前節、桐蔭大に惜しくも破れ連勝を逃した慶大。ここ数年勝利のない専大戦にのぞんだ。試合は21分、PKで失点し先制を許す。その後も攻め込まれるがなんとかしのぎ、前半を折り返す。後半、追い付きたい慶大だったが49分にカウンターから今日2失点目。しかしその後53分、慶大が山本哲平の今季初ゴールで1点を返すと流れは慶大に。63分には加瀬澤力のCKに松木駿之介が頭で合わせ同点。その後69分に失点し再びリードされるも74分に山本哲平が今日2得点目のゴールを決め同点、82分には相手のオウンゴールで遂に逆転に成功。そのまま試合は終了し苦手としていた専大に勝利。慶大は今季2勝目を挙げた。
第90回関東大学サッカーリーグ戦 第4節
2016/4/30(土)14:00KO @三ツ沢公園陸上競技場
慶應義塾大学4-3専修大学
【得点者(アシスト者)】
[慶] 53分 山本 哲平 (溝渕 雄志)
[慶] 63分 松木 駿之介 (加瀬澤 力)
[慶] 74分 山本 哲平 (松木 駿之介)
[慶] 82分 オウンゴール
[専] 21分 野田 卓宏
[専] 49分 氣田 亮真
[専] 69分 野田 卓宏 (氣田 亮真)
◇慶大出場選手
GK上田朝都(総1・横浜F・マリノスユース) |
DF溝渕雄志(環4・流通経済大学付属柏高) |
DF宮地元貴(総4・東京ヴェルディユース) |
DF望月大知(環4・静岡学園高) |
DF井上大(総4・國學院久我山高) |
MF豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18)→71分沼崎和弥(商1・暁星高) |
MF加瀬澤力(総4・清水東高)→80分田中健太(法3・横浜F・マリノスユース) |
MF増田皓夫(商2・桐蔭学園高) |
MF手塚朋克(環3・静岡学園高) |
MF松木駿之介(総2・青森山田高) |
FW山本哲平(政4・國學院久我山高)→90+2分 鴻巣良真(総2・國學院久我山高) |
今節、慶大は1-2と惜敗した前節桐蔭横浜大戦と同じメンバーで試合に挑んだ。今季これまで4試合で未だ無得点のエース山本哲平(政4・國學院久我山高)、ここ2試合連続でゴールを決めている加瀬澤力(総4・清水東高)に期待したいところだ。
試合は前半、風下の慶大が立ち上がりから専大に主導権を握られる展開が続く。21分、中央突破をはかった相手フォワードをペナルティエリア内で宮地元貴(総4・東京ヴェルディユース)が倒しPKを献上。自身も「自分の対応ミス」と認めるファールで宮地にはイエローカードが出され、そのPKも決められ失点。いきなり先制を許す苦しい展開となった。直後の25分、中央右から持ち上がった溝渕雄志(環4・流通経済大学附属柏高)がペナルティエリア手前で切り返しから左足のシュートを打つも相手GKがセーブ。その後はサイドを中心として専大に幾度もチャンスを作られる。カウンターから得点を狙う慶大は40分、右サイドの溝渕から手塚朋克(環3・静岡学園高)とつなぎ最後はクロスにファーサイドで加瀬澤が頭で合わせるもゴールならず。攻められながらも何度かチャンスを作った慶大だったがそのまま0-1で前半を終える。
後半、追い付きたい慶大は後半開始からシステムを4-5-1から4-4-2に変更。風上になる後半は「前からボールを取りに行く」という意識のもと得点を狙いにいった。しかし狙いとは裏腹に専大に追加点を許す。49分、専大のシュートがクロスバーを直撃。そのままボールはゴール前にこぼれそのこぼれ球を専大に押し込まれ失点。追い付きたかった慶大だったが2点差となる。さらに苦しい展開になると思われた慶大を救ったのはここまで今季無得点のエース山本だった。
53分、左サイドを上がってきた井上大(総4・國學院久我山高)が右サイドへクロス。そのボールをスライディングで溝渕が中央に折り返すとそこに走り込んできた山本が冷静に蹴り込んで1点を返す。エースの得点で勢い付いた慶大はそこからペースをつかみ左サイドを軸に幾度となくチャンスを作る。そして63分、サイド攻撃から得た左CK。加瀬澤の正確なキックにニアサイドで松木が頭で合わせたボールはゴール右に決まり2-2、同点に追い付く。
このまま逆転したい慶大だったが69分一瞬の隙を突かれて失点。再びリードを許してしまう。しかし須田監督の言うように「肩の荷が下りた」エース山本が再びチームを救う。71分には豊川功治(総4・千葉U-18) に代わって1年生の沼崎和弥(商1・暁星高)が入り、キャプテン宮地を一つ前のボランチに上げると74分、中央で松木の蹴ったボールが相手ゴール前にいた山本の足元へ。山本はファーストタッチで上手く前を向くとツータッチ目でシュート。鋭いシュートはゴール左隅に決まり再び同点に追い付く。エースの奮闘にチームも鼓舞され体を張れる場面も増えてきた82分、遂に待ちに待った瞬間が。右サイドからの溝渕のボールが山本のもとへ。相手ゴールキーパーが前に出てきたところで山本と競り合っていた相手ディフェンダーが出した足にボールが当たりキーパーの頭上を越えてボールはゴールへ。今日初めてリードすることに成功した慶大はその後も危なげなく集中した守備で相手の攻撃を防ぐ。そしてそのまま試合は終了。苦手としていた専大に4-3で競り勝ち、今季2度目の勝ち点3を手にした。
今節は今季2度目の勝利、エース山本のゴール、1年生の活躍などポジティブな面の多い試合だった。しかし須田監督の「反省点を修正する必要がある」、宮地主将の「勝って兜の緒を締める」という言葉からは決して浮かれる様子はない。今日の勝利から勢いに乗って勝利を重ねて欲しい。
(記事 岩見拓哉)
試合後コメント
須田芳正監督
(今日の試合を振り返って)試合を観ている人たちにとっては面白い試合だったと思う。最後は選手たちが意地を見せた試合だったんじゃないかな。前節からメンバーは変えなかったがその中で選手たち、特に4年生に意地を見せてほしかった。うちのディフェンス陣には1年生から試合に出てきている選手が多いのに対して、今日の相手のフォワードは1年生ということで最後に4年生に意地を見せてほしかった。前半は試合を見てて、戦術とかに関係なく選手たちの戦う姿勢や覇気を感じなかったし 、相手を恐れていると感じたからハーフタイムには渇を入れた。結果として勝つことができたので良かったが、今後に向けてまた修正すべき所は修正していきたいと思う。(今日のチームとしての戦い方は) 今日はまずマンツーマンで人に付こうということが一つ。そしてボールを取った後、ボールホルダーのワイド、ディープのポジションをとってパスコースを作りそこで勝負をしたかったが、特に前半はそれを上手くやれず、逆に悪いかたちでボールロストしてからカウンターをされる場面が多かった。前半はチームとしての戦い方が上手く実践できなかった。 (後半開始時からフォーメーションを変えたが)4-5-1から4-4-2に変えた。理由は、後半は風上になるので前からボールをとりにいきたかったということが一つ。その後すぐ2失点目をしてしまったが、またすぐ1点返せたので一旦落ち着かせた。でも時間が経つごとに勝負に出なければならないので(宮地)元貴を一つ前にあげて、沼崎は1年生なので少し慎重になったが、勝ちに行きたかったので思いきって変えた。そこのところで(宮地)元貴の良さが前で出たと思うし、その後は攻撃の部分でも上手く行った。1年生の沼崎もあの苦しい場面でよくやってくれたと思う。(今季初ゴールで2得点の山本哲平選手について)彼も得点がないということで苦しんでいたし、僕自身彼に厳しいことも結構言ってきた。この前も彼には、下がりすぎて前へのスプリントが少なくフォワードとして怖さがないと言った。今日は変えようかと思っていたが、ラストチャンスという事で彼と話してたなかで思いきってやったんだと思う。フォワードは1点とれば肩の荷が下りて得点できるようになるから良かったと思うし、彼にとってはこれがスタート。ここで満足するわけでもないしこれからも得点し続けてもらいたい。とにかくゴール前にスプリントすることが大事だと思う。そうすれば自然とボールが来るし、それを止めないことが大切。これからも前に行く姿勢、ゴールを狙う姿勢を続けて欲しいと思う。(失点の多さについて)ボールに行けていないというのが一つ。後はこれからまた分析しなければならないが、ボールにいけないことでラインが下がってしまっている。結局良い守備をすることで得点に繋がると思うのでそこは見直していきたいと思う。(次節に向けて)苦しい4月が終わり5月になって気持ちも新たに 、なおかつ今ある反省点を見直していきたい。また、1年生も慣れてきたのでこれからはチーム内でも競争が始まると思うし、そのなかで調子が良い選手を使っていきたいと思う。
宮地元貴主将(総4・東京ヴェルディユース)
(今日の試合を振り返って)まずは勝つことができてよかったです。でも今日は僕のミスからPKを与えてしまい流れが悪いなかで、ピッチにいた10人を始めベンチの選手、社会人スタッフの方、応援してくれたスタンドの皆もそうですし、本当に仲間に助けられた試合だったと思います。(PKでの失点シーンについて)冷静な対応ができずに一発でボールを取りにいってしまい、スピードに乗っていた相手に上手くファールをとられてしまった。(チームとしてもあまり上手く守れていなかったのか)PKの場面では失い方も良くなかったが試合のなかではそういうこともあるし、自分のところで止めていればなにも問題はなかった。自分の対応ミスです。(前半は風下だったがどう対応したのか)ゲームプランとしては風下のなかで前半は失点を0に抑えて、後半は風上になって押し込もうということだったが失点してしまった。前節も前半無失点を掲げていたなかで失点してしまい、今節も自分のせいでそれを達成できず責任を感じています。(後半途中には一つポジションを上げたが)自分がボランチに上がるということは豊川がやっていたように、ボールを拾ったりファーストボールを競りにいったりして泥臭く相手の攻撃の芽をつむためだと思うし、自分にはそれをするしかないので、その事に集中しようと考えてました。(宮地選手が慶應に来て初めて専修大学に勝利したが)それは素直に嬉しいです。昨季の後半戦は引き分けだったが勝ちきれなかったし、今季の前の練習試合でも0-6で負けていた相手だったので今日は周りの皆に感謝したいです。(次節に向けて)まずは個人として僕自身成長しなければならないですし、チームとしては、この前法政戦に勝った後雰囲気が悪い意味で緩んでしまいその後前節負けてしまったという経験があるので、勝って兜の緒をしめて次の試合も勝って良い流れに乗っていけるようにしたいと思います。
山本哲平(政3・國學院久我山高)
(今日の試合を振り返って)専大と戦うにあたって、自分たちは一年の時から一度も勝てていないので、なんとしても勝ちたいという思いがありました。前半は全然内容が良くなくて、須田監督にハーフタイムに怒られてから良くなりましたが、言われてからスイッチが入るようではまだまだ甘いなと思いました。(前線からのプレス、タメを作ること、フィニッシュなど求められることが多い中で、今日しっかりと結果が出た理由は)一つは相手があまり守備的でないという点ですね。マークが普段の相手よりも甘かったかなと感じました。CBとCBの間だったり、CBとSBの間だったりで、一瞬でマークを外して動き出すことを意識したことが得点につながったと思います。(サイドチェンジする場面が多かったが)後半は相手の運動量が落ちてきて、左でタメてから右に展開できる場面が多かったと思います。うちの右はミゾ(溝渕雄志)も手塚(手塚朋克)も縦に速いので1対1にさせたらクロスまで上げてくれると思っていたので、そういう意識はみんなの中にあったと思います。(ゴールについて)(一点目は)去年もそうですけど、自分はクロスから得点することが多かったので、入り方を意識しています。いつもは入る人が俺だけでフリーになることができなかったんですけど、今日はニアで松木がつぶれてくれたのでフリーで入ることができました。シュートは当てるだけでした。(二点目は)ゴールキックの時、松木が競ったあとのボールはいつも意識しています。ただ、今回はサイドではなく真ん中に来ました。ボールを止めた場所もすぐシュートを打てるところだったし、自然と打つことができました。感覚的なところがあったんですけど、入って良かったです。(去年の感覚は思い出せたか)今日の後半は自分の中では、失点はしましたが今季一番やりやすかったし、きつかったけど楽しかったなと思いました。(専大相手は得意なイメージがあるが)意識はしていないが、二年の時から点が取れるところでは得意なのかもしれないです。(次節への意気込み)法大戦に勝って、前節桐蔭大に負けてしまったので、浮かれずに一戦一戦大切に戦って勝ち進んでいかないといけないと思います。一回勝って、また負けてだと上位にはいけないと思うので大切に戦います。
松木駿之介(総2・青森山田高)
(試合を振り返って)前節も負けているなかで、監督に「お前らを信じている。」と言われ、同じメンバーでやらせていただいたなかで、前半ああいうゲームをしてしまって、後半に2点目をとられても、最後まであきらめなかったことが勝利につながったと思います。意地を見せられて、よかったです。(自身の今季初ゴールを振り返って)専修に全日本選抜で一緒にやった選手がいなくて、僕のニアに走ってのセットプレーの形というのは、ここ2,3試合もやっていなかったので、相手にはばれていないと思い、キッカーの力さんと話していた通りの形が出て、よかったです。今季初ゴールはうれしいですし、僕が決めた試合では負けた記憶がないので、チームが勝つためにも、僕が点を取っていかないといけないと思います。(0-2の状況で意識していたこと)去年から、ひっくり返した経験というのはたくさんあったので、そういう経験をした選手が多くいたこともあって、誰も試合が終わったとは思っていませんでしたし、そういう経験が生きた、いいゲームだったと思います。(次の試合に向けて)僕らが目指しているのは優勝なので、連勝して勢いに乗れるように頑張ります。
加瀬澤力(総4・清水東高)
(難しい試合に勝利して、今の気持ちは)内容は良くなかったと思うし、色んな反省点が自分自身も含めてあるので、そこは冷静に分析したいです。気持ちとしては、ほっとしたという気持ちがすごく強いです。今日一日、上手く整理して、明日に切り替えていきたいと思います。(前半は少し苦しい展開だったが)セカンドボールが拾えなかったり、自分たち自身でバタバタして追い込んでしまったイメージがあるので、そういう時に自分のような選手がもっとボールに絡めればよかったのかなと思いました。(後半、ポジションを上げて2トップ気味になったが)負けていて点をとらなければいけなかったし、内容も全然ダメだったので、チームとして前からいくしかなかったという感じです。前が2枚になってボールを収める場所が増えたので、前に当てて抜けていく、攻撃に厚みを持たせるといった自分たちのやりたいことが出来るようになって良かったかなと思います。それが後半の4得点に繋がったのかなと思います。(次節に向けて)前節は、法政に勝った後で、どこかに自分たちの調子に乗った部分が出たと思うし、自分自身も、たまたま点をとれてきたけど、今日はとれてないので、満足することなく、謙虚に、一日一日を大切にして、また明日から、来週勝てるように準備していきたいです。
井上大(総4・國學院久我山高)
(今日の試合を振り返って)結果的に勝てましたけど、自分たちの甘さを見せてしまったゲームだと思います。(どのような点を甘さと感じましたか)前半の試合の入りとか、失点シーンを振り返っても、なんかフワッとしているというか、緩い部分を見せてしまったと思います。後半の頭の失点も誰も競りにいかないということはありえないことですし、練習でヘディングとかやっているのに、それを出せないということは、一人一人試合に対する意識が薄かったのかなと思います。(井上選手からのクロスから先制点となったシーンについて)2年生ぐらいの時から、僕からミゾ(溝渕)に出すパスは狙っていて、今まで狙ってきたものが今日結果に出たということはポジティブに捉えて良いと思います。(今シーズンの安定したパフォーマンスについて)自分も4年生なので、今まで3年間経験したことをピッチ上で出していくだけなので、特に意識していることはないんですけど、試合前に相手のことをスカウティングすることだったり、自分と対面する相手をしっかり分析して、試合に臨むことは心がけています。(次節へ向けて)監督もおっしゃったのですが、今日の試合は意地を見せたってだけで、内容的にも全然足りていなかったので、5月は連勝街道に乗るためにもしっかりと準備して相手の分析をして臨みたいと思います。
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