2月9日にいよいよ慶大女子ラクロス部の新チームが始動した。目標としては昨季まさかのブロック敗退で終わったリーグ戦の日本一。そしてスローガンとして”Grit ’n’ Grind”を掲げた。そんな新チームの主将・出原佳代子(#99経3=慶應女子)と副将・竹村薫(#11環3=桐蔭学園)のお二人に今季の目標を語っていただいた。
———キックオフしてまだ数日ですがいかがですか?
出原:まだチームをガラッと変えることはできていなくて、昨年の反省点をチームとして引きずっているところがあって。まだ1人1人の日本一になりたいという自覚が足りていなくて甘い方に逃げてしまう部分があります。そういった点はコーチとかからも指摘されていて、なるべく早い段階で改善したいと思います。
———お二人とも3年で副将に就任していたと思います。そこの就任の経緯はどういったものでしたか?
竹村:チームを自分から引っ張っていきたいという思いがあって、そこが強かったので立候補しました。
出原:私もそう思っていて、チームを良い方向に導きたくてそういう思いで立候補しました。
———4年になるにあたってどうやって主将を決めましたか?
竹村:結構話し合ったよね。
出原:私たちの代で話し合って、最終的に投票したりしてこの形になりました。
———お互いをどういうタイプの主将、副将だと思っていますか?
竹村:本当にチームを変えたいという思いが強くて、それに対する熱意や行動力で引っ張っていてくれるので頼りになります。
出原:誰よりもプレーで魅せてくれる選手で、それが副将という立場でそういう選手がいるからこそチームがまとまってついていきたいと思います。それに私は結構自分の意思で突っ走ってしまうところがあるんですけど、みんなの気持ちを汲み取って行動しているからこそついていきやすい存在なのかなと思います。
———お互いが違うタイプですか?
竹村:そうですね。
出原:お互いの中和が良い感じになっている(笑)
竹村:私にないところを持っているし、またその逆なので本当に良いバランスです。どっちもいなきゃいけないなと思うし、いて欲しいなと思っていたら嬉しいなと思います。
出原:私もいて欲しいと思ってる(笑)
———理想としている主将、副将像はいますか?
竹村:私たちが1年の時の主将のまきさん(廣野マキ=政卒・慶応女子)の代の4年はすごく印象的で。1年なのに声をかけてくれたし、いろいろ巻き込んでくれたり、思ってくれて、そういう風な学年に私たちもなれたらと思います。
———1年にも声をかけられるような学年に?
竹村:そうですね。全員が同じ気持ちで日本一を目指せるように。愛される4年に。
出原:この人たちのために勝ちたいと思える存在になりたいって学年で話しています。
———幹部就任(11月〜12月)が決まってからキックオフまでどんなことを考えて過ごしていましたか?
竹村:学年ミーティングが多くて、どういう4年になりたいか、なんで日本一になりたいのか、どうしてラクロス部に所属しているのかという1人1人の思いを確認できて、いい期間でした。
出原:こういったミーティングを通して個人が何を考えているのかが見えてくるので、私たちももっと頑張らなければと思ったし、本当にチームのことを考えて日本一になろうと強く考えました。
———キックオフのミーティングではどんな話をしましたか?
出原:今年度のスローガンから始まって、日本一という目標にどうやって向かっていくのかを全体に話しました。
———今年のスローガンについてどういった思いがありますか?
出原:”Grit ’n’ Grind”というスローガンになりました。私たちは今まで泥臭さが足りていないという話が出て、まずは泥臭い気持ちを持って日本一になるまで努力し続けるというのをスローガンに入れようと話していて。ただそれをやるのは他の大学と変わらないし、当たり前のことなのでそれにお互いが切磋琢磨していくという意味のGrindを入れてこのスローガンになりました。他にもバスケットボールで”Grit ’n’ Grind”っていう戦術の名前があって、それは粘り強いDFでボールを奪って得点するっていうもので、今年私たちがやりたいラクロスに似ているなと思ってそういう経緯もあります。
———チーム目標はリーグ戦日本一となりましたが?
竹村:ラクロス部に入ったのはみんな日本一を目指したいという気持ちがあるからだと思うので、この目標にしました。
———昨季は【3冠=日本一】が目標でしたが?
出原:準リーグVリーグ優勝を最終目標にして欲しくなくて。全部員がリーグ戦に出て日本一になるということを目標にして欲しいのでチームとしての目標は日本一にしました。ただもう一つのスローガンとして「圧倒的勝利・全勝優勝」を掲げているので、必然的に準リーグVリーグも優勝が入ってくるかなと思います。
———昨季との変更した点や新しくなるところはありますか?
竹村:運動量を重視しようと思っています。圧倒的運動量で勝つというのも強みとして掲げていきたいので、そこにむけてきついトレーニングがこれから待っているのかなと思います(笑)
出原:運動量がないと試合の中盤から後半にいい精度の技術が出せなくなって、試合の流れも悪くなってしまうので、技術やラクロスの精度よりもまずは運動量をつけようという話があって。春の練習期間はそれを中心に行っています。
———昨季について振り返っていただきたいと思います。まずは個人的に昨季全体を振り返っていただいていかがでしたか?
竹村:甘かったなと思います。勝つために必要なことっていろいろあるのですが、それに対してやっているつもりだったり、言っているだけで終わっていて、それが一番後悔というか甘えていたのだなと思ってそれを変えたいと思います。
出原:言っているだけでやっていなかったなと思います。自分たちで反省点は出でいるのですけど、改善するためにやっていたのかと言われると怠っていたなと感じて。そこが最終的にあの結果につながったのだなと思います。
———時系列に振り返ります。5月の早慶戦では10年ぶりの敗戦となりましたが?
出原:苦しさしかなかった。やりきった感じもなかったし、もっと準備できてもっと力が発揮できたと思うとそれをできなかった悔しさと負けた悔しさが私の中で大きかったです。
竹村:応援席にいる他の部員と一つになれていなかったというところがあって。それはチームとしてすごく問題だなと思っていて。フィールドに立つ選手は試合に出場できていない選手の分まで戦うってことを周りにも行動やプレーで発信しなければならないと思いましたし、この人たちを応援したいなと思えるようにならなければと思いました。
———8月から始まった秋のリーグ戦はどうでしたか?
竹村:明大戦の時に負けたことよりもそのあとの東海大戦に勝ちきれなかったところが一番悔しかったです。
出原:早慶戦で負けて、開幕の明大戦でも負けて。その中で自分たちの中に自信がなくなっていって。(自信を)なくす必要もなかったのですが、結果と結びつけてしまっていたところがありました。そういうところが試合に出ていて、絶対自分がやってやるぞという気持ちをフィールド上の12人がみんな持っていなくてどこかで甘えがあったと思います。
———リーグ戦後に行われたアメリカ合宿(10月中旬)はどういうものでしたか?
竹村:すごくいい合宿でした。アメリカに行ったらいい意味で何かをしなければければいけないという気持ちが1人1人なくなって。ミスをしても次取り返せばいいというアメリカの選手のメンタルに影響されて私たちもそうなっていって。とにかく走れという感じで。本当にラクロスが楽しくて、ラクロスってこんなスポーツだったんだって気づきました。このままいけばFINAL4勝てたよねって言えるくらい自分たちが結構変われた合宿になりました。
出原:チームとしてはいい方向にいったからこそ余計にFINAL4に行きたいという気持ちが強くなったんですけど。
竹村:自分たちのプレーを見せたかったよね。
出原:一気にレベルが上がった気がしました。新しい環境で新しい刺激を受けて、アメリカの選手のラクロスはなかなか日本では見ることのできないプレーばかりで。すごいよかったです。
———11月にはサブチームが2冠(準リーグ・Vリーグ)を獲得しました。毎試合応援している姿も見受けましたがどういった気持ちでしたか?
出原:すごく嬉しかったです。でもみんな頑張っているのに自分たち何をしているんだという気持ちにはなりました。
竹村:嬉しいという思いの反面、トップとしてリーグ戦日本一の3冠の一つを達成できていない悔しさもありました。
———そのサブチームは新3年(現2年)がかなり元気のあるチームだった印象でした。昨年の早慶戦前対談で「3年が勢いのあるチームは強い」というお話を聞きましたが、新3年にはどういう思いを持っていますか?
竹村:結構いい選手ばかりで守りよりも攻めに意識の向いている選手が多い。ボールがあったら私が取りに行くという選手が多くて、それはチームとして超攻撃型ラクロスを掲げている中で刺激になる選手が多いなと思っています。
出原:超攻撃型ラクロスに当てはまる選手が多くて、その勢いを殺さずに今年1年もやってほしいなと思います。
———女子ラクロス界全体では昨季の日本一は関西学院大学となりましたが印象は?
出原:やっぱり強いです。
———関東と関西のラクロスとの違いはどこですか?
出原:勢いと運動量が違いますね。それに加えて関東では見れないスピードやフィジカルがあるイメージがあります。
竹村:純粋にうまくていいチームというイメージです。それから関学はたくさんの人と一つになって戦っている姿があって、私たちもたくさんの人に応援されて試合をしたいなと思いました。
———今季について再びお伺いします。いよいよ数日後には六大学戦が始まりますが、どういった試合をしていきたいですか?
出原:チームとして圧倒的勝利で全勝優勝を掲げている以上1試合も落とせないと思っているので、どんな試合をしてでも圧勝していくという強い気持ちで戦っていきたいと思います。
竹村:1人1人が強い気持ちを持って私がやってやるぞという選手が1人でも多く出て来れば、絶対に勝てると思うので、目の前の試合1つ1つに勝っていけるチームになりたいです。
———昨季はリーグ戦で1部最多得点(61点)を誇っていましたが、今季も超攻撃型ラクロスを貫いていきますか?
竹村:それが慶大の強みです。
出原:25点取れなかったら試合ではないというメンタルで試合に臨めと言っています。2分に1点取れなければ試合じゃないと全員が思えるようなチームを作りたいと思っています。
竹村:その方が見ていて楽しいし(笑)
出原:見ている人を楽しませたいです(笑)
———春休み期間には合宿もあると思うがどのようなことを意識して行いますか?
出原:もうすぐ合宿に行くんですけど、まずは運動量作り。それから投げる技術にフォーカスしていきたいです。まだまだ練習中の質が悪かったり改善点があって、それを合宿までに直してより良い合宿にしたいです。
———最後にまずは今季の個人の抱負をお願いします。
竹村:今年はW杯がある年で、日本代表として世界一という舞台を経験したいと思うので、まずは自分が成長して、日本のラクロス界のために頑張りたいです。慶大では誰にでも頼りになれる選手になりたいです。それはフィールド内外かかわらず、みんなに任せてもらえる強い選手になりたいので覚悟を持っていきたいです。
出原:チームの全員が私を見て頑張らなきゃと思わせるような選手になりたいです。それは練習中だけじゃなくて試合中でももう一歩走らなきゃ、ここで行かなきゃってチーム全体で自然に思えるようにプレーをして見せていきたいと思っています。
———チームとしての抱負をお願いします。
出原:目標を掲げている以上、圧倒的勝利をしなければならない。となると大量得点をしなければならないと思っているので、超攻撃型ラクロスで見ている人にラクロスってこんなに面白いんだって思わせるようなラクロスをしていきたいです。そのためにもまずは2分に1点取って、そうすれば日本一になれると思うのでそこに向かってやっていきたいです。
———お忙しい中ありがとうございました!
新主将としてチームを引っ張るとともに、ATとしても活躍が期待される出原選手。色紙にはチーム目標の一つの「圧倒的勝利全勝優勝」を書いていただきました!
◇竹村薫(#11・環3=桐蔭学園)
昨季はリーグ戦5試合全試合で得点を挙げたMF。活躍は慶大のみならず、7月にイギリスで行われる第10回ラクロスW杯日本代表候補にもあげられています!