現役、OBの混合チームで戦うオール早慶戦。今年度は川越市を舞台に繰り広げられた。慶大は初回に2点を失い、追いかける展開となるも、七回に横尾(総1)の2点本塁打、さらに押し出し死球で勝ち越しに成功。だが、その裏に同点を許し、そのまま試合は引き分けに終わった。両校がそれぞれ見せ場を作るなど、互いの意地を垣間見ることができた試合となった。
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全慶大 |
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全早大 |
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3 |
全慶大:只野、加嶋、竹林、福谷-伊場、山中、手銭
全早大:内田、丸山、阿久根、中島、佐竹-地引
全慶大出場選手
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ポジション |
選手名(学部学年・出身校) |
1 |
[8] |
佐藤旭(商2・慶應) |
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6 |
福富(商4・慶應) |
2 |
[6] |
山本泰(環1・慶應) |
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H8 |
辰巳(文4・郡山) |
3 |
[D] |
前田(日本製紙石巻・石釜南) |
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HD |
影山(総4・鎌倉学園) |
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HD |
鈴木裕(商4・慶應) |
4 |
[9] |
藤本(環2・慶應) |
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9 |
松本大(環3・桐光学園) |
5 |
[2] |
伊場(日本製紙石巻・慶應) |
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2 |
山中(環4・土佐) |
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H |
渡邊暁(商3・慶應) |
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2 |
手錢(環3・大社) |
6 |
[7] |
谷田(商1・慶應) |
7 |
[5] |
横尾(総1・日大三) |
8 |
[3] |
植田(商3・慶應) |
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H |
阿加多(法4・慶應) |
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3 |
倉橋(総4・済々黌) |
9 |
[4] |
大川武(環4・済々黌) |
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H4 |
山﨑錬(商4・慶應) |
P |
[1] |
只野(商4・慶應) |
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1 |
加嶋(商1・慶應志木) |
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1 |
竹林(商3・慶應湘南藤沢) |
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1 |
福谷(理4・横須賀) |
秋季リーグ戦開幕を目前に控える中、川越市市制施行90周年記念事業として開催された今年度のオール早慶戦。30℃を超える炎天下にも関わらず、多くの観客が球場に駆け付けた。慶大は伊場、前田(ともに日本製紙石巻)の社会人選手に加え、若手が中心のラインアップ。早大スタメンには春季リーグ戦で活躍した主力選手が並んだ。
試合は初回からいきなり動く。一回裏、慶大先発・只野(商4)は連続安打を浴びると、3番・地引に犠打を決められ一死二,三塁のピンチを背負う。そして、4番・杉山にライトへの2点適時打を打たれ、早々と先制を許してしまう。後続は抑えたものの、早大打線に不安定な立ち上がりを付け込まれる。
序盤から追いかける展開となった慶大。早大先発・内田の前に一回、二回は三者凡退に抑えられるも、三回表に横尾、植田(商3)が連続安打を放つ。その後、一死満塁とこの試合初めてのチャンスを作る。しかし、山本泰(環1)、前田がともに空振り三振に倒れ、好機を生かすことができない。
立ち上がりこそ不安を覗かせた只野は、2回以降好投も見せる。ストライク先行の投球で、これ以上の追加点を許さず、攻撃へのリズムを作る。
五回表、この回から登板の丸山の代わり端を先頭打者・横尾が捉える。ショートへの強烈な当たりは内野安打となり、チャンスのお膳立てをするも、続く植田の2球目に盗塁失敗。だが、相手の失策が絡み二死二、三塁と一打同点の場面で打席には代打・辰巳(文4)が立つ。フルカウントからの6球目、セカンドへの当たりは早大二塁手・中村の守備範囲内。チャンスであと一本が出ない。
五回裏からは慶大期待の1年生左腕・加嶋(商1)がマウンドへ。五回こそ得点圏にランナーを進められるも、併殺でピンチを凌ぐ。六回裏は三者凡退に抑え、早大の主力野手陣を前に堂々たるピッチングを披露する。
そして、膠着状態となった試合がついに七回表に動く。この回からマウンドに上がった阿久根に対し、先頭打者の谷田(商1)がレフトへ安打を放つ。続く打者はここまで2安打を放っている横尾。初球をフルスイングした打球は打った瞬間それと分かるレフトへの場外本塁打。横尾の一振りで同点に追いつく。そこから慶大は阿加多(法4)、山﨑錬(商4)の代打攻勢、また途中出場の福富(商4)の3人でチャンスメークし無死満塁。そして次の辰巳が死球を受けて押し出し。貴重な1点をもぎ取り、慶大がついに逆転に成功する。さらなる追加点が欲しい慶大であるが、ここから早大マウンドに上がった佐竹の好投、また中堅手・前田の好返球もあり追加点を挙げることができない。
七回裏、好投を続けていた加嶋が吉澤に三塁線を破る二塁打を浴びると、ここまで2安打の中村の右中間への二塁適時打で同点とされる。だか、続くピンチで、後を継いだ竹林(商3)が見事な火消しで勝ち越しのピンチを乗り越える。
勝利に向けて何としても得点が欲しい慶大だが、八回表、九回表と相手投手の佐竹の前に社会人選手の貫録を見せつけられる。ランナーすら出すことができない歯がゆい展開となってしまう。
勝利のない九回裏の慶大マウンドには、慶大が誇る剛腕・福谷(理4)が上がる。先頭打者に内野安打を打たれ、その後一死二塁とサヨナラのピンチを招く。しかし、そのような場面でも決して動じないのが剛腕たる所以。後続を難なく抑え込み、試合を引き分けに持ち込んだ。
9月8日(土)から始まる秋季リーグ戦において、優勝争いの中心となるであろう慶大と早大。その伝統の早慶戦の独特な雰囲気、根強い人気は川越の地でも証明され、両校の意地がぶつかり合う素晴らしい試合となった。この秋、4年生にとっては“KEIO”の名を胸に刻んで戦う最後のシーズンとなる。集大成として日本一へと突き進む慶大ナインの前に、遮る雲はない。慶大野球部の躍動に大いに期待したい。
(記事 山内 貴矢)
選手のコメント
前田 直樹(日本製紙石巻)
(今日の試合を終えて)12年ぶりに慶應のユニフォームを着たので、緊張しました。(どんな気持ちでこの試合に臨んだか)社会人では応援できないような応援だし、このユニフォームを着た以上は勝ちたいなと思っていました。(懐かしかったか)そうですね。懐かしいのが一番でした。(現役の選手と触れて)みんないい選手でした。自分たちの時より、いい選手が多く、刺激になりました。(当時の代と比べて、今年の代の印象は)個々の選手の能力が高かった上に、まとまりがありました。監督の影響が大きいのかなと思います。(今後オール早慶戦に出る予定は)今日は結果が出なかったですが、呼んでもらえれば。機会があれば出たいですね。(早稲田のピッチャーの印象は)今日投げた投手はあまりリーグ戦で投げていないピッチャーだと思うのですが、まとまったピッチャーが多かったですね。でも、慶應の方がいいピッチャーがいると思います。(後輩たちに望むことは)4年生たちは最後になるので、そこで江藤監督を胴上げしてほしいですね。
伊場 竜太(日本製紙石巻)
(今日の試合を振り返って)楽しかったですね、結果は出なかったですけど。何ヶ月ぶりかに慶應のユニフォームを着れて、この環境で野球が出来て幸せですね。(久しぶりに慶應のユニフォームを身にまとった気持ちは)いやもう嬉しいですね本当に。(今日は横尾選手が本塁打を打ったが)良い選手ですね。やっぱり1年生も頑張っているんで、秋は期待できるんじゃないですかね。(江藤監督からは何か言われたか)いえ特には。まあ本当にこの環境で野球ができるというのは良いですね。(ご自身の今後の抱負は)自分は今週の金曜日から日本選手権の予選が始まるんですけど、その日本選手権に出られるようにまず頑張って、またこういう風にもどってこれたらいいですね。
山﨑 錬主将(商4)
(今日の試合を振り返って)今日は若手中心で、伊場さんもいたりして懐かしかったですね。(オール早慶戦ということでいつもと雰囲気が違ったということか)はいそうですね。(今日は横尾選手、加嶋投手と若い選手の活躍があったが)横尾はあれぐらいは普通にやってくれるので、あのくらいはいつも期待していますし、加嶋もオープン戦とかで随分力をつけて結果を出しているので、投げればあれぐらいは抑えるだろうなとは思っていました。(ご自身のプレーを振り返って)途中出場でもう少しいい所を見せられればなと思いました。(珍しく打球を後逸する場面もあったが) あれはやってしまいましたね。(開幕まで2週間だがチームの状態は)いい投手からどうやって一点取るかっていうのをみんなで試行錯誤して頑張っているので、それがリーグ戦までに自分たちの形になってきたらいいかなと思います。 (秋季リーグにむけて)自分の結果や個人成績は関係なしにとにかく優勝だけを目指して頑張ります。
只野 尚彦(商4)
(試合を振り返って)初回に乱れてしまったんですけど、それ以降はなんとか試合を作れたので良かったです。(4イニングの登板だったが)どこまで投げるかは知らされてなかったのですが、行ける所まで行けと言われました。(オール早慶戦ということで雰囲気は違ったか)リーグ戦も近いので、できるだけシーズンを意識して投げました。 (その中でも楽しめたのでは)楽しかったです。少年野球のとき以来で久しぶりにここでプレーできたので、懐かしかったです。(伊場選手とのバッテリーも見られたが)会うのも半年ぶりくらいで、「楽しくやろう」と声をかけてもらって楽に投げさせて頂きました。(秋のリーグ戦に向けて)最後に早稲田に勝って優勝するためにも、少しでもチームに貢献できるようにしたいです。
福谷 浩司(理4)
(今日の試合を振り返って)勝てる試合でもあったので、そこら辺は詰めていかないといけないと思います。(九回のピンチの場面について)いつも通り投げようと思っていたので、楽に投げられました。(北海道キャンプで課題としたことは)全体的なスキルアップと、けがをしないように心掛けました。(秋に向けて)個人的でもチームでも結果を残して終わりたいと思うので、頑張ってやっていきたいと思います。
加嶋 宏毅(商1)
(試合を振り返って)いいところもあったが、コントロールがまだまだでした。(2点ビハインドでの登板だったが)特に意識していません。自分の投球ができればと思っていました。(早稲田の主要メンバーと戦ってみてどうだったか)振りが早かったので、真ん中にいったら打たれるなと思いました。(秋に向けて)投手は多いので、コントロールをよくしてメンバーに食い込んでいき、竹内大助さんのような投球をしたいです。
横尾 俊建(総1)
(初めてのオール早慶戦を終えて)緊張しましたが祭りのように楽しめました。 (七回にホームランを打った瞬間の気持ちは)打った瞬間に入ると思いました。 (秋季リーグに向けての意気込み) 4年の先輩方にとっては最後の大会なので、良い形で終われるようにサポートして、チームに貢献できたらと思います。
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