溝渕雄志選手
チームで統一して謙虚に守備ができたのは、今シーズンにも活かせる部分。
――昨季は6位でリーグ戦を終え、インカレ出場の目標を達成しました。振り返っていかがですか
「一昨年の反省を活かして、守備重視で失点をしないチームを作れて、前期はそれが型にはまったこともありました。逆に、後期は1本が取れなくなってなかなか勝ち点が積めなかったこともあって、ある意味できすぎたわけでも、できなさすぎたわけでもないですし、ある程度謙虚で実力通りの結果だったのではないかなと思います。」
――その中で成長した部分、得られたものは何でしたか
「やっぱり守備です。一昨年52失点した次の年に失点が30も減ったというのはあまりあり得ないことだと思うので。それがチームで統一して謙虚になれて守備ができたのは、今シーズンにも活かせる部分になったと思いますし、それが去年1番のチームの収穫だったと思います。」
――1年を終えて課題は見えましたか
「点が取れないところは、見ている人たちもそうですし、自分たちも感じていました。どうしても1点先に取られると、追いついて逆転するというイメージができていなかったので、点を取るというところは去年の課題でした。」
――インカレに出場し、阪南大との試合で敗れてしまいましたがどう感じましたか
「システムとして5バックだったので、4-4-2だったらどうなっていたかなというのが正直まだ思うところがあります。5バックにして少し引きすぎてしまい、あれだけ引きすぎると個々の力で勝負されて力で負けてしまったというような感じでした。個の力で負けたというよりは、チームとして圧倒的に負けたという感じがしたので、それを経験した選手が今年ディフェンスライン含めて多いですし、それは今やっていてとてもよくなっているので、インカレに出たことが今につながっていると思います。その部分を今年は見せられたらいいなと思います。」
――先月、関東大学選抜にメンバー入りし、第29回デンソーカップチャレンジサッカー広島大会に出場しました。その手応えはいかがでしたか
「プレーで収穫があったかというと、あまり充実したものではなかったのですが、自分個人としてこの時期どう過ごすかというので、去年から今シーズンに向けて何かを変えなければいけないという模索の段階であったというのが正直なところでした。なかなか選抜でのプレーでも自分が納得したものではなかったです。ただ、選抜で浮き沈みのあった経験で、今立ち直ったこのメンタルにつながっていると思うので、迷いがなくなったという点ではこの選抜の期間は自分にとってプラスになっていると思います。刺激を受けたというよりも、自分の中では少し物足りなかったかなと思います。」
さらに謙虚に、さらに泥臭く、しぶといチームであることを見せたい。
――昨季で引退された4年生の穴をどう埋めようと意識しましたか
「特に穴を埋めるという感じではなく、また新たな選手が加わることで去年とまた少し違ったチームになったほうがいいなと思います。特に去年から変わるとなると、キーパーと中盤のゾーンががらっと全員分入れ替わることになりますが、去年の試合での雰囲気や経験を引き継ぐと、ディフェンスと前の選手は残るし、それを受け継ぎながら去年以上に技術がもっと高くて、細かいプレーができるミッドフィルダーゾーンの選手が入ってくるので、その良さを活かしつつ、自分たちが試合を勝つためのタフさとハードワークをするという、去年の4年生がやっていたことを後ろから見てちゃんと言っていけば、去年のいいところがそのままできて、また新たに少し去年とは違う慶大が出てくるかなと思います。うまく進化が遂げられたら、とてもいいです。」
――新メンバーでのチームが始動しましたが、雰囲気はどうですか
「今はとてもいいと思います。最初は、あまりいい時期もなくて、選抜があって抜けたり、今も端山選手が抜けていますし、練習試合もフルのメンバーでできなかったので、なかなかみんなが納得できるようなところまでは雰囲気がつかめていなかったのですが、リーグ戦開幕が近づくにつれて緊張感というのが毎回練習であるので、4年生も引っ張ってくれていますし、悪くないかなと思います。」
――新一年生の印象はどうですか
「今トップチームに、小谷選手、松木選手、鴻巣選手の3人がいて、自分は1年生から試合に使ってもらっていた身なので、みんなに可能性はあると思います。ですが、みんなにプレーをさせてあげること以上に、厳しさを教えてあげないといけないし、それは自分たちの役目かなと思います。」
――上級生としての意識は強くなりましたか
「3年生、4年生というのは、1、2年生と一区切り違って、それだけ経験もしてきたので、チームのこととかを考えなければいけないと思っています。特に自分たちの代は、1年生の時から出てきた選手も多いですし、去年も出ていた選手も多いので、今年は4年生のチームであるという上で自分たちも支えていかないと、チームとしてよくなっていかないかなと思います。自分たちもチームの中心という自覚を持ちながら、4年生を信頼してうまくついていくことが今の自分たちの役割ですね。」
――同期とのつながりは深まりましたか
「ミーティングがすごいたくさんあったので、トップのメンバーだけではなくてBチームやCチームの同期も、練習時間も違うしキャンパスも違うとなかなか接する機会がないですが、そういうのはミーティングで毎日みんなと一緒にいる時間があったというのは、今では同期のつながりという意味ではとてもいい時間だったと思います。」
――今季の目標達成のために、カギとなるポイントは何だと思いますか
「間違いなく開幕戦だと思います。去年も明大に2-0で、しかもやりたいようにして勝ったというのはいいスタートダッシュでした。そこから、勝ち癖がついて前期あれだけいい成績を残せたので。今年はどこも強いですけど、だからこそ自分たちのやりたいことをしっかりできればいいなと思います。前期は2か月くらいで短期で終わってしまうので、大崩れするとなかなか修正する時間もないと思いますし、1試合1試合無駄にしたくないので、結果もそうですし、やりたいことを毎回しっかりやっていくというのが1番大事だと思います。まず開幕戦をどう戦えるかが大事ですね。」
――今後、選抜やプロの練習など、外部でのプレーも出てくるかと思いますが、どのように臨みたいですか
「チームが1番なのはもちろんですが、プロで活躍するという目標もあるので、慶應が土台で、外部に呼ばれたときはなおさらチャンスではあるので、慶應の試合だけではなくても1日1日の練習で誰が見ているかわからないという意味では、そういう意識で毎日やっていくことが自身の夢にもつながっていくと思います。」
――武藤嘉紀(現FC東京・日本代表)選手の活躍には刺激を受ける部分はありますか
「あります。2年前サイドで一緒にやっていた人があれだけJリーグでやれるというのは、すごいなというか、何があるか分からないという思いのほうが強いです。武藤選手にもお前なら(プロに)来れるぞということはよく言ってもらえるので、期待を裏切らないように、ピッチで相手としてやりたいなと思っているので、早くその場に行けるように、いい刺激はもらえています。」
――今年1年、個人としての目標は何ですか
「自分は、日本一のサイドバックになるということを決めています。日本で1番のサイドバックということは、もちろん関東でも1番のサイドバックですし、それは単純にいろいろな人が見た評価だけでなくて、日本一になったチームのサイドバックがやっぱり日本一のサイドバックだと思いますし、関東でチャンピオンになったサイドバックが1番だと思うし、そういう意味でいろいろな人からの信頼も、結果もどちらも日本で1番のサイドバックに、まずは大学でなれるように頑張りたいと思います。」
――今季の意気込みをお願いします
「4年生が目標を立てて、全員で関東リーグ制覇という、去年の日本一とはまた少し違った目標。何よりも1戦1戦目の前の試合を勝つというイメージでやっていくことが目標につながるという意味合いでこの目標が立てられているので、何も自分たちが関東リーグ制覇できる力があるというように驕っているわけでもなくて、ただ謙虚に勝つという姿勢の上にこれが成り立つので、去年の謙虚な姿勢をさらに謙虚に、さらに泥臭く、しぶといチームであることを見せられるように、それが必ず勝ちにつながると信じています。さらに勝ちにつながる形というのは、みんなが見ていて負けないなではなくて、慶大は勝つチームだというイメージを今年は見ている人が持つくらい、それぐらいアグレッシブに守備も攻撃もやっていくということをみんなで統一しているので、そういうところをみんなには見てほしいで、必ず結果を出すつもりでやっていきたいです。去年あれだけ一昨年の降格争いからみんなが注目してくれるところまで来たので、今年こそ本当に勝負だなと思うので、リーグ制覇達成の瞬間を見せられるように、頑張りたいと思います。」
(取材 池田麻里子)
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