【バスケ】残り7秒1点差!シーソーゲームの行方は…? vs関東学院大

 

高さで劣るインサイドで、攻守に渡り奮闘した権田

高さで劣るインサイドで、攻守に渡り奮闘した権田

 

リーグ戦7連勝と快進撃を続ける慶大。第8戦目、迎え討つのは前シーズン奇しくも敗北を記した関東学院大。高いセンター陣を誇る相手に「センターをどうやって抑えるのかというのと、外回りのシュートに気を付けて」(佐々木HC)挑んだ。試合はお互い一歩も引かぬ展開に。1Qこそ攻めあぐね相手のペースに呑み込まれたものの、2Q中盤から慶大のリズムに持ち込む。4Qで相手の猛追を受けるも、持ち味の粘り強いディフェンスを生かし、勝負所の強さを見せた。「今シーズンのいい流れを継続できたからこそ、できた良い試合だった」(権田)。今季最高の流れに後押しされた慶大が、手に汗握るシーソーゲームを制し、見事8連勝を成し遂げた。

2013/09/22(日) @東洋大学総合スポーツセンター
第89回関東大学バスケットボールリーグ戦2部 8日目   vs関東学院大
  1Q 2Q 3Q 4Q 合計
慶大 14 26 18 18 76
関東学院大 20 17 16 22 75
◆慶大スターティングメンバー◆
PG #21 西戸良(総1・洛南高)
SG #16 伊藤良太(環3・洛南高)
SF #10 矢嶋瞭(総4・福大大濠高)
SF #4 蛯名涼(法4・洛南高)
C #23 黒木亮(環2・延岡学園高)
◆主要選手スタッツ(背番号/選手名/成績)◆
#16 伊藤良太:28得点

#11 権田隆人:17得点、7リバウンド

泥臭くインサイドに割って行く蛯名のプレーは、高さにも負けないことを証明した

泥臭くインサイドに割って行く蛯名のプレーは、高さにも負けないことを証明した

試合開始直後、西戸の鋭いドリブルで試合のテンポを掴んだ慶大。パスを受けた伊藤がしっかりゴールを沈め、慶大が先制する。しかし、苦しい時間帯に突入。相手の高さあるセットプレーに翻弄され、立て続けに得点を許す。蛯名を起点とした素早いパス回しで果敢にシュートを放つも、セカンドチャンスを拾いきれない。なかなか得点に結び付けられず凍る慶大スコア。伊藤、西戸がスピード感溢れるドライブインで奮闘するも、相手の3ポイントシュートが猛追を許さない。14対20、6点のビハインドを背負い1Qを終える。巻き返しを図る第2Q。果敢に攻める姿勢を見せ、ゴール下で相手のファウルを誘発する。着実にフリースローを決め、得点を重ねていく。じりじりと詰め寄る慶大。伊藤がアウトサイドから綺麗にネットを揺らすとついに2点差に。開始5分、ここから両校に怒涛のゴールラッシュが到来。試合が大きく動く。オフェンスリバウンドをしっかりと掴んだ権田隆人(政3・慶應高)、ジャンプシュートを放ち逆転に成功。その後もゴール下に切り込み、自らチャンスを作り出すとポイントを量産する。要所で光ったのは吉川治瑛(環3・世田谷学園高)のプレー。「高さで劣る分を速さでカバーしようと臨みました」(吉川)と語るように、ラン&ガンの起点となった。勢いに乗った慶大、40対37の3点リードで後半を迎える。

ディフェンスからチームに流れを引き寄せた西戸。リーグ戦で好調を維持する1つの要因となっていることは間違いない

ディフェンスからチームに流れを引き寄せた西戸。リーグ戦で好調を維持する1つの要因となっていることは間違いない

身長のあるセンターに対し、2人・3人がかりで対応するも一矢報いることは適わず。テンポを崩され、開始2分で同点に追いつかれる展開に。この流れを断ち切ったのは、「今日はやってやろうと、強気で攻めようと思いました」(西戸)と語る西戸。パスとリバウンドに大きく貢献すると、呼応したように慶大に動きが戻る。大元孝文(環2・洛南高)の3ポイントシュート、権田のドライブインやゴール下でのシュート。スペースを大きく利用し、インサイド・アウトサイド両陣から多彩な攻撃を見せる。高い位置でのボールマンへのプレッシャー、さらにゴール下に切り込んでくる相手への素早い対応と集中力あるプレーの慶大。激しい当たりに負けない強いフィジカル、技光るドリブルで相手を翻弄した伊藤がゴールを決め、第3Qが終了。58対53、得点差を維持して最終Qへ。手に汗握る展開となった第4Q。序盤、3連続シュートを決めた慶大が流れを手繰り寄せる。3ポイントシュートを決められるも、黒木と伊藤がすかさず反撃。オフェンス、ディフェンス両面のリバウンドに健闘した黒木、相手のリズムへ持ち込ませない。暗雲ただよう試合展開となったのは開始4分。「セカンドチャンスを拾われてイージーなバスケットをやられ」(権田)始める展開に。逆速攻やドライブインなど一瞬の隙をつかれ、3連続シュートを許す。相手のパスカットも目立つようになる。たまらずタイムアウトを要求する慶大。その後も、高さあるセンターのリバウンドを起点にパスをつなぐ相手に拮抗した試合が続く。残り約40秒、1点差まで追い詰められる。残り26秒、7秒と立て続けにタイムアウト。逆転のチャンスをものにしようと意気込む関東学院大、高まる会場のボルテージ。しかし、今季の慶大は、7戦を勝ち抜いて来た。実力と自信を持ち合わせている。「シュートに対するファールは絶対駄目だ」(佐々木HC)というコーチの言葉を胸に、リング下の選手へ意識を集中させる。張り詰めた空気、息を飲む展開。大元がディフェンスリバウンドをしっかりと掴み、試合終了の合図が鳴り響いた。

次戦の神奈川大学戦はリーグ戦の折り返し地点。「8勝か1週目全部勝つかはすごい大きな差だと思う」(西戸)と語るように、後半戦を迎えるにあたって重要な意味を持つ。チーム一丸となって捥ぎ取った勝利。しかし、「伊藤の個人技でなんとか試合を繋いだという形」(佐々木HC)であったこの試合。「チーム全体として一対一を多くする」(権田)ことが課題として挙げられる。「怪我人が出ないようにということが、やっとここに来て全員が揃っている」(佐々木HC)というように、万全の体制で挑む慶大。高い得点能力を誇る真木や、練習でぐんぐんと頭角を現している山崎の活躍にも期待したい。リーグ戦前半、全勝なるか。慶大の快進撃はもう誰にも止められない。

(記事: 佐藤優)

◆試合後コメント◆

佐々木三男HC

相手のセンターをどうやって抑えるのかというのと、外回りのシュートを気を付けていたんですが、ドライブでかなりやられましたね。そうは言っても、勝てたのでよかったかなと思います。(相手のビッグマンを2人や3人で囲うシーンが多く見られたが)練習でやっていたことですね。それと、黒木が高校時代にああいう選手がチームメイトだったんで、それにどう対処するかというのが分かってたような気がします。(オフェンス面での反省は)ドライブからピッチパスということをもう少し正確にできないと、学生には言ったんですが、伊藤の個人技でなんとか試合を繋いだという形なので。それだと持たないので、もう1人フォローが付いて行って、2対1の形から得点を取ってこないといけないですね。伊藤の1対1だけになってしまってます。(3Qに相手が2種類のゾーンを敷いて来たが、指示は)今シーズンは、私の考えているゾーンアタックとは違うというか。きちんとした形を作って攻撃するよということではなくて、自分の前のギャップをきちんと割って、割った後のピッチパス・キックアウトをしようということです。ある意味、単純化したものがゾーンであれマンツーマンであれ、どちらにも対応出来ているということだと思います。フォーメーションは殆ど作っていないので。(終了間際の2度のタイムアウトの指示は)センターにマウンテンパスが行くだろうなと思っていたので、権田をスローワーに付けて、という指示をしました。外にボールが行ったらそのパスを狙いながら、最後のシュートに対してファールをしてはいけないよ、と。一番守らなければいけないのは、リング下の大きい選手。次がアウトサイド。シュートに対するファールは絶対駄目だよ、という話をしました。(次週に向けて)学生にも既に言ってありますが、来週から授業が始まってそれぞれのリズムの生活が始まるので。大きな負荷がかかって来ると思うので、自己管理をしっかりすることでね。今、去年からずっと言い続けている「怪我人が出ないように」ということが、やつとここに来て全員が揃っているので、来週は真木(達,環2・國學院久我山高)をもう少し復活させられればと思います。今日みたいに得点が取りたい場面なんかでは彼の得点能力は活きてくるので。もう1つは、山崎哲(環2・秋田高)を使いたいんですが、私の決心が悪いですね(笑)練習で相当上手になっているので、こういう時に使わないと腐っちゃうとは思っているんですが…今日15点くらい差が開けば、使うつもりだったんですがね。来週についてはそういうことです。

[G] 伊藤良太(環3•洛南高)

1点差ですが勝ったということが去年と違って良かったところですが、4Qの残り五分で相手から攻められてしまった時に受け身になってしまって、やはりポイントガードとしてああいうところでチームをまとめる声がけができなかったというのは反省点ではあります。(この試合を通して得点シーンが印象的だったが、どのように感じたか)最初自分のゴールで先制点が入るなどがあって、自分のタッチがいいなとは感じていて、前半それは良かったなと思ったんですが、後半4Qという大切なシーンでシュートを外してしまったので、ああいうところで外からのシュートだけに頼らず強いドリブルをしてボールをもらうというプレイができなかったのが反省点です。(相手チームの要であった10番の選手に対してどのような対策をとっていたか)まず黒木が10番に対して前に立って、後ろは三線でカバーしようという作戦で、前にもられてもドリブルでついて行ってダブルチームでいって、そしてしっかり外にさばかせるということをローテーションでやって守ろうという意識はしていたんですけど、まだまだやられた部分が多かったので、ローテをいれた後でしっかり最後スリーまでチェックをいれてこれからやっていかなければならないかなと思っています。(次の試合に向けて)やはり前半全勝というのが目標だと思うので、神大戦は春負けてしまった相手だと思っているので、相手も小さくて全員がうまいチームだとは思うんですけど、僕たちもやっぱり持ち味であるディフェンスで走るということを1試合を通じてやり通せば絶対に勝てると思うので練習を頑張って行きたいと思います。

[G] 吉川治暎(環3・世田谷学園高)

今日はセネガル人の選手がいるということで、高さで劣る分を速さでカバーしようと臨みました。前半はあの高さにやられちゃって、ウチのやりたいバスケがやれなかったんですけど。僕が出たらディフェンスを頑張って、早い展開に持っていってウチの流れに持って行こうと思っていました。(出場の際に意識していたことは)最近はドライブを期待されているので、オフェンス面では相手を抜いて自分のシュートだったり、周りに合わせようと思っていました。(セネガル人選手に対して、自分なりに意識していた対策は)センター陣が前を抑えてくれるので、後ろに投げられるロブパスをヘルプに行って取ろうと意識して守っていました。(2Qや3Qの出場時、自分やチームの意識として走ろうと思っていたか)伊藤達ガード陣も、僕が出たら走ろうという意識でプレーしてくれるので、僕も走るつもりでやっていますし、周りもそう思ってくれているので、そういう早いペースになるのかなと思います。(積極的に攻めて行く姿が見られたが)相手がゾーンだった時に自分から仕掛けて崩して行って、周りに合わせるピッチパスだったりシュートだったりを狙おう、とは意識していました。(チームとしてゾーンアタックは)練習中に練習していることはあるんですけど、ゾーンになったからって外から打つのではなくドライブして行け、という指示を受けているので。僕はドライブを狙ってプレーしていました。(相手の#3は東京国体のチームメイトだったが)高校の時からずっとマッチアップしていたので、久しぶりで楽しいっていうのもありましたし、負けたくないっていう気持ちでやっていました。…五分五分だったと思っています(笑)(次週に向けて)神大は春に負けているチームなので絶対勝ちたいと思っています。ガード陣が強いチームなんで、負けないようにオフェンスでもディフェンスでも頑張りたいと思っています。

[F] 権田隆人(政3・慶應高)

去年だったら絶対に勝てない試合だったと思います。今まで7連勝してきて、みんなで最後まとまることができました。うまい感じでああいうシチュエーションになりましたけど、今シーズンのいい流れを継続できたからこそ、できた良い試合だったのかなと思います。(相手のセンターへの対策について)特に無かったですけど、チームとして守らなければいけない部分は間違いなくあそこでしたし、チームの共通理解があったので、そこがやってきたことなのかなと思います。(インサイド陣の出来について)黒木がよく頑張ってくれました。ですが、僕は上手く守れていたかと言われると微妙かなと思います。最終的にやられちゃった部分もたくさんありましたし、今後あのような相手とかもたくさんいると思うので、うちはあまり大きくなく、今日出来なかった部分もたくさんあったので、練習していきます。(具体的には)1回目では割と守れていたと思うのですが、1回目でみんなで寄って、その後のセカンドチャンスで拾われて、手叩いてバスカンとかが多かったです。1回目を守ることが出来ていることはいい部分なんですけど、先生にも言われた通り、セカンドチャンスを拾われてイージーなバスケットをやられたのが多かったので、そこは修正しなくてはいけないと思います。(オフェンスについて)チーム全体として1対1を多くするようにと言われていて、プィ選手が黒木じゃなく僕についてきたので、自分の中ではやれるかなと思ってました。僕自身今センターとか4番で出てますけど、3番4番あたりのプレーは自分でも出来ると思っているので、ガチガチの5番のプレーヤーが来たら自分がやらなきゃいけないなと思っています。日大の時も上手く出来たので、今後大きい選手が僕についてきたら一対一をやっていかないといけないと思います。同じくらいの身長や低い身長の選手がついてきた時にいかに攻めていけるのかというのが課題だと思うので、そこも練習していきます。(次週に向けて)来週で1周するので、神大戦に勝つことを照準を合わせていきます。春は勝ててないですし、僕自身もっと出来るプレーとかもありますし、今までとは全然違う試合になると思います。今までも外国人留学生と対戦していない中、今日も勝てたので、神大は今までと違う相手ですけど、しっかり練習してうまく戦えたらいいなと思います。

[G] 西戸良(総1・洛南高)

セネガル人の選手がいて高さがあるなかで、最後ああいう形になってしまったんですけど、勝ち切れたというのは、とても嬉しいし、今後の経験にもなると思います。(自身のオフェンスを振り返って)昨日ちょっと調子が悪くて、迷惑をかけてしまったので今日はやってやろうと、強気で攻めようと思いました。(ディフェンスで心掛けていることは)とりあえず相手が進むコースに入って、取れそうだったらボールに手を出すことで、ファールは相手の流れになってしまうので、ファールは控えるように心掛けています。(点差を詰められてしまった原因は)高さがあるということで簡単な攻めをされてしまったり、リバウンドがおろそかになってしまったりとか、簡単なとこで、ミスではないんですけど気を抜いたことで、それが連続して起きてしまったのが原因だと思います。(最後に勝ち切れた決め手は)やっぱり今まで勝ち続けてきて流れもいいですし、先輩たちもディフェンスに気合が入ってて、気持ちの問題で勝てたと思います。(次週にむけての意気込み)8勝か1週目全部勝つかはすごい大きな差だと思うんで、チーム一丸となってまた気持ちを入れて、今週練習に取り組んで勝てるように頑張りたいと思います。

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