勢い止まらず4thダウンギャンブルを決めるなど、そのままTD、24-14と10点差に迫る。

慶大オフェンスは巻き返しを図るも、勢い吹き返した早大ディフェンスの前に攻めきれない。再び早大に攻撃権が移ると、早大オフェンスはチャンスを逃さず、敵陣へと攻め込み、最後はRB大野がボールを持ち込みTD。24-21で3点差へと迫る。

これ以上、得点を与えられない慶大は、RB蜂須賀やRB上保のランで、敵陣へ攻め込もうとするも、勢いづいた早大ディフェンスを破ることはできず、僅かな時間を残し、攻撃権を早大へ与えてしまう。

後がない早大は、ランによるロングゲインや、細かなパスなどであっという間に敵陣へ侵入するが、残り15秒で4thダウン。オーバータイムがない早慶戦は、ここで早大がFGを決めれば同時優勝となるが、ギャンブルを選択し、あくまでも単独優勝を狙う姿勢を見せる。早大はこのギャンブルを成功させ、ゴールまで8yに迫る。しかし、慶大ディフェンスが最後の意地を見せ、ゴールを死守。タイムアウトを使い果たした早大に残された時間はなく、慶大が24-21のファイナルスコアで劇的な勝利を収めた。

 

QB堀井は鋭いパスでオフェンスを牽引

過去3年先発QBを務めた徳島が卒業し、今回は堀井がスターターとして出場した。昨年秋のリーグ戦4位に沈み、何かきっかけが必要だった慶大にとって、印象をガラッと変え、慶大を見事なパスチームとして再出発させたことは大いに評価に値する。WR,TE,RB陣それぞれへのパス、ランが見事に相互作用し、誰か一人のタレントではなく、チームとして勝ちを掴みに行く姿勢が見て取れた。

早慶戦の勝利にもおごらず、「細かいプレーに関しては合格というものはない。どのプレーも結局は全然まだまだ駄目なので、もう少しやらなければいけない。自分達の目標は秋リーグを勝つことなので、もう一度身を引き締めて、秋に向かって頑張りたい。」(上保主将)というように、毎試合課題を克服し、秋に向けて着実に進化している。秋にはリーグ戦での早慶戦が実現するだけに、一年間で早大相手に2勝の期待がかかる。日本一へ向け、新生ユニコーンズの旅は続く。

(記事・近藤正之介)

♦選手コメント

RB・上保 悟 主将(経4・慶應高)#39

(試合を振り返って)始めの第1プレーでディフェンスがサックと大きなミスを誘って、そのあとにインターセプトをしたことで、チームの雰囲気をあげてオフェンスにバトンタッチできたことが1番、良かったところだと思います。(後半、早稲田が追い上げるシーンもあったが)気持ちが切れないでよくがんばったという面と、過信し、慌ててしまった面の両面があり、気持ちの部分が大きかったと思います。(自身のTDに関して)去年はあのディフェンスの隊形で、自分達は1yを4回、ゴール前でボールを持たせてもらった。しかし、そこでTDとれなかったことが1年間悔しくて、その時の体の傷が残っていて、どうしてもラッシュが来た時は、TD取ろうって毎日思っていたので、1プレーで取れたってことは大きかったと思います。(RBユニットの健闘について)ユニットリーダー蜂須賀の気持ちのある縦の伸びと、下級生高木康貴が落ち着いて、良いフォローにつけてしっかりゲインしてくれたと思います。(ハーフタイムの指示は)自分達が1年生の時の法政戦では前半勝っていたのに後半負けてしまって、それと同じことがフラッシュバックしたので、今、自分達は勝っているけれど、もう一回引き締めていこうという感じでした。それと同時に皆がそれを覚えていて、このままでは駄目だという雰囲気になっていた。そうした意識を共有できていたところはすごく良かったと思う。(秋に、再び早慶戦があるが、この勝利をどう生かすか)2年前の早慶戦は勝った後にチームが油断した部分があった。今年次週にもうJV戦が控えているので、気が緩むということはないと思う。秋、相手は春以上に質の高いアメフトをしてくると思う。自分達は準備するだけだと思います。(今回の試合で見えた課題は)細かいプレーに関しては合格というものはない。どのプレーも結局は全然まだまだ駄目なので、もう少しやらなければいけないな、と感じています。(今後に向けて)自分達の目標は秋リーグを勝つことなので、もう一度身を引き締めて、秋に向かって頑張りたいと思います。

DB・松崎 傑(経4・慶應高)#22

(試合を振り返って)散々相手のレシーバーが僕はやられてしまったんですが、チームとしては最後まで粘り強く、気持ちを切らさずにまとめられたので良かったです。ディフェンスリーダーとしてはとても嬉しかったです。(今日フォーカスしていたのは)気持ちで勝つことですね。慶大としてこの試合に勝ちたいという気持ちは本当に強かったです。絶対勝とうと思っていました。最後の方に10点差がある時でも「絶対に早稲田は逆転してくる」と思っていたので、相手の逆転する、という気持ちを越えるように自分たちもしていました。それが最後とめることにつながって良かったです。(試合終了間際のディフェンスに関しては)死ぬ気でやりました。自分でもよく覚えていないんですけれども、タッチダウンは絶対に取られないという気持ちだけで止めたような感じです。(今日の出来は)個人としては0点、ディフェンスとしては80点あげたいです。秋にさらに上げたいです。(今後の抱負は)個人としては今日課題も見つかったので、まだまだ成長していきます。ディフェンス全体としてはこの気持ちを早慶戦だけで切らすことなく、慢心することなく切り替えて練習していきたいです。

 LB・石坪 直成(政4・慶應高)#40

(早慶戦を勝利した感想は)高校の代も早慶戦で負けていたので、素直に嬉しいです。(接戦となった試合を振り返って)一度点差を広げた中で、自分達の詰めの甘さが出てきたと思います。そこは秋に向けて修正して、秋はもっと楽に勝てるようにしたいです。(パントチャージのこぼれ球を拾って、タッチダウンを決めましたが)パントをブロックしてくれた選手がいて、全員で取ったタッチダウンだと思うので、ディフェンスをやっていて良かったと思います。(最後のディフェンスのシーンでの気持ちは)ゾクゾクしましたね。めったにない機会ですし、一度手にした勝利が逃げていくような感じがして怖かったですが、周りのチームメートを見て「凌ごう」という気持ちでやれたことはチームとしての成長であったと思います。(試合終了の瞬間の気持ちは)嬉しかったですね。気づいたらみんな走り出していて、感情とかではなくて本当に嬉しかったです。(勝利のあとの若き血はいかがでしたか)最高ですね。今夜は美味しいお酒を飲みたいです。(今後にこの試合をどのように生かしたいか)去年の秋に負けてから自分達に何が足りなくて、何が必要なのかということを「do the right things」というスローガンを掲げてやって来たんですが、やって来たことが正しかったということが証明できたので、この試合のようなゲームができるように「do the right things 」を深めて、リーグ戦全勝という目的を果たしたいと思います。

DB・平野 博彦(経4・慶應高)#33

(早慶戦勝利の気持ちは)ただただ嬉しいです。(接戦となった試合を振り返って)流れがずっと合って、慶應の流れも早稲田の流れもありました。最後の最後で早稲田に流れがあったまま慶應が止めたことが勝因だと思います。(前半は良い出来であったと思いますが)前半は慶應に流れがあって、それに乗っていくことが出来ました。オフェンスとディフェンスが揃ったと思います。(後半は3Qと4Qで真逆の展開になりましたが)まず3Qでたくさん点を入れて気持ちに余裕が出てきて、そこから点を取られて急に不安になったのでみんな凄く怖がりながら、緊張しながらやっていたと思います。(試合終了の瞬間の気持ちは)時計を見ていなかったので もう1プレーあると思っていて、サイドラインを見たらみんなが喜んでいて勝ったんだなと思います。緊張していたのでそれが一瞬で解けて最高でした。(これを今後の試合にどう生かしたいですか)やっぱり勝ちたいという気持ちがみんなに最初からあったので勝てたと思っています。だから試合に臨む上でしっかり準備しないといけないし、凄い気持ちを出さなければいけなくて、生半可な気持ちでは勝てないことを学んで今後に繋げていきたいです。(ご自身のプレーでは今日の試合をどのように生かしたいですか)もっとディフェンスの中心として副将らしいプレーをしたいです。

LB・山本 真士(理4・慶應高)#55

(今のお気持ちを)いやあもう、素直にうれしいです。去年の雪辱を果たせたということがすごくうれしいです。(やはり早慶戦にかける思いは強かったか)高校生の時から僕たちの代で早稲田に勝ったことは無かったので、この試合に懸けていたというか、1年の中で一番大きな試合として勝てたことがうれしいです。(副将としてはどのような声掛けを)チーム全体で早稲田をライバル視していて、副将として早稲田だけには絶対に負けられないという意識付けを常に心がけていました。(試合前半は幸先の良いスタートでしたね)そうですね。前半はディフェンスもオフェンスも非常にかみ合っていて点数も開いていたので、このままの流れで行けるのかなと思っていたのですが、やはりそこで 油断も少し生まれてしまったのかなと。後半はミスも出始めて、早稲田にペースを握られてしまった、こういうところが今後の課題になるかと思います。(最後の数十秒間はどのようなおもいでしたか)自分はケガをしてしまっていてフィールドから離れてしまっていたのですけど、下級生たちも頑張ってくれて、チーム一丸となってディフェンスに力を発揮できて、なるべくしてなった結果なのかなと思いました。(今後の目標を)次の私たちの目標はリーグ戦優勝なので、それに向けて今後は頑張っていきたいと思います。

WR・吉田 幸祐(法3・慶應高)#19

(勝利した今の気持ちは)素直に嬉しいです。今年の4年生は努力している人が多いので、それに勝利という形をもってこれた、というのは嬉しいですね。(早慶戦ということで意気込みも特別だったか)そうですね。去年負けていて、春はこのためだけにやってきたと言っても過言ではないので、それを第60回早慶戦勝利という形で終えられて、本当に嬉しいです。(吉田選手をはじめ、WR陣が奮闘していた)QBありきのレシーバーなので、QBがうまくプレッシャーに勝って、しっかり相手レシーバーに投げ分けられたっていうのが大きかったなと思います。(自身もタッチダウンも見事だったが)あれもいいタイミングで、いいプレーコードをQBが出したのでQBの堀井さんのおかげです。(プレー 中、意識していたことは)勝つしかないんで、途中けっこうリードしていたんですけど、相手は早稲田なので気を抜けないという気持ちでやっていました。(終盤追い上げられている時はどのような心境だったか)ディフェンスを信じて、祈るような気持ちで見ていました。(勝利の瞬間は)本当に嬉しかったですね。(今後や秋につながる勝利だと思うが)そうですね。この勝ちで、いいイメージをもって練習にも取り組めると思うのですごい収穫のあった試合だと思います。(意気込みは)僕らのゴールはこの勝利ではないので、これから春も日大とか強いチームとも当たるのでチームをもっと強くして、今日の反省も克服しながら頑張っていきたいと思います

 

WR・笠原 康輝(総3・浅野高)#17

(試合を振り返って)オフェンスが昨年に比べて新しくなったので不安はありました。結構うまくいったのかな、と思っています。(フォーカスしていた点は)LBとマッチアップすることが多くて、どうリリースしようかというのを考えていました。パスが多くなるので、キャッチには集中していました。(自身の出来は)結果的にパスは取れましたが、まだやれる余地はあるかと思います。(最後どのような気持ちでディフェンス陣を見ていたか)ディフェンスを信用していました。守ってくれると思っていました。(今年度の抱負は)パスをもっとレシーバー全体でとるようにし、「パスの慶應」というのを見せつけたいと思います。

★強豪・日大相手には実力差を見せつけられる結果に★

5月20日にアミノバイタルフィールドにて春季オープン戦の日大戦が行われた。早慶戦勝利の勢いそのままに強豪撃破を狙った慶大であったが、日大の堅いディフェンスとQBを中心とした多彩な攻めに苦戦。結果は6-51と厳しいものとなってしまった。

 

5/20(日)16:00KO@アミノバイタルフィールド

得点
慶大 VS 日大
1Q 14
2Q
3Q 14
4Q 14
合計 51
 

 

日大戦で唯一のTDを決めたWR・吉田

試合は序盤から日大ペースとなる。慶大は開始直後の守備で相手QBのランと速いパスを中心とした攻撃をなかなか止められずに前進を許してしまう。すると最後は残り30yd付近からQBに一気に走り切られて先制のタッチダウンを許してしまう。反撃したい慶大であったが、体格に勝る日大のディフェンスを前に効果的な攻撃をすることができない。慶大ディフェンス陣はその後日大の攻撃に対応していったものの、長い距離からのFGを決められるなど得点差は広がるばかりとなり、前半終了時に0-23とされてしまう。

 

後半なんとか反撃したい慶大であったが、開始早々の攻撃シリーズでパスをインターセプトされそのままタッチダウンを許すと、次の攻撃でもまさかのインターセプトで連続タッチダウンを許してしまう。このままでは終われない慶大はその後の攻撃でランを中心とした攻めで残り40yd付近まで前進する。するとそこからQB高木(政2)が出したロングパスをエンドゾーンにいたWR吉田(法3)が見事にキャッチしタッチダウン。素晴らしいプレーで一矢を報いる。しかし、慶大の得点はこのプレーのみ。結局6-51と大きな差を付けられての敗戦となった。

 (記事 中島裕幾)

 

♦選手コメント

QB・堀井 久輝(商4・高槻高)#6

(試合を振り返って)下馬評から日大は強いと言われていて、自分達はチャレンジャーとして勝ちにいこうという意気込みでやったんですけど、相手のフィジカルなどが自分達を上回っていて完敗という感じです。(早慶戦以来この試合までどのようなことを意識してやって来たか)例年早慶戦は厳しい試合が多くて負けてしまうことが多くてそこから強くなっていかないといけないという意気込みでやっていたんですけど、今年は勝ったことで慢心してしまうことがあるのではないかということでした。次の週の青学大戦で悪い結果になったことで、自分達に慢心があると思ったので、戦術面やウエイトなども強化した部分ですが、慢心せずに日大相手にプレーできるかということを意識してました。(早大戦と日大戦で最も違った部分は)早稲田のときは最初にインターセプトして、先制できたのでいい流れでできたのですが、今日は日大が先制してズルズルいってしまいました。やはりタッチダウンを取られたら取り返して流れを取り戻さないといけないと思いました。(今後向上したい部分は)細かいところはビデオをみて洗い出していきますが、フィジカルの部分で圧倒的に劣っていたということでそこは課題だと思います。アメフトはコンビネーションのスポーツなので誰かが勝っていても、誰かが負けてしまうと勝てないので、体格差を感じたので、そこを課題としてやっていきたいです。

 

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