今回のラグビ―号8面では山田章仁選手のインタビュ―が掲載されました。しかし、実はW杯で活躍する前の4年前にもケイスポのインタビュ―に応じてくださっていたのです!今回はそのインタビュ―でケイスポに掲載されたものの全文です。まだまだ山田選手についての情報が沢山ありますので、こちらもご覧ください!
グラウンドを切り裂く閃光のトライ。その輝きが4年の時を越え、ケイスポに戻ってきた。かつて黒黄を着て秩父宮を沸かせ、卒業後はホンダヒ―トを経て、パナソニックワイルドナイツで活躍している山田章仁選手(08年総卒)だ。躍動感あふれるプレ―はもちろん、個性的なキャラクタ―でも愛される山田選手。ケイスポは彼のラグビ―への情熱、プロ生活、心に秘めた海外への思いに至るまで徹底解明!これを見ずして慶大ラグビ―は語れない!?
慶大の魅力
――慶大を志望した理由は
僕はSFCなんですけど、いろいろなジャンルの学生が集まると聞いていて、いろいろな人に会えたらなと思って志願しました。
――早大、明大は選択肢には入らなかった
慶應の持つ独特な雰囲気が好きでした。みんなでチ―ムを作っていける慶應ラグビ―部の環境が良いなと感じました。
――入学前の印象は
独特な雰囲気があり、文武両道な感じですね。
――黒黄のジャ―ジはどんな存在か
僕は幸せなことに1年生から試合に出させてもらったので、こういうと語弊があると思いますがあんまり重みが分からないんです。ですが、学年を重ねるごとに黒と黄色の線が濃く映るようになってきました。それは毎年感じていました。4年生の時にはただの黒黄ジャ―ジではなくて、いろんな思いが詰まっている色に見えました。
早慶戦の魅力
――早慶戦で最も印象的なのは
やっぱり4年生の時ですね。1年生の時も印象に残っているんですが、最後の年でみんなが一つになって、監督さんが林雅人さんになって、慶應ラグビ―部みんなで作り上げたチ―ムで戦えたのかなと思います。
――満員の秩父宮でプレ―した気持ちは
僕のプレ―をみんなに見てもらいたかったです。試合前はできるだけ多くの人に見に来てもらいたいという気持ちでした。
――早慶戦の前のロッカ―ル―ムの雰囲気は
みんなライバル校の早稲田ということで気合いが入っていましたね。いつもの試合以上と言うといつもの試合はどうなんだってなりますけど、いつも以上に気合いが入る素晴らしい空間でした。
――特別な試合だった
先輩方にそう言われてきたというのが正しいと思います。もちろん自分もそうなりましたし、これからも後輩たちには大切な試合だと感じてもらえたらいいですね。
――大勢部員が出れない中、出場していたが
人数が多いのでなかなか出れない選手もいますけど、本当に素晴らしい選手もたくさんいると思います。その人たちに対して言葉で表す場も無いですし、機会も無いのですが、グラウンドに出ている15人、リザ―ブを含めたら22人はグラウンドで輝くプレ―をするべきだと思います。僕がジャ―ジをもらったからには出られない同じポジションの選手のためにも良いプレ―をしたいですね。気負いせずにみんなの期待だけを背負って集中してやっていました。
――早大はどんな相手でしたか
強かったです。強かったんですけど、先輩たちがパワ―をくれるのか、早稲田戦の前には不思議と力が宿りました。卒業された方が応援してくれるので、今まで負けていてもその試合にだけ勝てたりするんですよ。その年の実力関係なしにその場の雰囲気で勝負できる特別な相手ですね。プライドを懸けた戦いです。
――留学に行った理由は
もともと、ラグビ―以外に英語に興味があって、ずっと英語を勉強していました。SFCを志願した理由にもグロ―バルな人間になりたいという思いがあったので、英語はファ―ストステップとして勉強しに行きたい思いがありました。なので、早めに海外に行きたかったです。ラグビ―で言えばレベルが高いところだった、というのはありました。僕が1年生の時は慶應があまり強くなかったので、このままでいても、大学4年間このままで終わってしまうと。自分が慶應の力になれるようにスキルを磨きに行きました。
――実際に行ってみてどうだったか
ラグビ―を楽しむ環境が向こうにはありましたね。行ってまず感じたのはラグビ―を楽しむ環境があること。最初に気づかされたのはラグビ―を楽しむっていう原点を感じさせられましたね。
――海外で行きたい国は
ヨ―ロッパに行きたいですね。いつも何かに挑戦するときって一つだけだともったいないと思うんですよ。留学だったらラグビ―だけだとつまらないですし。あまり詳しくは知らないんですけど、僕の中でヨ―ロッパはプロのマ―ケットがしっかりしているイメ―ジがあるので、プロ選手としてマ―ケットに入り込みたいですね。スポ―ツのビジネスについても環境が整っていると思います。完全にイメ―ジなんですけど(笑)国もいろいろありますし、いろんな国が隣接していてマ―ケットがしっかりしていそうな環境に身を置きたい気持ちがあります。
――以前に海外移籍を考えたことは
大学の時にも海外に行きたかったんです。サントリ―のHCのエディ・ジョ―ンズさんが林監督と仲が良くて、コ―チに来てアドバイスを頂いていたんですよ。そこで海外に行きたいっていう相談にも乗ってもらったんです。いろんな話をする中で「海外でラグビ―をするのが目標なのか、海外で活躍してもっと大きくなるのが目標なのかどっちなんだ」と言われまして、もちろん後者ですよ。それからもう一度すごく考えた期間は3~4年ありますね。そういうことも僕の頭の端には残っていて、イメ―ジ的には海外で活躍できる選手になりたいと思っています。
ラグビーの魅力
――慶大があまり勝っていない件について
選手は一生懸命やってると思いますし、あまり勝敗は気にすることなく目の前の試合に臨めればそれでいいと思います。3勝3敗でも5勝1敗でも6勝0敗でも。僕の大学ラクビ―の思い出は勝ち負けではないですし、勝ち負け以上のものがあると思うので、目の前の一戦に臨んでもらいたいですね。
――トップリ―グでホンダヒ―トを選んだ理由は
まず、プロ選手としてラクビ―をやっていきたいと。高校も大学もみんなで作り上げていくチ―ムを選んできました。ホンダも当時2部で2部から1部にあげようという段階だったので、そこに魅力を感じましたね。そういったチ―ムで弱い時代から強い時代を築ける、そんな時間に関わることが好きなのでホンダを選びました。
――チ―ムを作っていきたい思いがある
例えば、ずっと強いチ―ムにいることも幸せだと思います。でもはざまにいて、勝ったり負けたり、弱かったり強かったりのどちらも味わうことはなかなか経験できないことで、それも良いことだと思います。
――パナソニックワイルドナイツに移った理由は
チ―ムと一緒に成長してきた自分をもう一段階成長させようと。今まではある意味そういった関係から逃げていたのかもしれないと感じたのです。そういった環境に入っていかないのは僕がそこから逃げているんじゃないかなって。もちろん強いチ―ムで成長できることはたくさんありますし、タイミングも合っていたので移籍しました。僕にとっては大きなチャレンジでした。
――トライ王を目標にしているがトライへのこだわりは
正直トライ王はどうでもいいんですよ。ラクビ―を知らない人にファンになってもらいたいんですよね。そういう人にル―ルを説明したり、どのチ―ムがこういうプレ―をするって教えるには機会もありませんし、時間もかかるのでまずはトライを見てもらいたいんです。トライってラクビ―を知っている人知らない人、小さい子もお年寄りも誰が見ても良いシ―ンだと思います。そういうシ―ンで自分が面白いプレ―をする自信があるので、トライ王を目標に掲げています。
――ラグビーという競技をどうしていきたいか
まずは僕の髪型を見て、ラクビ―選手っていうことを知ってもらうことですね。ラクビ―って言葉を知ってもらいたいです。スポ―ツを見に行く時って友達だったりで知っている人、面白いプレ―をする選手を見たいから見に行くわけじゃないですか。僕はそういう選手になれればいいなって。髪型であろうとトライの仕方であろうと、とりあえず目立ってしまえって。ラクビ―を知らない人にファンになってもらうために僕はラグビ―やっています。
――今後慶大ラグビ―部はどうあるべきか
良い伝統は継承してもらいたいですね。同時に悪い伝統は捨て去る勇気を持ってもらいたいです。新しく創る伝統は後にならないと良いのか悪いのか分からないので、チャレンジはどんどんしてもらいたいです。今の学生たちが新しいものを創るには何もやっても良いですし、昔の伝統は良いものだけを残していってもらいたいです。
お忙しい中、インタビューに応じてくださり、ありがとうございました!!