慶應スポーツ新聞会

【弓道男子】熱戦を制し悲願の初優勝!/第28回全国大学弓道選抜大会

悲願の初優勝が慶大にもたらされた

悲願の初優勝が慶大にもたらされた

ついに歓喜の瞬間が訪れた。6月25日、26日に明治神宮中央道場で開催された第28回全国大学弓道選抜大会。前週はベスト8で敗退したのもあり、リベンジを果たしたい慶大は予選を難なく通過。決勝トーナメントも全国の強豪を相手に高的中を連発。観客も固唾を呑んで見守る中、2009年王座優勝以来の全国制覇、そして本大会初優勝を飾った。

 

 

28回全国大学弓道選抜大会

 

625()26()@全日本弓道連盟中央道場

 

ポジション

選手名

予選

1回戦

2回戦

準決勝

決勝

大前(おおまえ)

本郷一輝

(法1・慶應湘南藤沢)

2番

蜂谷康一郎

(商3・桜修館)

3番

日野浩明

(文3・慶應義塾)

落前(おちまえ)

山下健太

(商2・慶應義塾)

落(おち)

稲熊渉

(総4・城北高)

合計

 

17

17

19

18

15

対戦校

 

 

松山大

法大

日大

近大

 

 

17

19

18

15

※ 1回の試合で各選手4本の矢を放つ。トーナメントは2チームが同時に矢を放ち始める。男子団体は1チーム5人で構成され、計20本のうち的に中(あた)った本数の多いチームが勝ち進む。的中数が並んだ場合は、各自1本の計5本からなる一本競射が繰り返される。

 

上位進出を狙うも力の差を見せつけられ、ベスト8止まりとなった全関東から1週間。明治神宮中央道場に全国の強豪校が一堂に会した。今年最初の全国大会である本大会は全日本弓道連盟主催というのもあり、応援は皆中時の拍手のみといった静かな環境で試合が進む。張りつめた雰囲気の中、慶大が全関東のリベンジを果たすべく大舞台に臨んだ。

厳かな雰囲気の中リベンジに燃える

厳かな雰囲気の中リベンジに燃える

25日に行われた予選。メンバーは全員前週の全関東の悔しさを胸に抱き、「自分のやることをしっかりやりきる」(稲熊主将)ことを念頭に1週間準備をしてきた。その甲斐もあってか前半を10射皆中で折り返すと、そのまま危なげなく17中を記録。悠々と予選を通過した。

勝負矢は稲熊主将に託される

勝負矢は稲熊主将に託される

続く26日、決勝トーナメントが始まる。初戦の相手は松山大学。前日の予選では慶大と同じく17中を叩き出している。普段は対戦しない未知なる強豪を前にこの日も序盤からリズムを掴む。それぞれが離れで苦しみながらも、3本目終了時点で抜いた矢はわずかに1本。この時点で松山大に2本ついており、初戦突破は確実かと思われた。しかし最後の矢を3本しか中てられず、追いつかれるまさかの展開。試合は同中競射にもつれこんだ。先に引き始めた松山大だが、2番が早々に的中を逸する。これで優位に立った慶大は落の稲熊渉主将(総4)まで的中をつなぎ、5中対4中で勝負強さを見せつけた。

ルーキーながら切り込み隊長の役割を担う本郷

ルーキーながら切り込み隊長の役割を担う本郷

続く2回戦の相手は現在東京都Ⅰ部リーグ2連覇中の法政大学。今季は全関東でベスト8止まりと結果が出ていないが、王座奪還に向けて必ず倒さなければいけない相手だ。最近の公式戦ではⅠ部校との対戦で敗れることが多かったが、この日は違った。1本目から的の中心に近い矢で全員が的中。各々苦しい射ではあったが、全関東の個人戦で4位に入賞した蜂谷康一郎(商3)が抜群の安定感を見せるなど、終わってみれば19中。格上相手に4本という大差で準決勝に駒を進めた。

全関東からの好調ぶりが光る蜂谷

全関東からの好調ぶりが光る蜂谷

迎えた準決勝、対戦するのは前週の全関東で3本差をつけられ力負けした日本大学。この大会も予選から1本も抜かず、20中を連発し続けて勢いに乗る。当然慶大の選手もこのことを耳にし、意識するも動揺を見せないのがこの日の慶大。大前の本郷一輝(法1)が離れを引っかけながらも初矢を入れいい流れで試合に入り4本的中する。すると日大の初矢はまさかの3中。思わぬ形でリードをもらったが、2本目には追いつかれ簡単には試合を運ばせてくれない。それでも2人が連続で抜いて崩れた全関東とは違い、この日は一人が抜いた後は次の人が的中し、全員で試合を作っていく。3本目を両チームとも全部中て、勝負の行方は4本目。大きな応援が禁止されている中、先に静寂を破ったのは慶大。本郷が皆中で客席から拍手をもらう。法大もすかさず2番が皆中したが、緊張感に呑まれたか3番の矢は無情にも的の外。リードをもらった慶大だが中て続けなければいけない状況に変わりはない。それでもここまで皆中がなかった日野浩明(文3)、春シーズンを通して好アピールが続く山下健太(商2)と皆中が続く。勝敗を決する最後の矢、稲熊は離れが乱れるも的にねじ込む気迫の射。両校一歩も譲らない1本差の死闘を制した慶大に、観客席からは思わず感嘆のため息が漏れた。

勝負所で皆中した日野

勝負所で皆中した日野

ついに念願の決勝戦、この大会の他の試合は全て終了し、残された最後の大舞台だ。相手は同じく本大会初優勝を狙う近畿大学。ここまで前年度優勝校の立命館大学、東京都リーグⅠ部校の桜美林大学を撃破した関西の雄だ。決勝トーナメントでの的中率は9割と、勢いそのままに試合に入りたかった慶大だが、決勝戦の重圧が予定を狂わせる。両校の大前がそろって初矢を抜く波乱の幕開けとなり、1本目が終わってまさかの2中。序盤から2本差をつけられる苦しい立ち上がりとなった。一時は3本差にまで差が開くも、ここから怒涛の連中で3本目までに追いつくことに成功。またしても4本目まで勝負はもつれ込む。近大は早々に引き終わり14中を記録し、この時点での慶大のリードは2本。最後の矢を確実に的に入れて優勝を掴みたかったが、リードはわずか1本に。それでも落前の山下が重圧をはねのけ皆中で締め、勝敗は落の稲熊主将に委ねられる。会場の全ての視線が稲熊に集まる中、放たれた矢はきわどいところに。的中の表示はなかなか出ず、全員が息を飲む。やや間があってから○が表示された瞬間観客席からはどよめきが起こり、慶大の本大会初優勝が決まった。

 

決勝戦でも山下は動じず皆中

決勝戦でも山下は動じず皆中

「率直に嬉しい」(蜂谷、日野)、「最高」(山下)と全国制覇の喜びを素直に表現した慶大弓術部。優勝した要因は何といっても自分たちの本来の実力を出せたことにあるだろう。今までは「Ⅰ部校相手に萎縮してしまい自分たちのやることができていなかった」(稲熊主将)と強豪相手になればなるほど力の差が浮き彫りとなっていたが、今大会では崩れずに接戦を制した部分は確かな成長の証となって表れた。そして「全関東で悔しい結果に終わったということを取り返してやりたいという気持ちが、選手全員を一つにしたのではないか」(鈴木監督)と振り返るように、雪辱に燃える強い意志が全員で抜いた1本をカバーするという強豪校らしい試合運びにつながった。

 

しかし、これはあくまでも始まりにすぎない。夏には全日本、秋にはリーグと最終目標に向けて落とせない試合が今後待ち受けている。今回は苦しい射での優勝となったが、今後の厳しい戦いを勝ち抜いていく上ではまだまだ潰すべき隙は残されている。「更にレベルを上げてインカレという一番王座に近い試合で勝たないといけない」(本郷)。学年問わず部全体が高い意識を持っている以上、王座への期待は膨らむばかりだ。新生弓術部が掴んだ1勝目、王座奪還に向け伝説は始まったばかりだ。

(記事:村上慶太)

 

監督、選手のコメント

 

鈴木清久監督

非常に嬉しい。全関東で優勝したかった思いもあり、その思いが今回の試合に結果として出てきた。春で優勝できるチームだと思っていたので、全関東を落としてしまった分選抜は必ず獲れると思って挑んだ。この春から足踏み、胴造りをしっかりして強い矢を出すということを取り組んできたが、まだ道半ばといったところが今日の苦しい離れになった。本来であればもっといい矢が出るはずなので、今後精進して全日本、リーグ、王座に続けていきたい。勝因は春からやってきたことがそのまま出せたこと。そして全関東で悔しい結果に終わったということを取り返してやりたいという気持ちが、選手全員を一つにしたのではないか。もっといい矢、強い矢が出せるはずなので、今後の課題として星に詰めて皆中を目指す射、チームを目指していきたい。全日本、リーグ戦とあるので一つ一つ確実に進歩して王座を目指して頑張っていく。

 

稲熊渉主将(総4

まずは嬉しいという一言に尽きる。しかし改めて振り返るとまだまだできるな、というところだ。良かったのは都学のⅠ部校に二回あたって二回とも差をつけて勝つことができたこと、悪かったところは決勝という舞台で少し萎縮してしまって普段の実力を出し切れなかったこと。全関東の時もⅠ部校相手に萎縮してしまい自分たちのやることができていなかったので、そうではなく自分のやることをしっかりやりきるということを何より自分自身に課すというところを選手全員でやった結果、優勝という結果がついてきたのではないか。音が全関東に比べて静かだったので、それを利用して自分に集中できる力にプラスに変えていこうということは練習から強く言って意識付けしていた。中りに目が向きがちなところを、しっかり基本のところから動作を見直して、メンバー同士で意見を交換し合うというところをやってきたおかげで全員での一体感が全関に比べて増したかと思う。これから8月にインカレ、王座に出られるチャンスがある全国大会があるのでそこでも今日の力を活かして優勝して王座に行きたい。

 

蜂谷康一郎(商3)

率直に嬉しい。何といっても最高な気分だ。今でも実感が湧かない。先週の全関はいまいちの結果だったので、ここまで1週間でできたというのはすごくよかった。予選をまず安定して突破出来て、その次の日も安定した的中が出来た。何といっても、日大が20中20中と出していて、ただそれに対して怖気づかずに出来たというのが先週からかなり成長できた部分。相手にもプレッシャーをかけられたのと、逆に相手からのプレッシャーに負けなかったところは今後の試合に出るにあたっても重要になってくる。決勝は若干泥仕合のようになってしまったのですが、それでも根性で勝てたのは非常に良かった。個人的には最初の方は良い出来だったが、準決勝、決勝と1本ずつ抜いてしまい、そういうところはまだプレッシャーに負けてしまったと思うので、そこのところを詰めていって秋のリーグ戦に勝っていければと思う。今日日本一を獲れたわけだが、まだインカレ・リーグ戦と、日本一を獲るチャンスが2回あるのでそこでもどうやって獲っていくのかというのを考えつつ、この結果に喜び、抜かりのないような練習をしていきたい。

 

日野浩明(文3)

今は率直に嬉しい。優勝すると賞状が道場に飾られるが、それが何年も残ることが一番嬉しい。試合に関しては僕が一番足を引っ張ってしまった。ただ、20中20中で来ていた日大戦で4中を出せたのが個人的には良かったことで、仕事をしたという感じがした。その日大戦が一番印象的。日大も絶対に優勝するぞという雰囲気を作っていて、全関東の最後も24中で終わっていたので、そういう意味で日大を倒したのはプラスになると思う。今後はインカレ、リーグ戦とあるので今度は足を引っ張らず、むしろ引っ張っていけるように頑張りたい。

 

山下健太(商2)

優勝して最高だ。試合の流れはあまりよく覚えていない。準決勝で日本大学にリベンジできて最高だったが、正直流れで勝ったなという印象なので周りに感謝したい。決勝戦も流れで中てることができた。春シーズンは中ったが、そのくらい試合に出続けないと選手として活躍しているとは言えないので、これからも出続けられるように頑張りたい。春シーズンを通してしんどい戦いだったが、結果として最良の形で終わることができた。中る要因は強い押手と根性だが、もっと良い射で中てることを課題にしていきたい。全日本、リーグも全力で頑張って優勝する。

 

本郷一輝(法1

優勝することはできたがここが本番ではなく、インカレで勝たないと意味がない。全国選抜はインカレの予行練習のようなもので、インカレで優勝すれば一番手っ取り早く王座に行くことができる。そこで優勝しなかったら我々の王座優勝という目標を達成することはできない。更にレベルを上げてインカレという一番王座に近い試合で勝たないといけないという目標のほうが大きいので、嬉しくも、もっと頑張らなければいけない。今日の試合で良かったところは、日大戦などの都学のⅠ部校との試合で全てあてたところ、悪かったところは決勝戦で2本も抜いてしまったこと。全関東の結果を受けて、今回は自分が中ると思うまで離さないということを肝に銘じて挑んだ。この一週間はあまり無駄に沢山練習するのではなく、量より質という面を意識して練習した。また今回の会場は何度もひいたことがあり試合の経歴も良かったので、プレッシャーもなくひくことができた。確かに優勝はしたけれども、結果的に肝心なところであてられたといえばあてられても最後の二本抜くということはまだまだ自分の実力が足りないということなので、しっかりそこを詰められていけるようにリーグまで突っ走りたい。

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