【野球】期待のルーキーの一振り 接戦を制し優勝の望みつなぐ 明大④

10月16日(火) 慶大明大 4回戦

 

横尾が値千金の決勝本塁打を放った

横尾が値千金の決勝本塁打を放った

 一体誰がこんな試合展開を予想できただろう。1勝1敗1分と両校譲らないまま迎えた4回戦。先発の白村(商3)が7回無失点の好投を見せ、続く福谷(理4)も4連投の疲れを微塵も見せず相手に得点を許さなかった。投手陣を援護したい打線は6回に横尾(総1)の均衡を破る本塁打が飛び出し、これが決勝点に。明大との死闘を制した慶大が優勝への望みをつないだ。

 

   
慶大
明大
 

慶大:〇白村、福谷阿加多

明大:●上原、今岡、山﨑坂本

 

慶大出場選手

 

ポジション

選手名(学部学年・出身高校)

[7]

佐藤旭(商2・慶應)

[8]

辰巳(文4・郡山)

[6]

福富(商4・慶應)

[4]5

山﨑錬(商4・慶應)

[5]

横尾(総1・日大三)

 

大川武(環4・済々黌)

[9]

藤本(環2・慶應)

 

松本大(環3・桐光学園)

[2]

阿加多(法4・慶應)

[3]

植田(商3・慶應)

 

荒川(商3・慶應)

 

鈴木裕(商4・慶應)

[1]

白村(商3・慶應)

 

福谷(理4・横須賀)

 

六大学記録にあと1つと迫る8者連続三振を奪った先発の白村

六大学記録にあと1つと迫る8者連続三振を奪った白村

 明大先発は2回戦でも先発として登板した上原。慶大の初回の攻撃は、2番辰巳(文4)が右翼へのライナー性のヒットで出塁するも後が続かない。結局上原を捕まえられないまま、無得点でこの回を終えてしまう。一方の慶大マウンドに上がったのは、前日も先発し7回を無失点に抑えた白村(商3)。先頭打者の上本を四球で出塁させたものの、その後は明大打線に得点を与えぬ好投を見せる。

 白村を援護したい打線は、2回に6番藤本(環2)、3回に8番植田(商3)、2番辰巳が安打を放ち、4回には4番山﨑錬(商4)が死球で出塁するが、チャンスを広げることができず、前日同様に得点が奪えない苦しい場面が続く。

 打線の援護がない中でも、白村は三振と凡打の山を築いていった。回から4回まで8者連続三振を含む気迫溢れる好投を見せ、明大打線に得点を与えない。

 5回の攻撃では2死から佐藤旭(商2)が左中間への三塁打を放ち上原に食らいつくが、続く辰巳が三塁ファウルフライに打ち取られ本塁に生還することができず、このまま前日と同じように投手戦が繰り広げられるかに思われた。

 

本塁打を放った横尾はベンチで山﨑錬に迎えられた

本塁打を放った横尾はベンチで山﨑錬に迎えられた

 試合が動いたのは6回の慶大の攻撃。3番福富(商4)が遊撃ゴロ、4番山﨑錬が空振り三振に倒れ、打席には5番横尾(総1)。甘く入った初球を見逃さずに大きく振り抜いた。球場に快音が響く。本人も「入ったと感じた」と語るほどの豪快なソロアーチ。耐えて粘って、慶大がようやく貴重な得点を奪った。

  追加点が欲しい慶大は7回、上原に代わって登板した今岡に対し7番阿加多(法4)が遊撃ゴロに倒れたが、植田が四球で出塁し、代走として荒川(商3)を送り込む。しかし白村が送りバントを試みたがピッチャーの好フィールディングによって荒川は二塁封殺を喫し、好機を活かすことができない。

  ようやく打線の援護を得た白村は7回までに13個の三振を奪って降板。前日までの疲れをまったく感じさせない見事なピッチングを見せた。後を託されたのは、今季抑えの要として登板している福谷(理4)。4連投の疲れもあってか球が安定せず、代打・小川にいきなり二塁打を浴びる苦しい立ち上がりだったが、味方の堅い守備にも助けられ、何とか8回を無失点に抑えた。

 8回、9回の攻撃を打線の沈黙を破れずに終え、1点のリードを何としてでも守りたい慶大。ここで江藤監督が動く。二塁に大川武(環4)、二塁手の山﨑錬を横尾に代えて三塁に、右翼に松本大(環3)を藤本に代えて起用し、万全の態勢を整えた。試合は遂に9回裏の最後の明大の攻撃へ移る。

 

最終回を守りきり福谷を中心に喜ぶ慶大ナイン

最終回を守りきり福谷を中心に喜ぶ慶大ナイン

 ところが、このままでは終わらないのが明大戦。明大のクリーンナップが福谷に襲いかかった。3番高山の一塁線への強烈な打球を一塁手鈴木裕(商4)が何とか掴むも間に合わず出塁を許し、続く4番岡大にもヒットを浴びた福谷は、無死一、二塁とサヨナラのピンチを招いてしまう。再び試合が動いたのは、犠打で送られ1死二、三塁で迎えた6番の代打・原島の打席だった。この場面で福谷がけん制球によって三塁走者の高山をアウトにしてみせた。頼れる主将の秘密のサインプレーが、一気に試合の流れを引き寄せた。そして福谷が原島を二塁ゴロに打ち取った瞬間、長い戦いはやっと幕を下ろした。

 1本の本塁打で明暗が分かれた試合。しかし優勝を狙う慶大としては、満足のいかない結果だったに違いない。今季最後のカードとなる早慶戦まであと2週間。改善すべき点は見えた。1度爆発したら止まらない打線と高い投手力が噛み合った時、必ずや三田の丘に陽は昇るだろう。

(記事 河合美紀)

 

選手のコメント

山﨑 錬主将(商4)

(おめでとうございます)ありがとうございます。(今日も僅差の試合だったが)本当ですね。(最終回守っていたときの心境は)ヒヤヒヤでしたよね。かなり。チャンス作られましたし。(タイムを取ってマウンドで福谷選手に声をかけていたが)ランナー一、二塁でしたよね。それでノーアウトでしたよね。何て言ったっけなあ()。とりあえず球とかはどうでもいいから気持ちで。時間とるためにタイム取って、自信持ってやればいいし「大丈夫、大丈夫」と落ち着かせに言っただけです。(その後三塁けん制でランナーをアウトにしたがサインプレーか)サインプレーですね。ずっと隠していたプレーで、来た!と思って。ずっと隠していたんですよこのシーズンで。東大戦とかでも使える場面があったんですけれど、こんなところでは使わないと思いながら。まさにここでしたよね。(なかなか点が入らない中、横尾選手にホームランが出たが)本当によく打ってくれましたね。ありがとうって感じです。(白村投手も2試合連続先発で好投したが)あいつも連投なのに本当にすごく頑張ってくれて、無尽蔵なスタミナの持ち主なだけあってすごかったです。(明大との4試合を振り返って)引き分けとかもありましたけど、これが最後に優勝につながると思って、頑張っていきます。(優勝の可能性が残ったが早慶戦にむけて)あとはどこが勝つとかは抜きにして、自分たちがやれることだけをやって、最高の準備をするだけです。

 

阿加多 直樹(法4)

(今日の試合を振り返って)勝てたんで、今は嬉しいというか、ホッとしてる感じですかね。(リードした白村、福谷両投手について)白村は結構良かったんですけど、福谷はあんまり調子が良くなかったんで、でもインコースを使って丁寧に投げられたんで、まあその辺は何とか0点で抑えたってことが最終的に良かったです。2人を上手くリードできて良かったと思います。(無安打で終わった打撃の課題)明治戦入って打ててないんで、なんというか、ちょっとずつ悪い方向にずれてる感じがあるんで、2週間で修正してやっていけたらいいなと思います。(早慶戦への意気込み)あとは早慶戦を頑張るだけなんで、この2週間は早慶戦のために頑張って、出し切って、2連勝して、優勝したいと思います。

 

辰巳 智大(文4)

(今日の試合を振り返って)勝てたので最高です。(2安打だったが)いい感じなので、このまま行きたいです。(自身のプレーについて)2安打打てて良かったですが、チャンスで打ちたかったです。(早慶戦にむけて)2連勝して優勝します。

 

福谷 浩司(理4)

(試合を振り返って)勝てて良かったです。先に繋がったので。(4連投だが疲れはあった)結果的にはあったんじゃないですかね。自分では感じてなかったですけれど。(登板するにあたり)白村が良かったのでどんな形でも負けちゃいけないなと思いました。(9回のピンチについて)正直サヨナラ負けも頭をよぎったんですけれども、自分と周りを信じて投げました。(早慶戦への意気込み)自力での優勝はないけれど、僕たちとしては全力で早慶戦に向かっていけるよう頑張るだけです。

 

福富 裕(商4)

(今日の試合を振り返って)本当にピッチャーの白村と横尾に助けられた感じなので、4年としては情けないですけど、勝てて良かったです。(3試合通して明大投手陣の印象は)やっぱり良いですね。打てそうでも打てないということがよくあるので、すごい良いと思います。(9回裏、守っていての心境は)前から山﨑錬と福谷とサード牽制の練習はしていたんですけど、一回どこかでそういう場面はあったんですけど、まだここじゃないからとっておこう、という話になって、二、三塁になって錬がサインを出してくれるかなと思って、出してくれたので、引っかかるだろうなと思っていました。引っかかってよかったです。(決まった瞬間は)待ってて良かったなという感じですね。(優勝を可能性を残しての早慶戦となるが)僕らが勝たなければどうしようもないので、また1週空きますけど、その間にしっかり2連勝できるように練習して、今度は4年生が頑張りたいです。

 

白村 明弘(商3)

(試合を振り返って)良かったです。本当に良かったです。(投球内容を振り返って)ブルペンでは球が走っていませんでしたが、マウンドに立ったら落ち着いて、力を抜いて投げることができました。相手打者もずっとボールの下を振っていたので、真っ直ぐを放っていたらいけると感じていました。(好投の要因は)スライダーでしっかりカウントを取れたことと、どんどんテンポよく投げられたことですかね。(前日7回を投げているが、連投は当初の予定か)そうですね。自分でもそのつもりでいましたし、むしろ連投した日の方が良いので、今日は自分を信じて結果に繋がったと思います。(8者連続を含む13奪三振を記録したが)自分でも三振を数えていたが、9者連続が六大学記録だと知らなくて、高山には置きにいった所を内野ゴロにされてしまいましたね。(早慶戦に向けて一言)僕で負けられないので、責任感を持って自分を信じて頑張ります。

 

佐藤 旭(商2)

(今日の試合を振り返って)なかなか点取れなくて、厳しい試合だったんですけど、最後までみんなで明るくできたのが、勝利に結びついたのかなと思います。(三塁打を放ったが)1、2打席があまり良くなかったので、修正して、3打席目にああいう当たりが出たので、今後に生かせるかなと思います。(0点で抑えられている試合が続いている)そうですね。やっぱり打つ方は水もので毎回毎回打てるわけではないので、守ってリズムをつくるというのがうちの野球だと思うので、そういうのをやっていければなと思います。(自身の調子はどうか)良くも悪くもなくという感じです。早慶戦は優勝がかかってくると思うので、あと2週間で調子をあげていきたいなと思います。(早慶戦へ意気込みを)なんとか優勝の可能性を残せたので、連勝して、優勝していい形で終わりたいと思います。

 

藤本 知輝(環2)

(今日を振り返って)チームが勝てて良かったです。それが全てです。(何を意識して打席に入っていたか)変化球に合わして打とうと思って、ノーステップにしました。(優勝の可能性があるが)4年生ともまだまだ夢見ながら野球できるんで、嬉しいです。(早慶戦までの何を重点的に練習するか)やはりバッティングで、最後こそ打ちたいですね。(早慶戦への意気込み)もう勝つだけです。それだけです。

 

横尾 俊建(総1)

(今日の試合を終えて)やりました!本当に勝てて良かったです。(ホームランを打った時はどんな気持ちだったか)自分でも入ったという感じがしました。(試合前に監督から何か言われたか)監督はいつも優しく「思い切り打て」と言ってくれます。(まだ優勝の可能性はあるが)4年生に頑張ってついていくだけです。

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