創部101年目の今年、慶大水球部は新たな歴史の1ページを開いた。5月から始まった関東学生リーグで早大に歴史的勝利を挙げ、7月3日の早慶対抗水上競技大会では24年ぶりの勝利を目指す。
悲願達成に向け、躍進を続ける慶大水球部の選手に今の想いを語ってもらった。
記念すべき特集第1弾は、主将を務める小沢鷹士選手(経4=慶應義塾)。チームではフローターバック(FB)としてオフェンスでもディフェンスでも司令塔的役割を担う。チームメイトから絶大な信頼を得る彼に、今の心境を語ってもらった。
—ご自身のポジションと役割を教えてください
僕のポジションはフローターバック(FB)というポジションで、基本的には攻撃も守備もチームの中心にいる選手です。よく言われるのはチーム全体の司令塔的な役割を果たすところ、キーパーも含めたチームの統率をとるポジションですね。
—いつから水球を始めたのか
高校からですね。僕は中学生の頃はラグビーをやっていて、高校1年生の時もラグビーを続けていたんですけど、怪我をしてしまって、ラグビーをするのがあまり好きではなくなったんですよね。そこで何か違うスポーツをやりたいなと思っていたところに、水球部の方が僕を勧誘してくれたので、水球を始めました。
—水球を始めようと決意した決め手は
水球という競技をする中で、急に体が浮き上がったり、素早く動いたりという自分が全く想像していなかった動きを見せられて、練習すればこんな動きが自分にもできるようになるのかなと思って、始めました。
—フローターバック(FB)として自分のこういうところが向いているなと思いますか?また自分の強みはどんなところですか
僕は高校から水泳を始めたので、もともと泳ぐのがあまり速くなかったんですよ。最終的には練習を通して速くなったんですけど。そこで、攻撃にいっても素早く戻れなかったら全部相手のカウンターを許してしまうので、そういう保守的な理由でフローターバックになりました(笑)実際にやってみるとしんどいことが多いんですけど、その分やりがいしか感じないので自分に合っているんじゃないかなと思いますね。ラグビーをやっていたことで、相手との間合いの測り方とか相手の嫌がるプレーができるので、そこは自分の持ち味を生かせているんじゃないかなと思いますね。
—今季から主将としてチームを牽引していますが、主将になられた経緯は
基本的には監督が指名して、受けるというスタンスなので僕はあまりその経緯は知らないんですけど、選ばれた理由としては、僕は井上翔太(商2)みたいに圧倒的に得点力があったり、泳ぐのが速いわけではないし、キーパーの熊谷晶(環4)みたいに高校時代、年代別の代表に選ばれるような優れた実績を持っているわけではないんですけど、僕の長けている面を一つ挙げるとすれば、チームのみんなと会話をして、一つの目標に向かっていくこと、周りを見ながら動くということに長けているんじゃないかなと思うので、そこを買ってくれたのかなと思いますね。
—主将になってから新たに取り組むようになったこと
水球に関するビデオは意識して見るようにしていますね。ビデオをみて研究することは誰よりも実践しようと思っています。さっき僕は井上翔太や熊谷晶みたいな圧倒的な実力があるわけではない、とは言いましたけど、やっぱりキャプテンである以上、何もかも一番であるのがやっぱり理想だと思うので、そこは現状に甘んじないで、今からでもみんなを抜かしてやろうという気概を持って練習しています。あとは、技術的な部分だけを向上させていくだけではダメだと思っているので、チームビルディングの本や組織作り、リーダーとはどうあるべきか、というような本を読むようにしています。
—目指す主将像は
理想はやはり全部の技術が秀でている人。でもだからといって他の選手と壁を作るわけでもなく、普段の生活態度を含め、みんなに目標としてもらえるような人じゃないですかね。
—主将ならでは苦労はありますか
色々なところで模範になろうとはするんですけど、実際は僕の実力も含めて、足りていない部分が多い、完璧な人ではないので、そこでうまくやってやろうと気概を持って取り組む反面、自分の中で思い通りにいかないことも多いから、そこはやっぱり大変ですね。
—今年の慶大水球部の雰囲気と強みは
雰囲気はみんな圧倒的に負けず嫌いですね。負けず嫌いの集まりといっても過言ではないぐらいですね(笑)練習から反骨精神むき出しでやっているので、その分、向上心が強いと思います。そういう意味では、負けず嫌いな選手ばかり揃っているというのが、今年のチームの強みでもあると思います。そこでつながってくるのが、ディフェンスからのカウンターアタック、速攻攻撃ですね。みんなやってやろうという思いが強いので、そういう攻撃につなげていけるんだと思います。
—水球の魅力は、小沢選手から見てどんなところですか
水中の格闘技と言われつつも、水上ではしなやかに華麗に動いて、美しく点を取りに行くというところが魅力だと思いますね。
—昨シーズンは関東学生リーグでは1部残留、インカレでは5位入賞という20年ぶりの快挙も果たしたが
インカレ5位というのは、ちゃんとした結果につながられたという意味では嬉しかったんですけど、チームの目標はベスト4だったし、一歩届かなかったという部分では嬉しさよりも悔しさの方が大きかったですね。まだまだ満足できる結果ではなかったです。
—目指すチーム像は
球技である以上、相手より多く点を取ったチームが勝つんですけど、僕らが目指すチームは、ディフェンスの失点がほとんどないチームで、見ている人からすればあまり面白くない試合かもしれないけど、ロースコアの展開の中でしっかりと勝ちきれるチームになることですね。
—今シーズンを振り返って。関東学生リーグ6位、これは2部構成になってからは初の快挙。また第3戦は早稲田に歴史的勝利もあげたが
ディフェンスがしっかり機能すると、スコアが近くなってだいぶ勝機が見えてくるなということを実感しましたね。早稲田に勝った時もディフェンスをしっかり固めることができて、その上で僕らのやりたいことができたので、早稲田は結構不満がたまっていたんじゃないかなと思いますね。
—早稲田に勝った瞬間の気持ちは
やってやったぞ、傷跡を残せたなという気持ちが1番大きかったですね。
—その後行われた早稲田との5位6位決定戦では10-14で敗戦。敗因はどこでしたか
前半はディフェンスがしっかり締まっていたんですけど、中盤からディフェンスがかなり緩みだして、僕らはディフェンスが緩むとその焦りが攻撃に影響してきてしまうので、その攻撃の面で焦ったところをミスして、自滅してしまった部分が大きかったですね。
—小沢選手にとって早慶戦とは
高校の時から、大学の早慶戦にはずっと憧れていて、勝ちたいと思っていました。でも憧れていた分、自分にとってはすごく遠い大会に感じていました。山でいうとエベレストみたいな、そういう存在が今はすぐ目の前に迫ってきていて、今はもう登ってやるぞっていう気持ちだけですね。
—昨年の早慶戦は8-12 で敗戦。今年勝つために必要なことは
ここまでひたすら歯を食いしばって、みんなで気持ちを高めあって練習してきたので、練習量はあまり心配していないんですけど、やっぱり最後はもう気持ちで、1点差2点差の試合は気持ちの部分でだいぶ変わってくるので、絶対に勝ってやるという気持ちだけ強く持って臨みたいと思いますね。
—早慶戦を前にチームにどんな声をかけているか
早慶戦だから緊張するということではなく、いつも通りに自分たちの全力の練習を続けて、それを試合で出せば自ずと結果はついてくるということを言っていますね。
—今のチームの雰囲気は
ちょっと大舞台に構えているなと感じる部分はありますけど、いい緊張感を持って取り組めているなと思います。
—水球の観戦ポイントを教えてください
早慶戦っていうと意地のかかった戦いであると言われますけど、今年は特に慶應も早稲田も意地をかけて戦うと思うので、そういう気持ちの部分は正面でのぶつかり合いに絶対現れてくると思うので、観客席から見てもらえればと思います。あと、チームとしての守ってからのカウンターっていうところは、初めて水球を見る人も迫力を感じる部分だと思うので、ぜひ注目してみてほしいですね。
—最後に記事をご覧の皆さんに早慶戦に向けて意気込みをお願いします
慶應と早稲田の意地のぶつかり合いをぜひ楽しんで見てください!応援宜しくお願いします。
—お忙しい中ありがとうございました!
取材:長田ゆり