前節の敗戦を機に選手全員の意思を再統一。目標を「インカレ出場」に改め、負けないサッカーを徹底して今節に臨んだ。両チーム共に流れの中からのゴールが遠く、セットプレーからチャンスをうかがう。すると、前半アディッショナルタイムにPKを山本哲平(政4・國學院久我山高)が決めて慶大が先制する。この1点を守り切り、勝ち点3を獲得したいところだったが、試合終了間際にFKから痛恨の失点。勝ち点1を獲得するにとどまった。
関東大学サッカーリーグ 第17節
2016/10/8(土)11:30KO@山梨中銀スタジアム
慶應義塾大学1-1国士舘大学
【得点者(アシスト者)】
[慶]45+1分 山本哲平
[国]89分 吉田健
◇慶大出場選手
GK田野稔明(経3・慶應義塾高) |
DF佐藤海徳(政1・桐光学園高) |
DF望月大知(環4・静岡学園高) |
DF豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18) |
DF溝渕雄志(環4・流通経済大学付属柏高) |
MF落合祥也(商1・横浜FCユース) |
MF宮地元貴(総4・東京ヴェルディユース) |
MF手塚朋克(環3・静岡学園高) |
MF松木駿之介(総2・青森山田高) →21分 田中健太(法3・横浜F・マリノスユース) |
FW山本哲平(政4・國學院久我山高) →90+2分 池田豊史貴(総3・浅野高) |
FW近藤貫太(総1・愛媛FC) |
前節の完敗から1週間。バラバラになりかけていた選手の意思を再統一することを徹底し、新たな目標として「インカレ出場」を掲げた。負傷でベンチ外となったGK上田朝都(総1・横浜F・マリノスユース)に代わり、田野稔明(経3・慶應義塾高)がリーグ戦初出場を果たすなど、前節から少しメンバーを変更して国士大戦に臨んだ。
まずチャンスを迎えたのは国士大。10分に左サイドを突破されクロスを上げられるが、田野が飛び出しセーブする。慶大の最初のチャンスは15分。近藤貫太(総1・愛媛FC)の蹴ったCKに溝渕雄志(環4・流通経済大学付属柏高)が反応。しかしうまくミートすることができない。その後、国士大はFWの松本にボールを集めてくるが、同じく名古屋グランパスに内定した宮地元貴(総4・東京ヴェルディユース)を中心に自由にプレーさせず。一方、慶大はセットプレーを中心に攻め込んでいくものの、なかなか得点に至らない。迎えた45分、左CKを獲得し、近藤が中に入れると、クリア不十分になったボールが相手の手に当たり、これがPKの判定。キッカーの山本哲平(政4・國學院久我山高)がど真ん中に蹴りこみ、ラッキーな形で先制する。
後半に入ると、追い付きたい国士大に対し、慶大はカウンターからゴールを目指す。後半最初のチャンスも国士大。立ち上がり間もない時間にスルーパスから抜け出され、1対1のピンチを迎えるが、田野が足でセーブする。慶大も51分には近藤、70分には田中健太(法3・横浜F・マリノスユース)が遠目から狙うが、追加点を奪うことはできない。すると、直後の71分。ロングパスから裏に抜け出され、再び1対1のピンチを迎える。このピンチに対しても、田野がストップ。跳ね返りをさらに打たれるが、田野が気迫のこもったセービングを見せ、同点弾を許さない。さらにピンチは続く。89分に左サイドでファールをしてしまい、FKを献上。このFKを合わせられ、ついに同点に追い付かれてしまう。
勝ち点3を目指す慶大は、90分にFKのこぼれ球を近藤が中に送ると、田中が左足を振り抜くが枠を捉えきれない。アディッショナルタイムには長身の池田豊史貴(総3・浅野高)を投入。ロングスローから得点を目指すと、試合終了間際に溝渕のスローインをニアで宮地がそらし、最後は望月大知(環4・静岡学園高)が狙うが、惜しくもゴール左へ。前半のリードを守り切ることができず、獲得した勝ち点は1にとどまった。
この1週間で徹底したのは「失点しないサッカー」(宮地)。リーグで2番目に多い失点を減らし、カウンターやセットプレーから得点することサッカーを体に染み込ませた。獲得した勝ち点は1にとどまったが、これから「質を上げる」(須田監督)ことができれば、インカレ出場につながるはずだ。次節は首位・明大戦。慶大が敗れればその時点で明大のリーグ優勝が決定してしまう。今季開幕戦で完敗を喫した相手に勝利して成長を見せつけるとともに、インカレ出場に向け着実に駒を進めたい。
(記事 熊谷健二)
試合後コメント
須田芳正監督
(今日の試合を振り返って)いいゲームでした。やろうとしていたことを徹底してやる。とにかく相手のDFを彼らのゴールに向かってスプリントさせる。そこが1つのポイントで、それに対してラインの押し上げ、そしてセカンドを拾うというのを徹底して、相手陣内に入ったら仕掛けてCKやFKをもらい、セットプレーから得点するというのを考えていました。全体的にはみんな最後までやり切って、FWもあれだけスプリントしてくれれば後ろもしっかりと守れるし、いいゲームだったと思います。課題点としては、これをベースにするしかないので、質を上げることです。もうちょっとラインをあげるのを早くするとか、セカンドを拾った後に相手陣内での攻撃の質、それから最後に無駄なファールが多すぎたから、そういう冷静にやらなければいけないところは冷静にやる。そういうのを改善していって、こういうサッカーでやるしかないです。(目標設定について)インカレ出場です。それと同時に今の状況だと残留争いにもなるので、とにかくインカレに出場することを目標にしています。(何人かスタメンを変更したが、その意図は)けが人とか、このサッカーに適した人を使いました。(左サイドから仕掛けられていたが対応について)全く問題ないと思います。まずあそこで相手のボランチに拾われてしまうと、サイドにいいボールが出るので、相手もいい選手だから(佐藤)海徳は逆にいい対応をしたと思います。あれで中途半端にサイドに行き過ぎてCBがサイドに行かなきゃいけない状況を作るよりは、ああやって1対1を対応して、CBがしっかりと中でポジションを取れていたので全く問題はありません。相手が早いことはわかっていたので、もちろん上げさせないのがいいけれど、相手もいい選手だから。(次節に向けて)我々はぶれずに、サッカーをやり続けます。そのベースとしては、相手よりも走るとか、競り合いで負けないとか、気持ちで負けないとか。そういうところをベースにやっていかなければと思います。どこのチームだって勝てる可能性はあるし、中途半端なゲームをすれば大変になるので、1戦1戦を集中して今日みたいなゲームを続けていくしかないです。あとはさっき言ったところの質を上げていくことだと思います。
宮地元貴主将(総4・東京ヴェルディユース)
(今日の試合を振り返って)本当に悔しいというのが正直な気持ちです。(前節から変えたことは)前節はああいうひどい試合をして、ああいう内容だったらああいう結果になるだろうという試合をしてしまったので、まずは失点しないサッカーを掲げ、しっかりと守って、そこからカウンターで攻撃に転じるサッカーを1週間徹底してきました。最後に点を決められるまでは自分たちのゲームプラン通りにできていたのですが、あそこでファールを与えてしまうことや、1つ1つのプレーにまだ自分たちの甘さがあったのでこの結果になったのだと思います。 (目標設定について)関東リーグ優勝を目指してここまでやってきたのですが、現実的に考えたときに結果が出ていなくて、自分たちは強いチームではないということを振り返って謙虚になって、原点に立ち返るということでインカレ出場という目標に変えました。でも1戦1戦に臨む気持ちは変わらなくて、勝ちたいという気持ちは常に持ち続けているので、今日の結果はすごく悔しいです。(名古屋グランパスに内定した松本選手とのマッチアップについて)あいつには負けないようにガンガン行きました。(何か話をしたか)お互い五分五分くらいだったので、お互いに頑張ろうという話をしました。(次節に向けて)いま1位の明治ということで、誰が見ても僕たちはチャレンジャーなので、もう1回謙虚な気持ちを持って、とは言っても今日の途中までは自分たちのサッカーができたわけで、前節からの改善の兆しはあったので、このサッカーをベースにもっと突き詰めていけるように、1週間準備していきたいと思います。
豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18)
(試合を振り返って)前節の負けがあって今週からもう「0-0のサッカーをしよう」ということをチームとしてやって、ああやってしっかり守ってカウンターを狙って自分たちの強みであるセットプレーを活かしてっていうサッカーを徹底しようという話があって。もちろん失点はしてしまったんですけど今後に繋がる価値ある引き分けだったかなとポジティブに捉えてます。(相手の10番松本をどう抑えていこうと考えていたか)そうですね、相手のストロングとしてやっぱりあそこを起点に攻撃を作っていくということは分かっていたので自分と望月を中心に、前回は9番に起点を作らせてしまったので、「しっかり1人は思い切ってチャレンジをしていこう、もし負けたとしてもカバーがいる」というのを徹底してやって、まあある程度はできたかなと思っています。(なかなか波に乗れないが残り5試合どう戦うか)このサッカーを徹底してインカレ出場、最低限は残留というのをしっかり達成して、インカレに出場できるように頑張っていきたいと思います。
山本哲平(政4・國學院久我山高)
(今日の試合を振り返って)目標を変え、戦術も変えたなかで、理想の形で先制して、最後の最後まで集中していたつもりでした。しかし、最後のラスト5分を切っているなかでのセットプレーでやられてしまい、引き分けというのは正直悔しいし、この2ポイントが今後に大きく左右するのではないかなと感じました。(前線に求められた役割も大きかったと思いますが)そうですね。前からプレスをかけるというよりは相手に自由を与えないような守備をして、基本的にはカウンターで相手CBを前につりだして、裏に空いたスペースを突いていこうという流れでした。また、相手の10番は身体が強いので、そこにフリーでボールを入れさせないためにも前から行っていたという感じでした。戦術的にはすごく良かったと思います。(後期初得点も決めましたが)PKだったので、流れの中から点を入れたいですね。やはり1点だと今季のチームだと足りないというか、どうしても失点が多いので、1点だけで満足はできないですね。(次節に向けて)今日は完璧に出来たところと出来なかったところがあって、徹底するというところがまだ甘く、この結果になってしまったのかなと思います。次は勝てるように皆で共通意識を持って、自分も点を取って、勝ちたいと思います。
田野稔明(経3・慶應義塾高)
(今日の試合を振り返って)自分初めて関東リーグに出て、やれることだけをやろうと思っていて、何回か絶対ピンチは来ると思っていてそこをしっかり止めたかったのですが、最後にやっぱり止めきれなくて、今回は悔しさの残る試合でした。(セットプレーからの失点となったが)最後は足が止まってきてどうしてもファールが多くなってきて、そこでしっかり守ろうとしていたのですが、自分たちはゾーンで守っていていろいろ確認していたのですが、もうちょっとこの一週間で突き詰めてそこでの失点を防ぎたいです。(松本選手との1対1を止めるシーンもあったが)あれは自分の中では距離を詰めきれてなかったし、たまたま体に当たったという感じで、嬉しいというよりもまだ未熟だと感じることが多かったです。(次節へ向けて)ここで絶対に勝ち点3を取って勢いに乗って弾みをつけることが出来ればいいと思います。
手塚朋克(環3・静岡学園高)
(今日の試合を振り返って)チームとして守備から入ることと、相手を後ろにスプリントさせることを意識して、試合を通してできたことは良かったと思います。ただ、最後の最後で失点したというのは個人的にも、チーム的にも悔しい部分なのでそこは反省しなければいけないと思います。(チームとして2点目を取りに行く意識はあったか)あの時間帯に点を入れられて、その後にもう1失点するっていうのは絶対にやってはいけないことっていうのを意識していました。ただ、勝たなければいけない試合だったのでそういう意味では全員が前に仕掛けるという意識はありました。(先週の敗戦からチームはどういう方向にまとまったのか)球際一つ取っても気持ちで負けないことを練習の中からしっかりやって、チームとして同じ方向を向いたサッカーをしようということでやってきました。今日その部分ができたことは評価できるのかなと思います。(次節への意気込み)チームとしては今日やったように全員が意識を統一したサッカーをすることと個人的には自分の役割をしっかり意識しつつ、ストロングポイントを出して行かなければと思っています。そこはもっともっと出していかないと、今日の試合でも足りないところが多々あったので、そこも意識したいです。
落合祥也(商1・横浜FCユース) (今日の試合を振り返って)今日は全体的に自分たちのやりたいサッカーができていたんですけど、最後ああいうセットプレーの形で追いつかれてしまって、もったいないなという感じは少しあります。(前節まで2試合スタメンを外れて感じたことは)ここ2試合はどちらかというと繋ぐサッカーをやっていて、自分の持ち味はどちらかといえば守備で、繋ぐ技術がないので試合に出れなかったということだと思います。もっと練習して、そういうサッカーをする時も自分が選ばれるようになりたいです。(今日のチームの戦い方とその中での自身の役割について)国士舘は前を向くと強い選手がいっぱいいるので、裏に蹴って後ろ向きにさせて全体を押し上げると いうことをしました。その中で自分はセカンドボールを拾って前に繋げていくという役割でした。(今節を含め、守りに入った場面で守り切れず失点することが多い原因は何か)根性論になっちゃいますけど、セットプレーとかはやっぱり気持ちの部分、相手より先に触るという気持ちとかがチーム全体として足りないのかなと思います。(次節に向けて)次は首位の明治なので、チームとしてまた一週間しっかり準備して必ず勝てるように頑張ります。
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