第63回全日本大学サッカー選手権大会1回戦
2014/12/11(木)13:30KO@ShonanBMWスタジアム平塚
慶應義塾大学2-0福山大学
【得点者(アシスト者)】
慶大:8分 山本哲平(端山豪)、88分 宮地元貴(川田悠介)
福山大:
★慶大出場選手
GK | 峯達也(政4・桐光学園高) |
DF | 溝渕雄志(環2・流通経済大学付属柏高) |
DF | 久保飛翔(環3・済美高) |
DF | 望月大知(環2・静岡学園高) |
DF | 宮地元貴(総2・東京ヴェルディユース) |
DF | 井上大(総2・國學院久我山高) |
MF | 浅間翔大(理4・暁星高) |
MF | 山浦新(総4・東京ヴェルディユース) |
MF | 川田悠介(環4・桐蔭学園高)→90+1分 小林剛(環4・鎌倉高) |
MF | 端山豪(総3・東京ヴェルディユース)→90分+2分 澤根祐(商4・清水東高) |
FW | 山本哲平(政2・國學院久我山高)→90分 田中健太(法1・横浜F・マリノスユース) |
先日の延世大との定期戦に続き、主将の増田湧介(環4・清水東高)がメンバー外。増田の代わりに左サイドに端山豪(総3・東京ヴェルディユース)が入り、キャプテンマークは峯達也(政4・桐光学園高)が巻いた。
前半、慶大は風下のサイドを選択。しかし、攻勢を強めたのは慶大だった。開始5分、CKを得ると宮地の落としに最後は山本が頭で押し込むも、福山大守備陣にライン上でクリアされてしまう。直後には前線のこぼれ球を川田悠介(環4・桐蔭学園高)が下げ、宮地が狙いすましたミドルを放つも、これはバー直撃。得点の気配がする中、8分にその時は訪れた。センターライン付近やや左からのFKの流れで、端山からファーの山本へピンポイントのロングパス。これを山本が豪快にボレーでニアを打ち抜き、慶大が先制に成功する。その後は風上に立つ福山大がボールをキープし、慶大がカウンターを伺う展開に。しかし、互いにゴール前での精度を欠き、さらに突然の大雨もありチャンスは作れず。35分には宮地のクリアミスからピンチを招くも、守備陣が体を張ってシュートを打たせない。前半終了間際、浅間翔大(理4・暁星高)、端山が立て続けにシュートを放つも枠を捉えられず、1点リードで前半を終える。
追加点の欲しい中、後半最初のチャンスは慶大に訪れる。5分、右サイドの川田からのクロスに井上大(総2・國學院久我山高)が左足で合わせるもポストに嫌われる。その後は強風の影響もあり、なかなか1トップの山本に収まらない時間が続く。18分には一瞬の隙を突かれスルーパスで抜け出されるが、シュートは峯がキャッチ。慶大も巧みなパスワークから攻撃の回数を増やしていくも、逆にゴール前で詰まって決定機を作れない。それでも粘り強い守備で試合を進めると、44分に相手陣内の右サイドでFKを獲得。川田からのボールをニアの宮地が頭で合わせ、待望の追加点をあげる。その後は選手交代を含めセーフティーな展開で時計の針を進める。そして試合終了のホイッスル。福山大を寄せ付けず2-0の完勝を収めた。
今季1年間かけて慶大がやってきた「堅守速攻」のサッカー。今日はこれが完璧にはまった。相手のロングボールを久保飛翔(環3・済美高)・宮地らが弾き返し、ボールに対し複数人で体を投げ出して奪いに行く。攻撃では山本が確実にボールを収め、端山・山浦新(総4・東京ヴェルディユース)がボールを落ち着かせる。攻撃面での課題は多少あったにせよ、自分たちのやりたいサッカーを90分間継続することが出来た。
試合後、選手たちから共通して聞かれた言葉があった。
1つは「チャレンジャーの気持ち」。1か月前、最終節で大逆転でプレーオフ圏内に滑り込み、プレーオフを勝ち抜いてインカレ本戦出場が決まった。「僕らは24大学の中で一番下手」(溝渕雄志(環2・流通経済大学付属柏高))、「我々はプレーオフ枠で最後の最後に滑り込んだチームなので、常にチャレンジャーの気持ちでやる」(須田芳正監督)。インカレの舞台に立っても、謙虚な姿勢は変わらない。
もう1つは「増田のために」。延世大との定期戦以降欠場の続く増田主将。今大会での復帰も不透明だ。思い返せば、1年生からレギュラーとして慶大を支え、昨季は最終節で残留を呼び込む同点ゴールを決め、今季は最終節で早大相手にプレーオフ行きを決める決勝点を叩き込んだ。こうしてインカレの舞台に立てているのは増田主将のお陰と言っても過言でない。「増田さんが帰ってくるまで負けられない」(溝渕)、「早くまた増田と一緒にプレーしたい」(峯)。主将のためにチームは今再び一丸となった。
2回戦の相手は、関西王者の阪南大。最大の特徴はリーグ戦22試合で85得点の超強力な攻撃陣。堅守を誇る慶大とは対称的なチームだ。予想されるのは「守備のチーム対攻撃のチームという絵に描いたようなゲーム」(峯)。慶大は阪南大の攻撃に耐えながら、ワンチャンスをものにしたいところだ。誰よりも日本一を渇望し続けてきた主将のためにも、史上最大の下剋上を完成させるためにも、荒鷲たちが王者の牙城を崩しに挑む。
(記事 飯田駿斗)
NEXT GAME
全日本大学サッカー選手権大会2回戦
慶應義塾大学vs阪南大学(関西1位)
12月14日(日)
13:30KO@ShonanBMWスタジアム平塚
★慶大監督・選手コメント
須田芳正監督
―今日の試合を振り返って
「トーナメントということで勝利することが一番大切なことだったので、勝てて良かったです。」
―天候などコンディション的に難しい試合だったと思うが
「それは相手も同じなので、風も前半は風下でしたけど。ただ、こういう試合は何試合もやっているし、雨の試合も多かったですし、注意はしましたけど過剰にならないようにと伝えただけなので。それほど気にならなかったかな。」
―増田主将不在の影響は
「それはないんじゃないかな。全員が戦力でそういう準備もしてきましたし。もちろん彼がいないのは痛いですけど、その他の選手がよく戦ってくれたと思います。」
―今日の課題は
「ボールを持った時にもっと幅広くピッチを使ってサイド攻撃を多くしたいと思っています。」
―2回戦は関西王者の阪南大との一戦だが
「関西チャンピオンなので、今日の試合もそうでしたけど我々はプレーオフ枠で最後の最後に滑り込んだチームなので、常にチャレンジャーの気持ちでやるということをしっかり持って、全力を尽くしたいと思います。」
峯達也(政4・桐光学園高)※この日ゲームキャプテンを務めた
―今日の試合を振り返って
「前半風下の中で我慢しようと話していて、我慢しながらも1点取れて0に抑えることができて、後半は風上ということでセーフティに試合を進めながら追加点を狙えたら狙おうということで試合を進めていました。」
―増田主将不在の中、ご自身がキャプテンマークを巻いたが
「自分は4年生なので、今までチームを引っ張ろうと思ってやってきた部分を変えずに、特別意識したことはなかったので普段通りのプレーを心がけようとしています。」
―増田主将に対する思いは
「増田は今体調を崩していて、昨日も電話をもらって「頑張ってくれ」と言われたので、個人的には日本一よりも早くまた増田と一緒にプレーしたいという思いがあります。」
―2回戦は関西王者の阪南大との一戦だが
「阪南大が1試合平均で3.8点取っていて、僕らは1試合平均1失点なので、守備のチーム対攻撃のチームという絵に描いたようなゲームになりそうですし、僕らが阪南を抑えられるか単純に楽しみですね。」
浅間翔大(理4・暁星高)
―自身初のインカレの舞台でしたが
「あまり緊張することもなく、いつも通りのプレーができました。」
―今日の試合を振り返って
「早い時間に先制することができて自分たちのやりたいサッカーができました。先制点が大きかったです。」
―セットプレーで点をとって守りきるサッカーができましたね
「後期はなかなか前期のようなサッカーができなくなって苦しみましたが、インカレでまたいいプレーが見せられてよかったです。」
―次戦に向けて
「自分たちはチャレンジャーなのでいつものようにやって勝ちたいと思います。」
川田悠介(環4・桐蔭学園高)
―今日の試合を振り返って
「初戦でしっかり勝つことができて、自分たちが目指している無失点というサッカーができて勝てたので、良かったと思います。」
―インカレ初戦に向けた意気込みは
「目標は日本一なので、いつもと変わることはなく試合には入って、出られない増田の分までという思いがチームの皆強くて、良い試合になったと思います。」
―自身のプレー振り返って
「攻撃面で今日も得点は二つともセットプレーからで、もっと流れの中でボールを奪えるプレーがしたいんですけど、次からまたそういったプレーができるようにしたいと思います。」
―次戦に向けて
「相手は関西王者ですが、チャレンジャーの気持ちを持って全力でぶつかりたいなと思います。」
山浦新(総4・東京ヴェルディユース)
―インカレ初戦ということで緊張はあったか
「少し正直なところを言うと緊張はあったんですけど、早い時間帯で哲平が得点してくれてそこでだいぶ気持ちが落ち着いたと思います。」
―今日の試合内容に関して
「トーナメントだから先制点を奪われないというところは結構大事になってくると思っていて、失点をしないということをこのインカレでもテーマに置いているので、そこで無失点で抑えられたことは評価していい部分なのかなと思います。」
―今日はボランチとしてどんなことを意識して試合に臨んだか
「いつもどの試合でも自分たちのサッカーをしていて、やることは変わらないので、僕たちがセカンドボールを拾って、味方につなげるというところだけを考えてやりました。」
―次戦の相手は阪南大だが
「自分たちはプレーオフ枠での出場ということで、どのチームが相手でもチャレンジャーとして戦わなければいけなくて、なおさら相手は関西王者の阪南大学なので、ちょっとでも隙があったら絶対勝てないと思いますし、この2日間しっかり疲れを取って、万全の状態で、絶対負けないように準備していきたいなと思います。」
久保飛翔(環3・済美高)
―今日の試合を振り返って
「無失点で終えられたというのが、1年間通してやってきたことをしっかり体現できたのでよかったと思います。」
―どのような意気込みでインカレに臨んだか
「日本一という目標が明確になったので、全員がベクトルを向けてしっかりできました。」
―今日の勝因は
「しっかりまずは守備から入ろうということでシーズンやってきて、守備から入ってうまく攻撃につなげることができたので、あとは、決めるところでしっかり決め切れたのがよかったなと思います。」
―攻撃への参加は
「攻撃という印象よりも、とにかく守備という意識でやっていました。」
―次の試合に向けて
「あくまでチャレンジャー精神で、思い切ってぶつかっていきたいなと思います。」
端山豪(総3・東京ヴェルディユース)
―今日の試合を振り返って
「初戦ということで気持ちも入っていたし、自分たちのサッカーはリーグ戦から継続で守備から入ろうということで、しっかり守備で体現して、点も取れたので良かったと思います。」
―インカレ初戦に向けた意気込みは
「とにかく一戦一戦闘っていこうということで、僕たちもこの一戦にかけるぐらいの気持ちでやっていました。」
―自身のプレーを振り返って
「ゴール前でもっと相手に怖がられるようなプレーをしたり、もっと得点に絡むプレーがしたかったなと思います。」
―チームの雰囲気は
「チームの雰囲気はむしろ増田の分も頑張ろうという雰囲気があるので、悪くないです。」
―次戦に向けて
「今日の試合と一緒で、一戦一戦闘う気持ちを持って全員で臨めればなと思います。」
井上大(総2・国学院久我山高)
―自身初のインカレの舞台でしたが
「大学入って全国大会は初めてだったんですけど、それほど緊張することなくプレーできました。」
―今日の試合を振り返って
「自分たちはプレーオフ枠であがってきたチャレンジャーであると監督から口すっぱく言われていたので、それを意識して守備からしっかりと戦いました。」
―自身のプレーを振り返って
「前半は溝渕があがっていたのでそのバランスをとろうと思っていました。後半は攻撃参加をして、決定的な場面は作れなかったんですが今までで一番ボールに絡めたかなと思います。」
―シュートをポストに当てたシーンについて
「あれは相手とボールをかぶって、とりあえず打ってみようという安易な気持ちで打ったんですけど、まさかあんなにいいコースにいくと思いませんでした。」
―次戦は関西王者阪南大だが
「攻撃力がすごいとか関西王者とかいろいろなことがあると思うんですが、自分たちはチャレンジャーなので謙虚に戦うだけです。」
溝渕雄志(環2・流通経済大学付属柏高)
―自分たちが主導権を握る中で、守備面でのリスク管理は
「突き詰めるところはもうちょっとあると思いますが、5バックが試合をやるごとにすごい型にハマってきています。それを一試合一試合、成長を感じながらやれるっていうのはプラスに捉えています。ただ、数字だけ見れば0ですが、ピンチになりそうなところもあったし、そこを修正してやりたいと思いました。」
―増田主将が戻るまで負けられないという想いがチーム全体から感じられたが
「昨日も電話が来て、「頼むぞ」という風に言われたし、みんな増田さんが帰ってくるまで負けられないというのは共通してあると思うし、逆にそれが僕らにとってプラスの要素になっているので、主将が帰ってくるまで残っていられるようにしたいと思います。」
―ペナルティーエリアまで行ったシーンはフィニッシュまでイメージがあったか
「イメージはありました。相手が研究していて、すごく縦を切ってきたのでチャンスがあれば中に切れ込んで左足でシュートを撃ってやろうと思っていました。それで、うまく2人かわせて、ニアに撃つイメージはありましたが、倒れるつもりは無かったのですが引っかかってしまいました。中のバリエーションが僕の課題だと思っているので、縦だけではなく、中も。そういう意味では今日自分にとっては良い収穫があったと思います。」
―次は関西王者との対戦だが、意気込みは
「僕らは24大学の中で一番下手だと思っています。ただやっぱり関西一位であれど、関東の意地を見せる必要があるし、何にも臆することなくやりたいです。とにかく勝ちたいです。」
宮地元貴(総2・東京ヴェルディユース)
―今日の試合を振り返って
「今日の最大の目標は勝つということだったので、それを達成できて良かったです。」
―プラン通りに試合を運べたのでは
「自分たちがやってきたサッカーを貫こうということで、それができて良かったです。」
―ピッチコンディションが良くなかったが
「それはサッカーをやっていれば色々なことがあるので、対応していかないと上には行けないと思うので特別気にしていなかったです。」
―得点シーンを振り返って
「自分の持ち味を結果で示せて良かったです。」
―2回戦に向けて
「慶應と、自分を支えてくださっているすべての方、そして増田主将のために次も勝って、四年生と一日も長くサッカーをしたいと思います。」
望月大知(環2・静岡学園高)
―今日の試合を振りかえって
「そんなにピンチが無かったので自分の役割としては難しい部分があったのですが、ゼロに抑えることができてよかったです。」
―インカレとなるといつものリーグ戦と違いはあるか
「相手チームを全く知らなくて、情報が無いなどの違う部分はありますけど全体的にチームとしてやることは変わらないので、自分としては違いを感じることは少ないです。」
―無失点で抑えることができたが良かった点は
「相手のボールを元貴(宮地)と飛翔(久保)がしっかりはじき返してくれたので、良い意味で自分がやることが少なかったのが良かった点だと思います。」
―次の試合に向けての意気込み
「関西王者が相手となるのですけど臆することなく自分たちの堅守というものを活かしていけたら良いと思います。」
山本哲平(政2・國學院久我山高)
―今日の試合を振り返って
「勝てたことが素直に嬉しいし、その中で点を取れて良かったです。」
―得点の場面を振り返ると
「セットプレーから豪くん(端山)が中に上げてくれて、風で弱まったので思いっきり打ったら入りました。」
―守備での貢献度も高かったが
「いつもはセンターサークルくらいからアプローチに行っていたんですけど、早慶戦からセンターサークルの頂点から行くようにして相手も蹴るしかなくなるという点では上手くやれていると思います。」
―大学初の全国大会だが
「自分としてはワクワクしていて、相手は関東以外ですしどんな選手がいてどんな大学なのかなって思うし、そういうチームと戦うのは楽しみです。」
―阪南大戦に向けて
「常にチャレンジャーの気持ちを持って、一戦一戦謙虚にやっていきたいです。」
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