【女子テニス】勝負所で露呈した“隙” 2年連続の王座進出はならず 関東大学テニスリーグ

昨季は46年ぶりに王座(全日本大学対抗王座決定試合)への出場を果たした女子庭球部。2年連続の王座出場、さらには全国8連覇中の王者・早大を倒しての日本一へ。勝利へあと一歩まで近づいた春の早慶戦、さらには個人戦でのタイトル獲得と着々と歩みを進めてきた。そして上位2校のみが得られる王座への出場権を懸けて挑んだ関東大学リーグだったが、山学大、早大に敗れて3位。誰もが予期し得なかった早期敗退となってしまった。

 

☆関東大学テニスリーグ(女子1部)

2014年9月2日~10日@有明テニスの森公園・亜細亜大学

第1戦 vs.専大  ○7-0(ダブルス2-0、シングルス5-0)

第2戦 vs.亜大  ○5-2(ダブルス2-0、シングルス3-2)

第3戦 vs.山学大 ×3-4(ダブルス1-1、シングルス2-3)

第4戦 vs.筑波大 ○7-0(ダブルス2-0、シングルス5-0)

第5戦 vs.早大  ×1-6(ダブルス1-1、シングルス0-5)

 

最終順位

1位 早大

2位 山学大

3位 慶大

4位 専大

5位 亜大

6位 筑波大

本調子でない中でもダブルスは全勝した池田・西本組

本調子でない中でもダブルスは全勝した池田・西本組

 

6チームで行われるリーグ戦。大事な初戦は格下・専大との一戦となった。先に2本勝負で行われるダブルス。慶大はD1に大学最強ペア、池田玲(環3・富士見丘高)・西本恵(総3・岡山学芸館高)組を、D2に今季のインカレベスト4ペア、藤岡莉子主将(総4・徳島市立高)・村瀬早香(環1・京都外大西高)組を送りこんだ。D1こそフルセットまでもつれるも2本を先行するとそのままシングルスも全勝。一本も落とさずに快勝スタートを切る。

この1年で大きく成長した小林

この1年で大きく成長した小林

 

続く亜大戦も勝利し、迎えるは今季のインカレで連覇を狙った池田・西本組を破ったペアやインカレシングルスベスト4を擁する強豪・山学大であった。昨季も4-3と接戦。王座出場への大一番は激闘となった。ダブルスは池田・西本組が貫録のストレート勝ちを収めた一方、互いに今季インカレベスト4のD2対決は山学大に軍配。1-1で折り返す。そして勝負のシングルス。S5の江代純菜(総1・九州文化学園高)がストレート負けを喫した中、S4の小林夏実(環2・秀明八千代高)は1stセットを奪い、2ndセットも先行しマッチポイントを迎えた。しかし、「最後に勝ちきるところの詰めの甘さ」(八田朝子主務(文4・横浜雙葉高))から決め切れないでいると流れは山学大に。逆転で落として王手をかけられると最後はS2で藤岡が敗れ、王座出場へ厳しい一敗となった。

1年生ながら全試合シングルスで起用された江代

1年生ながら全試合シングルスで起用された江代

 

後の無くなった慶大は続く筑波大戦を快勝し、最終戦の相手はここまで全勝中の早大。慶大が王座に進出するには早大に勝ち取得本数で上位2校に入らなければならなかった。しかし今春の早慶戦では3-4と勝利まであと一歩に迫っており、逆転での王座進出への舞台は整いつつあった。 シングルスに勢いをつけるためにも肝心なダブルス。序盤から慶大は流れを掴めない。D2の藤岡・村瀬組は要所でミスが相次ぎストレート負け。池田・西本組も序盤のリードを守り切れずに先行され、最後は逆転勝ちしたものの「他のコートも引っ張るくらいの勢いの動きを慶應に持ってこられなかった」(西本)。

早慶戦で意地を見せた坂元

早慶戦で意地を見せた坂元

 

この時点で1-1。まだ慶大に勝機は十分にあったが、ここから王者の凄みを見せつけられる。S4、S5で登場した安形玲耶(環2・城南学園高)と江代。特に安形はここまでリーグ戦全勝だったものの、この日は早大のパワーテニスの前に良さを出せず。王手をかけられた慶大はS3坂元君佳(政3・湘南工科大付属高)が意地を見せる。得意のフォアとサーブでポイントを重ねて1stセットを奪い、2ndセットもタイブレークまで持ち込む。しかしタイブレークを接戦の末落とすと最後は一方的な展開で敗れ、この時点で慶大の敗戦が決定。さらに小林、西本も敗れ、終わってみれば1-6と差がつく結果となった。

 

2年連続の王座出場とはならなかった慶大。今大会は勝てるチャンスがありながら「隙がうちにはあった」(藤岡主将)と、勝負所で決め切れない場面が目立った。また今大会で引退となった4年生からは「最後こうやって結果が出せなかったということは4年間やっても意味がない」(藤岡主将)と厳しい言葉も。その一方で「結果が出るようになってきて確実に階段は登っている」(坂井利彰監督)のも事実だ。今季は関東レベルの大会では全て優勝者を出し、技術的には成長がはっきり表れている。あとは「勝負所で力を発揮する」(坂井監督)精神的な部分の成長が選手に求められてくる。今季悔しさを味わった3年生以下が多く残る来季。日本一へ、ここからが本当の勝負だ。

西本は来季最上級生としてチームを牽引していく

西本は来季最上級生としてチームを牽引していく

 

(記事 飯田駿斗)

 

◆慶大監督・選手コメント(全て早大戦後のコメント)  

坂井利彰監督

―リーグ戦5試合を振り返って

「あと一歩で王座に行けなかったということで、個人戦もインカレの決勝で(西本が)マッチポイントを取りながらあと一歩で優勝を逃し、団体戦もあと一歩で優勝を逃したということで、この“あと一歩”というところを来年以降のチームで埋めていって欲しいと思っています。」

―山学大戦、早大戦と一本が取れそうなところで取りこぼしてしまった要因は

「自分でそこについては責任を感じていますし、部員たちをそういった勝負所で力を発揮するように導けなかったことに責任を感じています。具体的に言うと、日頃の練習の中から勝負所を意識した練習を一人一人がやっていけるかどうか、そこへのチャレンジがこれから続いていくと思います。学生達はここまで頑張ってくれたと思いますし、そこに対しては胸を張って引退して欲しいです。」

―女子部のこの一年間を振り返ると

「本当にひたむきな4年生達だったので、日本一が獲れなかったといっても関東3位というは十分素晴らしい結果ではありますし、ひたむきに頑張った部員達を誇りに思っています。だからこそ、全国で優勝させてあげたかったです。それを3年生以下が必ず成し遂げてくれると思っています。」

―来季のことを考えると今の3年生以下は試合に出ているメンバーも多かったが

「1年生も良い選手が入ってきてくれたし3年生は色々な経験を積んでインカレダブルスチャンピオンもチームにはいますし、個人戦でも結果が出るようになってきて確実に階段は登っていると思うので、これからが勝負だと思います。」

―来季に向けて

「まずは競争力を高めること。スポーツ推薦があるわけではないのでうちの選手層はどうしても薄いですし、薄い分どうやって競争力を高めていくかが鍵だと思います。春の早慶戦では3‐4とあと1ポイントまで来て、インカレもチャンピオンをあと1ポイントで出せるとこまで来ていたので、あと一歩を埋められるように目線を高めて競争力を高めてもう一回また頑張っていきたいと思います。」

 

藤岡莉子主将(総4・徳島市立高)・八田朝子主務(文4・横浜雙葉高)

―今リーグ戦を振り返って

藤岡「日本一を目指してやってきた中で王座に出場出来ないことについて、この負けをまだ自分の中で整理し切れていなくて、自分は選手として出場して自分が負けてチームも負けたのでチームを引っ張り切れなかったことが一番悔しいです。」

八田「藤岡が言ったように、リーグ戦は通過点で王座でいかに優勝を目指した勝ち方が出来るかというところにこの一年間照準を合わせてやってきたので、チームに隙があったという事実が結果としてこの負けにつながったということを、もっと周囲を見ている私がカバーしなくてはいけなかったことが一番悔やんでいます。あとはベンチコーチとして選手のサポートをしていたので、負けたことも選手の責任というよりもベンチ含めサポートの責任だと思いますし、チームとして何か大きな変化がない限り日本一を目指すことはそんなに簡単じゃないということは改めて痛感しました。」

―敗れた山学大・早大との差は

藤岡「差があったというよりは自分達の甘さと弱さが試合に出て、技術はそれほど変わらないと思うんですけどそこの隙がうちにはあったのかなと。向こうが戦績で上回っているなら向こうよりその隙を少なくしなくてはいけないんですけど、そこが潰しきれなかったのが一番の差かなと思います。」

八田「最後に勝ちきるところの詰めの甘さだと思います。山学大戦でもマッチポイントを握っていながらファイナルセットに入ったり、今日のシングルス3でもセカンドセットで追いつめていながら取られたりと、勝負強さが慶大に今一番足りていないと思います。」

―庭球部でのこの4年間を振り返って

藤岡「日本一になるために4年間やってきてそれが達成出来なかったのは4年間やってきたつもりだっただけで、最終的に結果を変えることは出来なくて、この4年間の積み重ねの中で自分の基準というのが日本一の基準ではなかったのかなと。庭球部の4年間で色々なことはありましたけど、結局最後こうやって結果が出せなかったということは4年間やっても意味がないと思うので、後悔という言葉では表せないぐらい今は日本一になれなかったことそれしか頭にないです。」

―この4年間を通じて得たものは

八田「これだけ一つのことにとことん向き合って、どのスポーツも同じだと思うんですけど特にテニスはメンタル面が最後勝敗を分けるスポーツだと思っていて、一部校のトップは技術の差はなくて最後はどれだけ勝負強いか、勝つ時にラケットを振れるかどうか足が動くかどうか、そういう部分での精神力が鍛えられているかだと思っています。この庭球部で、まだ本当に甘くて結果は出なかったですけど精神面でのタフさは自分の中で養うことは出来たと思います。それが結果として出なかったので、この4年間で自信につなげるというところまではいけなかったですが。」

―4年間一緒に戦ってきた同期と、これから日本一を目指す後輩達へ

藤岡「同期は本当にお互い厳しかったですけどこの代で良かったなと思っていて、最後自分がメンバーとして出ている中でも色々なところで支えてくれて、私は勝たなくてはいけないところで同期の思いを背負って戦えなかったというのが申し訳ない気持ちでいっぱいで、この同期と日本一になりたかったのでそこは“悔しい”の言葉では表しきれないですけど今の同期で4年間やってこられたのは私の中でも大きなものになったと確信しています。後輩には4年間どれだけ苦しいことをやったと思っていてもそれを結果に変えることは難しくて、練習も勝ちたい相手以上の質と量をやらなくてはいけないですしそれをやったから絶対勝てるわけでもないので、試合の中でどうやって戦っていくのかを研ぎ澄ましていかないと今まで勝ったことのない相手に勝つことは難しいと思うので、私たちが味わった思いを二度と味わってほしくないので後輩には色々伝えていきたいと思います。」

八田「同期とは1年生の時からきつい部活の中で本音を言ったりぶつかり合いながらもお互いを理解し合っていたのが大きくて、自分の心の支えでした。この代で日本一を獲れなかったのが本当に悔しかったんですけど、この4年間でこの同期で感じたものを受け継いでいきたいと思います。後輩には、頑張るだけでは結果はついてこないし、実際どれだけ努力したと思っていても結果はついてこなかったので、自分達が想像している以上にきつい練習や辛いトレーニング、精神的にも追い込まれた状況を想定して試合や練習をやっていかないと簡単に結果は出ないですし、このチームは男女で日本一を目標にやってきているのでこの先どんな戦力であろうとそこはぶらさずに来年日本一を獲ってほしいです。」

 

池田玲(環3・富士見丘高)・西本恵(総3・岡山学芸館高)

まず初めに、今日の試合を振り返って

池田「今日の試合はそんなに良い内容ではなく、どちらが1本コートに多く返すかっていうそういう試合で自分自身も納得はいっていないですが、しっかり(勝ちを)一本取ってくるっていう役目は私自身は果たせたと思っているのでそこは良かったです。でもまだまだ潰していかなきゃいけない課題は本当にたくさんあるので、二人でしっかりもう一回1からスタートしたいなと思います。」

西本「今日の試合は勝ったは勝ったんですけど、やっぱり他のコートも引っ張るくらいの勢いの動きを慶應に持ってこられなかったって言う意味ではD1としての役割を果たさなければならなかったなと思います。」

試合は1セット先取されてからの巻き返しという展開だったが、そういうときの気持ちの持って気持ちのもっていき方、盛り上げ方は?

池田「一回、1stセットで起ったことを整理して次に何をやろうか決めています。」

リーグ戦全日程を振り返って

池田「全体的にみたらしっかり全部は勝ちきっているんですけど、でもまだまだなところは本当に多くて、とにかくさっきと同じことにはなりますが、勝ち方という面でまだまだ出来ることがあるっていうことを自分の中において、もう一回やっていきたいなと思います。」

西本「ダブルスに関しては一応全部勝ったんですけど(その中には)チームが負けた試合もあるし、そこは団体戦なので、やっぱり、自分たちがもっといい影響を与えられたところもあったと思うし、私たち自身もまだまだたくさん改善点があるので次の試合に向けてしっかり反省してまた練習していきたいと思います。」

今大会で今シーズンが終わるが、今季を振り返って

池田「二人でダブルスを三年間やってきて、今シーズン春関優勝、夏関優勝で臨んだインカレではコロッと負けてしまって、去年一昨年に比べてそこで一番結果が出せなかったという面では、本当にそこが一番、他のところでは勝ちきっているんですけどそこの大事なところで勝てなかったっていうところで、すごい悔しいという印象が強いです。」

西本「インカレで勝ててないので全然もっと強くならなきゃいけないし、今までの自分たちのかたちにプラスして、もっと日々新しいことにもチャレンジしていかなきゃいけないなっていう風に思っています。」

今大会で4年生が引退となり、3年生(のお二人の学年)が最上級生になるが、意気込みを

池田「とにかく自分たちが最上級生になるので、特にこのダブルスとかシングルスもそうなんですけど、下の学年が思い切ってもっといいプレーができるように自分たちは自分たちでしっかり勝って、勝ちきって引っ張っていけるような存在になりたいです。」

西本「この代で王座を獲りたかったので、悔しい気持ちや本当に4年生に対して申し訳ない気持ちでいっぱいで、次の代のことはまだ考えられないです。すみません。」

 

小林夏実(環2・秀明八千代高)

―今日の試合を振り返って

「シングルス2というのは試合がかかった状態で回ってくることが多いのですけど、やはりそこでファーストセットを落としてしまったことはチームにとってマイナスを与えてしまったと思います。ほんとによかった場面で負けてしまったのは、正直まだまだ自分のレベルが足りないと思います。」

―シングルスで接戦の末負けてしまったが、結果を分けたのは

「やはり相手のほうが大事なところでしっかりポイントをキープしたり、テクニックも上でした。大事なところで何をすべきかを相手がよくわかっていました。」

―リーグ戦を振り返って

「山学大戦での試合での自分の負けというのが、ほんとにそれでチームに迷惑をかけたという自覚があるので、正直あまりよくありませんでした。予選は全部勝たないといけないし、大事なところで負けてしまったというのは痛いところでした。」

―1年間を振り返って

「1年生の時になかなか結果が出せなくて、2年生になって新進・春関で結果残せたのですが、1年の時より結果を残せたという点では満足ではないですが、そういう気持ちがありました。結果を残せなかったことがこのようにリーグに出ると思うので、結果のアップダウンがあった1年でした。」

―来年に向けての意気込み

「下級生の面倒を見ないといけないとともに、4年生もしっかり支えていかないといけない難しい立場になると思うんですが、しっかりとその仲を取り持てるバランスの取れる3年生になりたいです。」

 

江代純菜(総1・九州文化学園高)

―今日の試合を振り返って

「まだ心の整理がついていなくて、4年生を絶対勝たせようと試合に臨んだんですけど ただ自分が甘くて、試合に入る前に後悔だけはしないようにといわれてプレーではやり切ったっていう気持ちはあるんですけど、勝たなきゃ意味がないので。」

―1年生でメンバーに選ばれたことについて

「1年生ですが選んでもらって試合にも出させてもらったからには勝たないといけないとは思っていたんですけど、ほんとに申し訳ないと。謝っても仕方ないですけど。」

―シングルスで接戦の末負けてしまったが、結果を分けたのは何だと思いますか。

「まだあいまいな状態で、はっきりとはしていません。」

―リーグ戦を振り返って

「勝たないといけないところで、山学戦であったり今日の早稲田戦であったり大事な一本を取れなかったので、ほかの対戦は勝つのが当たり前なので、王座に出てからが本番でした。」

―1年間を振り返って

「本当にあっという間で…あっという間でした。」

―来年に向けての意気込み

「やはり一番下でなくなるということで、下級生の中で上になるということで後輩を引っ張っていかないといけないと思いますし、今回負けて本当に今まで四年生から教えてきてもらったことを糧に、チームを二年生であっても引っ張っていけるようになりたいです。」

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