【フィギュアスケート】慶大勢、健闘するも全日本には届かず 第42回東日本選手権大会

胸に手をあて位置についた

胸に手をあて位置についた

 

11月4日から6日にかけて第42回東日本選手権大会がダイドードリンコアイスアリーナで行われた。シニア男子には小曽根孝浩主将(環4)、シニア女子には鈴木美桜(法3)、庄司理紗(総2)、鈴木星佳(総1)が出場。全日本選手権への出場をかけた、し烈な戦いとなった。ショートで出遅れた慶大勢はフリーでの巻き返しを狙ったが、惜しくも全日本選手権出場には届かなかった。

 

 

第42回東日本選手権大会 @ダイドードリンコアイスアリーナ
11月4日〜6日

カテゴリー

選手名

SP得点

FS得点

総合順位

男子

小曽根孝浩(環4)

44.98点

92.06点

10位

女子

鈴木美桜(法3)

42.61点

75.18点

13位

 

庄司理紗(総2)

36.75点

65.63点

23位

 

鈴木星佳(総1)

38.40点

71.36点

18位

 

美しいビールマンスピンを見せる庄司

美しいビールマンスピンを見せる庄司

まず4日にはシニア女子のショートプログラムが行われた。1番滑走で登場したのは庄司。曲を変更し、新プログラム「Mario Takes a Walk」を披露した。転倒はなかったものの、ジャンプの回転不足が重なる。23位でショートを終え、フリー進出を決めた。
1日空けて行われたフリープログラム。冒頭のトリプルループはダウングレードになってしまう。続くコンビネーションジャンプを決めると、後半は徐々に壮大になっていく曲調に合わせて次々とジャンプを決めていく。終盤には美しく丁寧なステップ・スピンを披露し、大きなミスなくフリーの演技を終えた。最終順位はショートから変わらず23位となった。
9月のはじめに足を負傷しほとんど練習ができなかった中で出場した東京選手権大会で、何とか出場権を得た今大会。10月半ばに行われた東インカレ後も思うように練習ができない期間が続いたと言うが、けがの具合は良くなっているようだ。インカレでは万全の状態でより良い演技を見せてほしい。

今季最後の演技となった鈴木星佳

今季最後の演技となった鈴木星佳

鈴木星佳のショートプログラムは「塔の上のラプンツェル」。アクセルジャンプの回転が抜けてしまうミスがあったが、スピンでカバー。ショートプログラムでは全てのスピンでレベル4を獲得し、確かな成長を見せた。20位でショートを終え、フリーでの挽回に期待がかかる。
フリーでは序盤からトリプルサルコウ−ダブルトウループの連続ジャンプを決め、その後も次々とジャンプを着氷させていく。終盤には曲調ががらりと変わり、ボーカルに合わせて滑らかなスケーティングを披露。長い手足を活かしたステップでリンクを舞い、演技を締めくくる。ショートから順位を2つ上げ、最終順位は18位となった。
今大会は鈴木にとって今シーズン最後の大会。今シーズンはインカレ出場権を逃すなど悔しい思いもしたが、大学デビュー戦のリリーカップから試合を重ね、着実に進化していることをうかがわせた。今後は表現力に磨きをかけたいという鈴木。来シーズンのさらなる飛躍が今から楽しみだ。

全日本出場の夢は来年に持ち越しとなった

全日本出場の夢は来年に持ち越しとなった

最終滑走で登場した鈴木美桜のショートプログラムは「ラマンチャの男」。冒頭のコンビネーションジャンプを鮮やかに決める。このまま勢いに乗りたいところだったが、トリプルサルコウがダブルになり、この要素が0点に。後半のダブルアクセルはしっかり成功させ、全日本選手権出場圏内の7位の選手と約6点差の12位につけた。
巻き返しを狙うフリー。冒頭のトリプルサルコウは両足着氷となってしまう。続く3回転-2回転のコンビネーションジャンプも1本目のジャンプが回転不足になってしまうが、中盤には曲調の変化をうまく捉えたステップを披露。その後のトリプルトウループはバランスを崩しながらも何とか着氷すると、残りのジャンプはきれいに決めてフィニッシュ。転倒などの大きなミスはなくプログラムをまとめたが、ジャンプの回転不足などのミスが重なった。ショートからの巻き返しはならず最終順位は13位。全日本選手権の出場権を獲得することはできなかった。
試合後、鈴木は悔しさをにじませながらも、前向きな思いも語ってくれた。今大会ではジャンプやスピンでのミスが重なり、思うように点数が伸びなかったが、プログラム全体としての完成度は着実に上がっているように見える。今シーズン序盤には、フリーの「Cinderella」について「観ている方々がシンデレラのストーリーを思い浮かべられるように演技したい」と語っていた。そのシンデレラの世界観は多くの観客に伝わり、心を動かしただろう。今シーズンはまだインカレ・国体という大きな舞台が残されている。この悔しさをバネにして満足のいく演技をしてほしい。

気迫のこもった演技を披露する小曽根主将

気迫のこもった演技を披露する小曽根主将

5日のシニア男子ショートプログラムには小曽根主将が出場した。上位9名に与えられる全日本選手権への出場権を目指す。ショートプログラムは「Rise」。小曽根がリンクに登場し、曲が始まるやいなや、会場は手拍子と歓声に包まれた。挑戦し続けているトリプルフリップでは転倒してしまうが、その他のジャンプはきれいに降りる。終盤のステップでは観客と一体となり、会場は大いに盛り上がった。結果は12位で、小曽根もまた、フリーでの巻き返しを図る展開に。
翌日行われたフリーではノーミスとはいかなかったが、会心の演技を見せた。前半はジャンプのミスはなく、力強い音楽に合わせたスケーティングで、見る者の心をつかむ。後半に入ると曲調が変わり、情感豊かに小曽根の世界観を表現。スピードに乗った美しいイーグルなどまさに目が離せない4分半となった。好演技でショートから順位を2つ上げるも、全日本選手権への切符にはわずかに届かなかった。
4年生の小曽根にとって今回の東日本選手権が全日本への最後の挑戦。惜しくも全日本行きは叶わなかったが、フリー後の表情は達成感に満ちていた。競技生活の集大成を迎えるインカレでも、力のこもった演技で魅了させてくれるに違いない。

 

(記事 西村夏菜、伊藤史織)

 

◇以下、選手コメント

庄司理紗(総2)
(ショートプログラムを振り返って)この試合から曲を変えて、新しい曲にしたので試合での印象がどういうふうになるのかよく分からない状態で出たんですが、自分なりの手ごたえはあったので点数につなげられるようにやっていきたいと思います。(フリースケーティングを振り返って)最近の練習であまり調子が良くなかったので、その練習にしてはうまくまとめられた方だとは思うんですが、全体的にスピードが無かったところが上位との点差につながってしまったかなと思います。(足のけがの具合は)ずっと痛めていたのでなかなか練習はできませんでした。まだ本調子ではないですが、痛み自体は無くなったので、良くなってきてはいます。(東インカレ後はどのような練習を)東インカレで無理をした分また少し痛くて休んでいたのであまり詰め込むことはできなかったんですが、その中ではジャンプの正確さ・確率を上げられるように練習してきました。(今シーズンまだ試合が残っているが今後に向けては)今回の試合で課題がすごく明確になったのでそこを一つずつでも直していけるように、毎日大切に練習してきたいです。(具体的にどんな点が課題か)やはり体力がないっていうところと緊張した中でもジャンプができるように、ちょっとフワフワ浮いている感じがショートの時もあったので、落ち着いていかに練習と同じように本番で跳べるかっていうことを考えながら練習をやっていきたいと思います。

鈴木星佳(総1)
(どのような気持ちで臨んだか)自分のできることを全部出し切ろうと思って臨みました。(ショートプログラムを振り返って)ショートは悪くなかったんですけど、ジャンプを2個失敗してしまって。失敗した割には点数が出たなと思いました。ジャンプを失敗してしまったんですけど、3つスピンあるうちの全部でレベル4を取れたので、それが初めてで、成長したなと嬉しかったです。(フリースケーティングを振り返って)フリーもとりあえずできることをやるしかない感じだったので、一番でしたし、思い切りやろうと思って演技しました。(今大会は自分の中でどのような大会になったか)ジャンプ以外の部分が少しずつ良くなっているなと思いました。ジャンプも今回は6分練習で上手くいかなかったんですけど、それでも本番でトリプルサルコウを決められるようになって、ダブルアクセルも少しずつ良くなってきているなと思いました。(今後の目標)私は国体補欠なんですけど、多分もう国体に出ないとすれば、今シーズンの試合はすごく早く終わってしまったんですが、それは次のシーズンに早く切り替えて、来シーズンを良くするチャンスだと思っています。来シーズンは表現力というか、曲をもっと表現できるように。そういうところをもっと磨いていきたいと思っています。

鈴木美桜(法3)
(ショートプログラムを振り返って)ショートは、ショートだからこそミスしちゃいけないんですけど、その中でジャンプのミスだったり、今回スピンもちょっとミスしちゃったりして。練習では結構コンスタントにノーミスでできる回数は増えていたんですけど、まだまだそれが足りなかったかなと思います。(フリースケーティングを振り返って)東日本ということで緊張している部分もあったと思うし、その中でジャンプを跳ぶ前とかに迷ってしまって、自分のできることが出せなかったのが一番悔しいです。(先日のウィンタートロフィー後はどのような練習を)日曜日に試合があって次がもう金曜日だったので、とにかく練習というよりかはジャンプとかはできるので体の疲れを残さないようにっていうのを心がけて、ジャンプは本当に確認だけという感じで休息を大事にしてました。(全日本選手権出場とはならなかったが)全日本は毎年一番目指している場所で、だからこそ東日本っていう大会は一番緊張しちゃうんですけど、失敗しちゃった点とかジャンプの前にちょっと引いちゃったっていうのも含めてこれが今の実力かなと思います。今シーズンはまだインカレと国体が残っているんですけど、気づいたらあと1年ちょっとしかなくて。もう全部の試合があと1回ずつしか無いんだと考えたらやっぱり来年も全日本は目指していきたいなと思います。そのためには、今見ていても今年から上がってきた子とかジャンプをピョンピョン跳んでたりするのを見ると悔しいなと思うんですけど、来年4年生になって最後の年には最後の年の人なりのスケーティングというのがあると思うので、ジャンプももちろんですが、そういう滑りの部分も大事にして、来シーズンまたこの試合で良い演技ができたらなと思います。(今シーズンはまだインカレと国体が残っているが今後に向けては)インカレも国体も来年の1月なので少し時間が空くんですけど、夏以降結構良い練習が積めてたのでその練習をこのまま続けて、インカレと国体では悔いが残らないような演技をして今シーズン締めくくれたらいいなって思います。

小曽根孝浩(環4)

(どのような気持ちで臨んだか)スケート人生全てをかけて臨みました。(ショートプログラムを振り返って)ショートはジャンプの転倒はありましたが、他の2つのジャンプの成功とスピンの成功ができたのでまあまあ良かったです。しかし、フリップが回転不足のエッジエラーを取られていたので悔しかったです。(フリースケーティングを振り返って)フリーはトウループのミス以外ほぼパーフェクトな演技ができたので良かったと思います。ですが、やはり小さなミスがあったのでそこが1番悔しかったです。(フリーの演技後、やりきったような表情に見えたが、実際はどのような気持ちだったか)今できるベストの演技ができたのでその時はとても気持ち良かったです。最後まで集中していたのでその気持ちが爆発しました。(ショート・フリーを通してたくさんのファンの声援があったが、どのように感じたか)たくさんの方々に応援していただき、本当に嬉しかったです。スケートをこれまで続けてきて良かったと改めて思いました。

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