【男子テニス】2年連続の王座出場決定! 全国の舞台で雪辱誓う 関東大学テニスリーグ

昨季まで法大と隔年で王座(全日本大学対抗王座決定試合)の出場権を分け合ってきた男子庭球部。そのジンクスが、ついに破られた。昨季王座に出場した慶大は今季もリーグ戦で安定した戦いを見せる。ライバルの法大や明大を寄せ付けず、最終戦を待たずして2年連続の王座出場が決定。早大にも真っ向から挑み、敗れたもののぎりぎりの所まで追いつめて王者を焦らせた。

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☆関東大学テニスリーグ(男子1部)

2014年9月2日~13日@有明テニスの森公園・亜細亜大学

 

第1戦 vs.中大 ○7-2(ダブルス3-0、シングルス4-2)

第2戦 vs.明大 ○6-3(ダブルス2-1、シングルス4-2)

第3戦 vs.法大 ○6-3(ダブルス1-2、シングルス5-1)

第4戦 vs.専大 ○8-1(ダブルス3-0、シングルス5-1)

第5戦 vs.早大 ×3-6(ダブルス1-2、シングルス2-4)

 

最終順位

1位 早大

2位 慶大

3位 明大

4位 法大

5位 中大

6位 専大

(1位・2位が王座出場、5位・6位は2部との入替戦に回る)

 

6校で行われるリーグ戦。力関係で見れば王座9連覇中の早大が頭一つ抜けており、その早大を慶大・法大・明大が追っている。つまり、慶大としてはまず何としても法大・明大に勝ち、早大と優勝決定戦を行う展開に持って行きたいところである。

 

春から好調を維持する権。ラストイヤーに全てを懸ける

春から好調を維持する権。ラストイヤーに全てを懸ける

初戦は今季2部から昇格した中大に快勝を収める。そして続く相手は明大。明大は前日の法大戦で勝利しており、慶大にとっては負けると王座出場が厳しくなる一戦となった。まず行われるのが3本勝負のダブルス。ここを3-0、2-1で折り返したいところであるが、インカレベスト4のD2井上善文(経4・慶應義塾高)・近藤大基(環4・湘南工科大付属高)組がまさかの完敗。一気に明大に傾きそうな流れを断ち切ったのが、D1高田航輝(環3・湘南工科大付属高)・上杉海斗(環1・清風高)組だった。「いつもより思い切ってできた」(上杉)とのびのびとしたプレイでストレート勝ち。そしてD3谷本真人(環3・名古屋高)・渡邉将司(総3・名古屋経大市邨高)組もフルセットの末勝利をもぎとる。リードして折り返すと、シングルスではS3谷本・S4上杉がダブルスの勢いそのままに完勝。そしてS6権大亮(総4・秀明栄光高)が3時間以上に及ぶ激闘を制し、最初の関門を制す。

 

 

 

谷本は単複9試合で僅か1敗と抜群の安定感を見せた

谷本は単複9試合で僅か1敗と抜群の安定感を見せた

明大戦から中1日で迎えた法大戦。勝って王座出場をほぼ手中に収めたいところだったが、ダブルスでいきなり1-2と劣勢に立たされる。この窮地で、再びS4谷本・S5上杉がチームを救う。ダブルス唯一の勝利を挙げた谷本がシングルスも圧勝。一方の上杉は法大の主将相手に最終セットも5-5ともつれ、さらには足が攣るアクシデントも。しかし「勝つという強い気持ち」で最後は2ゲームを連取しチームを盛り上げる。さらに今大会好調のS6権が勝利して王手をかけると、最後はS3高田の勝利で勝負あり。第二の関門も突破した。

 

 

 

高田・上杉組は勝利まであと一歩に迫っていたが…

高田・上杉組は勝利まであと一歩に迫っていたが…

さらに昇格組の専大にも1本しか落とさず圧勝し、最終戦を残して2年連続の王座出場が決まった。そして迎えた最終戦。相手はここまで全勝で、王座進出を決めた早大だった。春に行われた早慶戦で慶大は敗戦を喫したものの、4-5と早大を追い詰めており、この最終戦も全勝で王座進出への大きな期待がかかっていた。

ポイントとなったのはダブルスだった。今春の早慶戦では前半のダブルスで二つ勝ちをとったというのが勝利まであと一歩となった大きな理由の一つ。序盤から攻勢に出た慶大は「(監督を9年間やってきて)初めて」(坂井利彰監督)3組全て1stセットを奪う。そしてD2の井上・近藤組が終始試合の流れを掴み離さず、「自分たちから積極的に動いて」(井上)春に敗れたペアに勝利。D1の高田・上杉組、D3の渡邉・谷本組は共にファイナルセットまでもつれる試合となった。D1の高田・上杉組は先行されても粘りを見せ、インカレチャンピオンの古田・今井組に対し2度マッチポイントを迎える。しかし、最後は早大不動のD1の勢いに押し切られて逆転負け。さらにD3谷本・渡邉組はファイナルセットタイブレークまで持って行ったが、小さなミスが命取りとなり、勝利を手にすることができなかった。

近藤はライバル・今井に勝利し一矢報いた

近藤はライバル・今井に勝利し一矢報いた

3-0まであと一歩としながら取り切れなかった慶大。すると下位のシングルスではS4上杉が痙攣により途中棄権をするなど良い流れが慶大にくることはなかった。近藤がS1の今井にストレート勝ちした他、ダブルスで惜しくも敗れたS3谷本が7-5、7-6(1)と長期戦の中しっかりと勝利したものの、結果3-6で早大に敗戦し、リーグ2位で王座へと進むこととなった。

 

1年生ながら単複にフル稼働した上杉

1年生ながら単複にフル稼働した上杉

 

女子同様、男子もコンスタントに個人戦で結果が出るようになってきた。それゆえ、法大・明大相手に苦戦こそしたものの、最後は地力の差や技術の差で突き放せられるようになった。ただ、日本一を目指すには早大の壁を超えなければならない。そのために、「メンタル的な部分を変えれば、相手を倒せるのではないか」(共に近藤)等、部員たちも早大を倒すために必要なことがはっきり見えてきている。

「自分達は勝てる力がある」(坂井監督)。それは春からの二度の戦いで証明してきた。早大の10連覇阻止、そして1977年以来の日本一に輝けるか。選手の口からは頼もしい言葉も聞かれた。「とにかく優勝しか見てないんで、全員で優勝しに行きます」(井上)。

 

(記事 飯田駿斗、光山千愛)

 

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全日本大学対抗テニス王座決定試合
10月22日(水)~10月26日(日)
22日:開会式、23日:1回戦、24日:2回戦、25日:準決勝、26日:決勝
会場:有明テニスの森公園

 

◆慶大監督・選手コメント(上杉選手以外は全て早大戦後)

 

坂井利彰監督

―リーグ戦を振り返って

「男女で王座に生きたかったんですけど女子が王座に行けなかったということで、とても悔しい負けでしたし悔やんでも悔やみきれないですけど、男女で王座優勝するということを碓井主将・藤岡主将の下でやってきたので、4年の女子はまだ引退しないで男子の王座まで男女一丸となって優勝したいと改めて思わせてくれたリーグ戦でした。」

―今日の早慶戦のダブルスについて、勝った井上・近藤組については

「春の早慶戦でも勝てていなくて自分達の中のどこかで壁を作っていた部分があったと思うんですけど、そこを打破したということで僕らもやればできるとずっと言い続けてきたので、それを証明してくれたのでチームにとっても自信になったし、僕がこの9年間監督をやってきた中でダブルス3試合全て1stセットを奪ったことは一度もなかったので、それだけチームが前進していると。勝つ力はあるので、「早大に勝てるかも」とかどこかで壁を作っている部分を払拭して「絶対自分達は勝てる力がある」と信じて臨むだけだと思っているので、それが出来ると確信しました。」

―あと一歩で勝てなかった残りの2本については

「(彼らは)今持っている力で十分勝てます。あとはそこを信じきる。歴史を変える時は錦織選手もそうですけど自分のことを信じてやりきることで、それがスポーツにおいて勝つための最後の力なので、女子も男子も負けた責任は僕にありますし気を引き締めてやっていきたいと思います。」

―ダブルスの悪い流れがシングルスの最初の3本に出てしまったように見えたが

「そこで踏ん張り切れなかったことが今のチームの足りないところですし、それは権にしても上杉は最後足を攣っちゃったし韓も初めて早慶戦に出て感じたことがあったと思うので、次彼らが出るかは分からないですけど下位で出る選手はそこで踏ん張れるような準備をしていきたいと思います。」

―王座まで約1ヶ月半あるが、具体的にこれから取り組んでいくことは

「大事なところでサービスが入るかリターンが入るかポーチが入るか決め球が入るか、そういうところだと思うので、練習の中で試合のために練習をする。練習のための練習にならないようにすることと、今まで夏休みで授業がなくてこれから授業が始まっていくと忙しくなるので、練習時間の確保と皆が集まった時にどれだけ集中してやれるか、その辺のタイムマネージメントが大事になってくると思います。基礎的なことをしっかりネジを締め直せば僕は勝つと思います。練習についても工夫が必要になると思います。」

―王座にむけて

「今年は歴史を変える。それに女子のこの悔しさを彼女自身に晴らせて優秀の美を飾らせてあげるには勝つしかない。それしかないです。」

 

井上善文(経4・慶應義塾高)・近藤大基(環4・湘南工科大付属高)

―リーグ戦を振り返って

近藤「あんまりダブルスは勝てなくて、二人で悩みながらいろいろと話し合ってきました。最後の最後に力が出て今まで勝てたことがなかった相手に勝てたのは良かったのですけど、今までこれまでの試合で今日みたいなプレイができていたら絶対負けなかっただろうと感じていて、これからの課題は今日みたいなプレイをいかにコンスタントに出すかだと思うので、王者に向けてそこに関して二人でまた話し合っていきたいと思います」

井上「リーグ戦の序盤、結果が出なくて。法政戦・明治戦で負けてしまい、今日は勝てましたが、勝ったことで満足とか今日のプレイできたからいいとかでは確実に一発屋で終わってしまうので。今日一試合勝っただけでまた王座で負けてしまうとか、足元救われる可能性は十分にあると思うので、もう一回二人で王座に向けてしっかりと話し合っていきたいと思います。チームとしては3-6で負けているので、全体としてもぼくらとしてももっと強くならないといけないですし、ダブルスではもう一回ストレートで、どの大学でも早稲田に限らず勝てるようにしていきたいと思います。」

―春の慶早戦で敗れた相手に今回勝てた理由は。

近藤「息の合ったプレイもできましたし、どのようなつらい状況でもポジティブにいれたことが勝因の一つだと思います。」

井上「ある技術が特別強くなったというわけではなく、ダブルスとしての力がこの前の早慶戦と比べて出たと思います。やはり常にポジティブでいることと、トライすることですね。今日は相手が攻めてくるのを待つのではなく、自分たちから積極的に動いて攻めることができた。つらい場面というのはあったのですが、そこでも終始前を向いてプレイできたのはよかったと思います。」

―D1、D3をどちらも接戦でありながら、勝てなかった理由は。

近藤「相手のほうが自信をもって、どんな状況でも諦めずに立ち向かっていたのだと思います。早稲田っていうのが慶應からみれば壁なので、その壁を乗り越えた時に勝てるようになるのだと今日確信しました。自分は特にシングルスで壁を乗り越えられたと思っていますし、乗り越えられたら相手がたとえ早稲田だとしても今では強いとは思わないですし、完全にメンタル的なところだと思います。」

井上「近藤の気持ち的なとこに加えて、競った場面で、特に最後とか5-6などすごく緊張する場面でやることが明確になっていて、ストローカーであったら徹底的にストロークで攻める、前で動くタイプであれば徹底的に前に出る、自分の役割を全うできたのが勝ったペアであり、それが今回は早稲田だったのだと思います。」

―今日のS1を振り返って

近藤「相手は最初にめちゃくちゃ思い切りやってきて、かなりプレッシャーをかけてきました。厳しい状況におかれることが多かったなかで相手の厳しいショットに我慢できたとともに引かないで挑むことができたのが勝因だったと思います。

―団体戦としての負けが決まった中で、どのような意気込みで試合に臨まれましたか。

近藤「モチベーションを保つのはすごく難しくて、最初はなんとなくはいってしまいました。正直ここまで決まってS1にはいることはあまり今年なかったので。インカレでも優勝しているので自分とのプライドの戦いですし、ここで勝ったら王座で当たったときに慶應のチームとしてもプレッシャーになれるとも考えながら挑みました。」

―女子が今大会王座出場を逃したという中で、女子の分まで戦っていこうという気持ちはやはり強いですか。

近藤「そうですね。ずっと男女でやってきたので、今回の敗北はチームとして悔しいですし、とにかく男子が優勝してその分までやっていこうと思います。」

井上「女子の分までというのもありますが、女子の敗北っていうのを生かす義務があると思います。その敗因を女子から教えてもらって、負けをただの負けにせず、ぼくらの勝ちにつなげられるようにしていきたいと思います。」

―春4-5、今回3-6と接戦であった中で、王座決勝で当たった時に勝つには何が必要ですか。

近藤「もうぼくの中では一つで、壁を乗りこえることだと思っています。早稲田に対しての考え方を変えることだけだと思うんで。自分が練習でやっているプレイを試合で出せれば相手がだれであろうと勝てると思うんで、メンタル的な部分を変えれば、相手を倒せるのではないかとダブルスでもシングルスでも見ていてそう思いました。」

井上「壁を乗り超えるということに加えて勇気を持つことが大事だと思います。緊張している場面で振りぬくことや足を動かすこと、攻めることは難しいことだと思いますが、そこを乗り越えることで勝ちが見えてくるんじゃないかなと思います。」

―泣いても笑ってもあと1か月少ししかない中で、王座に向けての意気込みをお願いします。

近藤「絶対優勝します」

井上「とにかく優勝しか見てないんで、全員で優勝しに行きます。」

 

 

谷本真人(環3・名古屋高)

―リーグ戦全体を振り返って

「昨季からの目標としてリーグ戦で10戦10勝すると決めていて、またインカレの時から長所と弱さと向き合うことを貫こうとしていて、そこが変わりつつある結果としてシングルスは全勝出来たのかなと思います。ただ今日のチームの負けは僕らのダブルスの負けの影響が大きくて、王座に向けてもう一度振り返って前進するしかないので、王座でまた全勝出来るようにやっていきたいです。」

―春からの試合を経て技術的に変わったところは

「いや、技術はそれほど変わっていなくて、自分がすべきテニスと相手の嫌なところを以前よりも考えるようになってそこが変わってきているのかなというのはあります。」

―今日のダブルスについて、春負けたペアに対してどのようなことを考えて臨んだか

「僕たちのダブルスは良い時はとことん良くてそれが今日の2ndセット途中まで出ていて、悪い時に落ちてしまって波があるので、そこを2人で声を出して波をなくして常に良いプレーをしようというのを2人で心がけていました。技術どうこうというよりも声を出すとか根本的なことしか考えていなかったです。」

―優勢なところからひっくり返された原因は

「4-1までの流れで、強気で攻めきるところで自分達からポイントを獲りにいけなかったことでしかないと思います。」

―終盤流れが悪かった中でタイブレークまで巻き返せたことについては

「あそこは3-5とかだったので、2人で声かけあってやり続けた結果として、僕らは泥仕合で勝つしかなかったので、あそこまで持ち込むのは当たり前でそこでどう勝つかが大事なので、負けは負けという感じです。」

―今日のシングルスについては

「今まで勝てていなかった相手に勝てたことについてはよしとして、まだ自分に隙があって1st2-5になったり2ndで突き放せるところで突き放せられなかったり、まだ自分との勝負になっていることが多くて、古田も怪我とかで調子が悪かった中でリーグの中で調子を上げてきていて、王座の時には早稲田の選手は皆調子を上げていると思うので、自分達はその上をいってストレートで全て倒すぐらいの実力がないと今まで優勝しているチームには勝てないと思うので、1本も欠けることなく9-0を付けにいくようにしてやらないと勝てないと思います。」

―王座までの約1ヶ月半あまり、何に取り組んでいくか

「インカレから心がけていることを練習でやっていくことですね。技術面ではあまりなくて気持ちの部分を日頃から高めて練習の質を上げていけるかどうかだと思うので、自分と向き合いながら練習していきたいと思います。」

―王座に向けて

「今日悔しい思いをしたので、王座は全てストレートで全勝していくしかないと思っています。」

 

上杉海斗(環1・清風高)(法大戦後)

―今日の試合を振り返って

今日は相手が法政で、ダブルスが3-0、悪くて2-1ということをチームで言っていて、自分が最初ダブルスで結局最後のファイナルでタイブレークで負けてしまって、流れや雰囲気が悪くなってしまいましたが、まだ勝つチャンスがあるということを信じていたので、とにかくシングルスで1本任せていただいていたので、切り替えてシングルスに集中してやりました。シングルスは絶対に勝ってやるという気持ちで試合に臨みました。

―接戦となったシングルスで、相手の印象は

相手は初対戦で、相手の選手もあまり見たことがなかったので、実際イメージが湧いてこなかったんですけど、とにかく自分のプレイを貫いて頑張れば勝てると自分に信じ込ませてやっていました。最後は、足がつっていたんですけど、それでも勝つという気持ちが強くて、最後まで動いてプレイしました。

―今後に向けて

これから団体戦も個人戦も含めて、1戦1戦全力で、絶対にどんな相手にも負けないように、これから練習でもきっちり取り組んでいきたいと思います。

 

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