第88回関東大学サッカーリーグ 第22節
2014/11/16(日)11:30KO@味の素フィールド西が丘
慶應義塾大学1‐0早稲田大学
【得点者(アシスト者)】
慶大:50分 増田湧介(川田悠介)
◆慶大出場選手
GK | 峯達也(政4・桐光学園高) |
DF | 溝渕雄志(環2・流通経済大学付属柏高) |
DF | 望月大知(環2・静岡学園高) |
DF | 久保飛翔(環3・済美高) |
DF | 宮地元貴(総2・東京ヴェルディユース) |
MF | 井上大(総2・國學院久我山高) |
MF | 浅間翔大(理4・暁星高) |
MF | 山浦新(総4・東京ヴェルディユース) |
MF | 川田悠介(環4・桐蔭学園高)→74分 澤根祐(商4・清水東高) |
FW | 増田湧介(環4・清水東高)→90+3分 小林剛(環4・鎌倉高) |
FW | 山本哲平(政2・國學院久我山高)→88分 平戸奨眞(法4・暁星高) |
15日に行われた駒大vs流経大が2-2のドローに終わったため、この試合に勝利すればインカレプレーオフの切符を手にする慶大。最終節の相手は因縁の相手・早大となった。この試合では、後期採用してきた4-1-4-1ではなく、5-4-1と守備重視のシステムを用い、センターバックに宮地(総2・東京ヴェルディユース)、望月(環2・静岡学園高)、久保(環3・済美高)を並べた。
試合は、すでに4位でリーグ戦を終えることが決まっている早大が攻勢を仕掛ける。8分、中盤でボールを受けた早大・山内がドリブルで運び、左足でミドルシュートを放つ。これはゴール上へ外れるも、早大は山内と上形の2トップで慶大ゴールに迫っていく。序盤は慶大の5-4-1があまり機能せず、1トップに入った山本(政2・國學院久我山高)にボールが収まらず、早大に主導権を握られる時間が長くなったが、25分を過ぎたあたりから早大のパス回しにも慣れてくると、ボールを奪ってからのカウンターが炸裂する。30分、右サイドをオーバーラップした溝渕(環2・流通経済大学付属柏高)のクロスに山本が飛び込むも惜しくも合わず。40分には、中盤でボールを奪った川田(環4・桐蔭学園高)が右サイドをドリブルで突破する。ゴール前に走りこんできた増田(環4・清水東高)に低いクロスを送るが、早大DF陣に寄せられてしまい、シュートを打つことはできなかった。
その後は、風下に陣取る慶大は、早大のロングボールを使った攻めに手を焼くも、何とか跳ね返し続け前半をスコアレスで折り返す。
「気持ちの部分で絶対に負けないように」(須田監督)。インカレプレーオフに進むためには勝たなければならない慶大は、後半に入ると1段ギアをあげる。山本、増田、川田を前線に置き、3トップ気味にして攻勢を強めていく。そして待望の先制点を50分に奪う。最終ラインから前線にロングボールを供給するとこれを川田が頭でそらす。これを早大ディフェンダーが処理を誤ると、増田の前にボールがこぼれる。GKと1対1になると、増田は右足を振りぬく。クロスバーに当たったボールはゴールに吸い込まれ、1点のリードを奪う。
2点目を奪い、試合を決定づけたい慶大は、その後もカウンターからチャンスを作り出す。57分、カウンターから増田がボールを運び、川田へラストパス。しかしこれはディフェンダーに阻まれ追加点を奪うことが出来ない。
リーグ最終節の早慶戦。永遠のライバル相手に負けは許されない早大も選手を入れ替えることによって慶大に傾きかけた流れを引き戻していく。69分、右サイドからのクロスが逆サイドに流れるとそこに待っていたのは慶大キラーの上形。左足でゴールに流し込むが、これは峯(政4・桐光学園高)がファインセーブ。得点を許さない。76分に、フィジカルの強い宮本を投入すると、前線にボールがより収まるようになり慶大は守備に回る時間が長くなる。慶大も選手交代で流れを引き戻そうとするも、早大の波状攻撃は止まらない。85分、慶大は左サイドを突破され、ゴール前へ決定的なパスを通されてしまう。ゴール前への折り返しを決められ同点かと思いきや、これはオフサイドの判定。事なきを得る。
さらに87分、今度は右サイドを細かいパスで崩され、ゴール前のフリーの選手にパスを通されてしまう。しかしこれは望月が体を張ってシュートブロック。決して同点ゴールを許さない。88分に平戸(法4・暁星高)、90+3分に小林(環4・鎌倉高)を投入し、逃げ切りたい慶大は、敵陣コーナーフラッグ付近でボールをキープし、時間を稼いでいく。そしてアディショナルタイム目安の4分が経過したところでタイムアップの笛。選手・スタッフ、そして慶大の勝利を待ち望んでいた観客の歓喜の声に包まれた。
公式戦9連敗中の早大に対し、3年半振りの勝利。そして後期の初戦以来リーグ戦10試合ぶりの勝利をあげた慶大。勝ち点差3で追っていた駒大を得失点の差で追い抜き、見事6位フィニッシュでリーグ戦を終えた。これによりインカレプレーオフ進出を決め、北信越リーグ2位・金沢星稜大との戦いで勝利すれば、今季の目標であった「インカレ出場」を達成することが出来る。
今季の慶大はリーグ前半戦では、堅守速攻を武器に勝ち点を積み上げていった。しかしアミノバイタル杯で総理大臣杯の出場権を逃し、さらに7月に行われた早慶定期戦で敗れると、調子は落ち込んでいった。リーグ後半戦の桐蔭大戦には勝利したものの、その後は9戦勝ちなし。インカレ出場圏の4位から7位まで順位を落としてしまった。最終節の早慶戦という舞台で劇的な勝利を収め、何とかプレーオフへと駒を進めた。プレーオフの相手は金沢星稜大。悪かった流れをこの早慶戦勝利で引き戻し、未知なる相手に勝利し全国の舞台へ進むことが出来るか。
(記事 青山直樹)
◆試合後コメント、
須田芳正監督
(今日の試合を振り返って)
もう最高でしょ。
(この1週間はどのような準備をしたか)
フォーメーションを変えたので、そこの準備はしましたね。相手の2トップを消そうということで、マンツーマンでつかせて、1枚余らせるという形で。最初はあまり良くなかったんだけど、日に日に慣れてきて今日ははまったというかね。
(前半と後半で変えたことはあるか)
変えることはなかったけれども、うちらは点を取らないと勝てないから取ったあとの切り換えと言うか、取った後の攻撃を一体となってしないと、その0コンマ何秒を早くしようということと、あとはそのままでしたね。
(前半は相手のゴール前までは行くけれどもシュートまでは持ち込めなかったが)
相手の守備も良かったし、やっぱり取った後が遅いので、相手がしっかりとポジションをとって守られるからシュートまでなかなかいけなかったんですけど、後半は取った後が少し早かったんでそれがゴールにつながったのかなと思います。
(後ろも5枚でサイドバックも攻撃参加しやすかったのでは)
5枚と言うよりかは3枚で3-4-3という形で、いつもよりかは少し前目で今回はもう少し前から行こうと。それで(パスコースを)限定させて、トップに収めさせないようにしてそのこぼれを拾えれば攻撃にもつなげられるので。溝渕あたりは前半から積極的に行ってくれたんで攻撃に厚みが出たんじゃないかな。
(前節も最後にセットプレーでやられたが今日は最後まで集中力が切れなかったが)
この前のゲームが自力で行けるポイントだったと思うんですけど、相手のほうが気迫であったり気持ちの部分で負けていたのでね。僕は早稲田でも週1回体育の授業でサッカー教えてるんですけど、まさに慶應と早稲田が授業でもカラーが出るんですよ。早稲田は1回目の授業から試合をやると遠慮がない。怪我するんじゃないかっていうくらいやる。慶應はすかすんです。3回目の授業くらいまでは。恰好つけるんだよ。全然盛り上がんないんだよ。こっちが盛り上げて何とか授業やるんだけど、早稲田は何にも言わなくてもがつっとやる。一般の学生がそうで、体育会でもそれがカラーだから出てきちゃう。セットプレーでもやられちゃうからビビってるんですよ。気持ちでやられちゃうから後期は修正つかなくなっちゃう。そこの部分は昨日選手にも話をして、気持ちの部分で絶対に負けないようにと。やっぱり駆け引きも必要かな。そこは今日は集中してセットプレーもいくつかあったけど集中して守れたし、最後押し込まれる場面もあったけど、みんな体張って。ああやってるとオフサイドも取ってくれるし。
(3週間前くらいまではインカレ争いを楽しむということだったが最終節の相手が早稲田だと気持ちも違ってくるのでは)
昨日までは宙ぶらりんの状態で他力しかないと。ただリーグ戦は最後終わって何位かだから、我々は早稲田に勝つことだけを考えてやろうと言ってきたし、選手たちも駒澤がどうだということは考えないで準備しました。特に準備したのは戦術のところ。そこは細かいところまでで、僕が思ってるのと選手が思ってることに微妙なズレがあったのでね。
(プレーオフに向けて)
もう1週間後なんで、今日はもちろん喜んでもいいんだけど、次の試合のホイッスルはもう鳴っているので、我々は淡々と準備していきたいです。
増田湧介(環4・清水東高)
(今日の試合を振り返って)
本当に勝ててよかったです。
(得点の場面を振り返ると)
みんながしっかりと守ってくれて、良いところにボールがこぼれてきたので決めるだけでした。
(今日は5バック気味だったが戦術的にはどうだったか)
フォーメーションどうこうというよりかは1人1人が戦うことが大事だし、よく戦ってくれたと思います。
(早稲田が相手ということで意識したことは)
相手が早稲田ということを忘れるくらい夢中になって戦う、ということは意識しました。試合に勝つことも意識してたので、勝ててよかったです。
(4年間最多出場という個人賞もとったが)
1年生の時から自分を信頼して使ってくれた監督に感謝したいです。
(プレーオフに向けて)
僕らの目標は日本一なので、プレーオフもしっかり勝って日本一を目指したいです。
保田隆介(法4・横浜F・マリノスユース)
(早慶戦に勝った感想は)
昨日4年生が早稲田のBチームと試合をして、すごいいい形で逆転勝ちしてくれて、その姿というのを今日出た選手が見てて感じるものもあったと思うんですけど、そういったものをしっかりグランドで出せていたというか、まだこのチームでサッカーをやりたいんだという気持ちをやってる選手から感じたので、そこが勝因かなと思います。
(試合前に選手たちと話はしましたか)
1人ひとりに声かけたのであまり覚えていないですけど、もう出ている選手は言葉をかけるまでもなく自信をもってピッチに立ってくれると思っていたので、そんなに実際かける言葉はなかったです。
(副将としてのリーグ戦1年を振り返って)
チーム的には後期全然勝てなくて、個人的にもプレーがひどくて、チームにプラスになるようなことはほとんどできなかったと思うので、個人的にはとても苦しい1年だし、大学・高校のサッカー含めて最悪のシーズンでしたけど、まだなんとかする機会はこの先残ったのでその残りで何ができるかというのが大事だと思うので、頑張っていきたいと思います。
(プレーオフへの意気込み)
1回駒大に負けてほとんど可能性がなくなったというか、相手次第になったというところからまた復活できたので、失うものは何もないと思うので、もうチャレンジあるのみという、何も失敗を恐れずにチーム全員で頑張っていけたらなと思います。
浅間翔大(理4・暁星高)
(今日の試合を振り返って)
本当に早稲田に勝てたということが嬉しくて、また目標であったインカレの出場権を得られるプレーオフに行ける切符をもらえたことが嬉しかったです。
(今日が最後になるかもしれないという中で、どんな気持ちでこの試合に臨みましたか)
本当に勝つことだけを考えて試合に臨みました。
(今日も攻守に渡って大活躍でしたが)
本当に今までやってきたことをそのままこの試合でも出せて、また早慶戦とかプレーオフに出場するという気持ちもあった分さらに良いプレーが出来たと思います。
(早大相手に無失点に抑えたというのは)
ここ最近失点していたので無失点で抑えられたことは今後にもつながると思います。
(プレーオフに向けて)
今日戦った気持ちというのを忘れずに、次の試合絶対勝ってインカレに出場したいと思います。
川田悠介(環4・桐蔭学園)
(今のお気持ちは)率直にすごく嬉しいですね。
(どのような意気込みで試合に臨んだか)
昨日駒澤が引き分けたということで、勝ちしかなくて、しかも相手が早稲田で。本当に絶対勝つ、ただ勝つ、その気持ちだけでやりました。
(勝因は)
一番気持ちが入ったゲームだったのかな、というふうに思っています。気持ちだけじゃなくて、プレー面でも技術面でも、組織的にしっかりと自分たちのサッカーができたんじゃないかな、と思います。
(ハーフタイムにはどのような指示が)
特に指示はありませんでした。「ただやるだけだ」ということを監督に言われて、それは皆も分かっていたと思うし、点を取るだけでした。
(ご自身にとっては最後のリーグ戦だったが)
後期は明大戦以外全部スタメンで出させてもらって、なかなか結果でチームに貢献できなかったと思っています。それ以外の結果に出ない部分で少しは貢献できたけど、これからインカレに出るにあたって、もっともっとチームを助けられる選手になっていきたいなと思います。
(プレーオフに向けて意気込みを)
もうインカレに行くためには絶対勝たなければいけなくて、またチーム全員気持ちを入れ直して、しっかりインカレ、日本一という目標に向かって戦っていけたらなと思います。
宮地元貴(総2・東京ヴェルディユース)
(今日の試合を振り返って)
スタメンで出た試合は久しぶりで、最終節で相手が早稲田というのもあって、さらに勝ったらインカレのプレーオフへの出場資格を得られるということもあったので、純粋に勝てて嬉しいです。
(5バック気味で臨んだ守備を振り返って)
自分としてはすごくやりやすくて、今日の役割もはっきりしていましたし、自信を持ってプレーすることができました。
(プレーオフや今後に向けて)
厳しい目で見ると、もっと個人としてもチームとしてもできたことがあると思いますし、今日勝てたことはすごく嬉しいですけど、これは単なるリーグ戦の一戦に過ぎないので、これからまた試合が続くという幸せな状況にいるので、次に向けてしっかり準備していきたいです。
溝渕雄志(環2・流通経済大学付属柏高)
(逆転でのプレーオフ出場が決まって)
非常に嬉しいです。
(早慶戦は3年ぶりの勝利となったが)
僕が入学してから一度も勝てていなかったので、インカレプレーオフを懸けて、ましては超満員の前で最終節の早慶戦ということで、慶應としては楽しもうということを言っていたので、最後は早稲田に勝つことも嬉しかったしああいう試合展開で最後守り切って、いわば今年の慶應のスタイルを出せて勝てて次につなげられたことが大きくて満足しています。
(前節で駒大に敗れてインカレへ非常に厳しい状況となったが、この1週間どのような思いで練習に臨んできたか)
厳しい状況は間違いなかったですけど、4年生を引退させる気もなかったですし誰も下を向いていなかったので、駒沢の引き分けを呼び込んでこういう舞台を自分たちで作って最後しっかり勝てたと思います。可能性はゼロじゃなかったので、皆信じてやってきて良かったと思います。
(終了間際のオーバーラップなど、90分通じて気持ちのこもったプレーが見られたが)
今季は前期ずっと試合に出ていて、後期は怪我で全く試合に出られていなくて、どうにか自分が戻ってからチームに流れを与えたいという思いがあったんですけど、それでもなかなか結果が出ずにこういう状況になって、最後は飾らずに慶應の泥臭さを4年生の分まで自分が体現しようと考えていて、今日は5バックでサイドのポイントが大きくなるシステムだったので、ゴールに絡むこととサイドを守り切ることを1人でやってやろうと気持ちで臨んだ結果、しっかりチームのために貢献出来たと思います。
(来週のプレーオフに向けて)
プレーオフというよりはインカレ一回戦というイメージで、相手がどういうチームか分からないですけど、とにかく慶應が今まで1年間やってきた守備を徹底して、勝って12月につなげられるように勝つことだけを考えて全員で準備していきます。
山本哲平(政2・国学院久我山高)
(今日の試合を振り返って)
勝ててよかったと思いますが、個人的には出来はよくなかったと思います。
(勝たなければいけないこの試合、チームとしてどう臨んだか)
フォーメーションも前回の4ー1ー4ー1から攻撃的に3ー4ー3に変えてやったんですけど、それが勝ちに繋がりました。
(まだ4年生と試合ができますね)
正直、前節敗戦して厳しい状況になってしまったんですけど増田さんとかがチームのモチベーションを保ってくれて、そのなかでプレーオフにいけて、悔いがないように思いきってプレーしようと思います。
井上大(総2・国学院久我山高)
(今日の試合を振り返って)
チームとしては早慶戦の9連敗を絶対に2桁にしないということと、インカレプレーオフがかかっていたので勝ててよかったです。個人としてはここ2、3試合出れていなくて最後にチャンスをもらったので絶対に0に抑えてやろうと思ってプレーしました。
(勝たなければいけないこの試合、チームとしてどう臨んだか)
今まで後ろが4枚だったのが、3枚+ウイング2人になって相手のサイドハーフとサイドバックにしっかり対応しようということでやったんですけど、うまく対応できてよかったと思います。
(守備の場面では5バックになったりと3バックの良さも出せたのでは)
公式戦でやったのは初めてだったんですけど、守備で手応えもありましたし、早慶戦ということで守備のオーラがあったことがよかったと思います。
(まだ4年生と試合ができますね)
今日勝ってプレーオフに進めたということは4年生がこの1週間やってきてくれた結果だと思うので、自分たちは試合に出させてもらっている立場なのでそれを無駄にしないように来週から一戦一戦最後だという気持ちで全力でプレーしたいです。
コメント