【ホッケー(男子)】KEIOホッケーの真骨頂ここにあり!2点差追いつき同校V! / 第89回早慶ホッケー定期戦

同校Vで引退を迎え、胴上げされる谷主将

同校Vで引退を迎え、胴上げされる谷主将

2年ぶりの勝利を目指した第89回早慶ホッケー定期戦。開始3分で失点を許すなど、前半を0-2で折り返す苦しい試合展開になってしまう。しかし泥臭く点を取りに行った後半に、驚異の粘りを見せた慶大。終盤に河本倫太郎(政1)、大橋俊介(政1)のルーキーコンビがPCから得点を挙げ、同点に追いつくことに成功した。両校死力を尽くした戦いは2-2の引き分けとなり同校優勝で幕を閉じた。

 

第89回早慶ホッケー定期戦

2015.11/29(日) 13:30~ @慶應日吉ホッケー場

慶應義塾大学 2-2 早稲田大学

(前半0-2、後半2-0)

 

【得点者】  

53分 河本(PC)

67分 大橋(PC)

 

<スタメン>

GK本名智一(経4)、FB三木雅史(経4)、遠藤錬(経4)、渡邉陸(政2)、金田翼(政1)、MF細井佑(経3)、福谷亮太(政2)、河本倫太郎(政1)、FW谷直剛(政4)、下山雄大(経3)、大久保遼(政1)

 

89回の伝統を誇る早慶定期戦が、今年はホームの日吉で開催された。昨年は敵地で破れたが、一昨年日吉で開催された定期戦では快勝した。その時の興奮を再び―谷直剛(政4)主将が率いる最後の試合がいよいよ幕を開けた。

 

開始早々に先制を許す

開始早々に先制を許す

早大のバックパスで試合が開始されると、速いパス回しから早々に攻め入れられてしまい、3分にペナルティーコーナー(PC)を奪われてしまう。これをゴール右上にフリックシュートを決められてしまい、なすすべなく1点を先制されてしまう。浮足立った慶大だったが、直後に大久保遼(政1)がチームのファーストシュートを放つ。それでもペースは依然早大。12分には相手に強烈なリバースシュートを放たれてしまうが、守護神本名智一(経4)が身体を大きく伸ばしてファインセーブ。直後のPCも防ぎ切り、追加点を許さない。追いつきたい慶大は攻勢に転じようとするも、早大の手堅いディフェンスの前に屈する。19分に最終ラインから谷へボールが渡り、フリックシュートを放つも相手キーパーの正面となってしまう。この試合が半年ぶりの実戦復帰となった宮坂健吾(政3)や細井佑(経3)らからチャンスを作るも、得点には至らなかった。逆に終盤再び攻められる場面が増えると、27分に献上したPCから失点。そのまま前半を終え、0-2と重苦しい展開で折り返す。

 

1点差に迫るゴールを決めた河本(#22)

1点差に迫るゴールを決めた河本(#22)

「あきらめないことを再確認した」(谷)後半だったが、早々にPCを献上。いいコースにフリックシュートを放たれたが、ポストに助けられ失点は許さない。すると直後の40分に相手が1人退場となる。パワープレーとなった慶大は一気に攻めあがる。遠藤錬(経4)や渡邉陸(政2)の鋭いストロークから相手の守備を徐々に崩し始め、得点の予感をさせた。すると52分に早大の主将・木村浩一郎(スポ4)がファールによる一時退場処分となり、さらに試合のペース慶大に。直後にPCを奪った慶大はタッチシュートを狙う。見事作戦がはまり、河本倫太郎(政1)がタッチしたボールがゴールに吸い込まれ、待望の得点が慶大に入った。この得点にここまで消沈していた慶大スタンドは割れんばかりの大歓声でグラウンドを包み込んだ。勢いを得た慶大は、その後攻め込まれるも本名のファインセーブなどで失点を許さない。

大橋の合わせたシュートはキーパーのニアサイドを抜けゴール!

大橋の合わせたシュートはキーパーのニアサイドを抜けゴール!

時間が刻一刻と減っていったが、67分に細井が落ち着いて右から攻めあがりPCを獲得。ボールのストップに失敗するも、谷からの打ち込みを大橋俊介(政1)が見事に反応してゴールを決め、土壇場で同点に追いつくことに成功した。歓喜の若き血で沸くスタンド。さらに逆転に向け、試合終了間際まで攻めあがったが、逆にカウンターを食らってしまい、PCを奪われてしまう。終了のホーンが鳴り、最後のワンプレーとなったこのプレーに、スタンド中が固唾を飲んで見守った。そして仕切り直しを含めた3本目、早大・宮崎俊哉(スポ3)の放ったフリックシュートは枠外に外れ、試合終了。2-2で死力を尽くした戦いは両校優勝という形で幕を閉じた。

 

同点に追いつき、感情を爆発させる

同点に追いつき、感情を爆発させる

2年ぶりの単独優勝とはならなかったものの、前半の重苦しい雰囲気から息を吹き返し、同点に追いついたことは大きな財産だ。また多くの観衆も後押しした。1点差に追いついた勢いそのままにボルテージを上げ、慶大ペースを確実なものにした。早大はPCのボールのストップに失敗するなど、完全に落ち着きを欠いた。今年は2季連続で関東学生リーグ上位進出を逃し、王座にも進めず、インカレも初戦敗退ともがき苦しんだ1年間だった。来季は細井佑(経3)を主将に据える。逆襲を胸に今季成し遂げられなかった目標を来季着実に果たしたい。

(記事:荒川智史 写真:布寺智裕)

 

以下、引退を迎える選手のコメント

 

FW谷直剛(政4=慶應義塾)主将谷

(今日の試合を振り返って)勝ち切れなくて悔しいという気持ちと、0-2から追いついたというチーム力に嬉しい気持ちと入り混じった感情です。(後半2点ビハインドという展開で、どのような気持ちの切り替えを)個人的にも負けるつもりはありませんでしたし、チームとしても1ミリたりともあきらめないということを再確認して後半に臨みました。(走り切れなくなるまで燃え尽きるという試合前の意気込みは達成されましたか)最後足がつってしまって情けないところを見せてしまいましたが、走り切りましたし、後悔はないです。(7年間のホッケー人生を振り返って)あっというまでしたし、ホッケーというスポーツに出会えて本当に良かったです。今後も何かしらの形で関わりたいですね。(同期の皆さんに向けて)楽しいときもつらいときも一緒に過ごしてきて、早慶戦を終えられたことは宝物ですし、また一緒にホッケーしたいですね。(来季以降のチームへ一言)僕らの代で達成できなかったことを成し遂げてほしいです。ただそれに尽きます。

 

GK本名智一(経4=慶應志木)副将本名

(今日の試合を振り返って)正直勝ちたかったですけど、後半2点とって追いついた点では、すごく良い試合だったと思います。このような後半の力を出せれば、絶対来年は勝てると思うので、後輩には頑張ってもらいたいです。4年間の大学ホッケーを振り返って)3年生から試合に出させてもらったのですが、なかなか良いところで止められなくて、チームを良い方向に向けられなかったのは、すごく申し訳なく思っています。でも最後の早慶戦では、ある程度は止められたかなと思っているので、少しは満足しています。気持ちの良い終わり方が出来たのではないかと思います。

 

 

FW遠藤錬(経4=慶應志木)遠藤

(今日の試合を振り返って)僕にとっては引退試合でした。勝利してもなにかがあるわけではなかったので、その点で難しい試合ではあったのですけれど、インカレが終わってからの1月間しっかりと準備して、1年生から4年生までみんながこの試合の勝利に向かってやってきました。引き分けという形でしたけど、2点差を追いつけたのはチームの成長した結果だったかなと思います。(4年間を振り返って)4年間ホッケー一筋でつらい時期もあったんですけど、トータルして見ればやってよかったなと思える4年間だったと思います。

 

DF三木雅史(経4=慶應義塾)三木

(試合をふりかえって)1年間やろうとしてきたホッケーというのを実現できたかなとは思うんですけど、だからこそ勝ちが見えていた内容で2-2で引き分けだったことはすごい悔しいです。(今日への意気込み)この試合が終わると今後真剣に何か一つのことに取り組むということが無くなるんだなと思うと、それこそこの試合で死んでもいいという気持ちで臨みました。ただ、引き分けたのは悔しいですね、応援に来てくれた人にも申し訳ないですし。(7年間ホッケーしてきて)体育会最高!ホッケー部最高!って感じです。感謝でいっぱいです。

 

 

MF水野知紀(経4=慶應義塾)水野

(今日の試合を振り返って)僕たち4年生は現役最後の試合でした。この代は正直あまり結果を残せない代でしたけど、早慶戦に勝とうという気持ちでみんな取り組んでいました。日本一になることが目標だったインカレで一回戦負けをしたときに、一度4年生全員で部員に対して自分たちの思いを伝えて、この早慶戦にみんなで挑みました。勝利とはいかなかったですけど追いついて、やることはやった、一番良いホッケーができた、それが下級生にとってもいい贈り物になったかなと思います。(4年間を振り返って)伝えたいことはいっぱいあるんですけども、大学からホッケー部に入った僕を迎え入れてくれて、先輩の皆さんや後輩、OB・OGの方々も含め本当に感謝していますし、そういう支えがあったからこそホッケー部での自分自身の成長につながったかなと思います。本当に感謝しています。

 

 

この記事を持ちまして、ホッケー部4年生の皆さんと同じく今年度の取材を終えます。私は2年間担当し、たくさんの経験をさせていただきました。試合後お疲れの中対応してくださったホッケー部の皆さん、つたない文章をお読みくださった読者のみなさんに厚くお礼申し上げます。来季以降もホッケー部の発展を影ながら応援させていただきます。ありがとうございました。

ホッケー部担当

 

 

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