【男子バレーボール】自らのバレーができず、初黒星 日体大戦

日体大戦

 

これまで順大、早大、専大といった春季リーグで敗れた相手に勝利し、3連勝で波に乗っている慶大。第4戦の相手は同じく負けなしの強豪・日体大だ。計算されたサーブに苦しみながらも最後まで粘りを見せた慶大であったが、惜しくも及ばず4連勝とはならなかった。

9月15日(日)秋季関東大学男子バレーボールリーグ1部 第4戦 慶大×日体大

得点
慶大 セット 日体大
15 25
28 26
20 25
17 25
この試合に勝てば悲願のタイトルも視野に入る大一番、4連勝に向けた第1セット。序盤から日体大の突き刺さるようなスパイクに圧倒され、ブロックも乱れてしまう。「今まで(の対戦相手の中)で一番良い」(宗雲監督)というほどのサーブにも苦しめられ、慶大の攻撃パターンにもっていくことができない。なんとしてでも日体大の攻撃に対応したい慶大であったが、調子の上がらない柳田(環3)、「気持ちが先行してしまった」という岡田主将(商4)といった攻撃の要となる2人は本来の姿ではなく、8-20とあっという間に大差がついてしまう。丸谷(環3)の活躍もあり終盤は差を広げられることはなかったが、15-25で第1セットを落としてしまう。

高さのある岡田のスパイク

高さのある岡田のスパイク

「しっかり自分たちの形を作ろう」(岡田)と気持ちを切り替えて臨んだ第2セット。ここでもサーブレシーブが乱れる場面が見られたものの、岡田の鋭いスパイクが炸裂し、慶大はこれまでの3戦のような勢いを取り戻し始めた。一進一退の攻防が続く中、第1セットでは対応できなかったブロックも決まるようになり、「1セット目では簡単なボールも落としてしまっていたのですが、自分たちの意識で拾って次の攻撃につなげられていたので良かったと思います」と岡田が言うように、レシーブにも良い変化が見られた。互いに一歩も譲らない戦いが続いたが、最後は柳田が自分のミスを取り返すスパイクを連続で決め、28-26で第2セットを奪った。

このまま勢いに乗りたい第3セットであったが、序盤は日体大のスパイクに翻弄されレシーブミスやスパイクミスを繰り返してしまう。このままずるずるいってしまうかと思われたが、ここまで強豪相手に3連勝している慶大は簡単には流れを渡さなかった。稲田(環3)が持ち味のクイックを決めると、柳田もエースの意地を見せ強烈なスパイクを放つ。そして11-11とすると、その後は互いに一点を取り合う展開に。16-15と逆転する場面も見られたが、終盤柳田のスパイクが立て続けにブロックされると、流れを引き寄せる役割を任された佐藤(環2)もサーブミス。最後はダイレクトスパイクでとどめを刺され、20-25でこのセットを落とし後がなくなってしまった。

野瀬(環2)に代わり林(商2)がリベロとして出場した第4セット。いきなり岡田がスパイクで連続得点すると、星谷(理4)もクイックを決め、4年生の活躍でリードを奪う。しかしサーブが安定せず、これまでと同様に日体大ペースとなる。岡田はスパイクで得点を重ね主将としてのプライドを見せるものの、最後まで日体大の攻撃を攻略することはできなかった。17-25でこのセットも落とし、セットカウント1-3で試合終了。春リーグ王者の日体大に対し勝ち星をあげることはかなわなかった。

今季ここまで大車輪の働きを見せている丸谷⑮

今季ここまで大車輪の働きを見せている丸谷⑮

前回まで強豪相手に3連勝と波に乗っていた慶大。その好調の理由は、相手のデータを選手たちが共有し、相手の攻撃を頭に入れてから試合に臨む、いわゆる「データバレー」であった。これまでもデータを集めていたが、それらを十分に活用することができなかったという。改善に取り組み、うまく選手に伝わるようになったことが飛躍につながった。しかし宗雲監督が「逆に当然日体大も同じ対策をしている」と語るように、今回は日体大のデータに基づく対策が慶大にはまってしまう形になった。そして何よりも、「力強さで押してくるというよりも、8割くらいの力で奥に打ってくる」(林)ジャンプサーブに対応できなかったことが敗因であろう。サーブレシーブが乱れることで、「思ったような攻撃的なプレーができなかった」(柳田)。しかし、若い選手の台頭も見られた。第4セットではスタートからリベロとして出場した林である。「つなぎの部分でもう少し自分が行かなければいけない場面があった」と反省点もあるが、見事な二段トスなどでチームに貢献し、成長した姿を見せた。この後も明大、中大といったいくつもの強豪校が慶大の前に立ちはだかるが、今回も途中出場した上野(文1)ら下級生の活躍は重要なポイントとなる。そして、この試合では「あんまり良くなかった」と語る丸谷もチームに大きく貢献してきた選手であり、悲願のタイトルに向けてキーマンとなる存在だ。次戦の相手は中大。春リーグではフルセットに及ぶ激闘の末勝利した相手である。まだまだ戦いは終わらない。日体大には敗北してしまったが、これまで保ってきたモチベーションを失わないことが今後の勝利につながるはずだ。「何よりも自分たちが夏目指してきたバレーやチームスタイルがぶれないように」(宗雲監督)一つ一つの試合に挑んでいく。

(記事 杉本理沙)

 

監督・選手コメント

宗雲監督

(今日の試合を振り返って)負けたことは非常に残念ですね。勝つためにやっているので結果に関しては本当に残念としか言い様がないですね。(日体大戦への対策は)もちろんいろいろやっているんですけど、それは詳しくは言えないので、多分どこのチームも同じことだと思うんですけど、うちの場合は学生コーチとアナリストが中心となって相当つめていたんですけど、逆に当然日体大も同じ対策をしているので、向こうの対策がこっちにはまってしまったと思います。(日体大の攻撃の印象は)サーブが強いです。サーブに押されましたね。サーブに押されたので、うちのセンターとサイドがずっとマークされて。サイドの選手はストレスがかかってきつかったと思いますよ。サーブレシーブももちろん良いんですけど、サーブが今までで一番良いんじゃないかな。(日体大はサーブミスも多く見られたが)強いサーブを打って外すというのは、メリットとデメリットがあるので。弱く打てばミスも少なくなりますけど、ジャンプサーブでちょうどいいところにボールを打つので、そのようなサーブが入る確率が高いですね。うちの場合はまるで今の全日本の男子と一緒で、強く打つか弱く打つかしかないので。ちょうど良い7,8割のサーブというのがなかなか打てないので、その差はすごく大きかったと思いますね。(見つかった課題は)例えばですが、サーブレシーブを、岡田選手を外したサイド2人の丸谷選手と柳田選手とリベロの野瀬選手なら、セオリーとして柳田選手にサーブを集めるんですけど、今日は丸谷選手にサーブが集まって、丸谷選手のサーブレシーブが悪いという風に相手は判断したんだと思うんですけど、それでサーブレシーブの軸が見当たらなくなってしまったので、サーブレシーブの軸を早く作るべきだったなという反省はありますね。(次戦に向けて)試合はたくさん残っていますし、一敗したのは仕方がないので、あとは自分たちがこの後負けないように、モチベーションを下げないように、それから何よりも自分たちが夏目指してきたバレーやチームスタイルがぶれないように。ここで1回ぶれるとだめなので、ぶれないで戦いたいと思います。

岡田拓巳 主将

(今日の試合を振り返って)はっきり言って完敗だと思います。自分たちがやりたかったブロックで相手の攻撃をかけてレシーブをしっかり入れて自分たちの攻撃力を生かすということをまるまる相手にされてしまいましたし、自分たちの調子というのも最後までなかなか上がらずに終わってしまったので、かなり厳しい状況で戦ってしっかり相手に勝たれてしまったなと言う感じです。(自身のプレーは)気持ちが先行してしまってミスが序盤は出てしまったんですけれど、今日は柳田も調子が上がらなかったですし、僕がミスしているとチームとして前に進めないので、途中からはミスをしないということをまず念頭においてプレーできたので、後半はそれが生きて自分の本来のプレーができたので、そういう意味では自分はそこそこのプレーはできたのかなと思います。(第2セットを取れた要因は)第1セットで向こうに大差をつけられてしまったのですが、しっかり切り替えて自分たちの形を作ろうと意識を変えられたのが1つと、あとはレシーブですね。1セット目では簡単なボールも落としてしまっていたのですが、自分たちの意識で拾って次の攻撃につなげられていたのでそこは良かったのかなと思います。(次戦の中央大戦に向けて)なかなか力の差を圧倒的に見せつけられて負けてしまったのですが、ある意味では自分たちのできないところを相手に教えてもらったので、この一週間でまたそういうところを埋めて、次戦から出直すつもりで頑張ります。

丸谷将大

(今日の試合を振り返って)相手のサーブに乱されて自分たちの攻撃が単調になってしまい、そこで相手に切り返されてしまったので、相手のやりたいようにやられてしまって自分たちのプレーがあまりできなかったように思いました。(日体大戦に向けての対策は)事前にデータ班が相手のどこをサーブで狙うかだったり困ったときはどこに落とすかだったりを言ってくれてたんですけど、サーブを打っても思った以上に今日は返されてコンビを組まれてしまったのでもうちょっと自分たちのサーブを強くするか、今日は相手の正面に多くうってしまったのでサイドにふりわける打ち方をもう少し出来たらなと思いました。(自身のプレーを振り返って)今日はサーブで狙われる場面が結構多くて、それを返せないと自分の役割としては全然だめなので今日はあんまり良くなかったと思います。(次の中央大学戦に向けて)中央大学もサーブが良くてセンター戦とかコンビが多彩なチームなので対策をしてもっと練習して臨みたいです。

柳田将洋

(今日の試合を振り返って)日体大にはサーブなどで拾われてたり、攻めの姿勢にひいてしまった部分があったので、そういった意味では全体的に悔しい敗戦になったと思います。(ご自身のプレーの調子は)やはり向こうが拾うチームなので、自分らが攻撃的なプレーをもっとしたかったのですが、僕を含めあまり思ったような攻撃的なプレーができなかったので、反省の多いゲームとなりました。(今季初めての敗戦となりましたが)終わってしまったことなので、やはりそれほど気負わないようにしてることはあるのですが、やはり今回のゲームは反省点が多かったので、それを残り1週間で修正できるようにしたいです。(日程が前後していますが影響は)3年目で慣れてきた部分があるので、そこらへんは心配ないと思います。

林智之

(今日の試合を振り返って、日体大の強さはどのようなところにありましたか)相手はブロックが良くて粘りのあるチームだったので、こっちがコンビを組み立てられるようなレシーブができれば良かったのですけど、それができなくて、一方的な展開になってしまいました。(第4セットはスタートからの出場でしたね)4セット目始まる前に、監督に言われて準備はできていたのですけど、つなぎの部分でもう少し自分が行かなければいけない場面があったし、自分が引いてしまったところにもあったので、それでチームのリズムを良くできなくて、ああいう結果になったと思います。(途中には林さんの素晴らしい二段トスも見られましたね)あれは(野口)剛志郎さんが(レシーブを)丁寧にあげてくれたので。でも、その後のプレーでつなぎのミスをしてしまったので、あそこでちゃんとつないでいれば、というのはあります。(リベロとして、日体大のサーブはいかがでしたか)相手のジャンプサーブは、思いっきり打つなど力強さで押してくるというよりも、8割くらいの力で奥に打ってくるなどのサーブが多かったです。(中大戦にむけて)中大もコンビバレーを絡めた攻撃力のあるチームだと思うので、レシーブ、とくにサーブカットをしっかりして、自分たちのバレーをできれば春みたいな良い展開になると思います。

サイド 柳田将洋(環3・東洋高)
セッター 野口剛志郎(環3・東福岡高)
センター 星谷健太朗(理4・渋谷幕張高)
サイド 岡田拓巳(商4・熊谷高)
サイド 丸谷将大(環3・東筑高)
センター 稲田聡典(環3・日向学院高)
リベロ 野瀬将平(環2・東福岡高)

途中出場

 

佐藤凜太郎(環2・東北高)
林智之(商2・高知学芸高)
吉田純(環2・東亜学園高)
上野素希(文1・甲陽学院高)


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