【アメフト】早慶戦直前特集③田邊翔一

#19田邊翔一

#19田邊翔一

5日連続のアメフト早慶戦前特集第3弾!本日登場するのは田邊翔一(政4)だ。自慢の大きな手とキャッチの技術でアメフトの花形ポジションであるWR(ワイドレシーバー)を務める。日本一へ並々ならぬ強い思いを持つ副将に早慶戦への意気込みを伺った。

 

 

――このオフシーズンの期間はどのような練習をされてきましたか

田邊 このオフシーズンはアメフトにおける基礎体力や、基礎的な実力練習をしていました。

 

――昨季を振り返って、リーグ戦4位という結果はいかがですか

田邊 3年生だったので、僕もチームの主力としてやってはいたんですけど、それまでも日本一っていうのは常に、僕らが入学した時から先輩方が言っていました。そういった中で昨季は関東で4位というレベルで終わってしまって、その悔しさを今の2,3,4年生は経験しているので、その悔しさを忘れずに今シーズン頑張ろうということでオフシーズンも練習に励みました。僕が入学してからオフシーズンを迎えるのは4回目ですけど、今までのオフシーズンに比べると、みんな意識高く練習できているのかなと思いますね。

 

――4年生として集大成を迎える今年、チームの印象はどうですか

田邊 そうですね、チームの今年の印象は頑張り屋さんが多いかなという印象ですね。今年のチームカラーっていうのは、4年生を中心に話し合った結果、熱くてみんながちゃんとパッションを持って取り組んでいきたいという思いがあったので、全員が熱く、自分の限界までチャレンジしていくっていう選手が去年よりもさらに多い気がしますね。そこが今年の一番のチームの特徴ですね。

 

――声がけをしている選手がとても多いという印象を受けたのですが、そういったところも皆さん意識されていますか

田邊 そうですね。今年は細部徹底ということがすごく言われていて、例えば靴を並べるっていうものすごく簡単なことでも、みんな小さい頃はやっていても、大学生ぐらいになるとやらなくなってくるじゃないですか。あとは、人の目を見て話を聞くことも、とくに社会人になってからはすごく大切なことなのに、大学生で実践している人は少なかったりする。そういうのを徹底していくことがアメフトの細部を徹底することのつながると考えていて、靴の並びが少しでもずれていたらしっかりと直すような心遣いだったりとか、トイレットペーパーの芯が落ちていたらそれをちゃんとゴミ箱に捨てるというような細部徹底が、結局はアメフトにおけるボールキャッチの最後の意識だったりとか、スポーツにおける最後の最後を突き詰める姿勢につながっていくと思っています。声かけもその一つで、声をかければ他人とコミュニケーションをとることができる。コミュニケーションが取れれば、他人に興味を持つことができるし、自分だけでなく、チームの一体感にもつながっていくと僕は思いますね。

 

――副将として迎える4年目、どのような役割を果たしていきたいと考えていますか

田邊 そうですね、僕自身が自分でリーダーシップがあるとかそういうことは判断できないけれども、おそらくチームのみんなが僕に対して信頼してくれていて、リーダーシップを発揮してくれるだろうと思ってくれているからこそ、いま副将という立場に就いていると思っています。その立場において、みんなの心に深く残るような言葉であったり、モチベーションにつながるようなものを常に与え続けられるような存在になれたらいいなと思っています。アメフトというのは適材適所のスポーツです。同じオフェンスでもいろいろポジションが分かれていて、僕とは全く違う役割をしているので、技術に関しては僕が副将として言えることは基本的になくて、全員に共通しているマインドやモチベーションというものが、僕が喚起することができる部分だと思うので、主にそこを重視してやっていくのが僕の役割だと思いますね。

 

自慢のキャッチ技術でTDを狙う

自慢のキャッチ技術でTDを狙う(提供=アメフト部)

――WRとしてここが自分の強みだなと思う部分を教えてください

田邊 ちょっと恥ずかしいですけどね(笑)。僕の強みは、パスを取るという部分に関しては誰よりもプライドがあるというか、誰にも負けたくないという気持ちがありますね。具体的に言えば、パスを手で取るのと胸で取るのとでは90cmぐらい取る位置が違うんですけど、前で取る技術には自信がありますね。他にも技術の面で自分の強みは色々ありますけど、やっぱり他のレシーバーと比べて一番負けないと思っている強みは気持ちですかね。絶対に負けないっていう気持ち。あとは、さらに上、さらに上っていう意欲を強く持っている部分も自分のレシーバーとしての強みですね。単純に自分より努力している奴がいるのは嫌いですし、それなら自分はもっと努力したいなと思いますし、そういう部分が一番大きな自分の強みですね。

 

――WRというポジションの魅力は

田邊 そうですね。レシーバーというポジションは花形と言われていて、僕たちが去年からいっているのは、「一球で世界を変えられるポジション」です。ちょっと大げさですけど、僕たちが負けている状況でも、一球パスを捕ってそのまま走り込んでタッチダウンが取れたら、トライフォーポイントを合わせて一気に7点取れることができるんですよ。残り10秒でもロングパスを捕れれば、それで点が取れますし、だから僕たちのポジションはワンプレーで、一球で世界を変えられるポジションだと思っています。そして同時に、ものすごく責任のあるポジションだと思っています。僕たちに投げられたパスっていうのは、OL(オフェンシブライン)のブロックがあったりとか、試合に出ている僕以外の10人、さらにサイドラインで見ている100人以上の選手の思いが詰まったボールが最後僕たちのところに来て、僕たちがきちんと結果につなげていかないといけません。花形で、一球で世界を変えられる魅力的なポジションであると周りから見られることが多いんですけど、その分プレッシャーや責任感が大きいポジションかなと思いますね。

 

――デイヴィッドヘッドコーチが就任して4年目ですが、WRとして求められていることは何だと思いますか

田邊 今までの慶大っていうのは基本的に「坊ちゃんフットボール」というふうに言われていて、主に頭の良さで勝負していくという部分があったんですけど、デイヴィッドヘッドコーチが来ておっしゃったのは、「11対11のスポーツである以上、全員が1対1を勝つことができれば、絶対にタッチダウンをとって勝つことができる」ということです。だからこそ、デイヴィッドヘッドコーチがきてからは、アサイメントどうこうではなくて、「個人個人が相手を倒す、何人来ても自分1人でなぎ倒すんだ」くらいの気持ちでやるようになりました。1on1の意識は本当に強くなっているなと思います。

 

――アメフトを始めたきっかけはなんですか

田邊 日本一になりたくて。高校の時も野球で甲子園に出て日本一になりたいと思ってやっていたんですけどなれなくて。大学で野球をするってなった時に、大学野球で日本一になるっていうビジョンが自分の中であまり見えませんでした。それで他に日本一を目指しているチームはどこなのかと探している中で見つけたのがアメフトだった、というのが一つの理由ですね。あとは、野球の批判をするわけじゃないんですけど、野球は結局ホームランを打ったチームが勝ったりとか、ベンチ入りが20人までしかできなくて、他の人はスタンドで見ないといけないとか、チームスポーツというよりも個人スポーツの印象が自分の中では強かったです。でも、アメフトはそれに比べて、全員一緒に練習をして、試合中も全員がサイドラインに立って、みんな試合に出られるチャンスがあるんですよ。そういう面で、アメフトは究極のチームスポーツだと思ったし、そういったところもアメフト部に入った理由ですね。

 

――アメフト部の皆さんとは仲良くオフも一緒に過ごされているのですか

田邊 そうですね。仲は良いですね。学校とかにいてもやっぱりアメフト部で固まってしまって、他の人に煙たがれることも多いので(笑)。アメフト部の絆は強いですし、その絆が強ければ強いほどチームのまとまりも出てきて、勝ちにつながっていくと思います。

 

――アメフトを始めて良かったなと思う瞬間はどのようなときですか

田邊 アメフトを始めて良かったと思う瞬間は、まだ味わえていないなと思いますね。僕は日本一になれたら、本当にやったなと思うんですけど、まだ日本一になれていないので、正直やってやったなというような達成感はまだないんですけど、でもやっぱり大事な試合のときに、自分自身も活躍した上でチームも勝って全員が喜んでいる姿をみていると、やっぱりアメフトをやってよかったなと思いますね。

 

「日本一」に向け最高のスタートを切る

早大を破り、「常勝」軍団の道へ

早大を破り、「常勝」軍団の道へ

――早大の印象を教えてください

田邊 昨年の早大は僕たちがやろうとしていることをやって、関東1位というタイトルを獲得して、甲子園ボウルという日本一を決める区切りの大会まで行っています。早大の強さっていうのはやっぱりその経験があるっていうところだと思いますね。日本一の舞台で日本一のチームと戦うっていう経験をしている選手が今年も残っているので、日本一のレベルを知っている選手がいるっていうのが大きいと思います。僕たちのなかには、日本一のレベルを体感している選手はいないので、そこが僕たちにはない強みだと思いますね。逆にそういったチームに勝つことができれば、僕たちも日本一に向けて自信を持っていいのかなと思いますね。

 

――そういった経験豊富なチームを倒す鍵はどのようなところでしょうか

田邊 オフェンスにおいては、テンポの良さとボールをどれだけ支配できるか、あとはコンスタントにどれだけ進んでいくことができるかというところだと思います。流れをつかむうえで大事なことは、3回の攻撃でたった10ヤード進めばいいので、それをコンスタントにいかにずっと僕たちの攻撃時間を長くすることができるのか、という部分がものすごく鍵になってくるかなと思います。

 

――早慶戦は新入生も多く見に来ると思いますが、見どころなどありましたら教えてください

田邊 アメフトの見どころとしては、出ている選手だけではなくて、サイドラインの雰囲気とかも見てほしいなと思いますね。試合に出ている11人が主役ではあるんですけれども、出ていない11人以外の選手がサイドラインでものすごく良い動きだったり雰囲気を作ったりしてくれているので、チームカラーは一番サイドラインに出るんですよ。去年だったら慶大のサイドラインはうるさいというか、本当に盛り上がるんですけど、早大は対照的に、そういった盛り上がりが気の緩みにつながるからってことで一切声を出さないサイドラインができていたりとか、本当に全然違うので、そういったサイドラインの大学ごとのカラーを見て欲しいですね。今年も慶大のサイドラインは結構盛り上がると思うので、注目してください。

 

――最後に早慶戦に向けて意気込みを教えてください

田邊 慶大に入った以上、早大との戦いっていうのは避けては通れない道ですし、絶対に負けてはいけないって言われている伝統的な試合だと思っています。そして、僕たちの代が今年どのようにスタートを切れるのかっていうのを占う大事な試合になってくると思うので絶対に勝ちます。絶対に勝てると思いますし、さらに内容にこだわって、言うなればもう慶應とは戦いたくないなって思うくらいの差で勝ちたいと思います。期待してください。

高校時代から仲の良い田邊(左)と杉山(右)

高校時代から仲の良い田邊(左)と杉山(右)

 

(取材 長田ゆり)

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