【ソッカー男子】アミノバイタルカップ2回戦 PK戦までもつれ込んだ熱戦を制し、準々決勝進出 関東学院大学戦

今日ほど「勝利の女神が慶大に微笑んだ」という表現が似合う試合はないだろう。1回戦から中1日で臨んだ関学大との2回戦。試合は後半ロスタイム、そして延長後半ロスタイムのそれぞれで同点に追いつくという驚異的な粘りを見せた慶大がPK戦を制し、6月5日(水)に行われる青学大と戦う準決勝進出を決めた。この準々決勝に勝利すれば総理大臣杯の本戦への出場権を得ることができる。ついに、荒鷲たちは全国の舞台に王手をかけた。

2013/6/3(水)11:30KO @時之栖スポーツセンター裾野E2グラウンド

アミノバイタルカップ2013第2回関東大学サッカートーナメント大会兼総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント関東予選 2回戦

慶應義塾大学3(6PK5)3関東学院大学

【得点者(アシスト者)】

[慶]=24分 武藤嘉紀、90+4分 近藤貫太 (増田湧介)、110+2分 平戸奨眞(近藤貫太)

◆慶大スターティングメンバー

GK

増川翔太(商3・柏U-18)

DF

山田融(総2・横浜Fマリノスユース)

DF

望月大知(環1・静岡学園高)

DF

保田隆介(法3・横浜F・マリノスユース)

DF

飯高颯生 (総2・大宮アルディージャユース)

MF

増田湧介(環3・清水東高)

MF

山内浩道(政3・國學院久我山高)→60分 平戸奨眞(法3・暁星高)

MF

近藤貫太(総2・愛媛FCユース)

MF

淡野晋一(文3・横河武蔵野FCユース)→58分 澤根祐(商3・清水東高)

MF

武藤嘉紀(経3・FC東京U-18)

FW

端山豪(総2・東京Vユース)

 

1週間で最大5試合を行うという厳しい日程で進むアミノバイタルカップ。しかし慶大はけがのため戦列を離れた山浦新(環3・東京Vユース)に代え、山内浩道(政3・國學院久我山高)を入れる以外は1回戦と同じメンバーがスタメンに名を連ねた。

一発勝負独特の緊張感がピッチを支配し試合は始まった。両チームともリスクを犯さず慎重な試合展開となった。決定機がなかなか生まれずにいたが、徐々にフィジカルで慶大を上回る関学大がチャンスを作っていく。13分、左SBの山田融(総2・横浜F・マリノスユース)が自陣でボールを奪われ、中央からミドルシュートを放たれるもこれはゴール上に外れる。その後も、慶大の最終ラインに激しいプレスをかけてくる関学大に手を焼き、攻めの形が作れずにいたが、先制点を奪ったのは慶大だった。25分、山田から左サイドでボールを受けた武藤嘉紀(経3・FC東京U‐18)が相手ディフェンダーを次々とかわし、強烈なシュートを放つ。これが決まり1回戦に続き慶大が先制点をあげた。1回戦同様、このまま慶大に流れが傾いていくと思われたが、相手はここまで2部で3位と1部昇格も狙える位置にいるチーム。そう甘くはなかった。先制点からわずか3分後の28分、慶大の右サイドからクロスを上げられると、これを押し込まれ1‐1の同点に追いつかれる。その後は、一進一退の攻防が続くが両チーム相手の守備ブロックを崩すことができず、1‐1の同点のまま前半を終える。

後半に入っても前半同様、決定機の少ない展開となったが54分、関学大が慶大の一瞬の隙を突く。右サイドからのクロスを相手FWに完璧に合わされ、逆転を許してしまう。何としてでも同点に追いつきたい慶大は、58分に淡野晋一(文3・横川武蔵野FCユース)に代え小林剛(環3・鎌倉高)、60分には山内に代え長身FWの平戸奨眞(法3・暁星高)を投入。攻撃陣に厚みを加えた。攻める慶大、守る関学大という試合構図となり、67分、69分に立て続けにセットプレーのチャンスを得るもゴールを奪うことができない。逆に不用意なミスでボールを失い関学大のカウンターでピンチを迎える場面が増える。しかしクロスバーやGKの増川翔太(商3・柏レイソルU‐18)のセーブもあり、3点目は許さない。試合も終盤に差し掛かり、敗戦が濃厚になったが慶大は諦めなかった。90+4分、増田湧介(環3・清水東高)が体勢を崩しながらもPA内でドリブル突破し、中央に待ち構えていた近藤貫太(環2・愛媛FCユース)にラストパス。これを近藤が冷静に押し込み土壇場で同点ゴールをあげる。直後の関学大のキックオフと同時に後半終了の笛。まさにラストプレーでのゴールだった。

10分ハーフの延長戦。厳しい日程の中、体力的にも精神的にもきつい試合となったが、終了間際のゴールで勢いのある慶大が延長戦ではゲームを支配する。武藤、小林、近藤、平戸の前線4人を中心に関学大ゴールに迫る。しかし相手GKの好守もあり、勝ち越しゴールを奪うには至らない。延長後半になっても流れは変わらず、押し込む場面が多くなっていたが106分、望月大知(1・静岡学園高)のクリアミスから相手にボールを奪われると、PA内まで運ばれる。ここで突破を阻止しようとした端山豪(環2・東京Vユース)がたまらずファールをしてPKを与えてしまう。しかもこのプレーで端山は2枚目のイエローカードをもらい退場してしまう。このPKを落ち着いて決められ、2-3。残り時間3分。しかも1人少ない状況。このまま試合終了かと思われたが、再び奇跡は起きた。110+2分、ゴール前30メートル付近でFKを得る。近藤がゴール前にふわりと上げたボールに途中出場の平戸が頭で押し込み同点。再び試合を振り出しに戻し、決着はPK戦へと委ねられた。

PK戦はGK増川のスーパーセーブもあり、両チーム7人目が蹴り終えた時点で5-5。迎えた8人目。先攻の慶大のキッカーは延長後半ロスタイムに起死回生のゴールをあげた平戸。平戸は冷静にGKの逆を取り、ゴール右隅に沈めた。対する後攻の関学大のキッカーはゴール右方向に蹴りこむ。これを完全に読んでいた増川はボールを手中に収めた。この瞬間、慶大の勝利が決定しベンチから選手やスタッフがピッチに流れ込み、喜びを爆発させた。

この勝利により慶大はベスト8に駒を進めた。準々決勝の相手は、2回戦で1部リーグ2連覇中の専大を大逆転勝利で破った青学大だ。現在は2部リーグに所属しているが、一昨年までは慶大とともに1部リーグに所属し、慶大は勝利を得られていない。さらに2回戦で今大会最大のジャイアントキリングを起こしたことで勢いに乗っているはずだ。2回戦と同様、厳しい戦いが予想される。しかし、この試合に勝利すれば、8月に大阪で行われる総理大臣杯の出場権を得ることができる。再び中1日と厳しい日程だが全国の舞台に挑戦するために、荒鷲たちは走り続ける。(記事 青山直樹)

以下選手コメント

須田芳正監督

(今日の試合を振り返って)本当に諦めない気持ちがあって、最後までみんな100%の力を出して、諦めないで2回追いついた力というのは我々の伝統であって、それが受け継がれているということで、本当に素晴らしい結果だったと思います。(苦戦を強いられたが課題は)トーナメントなんで相手もすごく良いチームなんで、課題っていうのは特に考え付かない。課題って言うよりかは、うちらが高い集中力を持ってやってくれた。それに最後のPK戦も結局運ではなく技術なんで、そういった意味では課題はないですね。(前半左サイドの守備について指示を出していたが)山田がやっぱりボールを持ってから考えていることがあったので、自分の役割をしっかりやりなさいということを話しました。(選手交代の意図は)まず相手の左サイドの裏のスペースが空いていたんですけど、そこになかなか(近藤)貫太が走りこめていなかったので、そこに小林を入れて裏を狙うというのがありました。それと平戸はトレーニングしてなかったんだけど、負けてたらこれをやろうと思っていたので、ボランチだけど攻撃的なMFでゲームを支配できるのは端山しかいないんで、パスもできるし自分でも持って行けるので、そこを中盤にしました。ストライカー的な平戸をトップにして、高さもあるので、そこは我々の今シーズンのストロングポイントなので、点数を取りに行きました。PK戦の蹴る順番はどう決めたか)まずは蹴りたい人に手を挙げさせて、あとはこっちで決めました。蹴りたくないって言う選手もいたんですけど、7人目から蹴りたくないということだったんですけど、そういうときに限ってそこまで行っちゃうんでね。決めれて良かったんじゃないかなと思います。(次は準々決勝だが意気込みは)専修か青学か今から見に行くんだけど、我々の目標は全国に行くことだし、タイトルを取ることなんで、また次の試合に向けて良い準備をして良いゲームをやって勝ちたいと思います。

松下純土主将(総4・國學院久我山高)

(今日の試合を振り返って)僕はずっと試合にも出ていないですし、ベンチにも入っていないので、全選手を信じることしかできませんでした。今日も2度リードされながらも、追いつくことが出来たということで、そういった諦めなかった姿勢は本当に頼りになる仲間だなと思いました。僕としては、直接試合に出て勝利に貢献できないんですけど、今日の試合は言葉に言い表せない程、嬉しいですね。(1点のビハインドを背負った時、どういった言葉をかけましたか)ビハインドを背負ったとはいえ、まだ時間もあったので落ち着いてプレーをしろと言うことは伝えていました。(不安などは無かったですか)正直、終了間際になるまで点が入らなかったのでありましたね。ただ、やってくれるというのは信じていましたし、応援してくれている人、スタッフ皆が諦めなかった結果だと思います。(今日試合に出場したのは全員3年生以下の選手たちでした)まず、4年が試合にも出ていないですし、ベンチにも2人しか入っていないところは、恥ずかしい気持ちもあります。でも、それは正直予想していた部分でもあり、その分僕らが主導していく上で、後輩たちが当事者意識を持ってやってもらうという意味で、僕らも試合に出ていない分、そういった所で貢献していきたいですね。いうなれば、頼もしいの一言です。

増川翔太(商3・柏レイソルU-18)

(今のお気持ちをお願いします)もう嬉しいの一言ですね。それ以外出てきません。(最後8人目のキッカーを止めたときのお気持ちは)絶対左に来るなと思っていたら、本当に来たので、完全に読み勝ちでしたね。(チームメイトに対してどういった声掛けをしていましたか)毎回、ビハインドからの得点を決めてくれて本当に皆に感謝ですし、3失点もしてしまったので、それを返すためには、PK戦しかないと思ったので、死ぬ気でやりました。(3本もストップしていました)正直3本だけという感じですね。触れたのが何本もあったので、もっとPKでも信頼されるようなキーパーになりたいです。

保田隆介(法3・横浜F・マリノスユース)

(今日の試合を振り返って)非常に苦しい試合でしたが、2つとも終了間際に追い付いて多少の運もありますがチームの力を感じました。それは試合に出ている選手だけではなく、監督・コーチ、ベンチや応援くれてる人たちの力も感じました。(今日の試合に向けての意気込み)今日は負けられないという意気込みがあり、チーム状況も4年生が試合に出ていないなど良くなくて3年が中心になっている中で自分が中心になるべきだと思いキャプテンマークをつけました。(自身のプレーを振り返って)良かったことは全体的に集中力が高く保てたことと、攻めている時間が長いなかでのリスクマネージメントとかも出来ましたが、相手の11番にポイントを作られたこととPKを外したことは悔しいです。(PK戦を振り返って)二回追い込まれてから生還したので失うものはなかったです。(3失点を喫したことについて)完全に崩されたわけではなく、前がかりになったたところを突かれたりとかが多かったです。自覚をもって引き締めていきたいです。(今後に向けて)全国は1つの目標でありますしひたむきにやっていきたいです。

山田融(環2・横浜F・マリノスユース)

(今日の試合を振り返って)前半が個人的にはひどいプレーをしてしまったので反省点が多くて、チームとしては2回終了間際に追いつけたというのは、次に自信としてつながるので非常に良かったと思います。(最後に追いつくことができた要因は)ここ最近リーグ戦でもあまり負けていなかったので、メンタルの部分だったり、全員が諦めない姿勢が出た試合だったと思います。PK戦では1人目のキッカーだったがその時の心境は)自分で、前半のプレーを取り返したいという気持ちがあったので志願して、監督が1番最初に蹴れと言ってくれたので、緊張はしましたけどGK見ながら冷静に決めれたので良かったです。(中1日での試合となるが意気込みは)今日も中1日で、延長も今日戦ったんですけど、しっかり休んで確認することを確認して相手がどこになるか分からないですけど、今日みたいな120%の力を出して頑張りたいです。

近藤貫太(環2・愛媛FCユース)

(今日の試合を振り返って)非常にドラマチックな試合になり、勝てて良かったですが、原因はうちらにあるので勝ちましたが課題の多い試合でした。(後半終了直前を振り返って)あれは増田さんが粘ってくれたので押し込むだけでした。(延長後半終了直前を振り返って)もう後がなかったので、とにかくGKとDFの間に蹴るだけでした。平戸さんが上手く合わせてくれました。(PK戦を振り返って)流れは完全にこちらだったので、仲間を信じるだけでした。(今シーズン初ゴールになったが)これまでチームに迷惑ばかりかけていましたが、それは終わったことなのでこれをターニングポイントにしていきたいです。(自身のプレーを振り返って)前半は足元でボールを要求してしまいました。後半は裏に抜けることができましたが、最初から出来ていなかったことは反省点です。(今後に向けて)まだ何も成し遂げていないので、全国にむけてやっていきたいです。

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