12回目となった早慶女子ハンドボール定期戦。今年は慶應のホームグラウンドとなる日吉記念館で行われた。第1回大会以来の勝利を目指したが、8−30で敗戦。地力の差を見せられる結果となった。一方で、有村主将(理4・帝京大学高)が率いてきたチームは確実に昨年よりも成長を見せていることを証明したゲームでもあった。
第12回早慶女子ハンドボール定期戦
2015/11/28(土)@慶應義塾大学日吉記念館
慶大 |
| 早大 |
4 | 前半 | 14 |
4 | 後半 | 16 |
8 | 合計 | 30 |
早大ボールでスタートしたこの試合。序盤から8連続得点を許し、苦しい立ち上がりとなる。それでも10分、秋季リーグ得点王のエース当山怜花(法2・昭和薬科大附属高)のシュートで1点を返す。25分には相手の反則で得た7mスローを4年生の森澤理恵子(商4・岡山一宮高)がきっちり決め2点目。さらに続けざまに昆野和香(理2・宮城第一高)のシュート、高橋佳子(政2・吉祥女子高)のサイドシュートが決まる。守ってはGK善野藍衣(経2・慶應藤沢高)が早大の7mスローを止めるなど、序盤の大量失点から一転、守備が徐々に安定し行き、前半を4−14で折り返す。
すると後半は前半と打って変わって慶大が序盤から攻勢に出る。2分に昆野がこの日2点目をあげると、5分にはこの日で引退となる有村紗世子主将(理4・帝京大学高)が7mスローを落ち着いて決める。7分にはGK善野のスーパーセーブからカウンターを見せ、最後は徳原真実(経3・慶應女子)がゴール。「守り中心のチームから、前を狙っていく攻めのチームに変わっていった」(有村主将)。チームの変化を表すかのような、3連続得点で攻めから良い流れを作る。だが、その後は早大に攻め込まれる試合展開となった。その中で18分、当山が相手の意表を突くシュートで自身2点目をあげる。さらに攻勢に出て行きたかったが、足が止まってしまいなかなか攻め入ることができず、8−30で試合終了となった。
まだまだ早大との戦力差はあるが、「最善は尽くせた」(有村主将)「いい形で終われた」(森澤)「慶大の想いを十分に出せた試合だった」(当山)というように選手達は満足のいくプレーができた。この試合で引退する3名の4年生が1年生だった頃、部には4名しかおらず廃部の危機があった。最初は試合も成立しなかったが、諦めずに慶大女子ハンドボール部をつないで行き、4年間で部員数は16名まで増えていった。また、この4年間で年々この早慶定期戦での点差は縮み、戦力的にも向上していっている。ただ、今年の早慶戦を20点差以内に抑える、リーグ2部Aへの昇格という二つの目標を4年生は達成することはできなかった。「さらにいいチームにしてほしい」(有村主将)。4年生の思いと成し遂げることのできなかった目標を胸に刻み、確実に成長を続けている慶大女子ハンドボール部はまた新たな歴史を作るため歩み始めた。
(記事:森田 悠資)
試合後のコメント
有村紗世子主将(理4・帝京大学高)
(今日の試合を振り返って)すごく強い相手だったのですが、自分たちのやりたいこと、最善は尽くせたのかなと思います。(自身のプレーを振り返って)私自身1点しか取ることはできなかったんですけど、後輩たちも点を取ってくれましたし、チャンスをたくさん作ってくれて、感謝の気持ちでいっぱいです。(チームとして今日の試合に向けてどんな準備をしてきましたか)秋季リーグもなかなか思うような結果ではなかったんですけど、そこから早慶戦に向けて、いろいろ大変な時期もありましたが、コツコツと練習を積み重ねて今日という日を迎えられたと思います。(1年間このチームで主将としてやってきましたが)同期にも後輩にもたくさん迷惑をかけてしまったんですけど、どんな時でも一生懸命練習してくれるチームメイトがいたお陰で、ここまでやって来れたと思います。(この1年でこのチームはどのように変化しましたか)前のチームは守りからリズムを作っていくチームだったのですが、この1年間でどんどん一人一人が前を狙う、攻めていくという姿勢が持てたのかなと思います。(後輩に向けて)今年は点差を20点台で抑えようという話をしていたのですが、惜しくも2点足りなかったので、来年は点差を縮めて、さらにいいチームにして欲しいです。
森澤理恵子(商4・岡山一宮高)
(今日の試合を振り返って)チームの目標として相手の得点を30点以下に抑えると決めていて、ちょうど30点で抑えることができたので、このチームでの最後の試合としてはいい形で終われたかなと思います。(この1年間4年生3人でチームを率いてきたが)同期3人ということですが、1年生の時は部員が4人で、チームが成り立たなかったんですけど、私たちが4年生の時は部員16名という部員数にも恵まれてすごくいい環境でハンドボールができたのでよかったです。(最後の早慶戦となったが)1年生の時は63対3という60点差から始まって1年、2年、3年、4年でどんどん点差を縮めることができたので、そういう意味では成長を感じることができました。(後輩に向けてメッセージ)リーグ戦では2部Bに降格してしまって、1点差で優勝を決めることができず、2部Aに昇格することができなかったので、春リーグでは全勝優勝を果たしてもう一度上位リーグに上がれるようチーム一丸となって頑張ってほしいと思います。
当山怜花 (法2・昭和薬科大学付属高)
(試合を振り返って)今回は4年生の引退試合ということで、早稲田はすごい格上だったんですけど、慶應の想いを十分に出せた試合だったかなと思います。(今日の試合への意気込み)4年生が1年生のときに入部した際はまだ部員が4,5名位しかいなくて、そこから一年一年少しずつ部員が増えてやっと今、チームらしく練習も出来るようになっていて、部を廃部にさせずに繋いできてくれた4年生への感謝の気持ちとこれまでの集大成を込めて臨みました。(この一年を振り返って)今回は就活の時期がずれて、4年生が夏合宿に参加できなかったり、個人個人のけががあったりと、4年生自身も大変なことがあって、新チームが発足してから色々あったんですけど、最終的にはまとまって目標を目指せたので、すごい良いチームだったなと思います。(今日の自身の調子)いつも言われているようなことをミスしてしまったんですけど、点を取るところで取れたので良かったかなと思います。(先輩への想い)まとめると本当にありがとうございますということは伝えたいです。私は結構自由にプレーしてしまうんですけど、それでも受け入れてくれたし、4年生は一人一人に持ち味があってプレー面でも人としても私はすごく尊敬して信頼していたので、コートの中で4年生が隣にいてくれるとすごい安心したし、その状況で試合が出来なくなるというのは寂しいんですけど、今回の早慶戦は、私たちとしては ある程度目標が達成できて良い形だったと皆で思えたので、そういった試合を最後にできて良かったと思います。(今後に向けて)実は4年生が引退した後すぐに監督も変わってしまうので、部活の雰囲気も変わるので、今年度の反省などはいろいろあると思うので、そこを皆でしっかりと話し合って、より良いチームにしていけたらなと思います