ついに幕を開けた関東大学対抗戦。日本一を目指す慶大は明学大との初戦に臨んだ。今季対抗戦Aに初昇格した相手に対し、前半は思うように波に乗れず21-3で試合を折り返す。しかし後半、BKを中心に7トライの猛攻をしかけ68-3と圧倒。相手をノートライに抑える完勝でまずは初戦を制した。
関東大学対抗戦A vs明学大
9月15日(月・祝)14:00K.O.@ニッパツ三ツ沢球技場
得点 | ||||
慶大 | 明学大 | |||
前半 | 後半 | 前半 | 後半 | |
3 | 7 | T | 0 | 0 |
3 | 6 | G | 0 | 0 |
0 | 0 | PG | 1 | 0 |
0 | 0 | DG | 0 | 0 |
21 | 47 | 小計 | 3 | 0 |
68 | 合計 | 3 |
得点者(慶大のみ)
T=関東4 森川 川原2 廣川 石橋 末永
G=矢川9
慶大出場メンバー | ||
ポジション | ||
1.PR | 青木周大(商4・慶應) | →16眞鍋泰明(経4・慶應) |
2.HO | 神谷哲平(総4・桐蔭学園) | →17末永晃二(商3・慶應) |
3.PR | 吉田貴宏(総4・本郷) | →18出口桂(商3・明善) |
4.LO | 西出翼(経3・慶應NY) | →19佐藤大樹(総1・桐蔭学園) |
5.LO | 白子雄太郎(商4・慶應) | |
6.FL | 廣川翔也(環2・東福岡) | →20鈴木達哉(環2・茗溪学園) |
7.FL | 木原健裕(総4・本郷) | |
8.No8 | 森川翼(環4・桐蔭学園) | |
9.SH | 宮澤尚人(法4・慶應) | →21星卓磨(政4・慶應志木) |
10.SO | 矢川智基(環3・清真学園) | |
11.WTB | 関東申峻(総4・宮古) | |
12.CTB | 石橋拓也(環4・小倉) | →22染原健人(理2・修猷館) |
13.CTB | 川原健太朗(環4・小倉) | |
14.WTB | 浦野龍基(政4・慶應志木) | |
15.FB | 下川桂嗣(商4・修猷館) | →23金澤徹(商1・慶應) |
慶大のキックオフで試合開始。すると早々にチャンスが訪れた。明学大のペナルティからSO矢川のタッチキックでゴール直前でのラインアウトを獲得。これを起点に左に展開し、最後はWTB関東がゴールラインを割った。最初のチャンスを見事ものにし、7点を先制した慶大。このまま流れに乗りたいところだったが「前半20分はミスが多く自分たちのプレーができなかった」(NO8森川)と、ここからはなかなかチャンスを生かせない。17分には自陣でペナルティを犯してしまい、相手にPGを決められた。それでも26分、ゴール前のスクラムから森川がボールを持ち出してトライ。再び自陣に押し込まれる時間が続くが、前半終了間際にはSH宮澤のゲインからまたも関東がトライを決めた。21-3となり前半終了。徐々に調子を上げたものの、思うように力を出し切れない前半となった。
しかし後半、慶大の猛攻が始まる。10分、自陣で相手のボールを奪うとそこからつないでいき、左サイドで関東が抜け出した。約60mの独走トライを挙げ、26-3。14分にはCTB川原がトライを決め、明学大を突き放していく。さらに23分、途中出場のSH星が敵陣深くまでゲインすると、ラックから最後はFL廣川がインゴールに飛び込んだ。直後にはCTB石橋・川原のパス交換で華麗に相手をかわし石橋がトライ。その後、隙を突かれ攻め込まれる場面もあったが、冷静に対応し相手に得点を許さない。すると終盤にもHO末永の対抗戦初トライ、関東のこの日4本目のトライが生まれる。最後に川原がダメ押しのトライを決め、ノーサイド。68-3で勝利し、対抗戦初戦を見事白星で飾った。
計10トライを奪い、相手をノートライに封じる完勝だった。まずはいい形でスタートを切ったと言えるだろう。だが、前半はミスも目立ち「まだ課題はある」(川原)と選手らは気を引き締める。次は昨季敗れた青学大との対戦。「昨年の借りを返す」(和田監督)。勝って雪辱を果たしてもらいたい。
【ケイスポ的MOM】トライ量産の陰の立役者 WTB浦野龍基
BKでのトライが多く生まれたこの試合。特に左WTBの関東が4トライを挙げる活躍を見せる中、右WTBの浦野はそのサポートに徹し勝利に貢献した。今季のWTBはポジション争いが激しく、1年時からAチームで活躍してきた浦野もスタメンの座を確保しきれてはいない。さらなる活躍でスタメン定着なるか。今後の戦いに注目だ。
(記事 吉山祐未)
コメント
和田康二監督
(今日の試合を振り返って)まずは開幕戦をしっかり勝てたことと、結果的にノートライに抑えることができたので良かったです。(序盤キックを多用していましたが)明学大相手ではありますが、きちんとした試合にすることと、まだこの時期は蒸し暑くボールが滑りやすいので、キックを多用しました。(では前半のスコアも想定内でしょうか)明学大もポテンシャルは高いので、特に前半は厳しい戦いになると思っていて、選手たちには思うようにスコアを重ねることが出来なかったとしても焦らないように言いました。(後半キックを使わなくなりました)ボールを持ったときに自陣からでも繋いだ方が良いと選手が判断しました。(今日出た課題とは)課題は色々ありますが、自分たちのペナルティからピンチを招いてしまったことと、ボールのセービングの所でミスが出たことです。(青学大戦に向けて)まずは次のJr.選手権の早大戦がかなり大切だと思っているので、そこに全力を尽くすことと、それが終わってからAチームは昨年の借りを返すということで勝ちにいきます。
木原健裕主将
(今日の試合を振り返って)ノートライに抑えたのは良かったんですが、最初のペナルティなどミスが多くそこを改善していかないと今後厳しいかなと思います。(初戦でしたが夏の成果が出せましたか)40点か50点です。まだまだなのでそこは今後やっていかなきゃいけませんね。(ディフェンス面の課題)ミスやディフェンス面でFWが前に出られていないことが今後の試合で穴にならないようにしたいです。(個人としては)勝ってホッとはしていますが、僕自身は全然ダメでした。僕のミスで3点入れられたり判断ミスやパスミスがあって。練習でやったことがすべて試合で出ると思うので、切り替えてやっていきます。(次に向けて)去年負けていてその借りを絶対返したいので僕が引っ張っていきます。
宮澤尚人副将
(今日は大勝でした)60点以上とったことよりも、ノートライに抑えられたことの方が大きいと思います。(対抗戦初戦、チームの雰囲気は)1人1人が気持ちがけっこう高ぶっていてイケイケになってしまっている部分があったので、僕と矢川のHBでしっかり落ち着かせるようには意識していました。(自身のプレーでは夏の成果が出せましたか)うまく展開できていたところはけっこうあったんですけど、もう少し自分で勝負していくところや9番がもっとアタックのオプションになれるような怖さを出していきたいなと思います。(チームとしての手応えと課題)今日の試合だとうまくいったのはディフェンスがしっかりできたことです。うまくいかなかったのはちょっとルーズボールへのリアクションスピードが悪くて相手にボールがいってしまったところと、前半の最初はキック処理を含めてミスが多かったところかなと思います。(次は昨年敗れた青学戦)青学は絶対に慶大戦にフォーカスをあててくると思います。まず慶大はディフェンスのチームなのでそこからリズムをつくって、ターンオーバーしてトライを決められるように。今日の後半にあったようなトライができたらと思います。
廣川翔也
(試合を振り返って)明学さんのつなぐラグビーを相手に、入りはあまりよくなかったんですけど、前半で相手を消耗させて後半流れに乗って取れるようになったのはよかったと思います。(ご自身の出来は)前半は緊張していてガチガチで何もできなかったんですけど、ハーフタイムで落ち着いてやり直そうと思って。そうしたら後半は結構タックルとかサポートも入れたのでよかったかなと思います。(初めての対抗戦出場でした)結構緊張するほうなので、お客さんも多くて前半は緊張しましたね。(トライシーンを振り返って)木原さんからボールもらったんですけど、プレッシャーがきていたので危ないと思って。トライ取るというよりは相手にビッグタックルされないように頑張ろうと思って耐えたら意外と抜けたのでちょっと想定外のトライでした。(次は青学大戦ですが意気込みは)まずは出られるようにこのあとの練習を頑張って、もし出られたら去年はボールボーイをやっていて目の前で負けを見ていたので、そうならないように思い切って前に出るようなプレーをしていきたいです。
森川翼
(今日を振り返って)序盤から相手を圧倒して自分たちの試合をやるというプランでしたが、前半20分はミスが多く自分たちのプレーができませんでした。次ははじめからミスをなくして自分たちのプレーをできるようにしたいです。(今日はトライを決められましたがご自身のプレーは)トライに関しては、相手のペナルティをとってくれたので決めなくてはと思い、振り切っていきました。全体的には、BKが外を攻めてくれたので、FWはブレイクダウン周りでファイトすることが多く、個人的にはそこでプレッシャーをかけられたのではないかと思います。(夏合宿の成果は)合宿ではかなり走りこんだので、フィットネス部分では特に後半は慶應のペースで進められたと思います。(青学大戦に向けて)昨年対抗戦で負けている相手なので、借りを返すという意味で必ず勝って日吉に帰りたいです。
関東申峻
(今日を振り返って)対抗戦初戦を勝利で飾ることができて良かったです。しかし、前半の20分の入りが自分たちのミスで崩れてしまったので、次戦はそのようなことが無いようにしたいと思います。(対抗戦初戦の意気込みは)慶大はどこの大学にも楽に勝つことはできないと思うので、一試合ずつ目の前の敵を倒すことを意識していました。今日は、前半厳しく耐えて、後半に大差をつけて勝利できたことが収穫だったと思います。(合宿の成果は)合宿でFWであればラインアウト、スクラムと取り組み、BKであれば速いパスを取り切ることを課題にして取り組んで来たので、そういう意味では今日はFWが耐えてBKが取り切るという、練習してきたラグビーができました。まだまだ修正すべき点は多いですが、合宿の成果は出ていると思います。(自身の出来は)4トライ決めることはできましたが、ウイングは層が厚いので自分が毎回出られるとは確定していません。ですから、一試合ずつアピールして、対抗戦に少しでも多く出場し、トライを取っていきたいと思っています。(青学大戦に向けて)昨年負けた時の悔しさは忘れていないので、必ずあの時の借りを返して勝利したいと思っています。
石橋拓也
(今日を振り返って)相手をノートライで抑えられたので、堅く戦えたと思います。(対抗戦初戦でしたが)特別緊張はなかったです。いつも通り戦えました。(合宿の成果は)一人ひとりがやってきたことをしっかりと生かせていたので、合宿の成果を出せた試合だと思っています。(自身については)今日は特に何もできなかったので、次の試合では自分の持ち味をしっかり出して頑張ります。(BK全体では)今日は外に振って取り切ることが何回もあったので、全体として取り切る力が付いてきたのではないかと思います。(青学大戦に向けて)去年負けた相手なので、絶対に負けないことを意識して頑張りたいと思います。
川原健太朗
(開幕戦でしたがどういうお気持ちで試合に臨まれましたか)変わらずいつも通りの自分のプレーをすることを意識していました。(今日の試合を振り返って)ノートライで抑えたことは良かったと思います。アタックについては前半はトライが取れなかったんですけど、これは仕方ないというか、後半相手が疲れたところで走ろうということでやっていたので。結果、後半あれだけ取れて勝てたので良かったと思います。(アタックの出来はどう評価されますか)一番最初のBKのトライは今までやってきた形でしっかり外に振って取りきるというか、(選手が)余った状況でトライを取るというずっとやってきたことができたので良かったです。つなぎのミスやイージーミスなどまだ課題はありますけど、全体的に見たら今日は良い評価ということでよかったんじゃないかなと思います。(ご自身のプレーについて)2トライ取れてチームの勝利に貢献できたことが大きいです。個人的にはドリブルをして、BKらしいトライが取れたので良かったと思います。(石橋選手とパスをつないで突破する場面もありましたが)あれはもうだいたいあいつがどこに来るかわかっていてパスを上手く放れたので。あいつのトライもしっかりアシストしましたし、今日はやっていてすごく楽しかったです。(次の青学大戦に向けて)去年僕は最後にちょっとしか出てなくて負けちゃった試合で、去年の借りもあるので。一戦一戦しっかり勝って青学大にもしっかりリベンジしたいと思います。
浦野龍基
(今日の試合を振り返って)チームとしては勝てたことと、0トライに抑えることができたので良かったです。個人としては、反省点が多かったです。(個人としての反省点は)キックミスがあったのと、ディフェンスで抜かれてしまったことです。(チームとしての反省点)明学大のチャンスの時に少し慌ててしまった場面がありました。(0トライに抑えたことについて)試合前から落ち着いてできました。(青学大戦に向けて)まずは試合に出ることが出来るように日々の練習からアピールしていくことと、青学大には昨年敗れていますし絶対に落とせない試合なので、ディフェンスをしっかりして勝ちたいと思います。
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