前日に行われた筑波大戦で大逆転劇を演じられ、悔しすぎる敗戦を喫した慶大。通算成績を3勝8敗とし、入れ替え戦もちらつく中、いかに気持ちを切り替え明大戦に挑むことができるかに注目が集まった。試合序盤は互いに思うようなオフェンスができず、ロースコアの展開に。しかし後半は4年生を中心に慶大オフェンスが躍動。本来の持ち味を随所に見せ、大量47得点を奪い見事に勝利。厳しい状況の中迎えた絶対に負けられない一戦を、全員バスケで勝ち取れたことは大きな意味を持つと言えるだろう。
2015/10/11(日) @日本体育大学世田谷キャンパス | |||||
第91回関東大学バスケットボールリーグ戦 12日目 vs明大 | |||||
| 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 |
慶大 | 15 | 9 | 22 | 25 | 71 |
明大 | 11 | 17 | 16 | 18 | 62 |
◆スターティングメンバー | |||||
PG | #13 西戸良(総3・洛南高) | ||||
SG | #5 大元孝文(環4・洛南高) | ||||
SF | #4 福元直人(環4・福大大濠高) | ||||
PF | #22 トカチョフ サワ(環2・國學院久我山高) | ||||
C | #7 黒木亮(環4・延岡学園高) | ||||
◆主要選手スタッツ(背番号/選手名/成績)◆ | |||||
#4 福元直人 18得点 #7 黒木亮 21得点、11リバウンド #22 トカチョフ サワ 11リバウンド |
筑波大戦と同じスタメンで試合に臨んだ慶大。黒木がジャンプボールを制し、サワがミドルを決めまずは慶大がリード。対する明大もエース#50伊澤がすかさずシュートを決め返し同点に。第3節同様、このまま激しい打ち合いが続くと思われたが、これ以降お互いになかなかシュートを決めきることができない。5分を経過してスコアは5-6と極端なロースコアゲームとなった。それでも終盤は黒木のバスケットカウントや、西戸のスリーポイントが決まり慶大が1歩抜け出す。15-11で第2Qへ。
早い段階でオフェンスの流れを掴み、さらにリードを広げたいところだったが、第2ピリオドになっても慶大はなかなかシュートを決めることができない。約4分半得点が止まってしまう。その間に明大に8連続得点を許してしまい逆に4点のビハインドを背負う展開に。その後は大元、福元の個人技でなんとか得点をつなぐも、アシストからの流れのよい攻撃は見られなかった。「自分たちが受けに回ってしまった」と福元が振り返るように、オフェンス面で課題の残る前半となった。しかしディフェンス面では粘り強さを見せ、24-28のスコアで後半へと臨むことに。
第3ピリオドの序盤、明大のシュートが高確率で決まり、2分半が経過した時点でこの日最多の9点差をつけられてしまう。嫌なムードが立ち込めたが、ここで踏ん張りを見せたのが4年生だった。黒木のインサイドでの得点や、大元のミドルなどでじわじわと点差を詰めると、続くプレーで福元が1対1から3ポイントをねじ込みついに逆転を果たす。気持ちのこもった最上級生のプレーに率いられ、ここから下級生も活躍。「ブレイクで先頭を走ることを意識していた」という鳥羽が言葉通りの速攻を見事に決めた。しかしここから明大も粘りを見せ、完全に慶大に流れは渡さない。46-44の2点差で、決着は第4ピリオドへと持ち越された。
その序盤、黒木と伊澤が激しいマッチアップを繰り広げる。伊澤がタフなミドルをねじ込むと、続くプレーでは黒木がパワープレーからフックシュートを決め返す。意地と意地がぶつかりあう一進一退の攻防が続いた。そして迎えた残り6分、ここで明大にアクシデントが発生。伊澤がリバウンド争いの中で足を負傷し交代を余儀なくされてしまう。好調のエースを失い流れは慶大に傾くと思われたが、明大も1歩も譲らなかった。#55吉本が3ポイントを決め、3点差にまで詰め寄り勝負はまだわからない。プレッシャーのかかる展開の中、得点を決めたのはここでも4年生だった。黒木がバスケットカウントに加え、ショットクロックぎりぎりの場面でロングシュートもねじ込む。さらに大元が1対1からの3ポイントと、ドライブを連続で決め、懸命に食い下がる明大を突き放した。最終盤は奪ったリードを守りきり71-62で辛勝。大きな1勝を手にした。
「とにかく勝てて嬉しい」振り返る大元の言葉が全てを物語っているだろう。苦しい敗戦から気持ちをしっかりと切り替え、自分たちのバスケを貫けたことは、選手たちにとっても大きな自信へとつながったに違いない。第12節では白鴎大が専修大を下すなど、下位チームは依然混戦状態。4勝で慶大、明大、白鴎大の3チームが並ぶこととなった。1部残留に向け負けられない戦いがこれからも続いていくが、慶大バスケ部は必ずやこの混戦を抜け出してくれるだろう。 (記事:岩田 亮)
阪口HC
昨日は本当に悪夢だったので、無事に勝てて本当によかったです。ただ俺は神様が筑波にはインカレで勝てて言ってるように思うんだよね。もう一回当たりたいね。試合は2ピリまでは本当に苦しかったんだけど、4ピリで昨日と違って点数が取れてよかったです。あと鳥羽がいい動きをしていたね。(昨日からの切り替えは)昨日の試合後に握手する前に福元たちに「明日のために切り替えろ」と言っていたんだけど、見事に切り替えてくれたね。(入れ替え戦も見える中で大きな一勝だったのでは)白鴎が専修に勝ったりして大変なんだけど、もう残りは全勝すればいいんだよね。真面目に勝てる相手だし、あいつらもそう思っているので。インカレも勝負をかけるのは今年なので、去年の福元や黒木や大元のけがみたいなのが出ないように、なんとか持ちこたえて頑張りたいね。(次戦への意気込み)やっぱりホームゲームなんでね、しっかり勝てるように準備していきます。
福元直人(環4・福大大濠高)
今日はとにかく勝たないといけない試合でしたが、昨日の疲れなどもあって前半は自分たちのバスケットが出来なかったのです。しかし後半はしっかり立て直して勝ちにいけたのでよかったです。(第2Qで逆転された要因は)昨日の試合もそうでしたが、自分たちが受けに回ってしまって、オフェンスが出来なかった所にあると思います。(逆に第3Qで逆転来た要因は)勝ってる時こそしっかりゴールに向かって行くこと、とにかく走ってボールを取りに行くことを意識して臨めたので取り戻せたと思います。(来週の意気込みは)とにかく負けたくないし、ホームでのプレーを負けるわけにはいかない試合です。死ぬ物狂いでプレーするまでですが、2校共負けてる相手なのでしっかりと対策を練って来週もチーム全員で臨みたいと思います。
大元孝文(環4・洛南高)
昨日の悔しい負けから立ち直すことができて、今日勝てたことはチームとしても良い結果を出せたと思います。とにかく勝てて嬉しいです。(明大への対策は)対策というよりは自分たちのバスケをしようという話をしていました。特に伊澤君や吉本君のところがキーになると思うので、そこをしっかり押さえて自分たちのバスケができれば勝てるということを信じて、40分間プレーできたと思います。(積極的なオフェンスが目立ったが)前半はチームとしてもうまくいかない中で、後半は最後の大事なところで自分がやるという気持ちは持ってできていました。それに加えてチームとしてもバランスよく点が取れていたので、それが勝ちにつながったのかなと思います。(来週への意気込み)一周目は白鴎にも法政にも負けてしまって、ホームゲームということもあって絶対に負けられないので、この1週間どれだけ自分たちのバスケを信じきれるかということを突き詰めて、臨んでいきたいと思います。
黒木亮(環4・延岡学園高)
とりあえずほっとしていますね。今日勝たないとチーム的にやばかったので。でも昨日あれだけ悔しい負け方をして、全員が今日集合したときに、今日は絶対に勝とうという前向きな気持ちを感じたので今日はいけるなと思いました。(前日の敗戦からの切り替えは)僕的には切り替えようとは思ったんですけど、なかなか引きずってしまう部分もありますね。昨日はなんで負けてしまったんだろうというのをずっと夜に考えてて2時半まで寝れなかったんですけど、今日のみんなのポジティブな姿勢というのが伝わってきて自分も頑張ろうと思いました。(4Qに12得点を挙げたが)こんな日もありますね。僕とかサワとかが攻めるとリズムが良くなる時が今年のリーグ戦ではよくあって、これまではガード3人に頼り切りになってしまう部分が結構多かったので、5人でボールをシェアしながら慶應らしいバスケットを展開できるようにと思っています。(来週も大事な試合になるが)4年間の中で、リーグ戦でホームゲームというのは僕も初めてなので、そのホームゲームで設営してくれるスタッフの方々だったり、チームメイトであったり、そういう人たちに感謝しながら2連勝できたらいいなと思います。
トカチョフ サワ(環2・國學院久我山高)
自分はあまり調子が良くなかったので、シュートは関係なく、ディフェンスなどできる部分でチームに貢献しようと頑張っていました。今日は何としてでも勝たなければならない相手だったので、勝てたのは良かったです。(ご自身のプレーについて)昨日は調子が良かったので今日も良いかなと思ったのですが、ちょっと上手くいかなくて、自分でも試合中に原因が掴めなかったので、リバウンドやディフェンスなど調子の良し悪しがない部分で頑張るしかないな、と思って全力でやっていました。今日の自分を採点すると0点ですね。来週頑張ります。ホームゲームなので。(大切にしたことは)自分はどんなに調子が悪い時でもディフェンスとリバウンドは絶対にやらなければならないと決めていたので、今日はそこをかなり意識して取り組みました。相手もリバウンドが強いチームなので、負けてはいけないという思いで頑張りました。(今日の勝因は)大事な部分で黒木さんがしっかりとシュートを沈めてくれたことと、昨日の筑波戦でファールを上手く活用できなかった分今日は大事な場面でファールをして相手の流れを止め、本塾の流れに持っていけたことだと思います。(白鴎大戦に向けて)前回はホームゲームで負けてしまい、すごく悔しい思いと絶対に勝ってやろうという気持ちがあります。来週も多くの人が応援に来てくれると思うので、期待に応えられるように全力で戦って絶対に勝ちます。
鳥羽陽介(環1・福大大濠高)
2戦目の明治も1戦目と同じような展開で接戦が予想されたんですけど、やっぱり一巡目で特に課題だった、リバウンド時のガード陣の参加が見られて、その部分が勝因につながったのだと思います。(どう気持ちを切り替えたか)特にないんですけど、チームとしては本当に良い方向に向かっているので、昨日の負けを引きずらないで今日は元気よく、とにかく元気を出してやろうと思ってやっていたので、まあその分は出せたんじゃないかと思います。(個人的に良かったプレーは)僕が出た時は、とにかく展開を早くするように言われてたので、ブレイクで先頭を走ったりっていうことを意識してやりました。(次の試合への意気込み)一巡目の白鷗大は、本当に上手くいかない展開が続いて負けてしまったんですけど、絶対勝てる相手ではあるので、自分たちが今取り組んでいるリバウンドとか、ディフェンスで40分間プレッシャーを与え続けるとか、そういう当たり前のことを全力でやれば勝てると思うので、その辺りを頑張っていきたいと思います。