前日の青山学院大戦同様、ホームである日吉記念館で開催された法政大戦。法政大は今季リーグから2部に降格してきた強敵だ。厳しい戦いになることは予想されたが、今季2回しかないホームでの試合ということもあり、前日に引き続く2連敗は何としても避けたいところ。しかし、法政大の、相手をよく見るミスの少ないいわゆる堅実なバレーに、ちょっとしたずれやミスが積み重なり粘り負け、惜しくも今季2敗目を喫する痛い試合となった。
5月15日(日)春季関東大学男子2部バレーボール第9戦 慶大×法政大@慶應義塾大学日吉記念館
得点 | ||
慶大 | セット | 法政大 |
27 | 1 | 25 |
22 | 2 | 25 |
23 | 3 | 25 |
20 | 4 | 25 |
第1セット。立ち上がり、富澤太凱(経1)の持ち味である鋭いサーブが光る。自身のストレートのスパイクで得点するとその直後のサーブで見事なサービスエースを奪う。続くサーブでも相手を崩しチャンスボールとすると、布川智規(商4)が速い攻撃できっちり決め5-5と同点とする。その後、宗雲監督が「よく拾っていた」というように、リベロを中心に全員の気迫のレシーブでなんとか相手に食らいつく。20-20とした終盤、そろそろ点差を広げていきたい場面、宗雲監督は池田裕哉(環4)、佐藤康平(環3)、マルキナシム(環1)と立て続けに選手の交代をするが、ここでマルキの投入が見事に的中。高さを活かした完璧なブロックポイントが決まる。これで再度逆転に成功すると布川のストレートなど確実に得点を重ね、最後はここぞとばかりの3枚ブロックでとどめを刺しこのセット27-25と良い流れを作る。
続く第2セット。第1セット同様、点の取り合いとなる。黒田彪斗(環3)のフェイントや相手のサーブレシーブのミスから上野が押し込むなどチャンスをものにしていく一方、長いラリー戦で相手スパイクの勢いを止められず得点を許す場面も。中盤布川の相手をよく見たフェイントやうまくブロックを外したスパイクなどで一進一退の攻防を続けるも、佐藤のスパイクミスや、黒田がブロックにかかるなどし、21-18と大事な場面で引き離される。しかし、慶大も負けじとこの終盤で黒田のサービスエースが決まり、3連続ポイントで22-22と相手に追いつくが、直後のタイムアウトで完全に立て直した法政大にサーブレシーブから乱され気持ちよくスパイクを打たせてしまうと、慶大の攻撃もブロックに阻まれ、今度は逆に3連続ポイントを許し22-25とこのセットを落としてしまう。
第3セットは打って変わって、序盤から上野や黒田、増田拓人(環3)のブロックが飛び出し一時6-2と好スタートを切る。しかしタイムアウト後は相手もブロックを避けた攻撃に修正し始め、徐々に得点を詰めていくと、慶大は入っているサーブを見逃すなど痛いミスが出て、相手に先に20点を与えてしまう。1点が重くそこからの点差はなかなか埋まらない。相手の強烈なスパイクを見事に拾いつなげると布川がきっちりと決めるなど守りからの攻めという良い形は作るも、序盤相手を苦しめたブロックに今度は自分たちが苦しみ、ブロックポイントを2度奪われ23-25と前のセットに続きこのセットも落としてしまう。
もう後がない第4セット。序盤は、数少ない相手のミスを助けに試合を優位に進めているように見えた。しかし、スパイクがマークにかかり攻撃をシャットアウトされ始めると、なかなか攻撃の形を変えられず流れを相手に渡してしまう。宗雲から「攻撃の起動力を買った」と起用されていた増田のスパイクが決まるも、これまでの守備が一気に崩れ次々とスパイクを決めさせてしまう。サービスエースも許し、この試合を通し終始マークをされていた上野もブロックにかかり、5連続ポイントで15-21と大量リードを奪われる。最後は高さのあるマルキの投入もむなしく相手のスパイクを止めることができず、20-25とこのセットを落とし、セットカウント1-3でこの試合痛い敗戦を喫した。
「絶対勝たないといけない試合だった」と上野主将が語るように、現在リーグ1位の法政大との直接対決は今後の慶大バレー部の行方を左右するといっても過言ではないほど重要であった。そのため、前日の青山学院大戦に続いてのこの連敗は1部昇格という最大の目標に不安をのぞかせる結果となったことは確かだ。しかし、2敗目を喫したからといって1部昇格への夢が絶たれたわけでは決してない。入れ替え戦進出へのわずかな望みは残っている。慶大が残りの2試合を1セットも落とさず2連勝し、現時点で3位につけている亜細亜大が2セット以上落すということだ。1セットも落とせない上に他力本願であることは厳しい状況に間違いないが、可能性がまだある以上あきらめる者は誰一人としていない。けがに苦しんだセッターの尾木将(法3)も青山学院大戦から復帰を果たし、次戦に向け再び調子を上げてくるだろう。背水の陣で残りの国士館大戦、国際武道大戦に臨む慶大はセッター尾木の不在のとき同様ピンチをチャンスに変えられるか。あの時の一丸となった全員バレーが再びコートで実現し、悲願の1部昇格なるか、残りの2試合に運命はかかる。
(記事 太田彩恵)
宗雲監督
(今日の試合を振り返って)内容はよく拾って粘って良かったですけどね。やっぱり負けると残念ですね、すごくがっかりしますね。
(今日黒田選手の交代は考えたか)今日マークは黒田がされていたというより上野主将がされていたのでね、黒田選手はもともと浮き球なのでどうしても2枚ブロックにいかれるので、黒田に関しては特に交代は考えていませんでした。
(2セット目以降相手のスパイクに苦しめられましたが)今1位で来ているチームなので、特に相手の1年生の左利きのオポの子を中心に攻撃力はしっかりしているのでそう簡単にはディフェンスできないと思いましたけど、まあ思ったよりはよく後ろは拾っていましたね。
(佐藤選手に代わって増田選手の起用について)佐藤にはブロックを期待しているんですけど、まあクイックがいまひとつ合っていないので、攻撃の起動力を買って増田を起用しました。
(今日で2敗目ということだが)まあ2敗したのであとはよその大学さんとの関係にもよるのでうちはとりあえず来週2つ勝って、結果を待つしかないので、来週の2試合に集中するだけです。
(次戦の国士舘大戦にむけて)残り2戦も強いチームなので慶應が相手に対して向かっていかないと良いプレーはできないと思うので、その心の準備をさせます。
上野主将
(試合を振り返って)昨日負けてしまったので今日絶対に勝たないといけない試合だったんですけど負けてしまって残念です。
(昨日からの改善)昨日は自分たちのバレーがあまりできなかったので、今日はしっかり自分たちのバレーをしていこうということで来ました。
(その結果は)いつもよりもブロックとレシーブの関係だったりとかスパイクだったりは良かったんですけど、少しの部分でほころびが出てしまって、結果勝てなかったかなと思います。
(尾木選手の帰還で雰囲気は)誰が入っても雰囲気を良くして行こうとやっていましたし、実際雰囲気も良かったので、戻ったから雰囲気が良くなった、悪くなったということはないです。
(ホームで声援もすごかったが)昨日も今日も応援の人がいっぱい来てくれて、昨日の試合が終わってからもOBの方が「頑張れ」と声をかけてくれたりとか、帰ってからもメールだったりとかで本当にたくさんの方から励ましの言葉をいただいて、すごい力になりました。
(自分の主将としての在り方)途中からはずっと特別なことをするんじゃなくて今までやり続けてきたことを出そうということを言い続けてきました。自分のプレーをするというよりは皆がいつも通りプレーを出来る環境を作れるようにということを考えてやるようになりました。そうできるように誘導するという感じです。「行こうぜ」とか「一緒に行こうよ」、「大丈夫だよ」という感じで。
(増田選手について)増田は普段からムードメーカーでよくやってくれているので入った時も雰囲気が明るくなるので、入ったことによっていい雰囲気が生まれていると思います。
(来週に向けて)しっかり残り2つ勝たないと入れ替え戦にいけないので絶対勝ちますし、しかも、会場も変わってまた戻るんですけど、あの体育館でうちは調子良いみたいですし、自分たちのバレーをしっかりやれば勝てる相手なので、勝って入れ替え戦に行きたいと思います。
増田拓人(環3)
(試合を振り返って)相手の攻撃がすごく通ってきたので止めたかったのですが全然止まらなかったです。あと細かいプレーで差があって負けたかなと思います。ドリブルとかネットタッチとかそういう細かいプレーかなと思います。
(どんな役割として試合に臨んだか)つなぎとか声とか連携とかで自分が入って歯車が合えばいいなと思って臨みました。
(今日の調子は)最初は良かったのですが、膝を怪我していて最後の方が痛かったです。
(次戦に向けて)試合に出れるように一週間練習して頑張ります。
サイド | 黒田 彪斗(環3・富山第一高) |
セッター | 尾木 将(法3・修道高) |
センター | 増田 拓人(環3・習志野高) |
オポジット | 富澤 太凱(経1・慶應高) |
サイド | 布川 智規(商4・桐朋高) |
センター | 上野 素希(文4・甲陽学院高) |
リベロ | 松岡 海(文3・慶應高) |
途中出場 | 池田 裕哉(環4・北嵯峨高) |
| 佐藤 康平(環3・桐蔭学園高) |
| マルキ ナシム(環1・川越東高) |
清水 拓郎(環4・弥栄高) |