二戦先勝方式の入れ替え戦。前日の試合にて、玉川大に勝利した慶大はノルマである二部残留に王手をかけた。一戦目は途中まで競りながらも、インサイドの本橋祐典(環3・佼成学園高)の奮闘によりじわじわと相手を引き離して勝利。そして今回の二戦目では、序盤から玉川大を圧倒。一時は一桁まで点差を詰められる場面もあったが、伊藤の強気なプレーで再び点差を広げる。最後はリーグ戦で出場機会に恵まれなかった、野呂祥平(法4・慶應高)、田中貴啓(環3・福大大濠高)、平石健斗(環3・慶應高)、長命祐樹(経3・慶應高)ら上級生も出場。充実の戦いぶりを見せた慶大が、二連勝で二部残留を決めた。
2012/11/7(水)@代々木第二体育館 | |||||
第88回関東大学バスケットボールリーグ戦 二部-三部入れ替え戦二戦目 玉川大戦 | |||||
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
慶大 | 27 | 18 | 12 | 35 | 92 |
玉川大 | 12 | 16 | 20 | 15 | 63 |
◆慶大スターティングメンバー | |||||
選手名(学部・学年・出身校) | |||||
PG | 伊藤良太(環2・洛南高) | ||||
SG | 大元孝文(環1・洛南高) | ||||
SF | 蛯名涼副将(法3・洛南高) | ||||
PF | 権田隆人(政2・慶應高) | ||||
C | 本橋祐典(環3・佼成学園高) | ||||
◆主要選手スタッツ(背番号・選手名・スタッツ) | |||||
#7本橋祐典・14得点25リバウンド、#8蛯名涼・12得点、#16伊藤良太・23得点4アシスト、#18大元孝文・16得点 |
「1Qが勝負」と佐々木HCが語ったように、1Qから慶大がゲームの流れを支配する。大元の速攻で慶大が先制すると、伊藤のミドルシュート、大元のスリーポイントで一気に7-0とする。玉川大はたまらずタイムアウトを要求するも、蛯名がスティールからの速攻を決めるなど、依然として流れは慶大。ディフェンス面ではインサイドの本橋を中心にディフェンスリバウンドをきっちり拾い、相手のセカンドチャンスの芽を摘んでいく。オフェンスでは玉川大のゾーンディフェンスをドライブで切り崩す。外のシュートが外れても伊藤や福元といったガード陣がリバウンドに飛び込み、セカンドチャンスを奪って得点に繋げる。終始集中力を切らさなかった慶大が27―12と15点ものリードを奪って1Qを終える。2Qに入ると、打って変わって慶大のリズムが崩れてしまう。玉川大のディフェンスがマンツーマンに変わり、そのタイトなディフェンスを前に慶大のシュートがこぼれ始める。だが、その苦しい状況の中でも、伊藤がスティールからの速攻やミドルシュートでチームを鼓舞。そして福元直人(環1・福大大濠高)の連続得点や本橋のゴール下など、苦しみながらも踏ん張りを見せた慶大が、45-27とリードを広げて勝負は後半へ。
3Q開始早々、本橋のブロックショットが炸裂。そしてその直後のオフェンスでバスケットカウントとなるゴール下を決めると、渾身のガッツポーズが飛び出す。その後、蛯名のレイアップ、大元のスリーポイントなどで最大21点ものリードを奪う。しかしここから慶大の歯車が大きく狂い始める。足が止まり始め、重いオフェンスになると得点も停滞。伊藤がスリーポイントを沈めるも、全体的に単発に終わり、この得点後約4分間無得点という苦しい展開に陥る。その間にも玉川大は徐々に点差を縮め、終了間際にもスリーポイントを沈められ、57-48とリードを一桁にまで縮められて3Qを終える。
嫌なムードが漂う中始まった4Q、「ここで絶対に点差を離さなければいけない」(伊藤)と、伊藤が開始10秒でバスケットカウントを沈め、再びリードを二桁に戻す。その後も伊藤が1on1を積極的に仕掛けるなど、強気なプレーでチームを鼓舞する。伊藤の活躍で慶大が流れを引き戻すと、大元のタフショット、福元のドライブで慶大のリードは再び20点に。終盤に入ると慶大はサブメンバーを投入し始め、最上級生からは桂竜馬主将(法4・国立高)、野呂を、3年生からは田中、平石、長命が出場。サブメンバーに変わったものの、慶大は攻撃の手を緩めない。桂のパスから野呂がゴール下を決めると、その桂も連続でミドルシュートを沈める。最後は速攻に走っていた長命が後ろから走ってきた野呂のレイアップをお膳立て。慶大のベンチ、応援席が大盛り上がりのなか、試合終了のブザーが鳴り響いた。92-63で慶大が勝利。二連勝で二部残留を決めた。
苦しみながらも二部に踏みとどまることが出来た慶大。今季は上級生の不在により、予想以上に苦しい状況での戦いを強いられた。春シーズンは得点源の矢嶋瞭(総3・福大大濠高)と副将の蛯名が欠場、そしてリーグ戦前には先の2人に加えて中島祥平(総3・魚津高)が離脱するなど、昨季から慶大を支えてきたメンバーが次々にチームから離脱。残されたメンバーでの戦いを余儀なくされた。だがそのなかでも一年生の大元、福元、真木達(環1・国学院久我山高)、黒木亮(環1・延岡学園高)といった新たな戦力が台頭し、チームに貢献。また去年から試合に出場していた二年生の伊藤、権田も今季、チームの主力へと成長し、さらにリーグ戦後半には桂、本橋、そして怪我から復帰した蛯名といった上級生らも奮闘を見せた。二部8位という結果にはなったものの、収穫もあったシーズンとなったのは間違いないだろう。
来季は再び二部の舞台での戦いとなる。今季は逃してしまったものの、慶大が目指すものはやはり一部昇格。そしてインカレ出場。特に来季は蛯名、矢嶋、中島、本橋といった一年次にインカレ準優勝を経験した代が4年生となるなど、懸かる期待も大きいだろう。そのためにもまずは怪我を癒し、今季の経験を糧に自力をつけ、盤石な状態で来季を迎えて欲しい。来季も慶大バスケットボール部が頂点を目指して邁進することを心より願っている。
(記事・水島涼太)
◆試合後コメント◆佐々木三男HC
20点くらいは勝てるだろうということでやったんですが、本橋と伊藤、それから蛯名がよくやってくれました。バスケットは3人がしっかりすればゲームになるので、最後にそれが出来た感じですね。(1Qに突き放せたが)1Qで頑張れば、相手は追い詰められているので相当悪い動きになると思ったので、そういう意味では学生がよく頑張ってくれました。(しかしその後失速した)やっぱり頑張ってる人とそうでない人が混在しているんですよね。3人いれば、という話をしましたけど、残りの2人が悪い動きをしてしまうので、それは来季に向けても課題ですね。(4Qには4年生も出場したが)本当はもう少し出してあげたかったですね。ただ、20点くらいは離した状態で使いたかったので、彼らには申し訳なかったですね。(今年の4年生について)桂はもう少し出来たんだろうと思うんですけど、野呂については練習も一生懸命やっていたし、スタミナやスピードで不足している部分はあったけども、取り組む姿勢は十分に評価出来ます。そういう意味では斎藤も本当はベンチに入れたかったんですけど、彼の場合は最後怪我で十二分に練習することができませんでした。僕は練習を十二分に出来ていない人を試合に使うということはしないという考え方なので、そういう意味では斎藤は少しかわいそうな所があったと思います。(来季に向けてのチーム作りについて)今季は下級生主体で戦って、結局は成果を出せなかったけど、最後にきて少し落ち着きました。それはやっぱり上級生なんですよね。蛯名と本橋がしっかりとやればチームは落ち着くし、下級生も伸びるわけです。下級生に全部の責任を負わせてチーム作りをするとリーグ戦のような形になってしまいます。だから、上級生に今日のようにチームを引っ張るようなことがあれば、下級生はぐんと伸びるはずなんです。そこらへんのチーム作りも近年上手くいっていませんね。下級生を試合に出しても、成功体験をさせることが出来ないままシーズンが終わってしまうので、あまり意味がないんですよね。ダメージだけが残ってしまうので。投資した分が来季に返ってくるかが非常に不安ですね。(その下級生について)何人かが少し失速したように、ダメージだけが残ってしまっています。本来ならば、もっとはつらつとやって成功体験を少しずつ積み重ねていって、来季はもっと伸びるはずなんです。そういう意味では、彼らには本当にかわいそうなことをしてると思います。そして、それはやっぱり上級生の責任です。(来季に向けてメンバーの構想は)桂が抜けるだけで基本的にはそのままですね。矢嶋がもう走ったりしているので、来季は戻ってきますけど、彼も一年空いてるので、どれくらい復調するかわかりません。でも期待はしてますよ。(チーム作りにおいてはどのようなことを重視するか)結局対処療法的な練習しか出来ていないのが一番ダメなんですよね。例えばシュート練習といった技術練習をきちっとやって、その中でシステムが構築されていく、ということでこれまでやってきて、一応成果を残してきました。去年はその遺産で僕はいけると思っていたんですが、今年と同じで、家治以外の4年生が技術もシステムもしっかりと出来ていなかったんです。そういう悪い遺産が残ってしまったのが今年です。ただ、トランジションをやらなくなってしまってはただのチームなので、そこは技術練習を含めてシステムを徹底させないといけません。この2年間そういった技術練習が全然出来ていなかったので。でもそれはある意味仕方ないことなんです。インカレ決勝を目指してやってきたので、少し調子が悪いからと言ってそれを変えることは出来ないんですよね。年間のスケジュールは決まっているので、それを崩すということ自体がチームが弱くなっているという証拠なんです。まさに去年、今年がそうで、対処療法的な、これが出来ないからこれ、という練習ばかりになってしまって、結局は全然チームにならない。だからそれを無視して、ディフェンスはこう、オフェンスはこう、トランジションはこう、という風に段階的にやり直す必要がありますね。やり直せばまたインカレを狙えるチームになれますよ。ただ、そういう練習が出来ないのが課題です。(そういった意味でも上級生の頑張りが鍵になるのか)そうですね。上級生が一番わかっているはずなので、こういう風にやるんだよということを示していかないといけません。今日なんかも、相手はクロススクリーンに全然対応出来ていませんよね。2年前だったら120点くらい入っていますよ。そういった所で、パスの技術、スクリーンをかける技術、といった技術練習がこの2年間出来ていないことが表れています。それはもう一度やり直さないといけませんね。
※選手のコメントは後日別途アップ致します。
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