前節の明大戦で完敗し、残留争いに巻き込まれている慶大。今節は、前期リーグ戦、定期戦で敗れている宿敵早大が相手。伝統の一戦に勝利し、勝ち点を積み上げたい慶大であったが、試合開始早々に先制点を奪われると、その1点が決勝点となり、0-1の完封負けを喫してしまった。3連敗と苦しい戦いが続き、「残留が最大の目標」(須田芳正監督)となった。
2012/10/14(日)13:50KO @相模原麻溝公園競技場 | |
慶應義塾大学0(0-1)1早稲田大学 | |
【得点者(アシスト者)】得点者 4分 早大 近藤洋史(榎本大希) | |
◆慶大スターティングメンバー | |
GK | 峯達也(政2・桐光学園高) |
DF | 長尾賢太郎(総2・ヴィッセル神戸U-18) |
DF | 馬場達月(商4・サレジオ学院) |
DF | 藤田息吹主将(政4・藤枝東高) |
DF | 保田隆介(法2・横浜F・マリノスユース)→52分岩田修平(総3・名古屋グランパスU-18) |
MF | 山浦公裕(商4・FC東京U-18) |
MF | 曽我祐馬(政4・慶應NY学院) |
MF | 森田達見(経4・川崎フロンターレU-18)→78分松岡淳(商4・慶應湘南藤沢高) |
MF | 山浦新(総2・東京Vユース)→52分磨見朋樹(文2・横浜FCユース) |
FW | 近藤貫太(総1・愛媛FCユース) |
FW | 武藤嘉紀(経2・FC東京U-18) |
これまでチームを支えてきた増田湧介(環2・清水東高)、松下純土(総3・國學院久我山高)を出場停止で欠く慶大は、藤田息吹主将(政4・藤枝東高)を自身も「初めて」と語るセンターバックとして起用する布陣で臨んだ。試合はいきなり動く。4分、慶大の左サイドをパスで崩されると、最後は中央でフリーになっていた近藤洋に冷静に流し込まれ先制点を許してしまう。序盤で追う展開となってしまった慶大であったが、その後は徐々に落ち着きを取り戻し、ボールを保持する時間が長くなる。速いパス回しで相手の隙を突こうとするが、早大DF陣の守りは固く、決定的なパスを出すことができない。すると早大もカウンターからチャンスを作る。35分、相手にDFラインの裏に抜け出されシュートを打たれるも、曽我祐馬(政4・慶應NY学院高)が間一髪のところでブロック。その後は一進一退の攻防が続くものの、両チーム決定的なチャンスを作ることができず、1点のビハインドで前半を終える。
後半に入っても慶大がボールを保持するものの、ビルドアップでのミスがあり、早大の速攻を受ける場面が多くなる。しかし慶大もセットプレーから早大ゴールを脅かす。50分、ゴール正面25m地点でFKを獲得する。山浦公裕(商4・FC東京U‐18)が狙い澄ましたシュートを放つも、ボールはわずかに枠の上へ。なんとか同点に追いつきたい慶大は、52分、「サイドの攻撃を活性化させ」(須田監督)るため、岩田修平(環3・名古屋グランパスU‐18)、磨見朋樹(文2・横浜FCユース)を投入。するとその岩田が右サイドを何度も駆け上がりクロスを上げるが、畑尾を中心とする早大DFの牙城を崩すことができない。その後は前半同様、カウンターからピンチを招くものの、GK峯達也(政2・桐光学園高)がビックセーブを連発し、追加点を許さず。慶大は攻めの姿勢を強めていくと、後半ロスタイム、長尾賢太郎(総2・ヴィッセル神戸U-18)のCKから岩田がヘディングでゴールを狙うが、惜しくもゴールの左へそれてしまう。1分後には、曽我のクロスに磨見が頭で合わせるもネットを揺らすことができず。ロスタイムの怒涛の攻撃も実らず、0-1でタイムアップ。早大相手に今季3敗目と悔しい結果になってしまった。
この結果によりリーグ戦は3連敗。降格圏の11位との勝ち点差はわずかに2となった。しかし、「お互いの持ち味が出た」(須田監督)好ゲームだったことに違いはない。特に、後期4試合で17失点していた慶大が、早大の攻撃を1点に抑えたことは今後に向けて自信がついただろう。今後、慶大は専大、日体大と上位との試合が続き、苦しい戦いが予想されるが、この試合のように、終盤の怒涛の攻めやあきらめない気持ちを示すことができれば、勝利のいう結果もついてくるはずだ。“1部残留”という新たな目標に向けて、荒鷲イレブンは歩みを止めない。
(記事 青山直樹)
試合後コメント須田芳正監督
(今日の試合を振り返って)良いゲームだったと思います。うちらは特にDFのところで今回はマンツーマンで、単純な戦術なので、そのほうが個々の戦う姿勢が出やすいかなということで、案の定そのところは球際だったり粘り強いDFができて、相手も手こずったんじゃないかな。そういったところでは非常にお互いの持ち味が出た良いゲームだったと思います。(2連敗と苦しい状況でしたが早慶戦ということで選手のモチベーションは)もちろんリーグ戦の1戦ということもあるんだけど、こっちのスタッフとしても早稲田というのは他のチームよりかは意識するし、モチベーションは他のチームとやるときよりも強くなってたんじゃないかな。(選手交代の意図は)両サイドが前半から機能してなかったんで、そういった意味でサイドの攻撃を活性化させたかったので、まず磨見が中に入ってボールを受けて攻撃を仕掛けられるということで入れて、なおかつ相手のブロックが非常に良かったのでサイドバックを上げたかったので、右サイドの岩田をオーバーラップが得意なので、彼を交代させた。あとは相手が最後に身長の高いFWを入れてきたので、松岡をそこにあてて、攻撃的に出なきゃいけないので藤田をトップ下にしたということですね。(藤田選手をセンターバックに起用したことについては)センターバックの選手がいないというので、松岡も怪我があって本調子ではなかったので先発は無理だったので、彼も初めてだったと思うんだけど、高い能力があるので彼をセンターバックにしました。(後半は前半に比べて自分たちのペースになったがハーフタイムにはどのような指示があったのか)負けているわけだから攻撃的にいかなくちゃいけないということで、ポジショニングの確認かな。サイドバックの長尾をもうちょっと高い位置に行かせて、森田を少し中に入れて、サイドを使った。あと貫太と武藤にはもうちょっと前でプレーするような形で指示しました。(試合を通しての反省点は)やっぱり攻撃の部分で最後のコンビネーションだったりフィニッシュだったりがうまくいかなくて点数が取れなかったので、そういった部分はこれから来週に向けて修正すべき点かなと思います。(今日の試合は結果的にシュートが2本だけとなってしまったが)思いっきりの良さがなくて、遠目からのミドルシュートであったり、あまりにもきれいに崩してシュートを打とうっていうところがあるので、もう少し強引にシュートは打っていってもいいとは思うんですけど、これはある意味チームのスタイルであって、パスで崩して最後フィニッシュを持っていくというところがあるので、そういったチームの特徴っていうのがシュートの少なさにつながってるのかなと。ただ後半に関してはチャンスも結構作れたし、その辺が修正点なんだけど、もうちょっとフィニッシュに持っていくことができればと思います。それは来週に向けて1週間良い準備ができればいいと思います。(来週は武藤選手が出場停止になるがメンバー編成で考えていることは)他にFWの選手がいますし、組織力でやんなきゃいけないと思います。誰を出すかはまだ決めてませんけど。(次節へ向けては)基本的には今日みたいな戦う気持ちを前面に出してやれば、いいゲームもできるし結果もついてくると思います。もちろん3連敗という状況なんですけど、今年のチームの能力を考えれば仕方がない。今日みたいな気持ちのこもった戦いをしてやっていけば結果も出てくるだろうし、もう1部残留が最大の目標ってことがはっきりしているので、それに向けて全員がその目標に向けてベクトルを合わせて必死になって戦っていきたいと思います。
MF藤田息吹主将(政4・藤枝東高)
(今日の試合を振り返って)今日はリーグ戦というよりも早慶戦ということで、絶対に早稲田には負けられないという気持ちで戦ったんですけど、開始早々に失点して、点を取れなくて悔しい結果になってしまいました。(センターバックとしての出場でしたが)良いプレーができたかどうかは分からないですけど、やる前は緊張と不安がありました。(センターバックは初めてか)初めてです。(早稲田の攻撃陣の印象というのは)個の能力が高い選手が多いので、とにかく自分たちは先手、先手でプレッシャーをかけて相手を自由にさせないということを意識してやりました。(今日の自身のプレーでの改善点は)センターバックとしてはまだまだ足りないところが多くて、裏とられたりしたシーンもあったので、そういうところを、次節はどこで出るかは分からないですけど、もしセンターバックだったらそういったところをもっと詰めていきたいです。(逆に良かった点は)負けてしまったんで良かったプレーは分からないですけど、今日はとにかく声を出してチームを盛り上げようと思っていました。(次節へ向けての意気込みは)今3連敗しているので、これ以上の連敗は避けれるように頑張りたいと思います。
DF松岡淳副将(商4・慶應湘南藤沢高)
(今日の試合を振り返って)相手が早稲田ということで、前期のリーグ戦と早慶定期戦で負けてる相手だったので本当に気持ちで勝ちたかったんですけど、残念でした。 (久々の実戦復帰となりましたが)徐々にコンディションとかも上がってきているので、ここからは本当に残留争いの中ディフェンスの柱として責任を感じながらやっていきたいと思います。あとヘディングの部分とかは実戦感覚が若干厳しかったんですけど、修正していきたいと思います。 (チームを外から、または中から観て雰囲気はどうか)負けがこんでいるというのもあって、なかなか元気が出せなくてチームとしても下を向いてしまっていることが多いので、自分が入ることでチームを鼓舞していきたいし、盛り上げていかないといけないと思います。(次節に向けて)専修っていうのは前期にひどい形でやられた相手ですし、3連敗してしまっているので流れを止めなくてはいけない。次節こそ自分が復帰して、勝てるよう頑張りたいです。
DF馬場達月(商4・サレジオ学院)
(今日の試合を振り返って)リーグ戦の一試合ですけど早慶戦で、特別な一戦という位置づけで臨んだんで、最初の二分で失点してしまってその後も取り返せず終わったので悔しさしかないという感じです。(今日はセンターバックとして出場したが、監督からはどのような指示を受けたか)基本マンツーマンという指示があったので、とにかく富山と榎本をどっちか自分と藤田でついて、縦に入れさせないように、そこでしっかり潰せるようにということで。ビルドアップは基本そんな難しく考えないで、武藤と近藤の裏だったり足元だったりもセーフティーにやれということでした。(それをふまえて今日のご自身の出来は)初めての先発だったのでそんな他とは比較できないんですけど、やっぱり途中ディフェンスの面で甘くなっちゃった部分があったので、あの一失点が本当に悔やまれるという形で、他は自分ができることは8割くらいはできたかなという感じです(次節の意気込みを)残留かかって緊張感ある戦いが続くので、来週部員100人で一日一日無駄にしないで、次節絶対勝てるように。悪い流れ断ち切れるように頑張っていきたいと思います。
MF山浦公裕(商4・FC東京U-18)
(今日の試合を振り返って)立ち上がりに失点してしまって、どんな形であれあの失点がやっぱり大きかったと思います。また、前半は特にシュートまで持ち込めなかったので、そこは全員が前に前にもっと強く入れていかなければならないと思います。(後半は攻めのプレーが見られたが)みんなの気持ちが入っていて、前にいく気持ちが出ていたので、そこは良かったと思います。だけど、もう少しゴール前での質を上げないと、やっぱり早稲田とかの守備の堅いチームには勝てないと思います。もっと全員で攻撃を工夫したり、シュートをもっと積極的に打ったり、そういう部分をやっていかなければならないと思います。(一番の敗因は)開始5分で失点したという部分が大きいかなと思います。(自身の出来は)フリーキックだったりラストのこぼれ球だったり、点を取れるチャンスがあったので、そこを決めなければいけなかったと思います。また、もう少しボール回しに参加して、もっとボールを動かす役目を担わなければいけなかったと思います。(今季の早慶戦は全敗となったが、早大の印象は)4年生が多く、4年間の経験がにじみ出ているようなチームで、本当に勝負強いという印象があります。(次節は首位の専大との戦いになるが、意気込みを)自分たちは順位からしてもチャレンジャーです。この一週間全員が120%で練習に取り組んで勝つか負けるか分かりませんが、相手に向かっていって、全身全霊でチャレンジ精神でやっていきたいと思います。
DF岩田修平(総3・名古屋グランパスU-18)
(今日の試合を振り返って)まず今日一番意識していた、戦うという部分はできていたと思うのですが、その中で失点が出たりとか相手にシュートまで持って行かれる場面があって、まだ詰められる部分はあると思うので、そういう部分は改善して、今日くらいしっかり全員が戦って次節に臨めればいいなと思います。(途中出場でしたが、監督からどんな指示を受けて入りましたか)0-1の状況だったので、自分はサイドに開いて高い位置をとるということでしたね。(チャンスメークするシーンもありましたが、得点にいたらなかった原因は)まず一つは、結構フリーでボールを受けることもあって、クロスをミスしてしまったりしたので、自分たちの技術の問題と、あとは周りとの連携というところで、ニアに入ってくるとかファーでもっと枚数増やすとか、チームでやっていく部分と個人で精度を上げなくてはならない部分があると思うので、そこをやっていきたいと思います。(次節までに修正したい部分は)今日自体そんなに悪くなかったと思うんですが、やっぱり攻撃の形をなかなか作れなかったという部分はあったので、少し守備に時間を割かれたということもあったし、なかなか自分たちの思ってた後ろで繋いで、っていうサッカーはできなかったかなと思います。なので、もう少し全体的に自分たちのサッカーでパスを繋ぎながらというところを次回やっていけたら、今回よりももっとチャンスはあると思います。(次節は松下選手が復帰し、武藤選手が出場停止となりますが、どんなゲームになりそうですか)選手は変わってもやることは変わらないと思いますし、誰が出ても同じようなプレーができるということを今年のチームは目標にしてやっているので、誰が出ても自分たちのサッカーを貫いて結果が出るように全力で努力するだけだと思います。
FW武藤嘉紀(経2・FC東京U-18)
(今日の試合を振り返って)戦う姿勢は本当に良かったと思うが、最初の時間帯の失点が勝敗を分けてしまったと思う。(対戦相手早稲田に対して特別な思いは)4年生にとっては最後の早慶戦ということもあり、勝たせてあげたいという気持ちがあったし、前期と定期戦で負けていたので今回はしっかり勝ちたかった。悔しい。(来週は出場停止となるが)熱くなってしまって、あそこで文句を言ってしまったのはよくなかったと思う。チームのことを考えても、今は反省している。(出場停止期間中はどのようにすごしたいか)チームのサポーター役として、サブメンバーとして、チームの底上げというか、練習からしめていきたいと思う。
GK峯達也(政2・桐光学園高)
(今日の試合を振り返って)勝てない試合ではなかったかな、というのが率直な感想です。(失点シーンを振り返って)あまりこういうことは言いたくないんですけど、オフサイドかなとみんな思ってしまって、一瞬遅れてしまいああいう形で失点してしまったのは本当に残念です。(早慶戦となりましたが、特別なモチベーションだったか)そうですね。もう2連敗していて。リーグ戦の1試合というよりは、早稲田にだけは絶対に負けないという思いで臨んだんですけど、こういう結果になってしまってすごい残念です。(今のチーム状況は)この試合に負けたのはすごく悔しいんですけど、客観的に見れば、個人的にもチームとしても手応えのある試合だったので、次節以降に繋げられればと思います。(その次節に向けて)早く次の勝ち星をあげたいので、次の専修大戦でも勝ち点1でも3でも早めに取れるように今週1週間準備していきたいと思います。
FW近藤貫太(総1・愛媛FCユース)
(今日の試合を振り返って)早慶戦という意味もあって特別な思いもあったんですけど、勝てなくて非常に残念です。(今日は武藤選手と2トップを組んだが、監督からはどのような指示を受けたか)前に2人残っていれば左サイドバックが上がらないということで、2人で3人を後ろに残そう意図でやっていました(それをふまえて今日のご自身の出来は)ゴールできなかったですし、0-1という結果で終わったので非常に残念ですし、3連敗という結果も少なからず自分の責任だと思っています。(その中で今日良かった点をあげるとすれば)大量失点続いている中で一失点で抑えられた。まあ無理やりかもしれないですけど。でもみんなが戦っていましたし、そういう戦う気持ちは良かったと思いますけど、結果として負けてしまったので非常に残念です。(次節への意気込みを)もう4連敗は許されないので、毎回言っていますけど、次の試合に勝つために一週間いい準備してやるだけです。
コメント