今年度を締めくくる早慶アイスホッケー定期戦が、東伏見ダイドードリンコアイスアリーナで開催された。有終の美を飾るべく、慶大は序盤から気合の入ったプレーで、早大の攻撃を封じ込めるとFW富田康太(政2)のゴールで先制する。その後、失点を喫したものの第1ピリオドを同点で終えた。しかし第2ピリオド以降は早大の迫力ある攻撃に押し込めれ、追撃空しく、3-9での敗戦となり、早慶戦での勝利は次世代へ託すこととなった。
第81回 早慶アイスホッケー定期戦
2017年1月14日(土)16:45F.O. @DyDoドリンコアイスアリーナ
慶應義塾大学3-9早稲田大学
Period | 1P | 2P | 3P | Score |
慶大 | 1(5) | 1(9) | 1(4) | 3(18) |
早大 | 1(13) | 4(24) | 4(17) | 9(54) |
※()内はシュート数
慶大スケート部ホッケー部門にとって2016年度最後の公式戦となった第81回早慶アイスホッケー定期戦。年に二回の特別な舞台だけあって、應援指導部やたくさんの観衆が東伏見に詰めかけた。カクテルライトに照らされ入場する慶大の選手達の表情からは、打倒早稲田の意気込みを窺い知ることができた。
この試合では主将でありディフェンス陣の中心であるDF小池玲央(環4)の後ろには、主将の弟であるGK小池丈二(経1)がスタメンの座を勝ち取った。公式戦初スタメンとなった小池丈は、立ち上がりのキルプレーでは安定したセービングや、相手のシュートがポストに弾かれる幸運にも恵まれ、無失点で切り抜けた。すると9分、ゴール前混戦となったところを、最後はFW富田康太(政2)がパックを押し込み先制。慶大応援席には“若き血”がこだました。幸先よく先制した慶大ではあったが、反則で数的不利となる。相手シュートを一度は小池丈が弾いたものの、こぼれたパックを詰められ同点に追いつかれた。この後は組織的な攻撃を繰り出す早大に押し込まれる展開に。しかしDF阪本航大(環3)やDF在家秀虎(環2)を中心とした体を張ったブロックで、このピリオド24本のシュートを浴びながらも最少失点に留めた。
1-1の同点で迎えた第2ピリオド、開始3分にゴール前を崩され失点、逆転を許す。その直後、反撃に転じた慶大は、FW滝智弥(政2)がシュートを放つと、FW安藤直哉(政3)がこぼれたパックを詰める。パックはゴールラインを割ったが、ゴールインクリーズで得点は認められず。このプレーで勢いづいた慶大は6分、パワープレーとなったところで、FW史習成リック(総2)が右サイドを駆け上がる。史が中へパスを出すと、そこに待っていたのは滝だった。滝がスティックを振りぬくとパックはゴールに吸い込まれ、慶大は同点へ追いついた。このまま追加点を得たい慶大ではあったが、8分に失点を許すと、このまま立て続けに2失点。このピリオドを2-5と3点ビハインドで終えた。
一矢報いたい慶大ではあったが、第3ピリオドも早大の勢いは止められない。6分失点を許すと、7分にはパワープレーでパスの乱れを突かれ、そのまま失点。2-7となったところで、GK小池丈からGK河合智也(環1)に交代する。何とか早大を食い止めたいところであったが、16分、18分と連続失点。このまま負けられない慶大は最後に意地を見せる。19分、自陣後方から小池玲が前線に構える史にロングパス。史が相手を引き付けると、スペースに走りこんだのは安藤。パックを受けた安藤が低く鋭いシュートを放つと、ゴールネットを揺らし、3-9とした。この後も慶大は攻め立てるが点差を詰めることはできず、試合終了のブザーが無情にも東伏見に鳴り響いた。
この試合、先制点を奪い、第1ピリオドを同点で終え、勝利を予感させた。しかし第2ピリオド以降は総合力に勝る早大に徐々に点差を広げられ、結果的には敗戦。またしても早慶戦を勝利で終えることはできず、「最後に結果を残したかった」という小池玲央主将の言葉には悔しさがにじみ出ていた。この一年、秋季リーグ戦などなかなか結果が残せなかったのは事実だ。しかし強豪校相手に勝利を掴みかけた試合があったのも見逃せない。これは慶大が目指すホッケーが浸透し、ブラッシュアップされた証拠に違いない。
小池主将は次世代へのメッセージとして語った。「歴史を変えよう」と。次世代のチームが歴史を変えるためのキーマンとして指名したのは安藤直哉(政3)、大久保健介(経3)、阪本航大(環3)の3人だ。このタイプの違う3人が今のチームをさらに上のレベルへと導く。誰しもが待ちわびている“早慶戦勝利”という大目標に向けて、下級生に襷が渡された。
(記事 合場將貴)
(以下選手コメント)
主将 小池玲央(環4)
(今の率直なお気持ちをお聞かせください)最後に結果を残したかったですが、自分にもお疲れ様と言いたいです。(第1ピリオドは先制し、いい流れだったのでは)ラッキーによって失点せず、キーパーに守られていた部分があったのですけれども、勝利の女神が僕たちに微笑んでくれた感じがしていました。しかしそのまま反則が続いてしまい、あの先制点を大事にできれば結果は違ったのかなと思います。(第2ピリオドは失点を重ねる展開となった)今年の課題であった、ロースコアの戦いに持ち込めるかという部分でまだまだ早大のほうが上手でした。もっと必死にゴールを守らないと、僕たちは壮大に比べてスキルが劣っているので、慶大のホッケーを終始徹底できなければ、早大などの強豪に勝てないということを思い知らされました。(弟のGK小池丈二選手も先発出場、試合中声をかける場面があった)丈二とは3歳違いなので、小学校からカテゴリがかぶらないのですが、大学で今年唯一カテゴリが被りました。しかも私の引退試合が丈二の先発デビューということで、とんでもないステージが用意されていて、なにかあるのではないかなと思っていました。一緒に試合に出るということは長年の願いだったので、それは本当に嬉しかったです。(兄から見て弟の出来はどうでしたか)全然問題なかったです。僕たちがもっとシュートを打たせなかったら良かった話でしたし、第2ピリオドは24本もシュートを打たれていましたし、それでは勝てないです。彼は良かったと思います。(主将として今日の試合を振り返って)やっぱり一年の集大成というところは、皆の心のなかにあったので、どんな状況になっても最後まで諦めず戦い続けるという姿勢は全員にあったと思います。しかし結果を出すということは本当に難しいことです。「来年は…」「来年は…」と毎年言っているのですけれども、今年の三年生はすごく信頼できますし、リーダーシップもよく発揮できているので、あと、下級生とのまとまりもあるので、来年こそは早慶戦など、強豪校相手にジャイアントキリングしてほしいと思います。(小池選手個人として今年度を振り返ってみて)僕は上手な選手ではないのですけれども、山中コーチのご指導を頂いて、チームだけではなく個人的にもホッケーのスキルが上達したなと思っています。以前より周りを見るようになりましたし、ディフェンス陣を引っ張るようになったということに個人的な成長を感じて、それに加えてチームをマネジメントできたという部分でも、チームづくりをみんなでやってこれたので本当に充実した一年になったと思います。(来年度のチームはどの選手を中心に引っ張っていってほしいですか)中心となるのは安藤直哉です。副将の大久保健介も阪本航大もそれぞれ違うタイプなのですけれども、バランスのいい三人だと思うので、本当に来年は期待できますね。(最後に次の世代に向けてメッセージをお願いします)歴史を変えよう。歴史を変えてください。その一言に尽きます。
FW下村悠介(法4)
(試合を振り返って)第1ピリオドで結構手応えを感じていて、押されてはいたのですけれどなんとか3セット目として得点をすることができて、非常に流れは良かったです。しかし第2ピリオド、第3ピリオドが試合の分け目となってしまったかなと思っています。(引退試合ということで意気込みは)とにかく最後は自分のプレーを表現することに専念して、その中で自分が所属する3セット目として何か一つでも結果を残したいと思って臨みました。(たくさんの方が応援に来ていましたが)本当にたくさんの方に応援に来ていただいて、すごくアットホームな雰囲気のなかで試合をさせて頂くことができました。応援に来てくださった観客の皆さんには本当にひたすら感謝の気持ちしかありません。本当に今日はありがとうございました。(今日までの4年間を振り返って)やっぱり悔しい思いの方がすごく多くて、今日も結果的には負けてしまって大変悔しい思いをしたのですけど、その中でも選手として、人として、すごく成長することができた4年間だったと思っています。勝つために何をすれば良いかというのを本当にたくさん考えて、それらを行動に移してきて、最後早稲田という高い壁に届きはしなかったのですが、やりきったという気持ちはあるので一切後悔はしていないです。あとは後輩たちに託したいと思います。(後輩へメッセージをお願いします)後輩たちにも勝つために何をやらなければいけないかということを毎日毎日考えて、そのための努力をして欲しいです。その努力をした上で勝利が近づいてくると思うので、後輩たちには何としても早稲田を倒して、より高みへとチームを持って行って欲しいと思います。
DF髙安望
(最後の早慶戦が終わった今の率直なお気持ちは)本当に結果を残せなかったことがただただ悔しいです。試合自体はゲームプラン通りにみんな結構動けていて、良い展開でプレーできていたのですが、最後の最後で悪かったのかなと。ただただ悔しいです。(4年間様々なことがあったと思いますが振り返ってみて)僕は2年生の時に元々部活をやめようと思っていて。あんまり楽しくなかったので。アイスホッケーもそんなに好きではなくて、辛いなと思いながらもやっていたのですが、2年生の時に早慶戦で大敗して、その時の4年生が僕の代で絶対勝ってくれ、というようなメッセージを残していってくれて続けてきた形です。4年間振り返ると、最後の1年間ものすごく楽しくて、自分たちの代で楽しくアイスホッケーをやらせて頂いたので、結果的に楽しかったかなと思います。(その反面やり残したことや悔いは)後輩ともっとコミュニケーションをとっておけばよかったかな、ということですかね。いつも一緒にいるような気がするのですが、この引退っていうのが来てしまうと中々会えないですし、伝え残したことが色々あるのでもっと後輩と話したかったです。(ではその後輩たちに向けてメッセージを)時間は有限だということです。いつまでも部活が続くと思っていても、僕が引退したように結局終わりは来るので。1日1日を大事にして、部活をやっていってほしいなと思います。