熱い思いを語る増田主将
昨季、上野前主将のもとリーグ戦1部昇格を目指してチーム一丸となって戦った慶大バレー部。しかし結果は2部残留。全日本インカレも2回戦敗退、全国ベスト32という結果に終わり選手たちは悔しさをあらわにした。
今季、そんな慶大バレー部の新たな組織作りを任されたのが増田拓人(環3)新主将である。期待の新入生も加え、今までとはまたひと味違った雰囲気のもと、慶大らしい強さが見られるか。春季リーグ初戦を4月8日(土)に控えるなか、増田新主将に今季にかける熱い思いを語ってもらった。
主将に決まったのは驚き
――1部昇格を目指して戦った昨年でしたが、悔しい結果に終わってしまいました。昨年を振り返っていかがですか。
最初はチームの雰囲気とかが上昇してたんですけど、リーグ戦の途中で徐々に失速してしまって、今年は絶対に落ちないようにしたいなという気持ちがあります。僕はあんまりキャプテンになると思っていなかったんですよ、同期の中でも。え、お前がキャプテン?ってみんなに笑われたんですよ。試合とかあまり出てなかったので。たぶん去年の雰囲気とか見られていて、徐々に落ちてきてしまったのは堅苦しい感じ、頭脳プレーを中心にやっていたので、その雰囲気とかの面で今年はたぶん僕が選ばれたと思うんです。なのでそういった雰囲気というものを見直していこうかなと思っています。
――上野前主将の代が引退されて、改めて先輩方の存在をどう感じていますか。
正直大変だったなと思いますね。運営側に回るというのがなかなか初めての体験だったので、下の意見を吸い上げるとか、ストレス溜まると思うんですよ。うまくやっていたのかなという。あとは軸がぶれないというか、最初に決めたことをどうしていくか、先輩の役割というかそういったものがちゃんとできていたのかなと。今年はけっこう上空の軸でやっているんですけど、軸がぶれないというのは4年生らしい、かっこいい先輩だったなと思います。
――増田選手が主将に決まった経緯を教えてください。
全日本インカレで試合が終わって、休憩しているときに、副主将の尾木(将・政3)と僕が呼ばれて、こいつが主将なんだなという感じで、自分は副主将かと思いながら行ったら、お前が主将だと言われて、マジすか?という感じで。
――それまでにそういった雰囲気はまったくなく?
ただその監督の話し合いだったりとか、監督の「あいつだめだな」、「あいつ調子悪いな」ということに「あーそうですねー、はい」とかいうやり取りがあったり、話しやすかったというか、話が通りやすい、なんとなく監督と考えが近い感じだったのかなと思います。
――主将に決まったときのお気持ちは。
驚きですね。なんでだろう、大丈夫かなという。周りからも、増田が?という感じで。不真面目な増田が?というか。それはバレーに対する姿勢ということではなく、私生活とかがずっとバレーという感じではなくて、オンオフ切り替えてやっていて、オフのほうですごく遊んでいたので、大丈夫?という感じだったんですけど。今までは主将になった人が全部まとめる感じだったんですけど、今年は僕を中心に周りに協力してやっていくスタンスで、エースとか試合に出ているメンバーから意見をもらって、じゃあこうしましょうというふうにやっています。
――そのスタンス、実際にどのように機能していますか。
どっちかというとみんなの前で話すのは、けっこう僕じゃなくて他の選手だったりとか、試合前に円陣組んで試合行くぞというのとかもエースに任せたりとか分担して、筋トレが好きな人は筋トレのリーダーにしたりとかして僕はただ見ているだけとかという感じですね。
風通しの良い組織を作りたい
――主将に決まった際、監督、同学年などと話し合われたことは。
監督の意見を尊重して、それについて僕らが考えて、僕らが考えたことも含めてそれを監督に戻してというやり取りをまず監督起点で作りたいと。今年は新入生が5人、良い子がきて、いろんな子を使いたい。慶應義塾高校から1人、今年春高に行った子が入ってきて吉田君なんですけど、その子がすごくいいので、風通しの良い雰囲気を作らないと1年生中心にっていうふうになったときにやりにくいのかなというのがあって、そういう話もよくしています。今後育てるために増田が周り見てやってくれという、風通しの良い組織を作ろうということを話しました。
――増田選手の理想の主将像は。
あまりかたくないほうがいいのかな。真摯に取り組む姿勢とかを見せつつ、オンオフ切り替えて、オフのときとかバーベキューとかを2年生3年生で企画したりして、フランクな関係を作りつつ、バレーには真摯に、オンオフ切り替えられるのが理想かなと思います。バレーの距離感と、オフのときの距離感をしっかり切り替えられることが大事かなと思います。
――いざ新チームが始動してチームの雰囲気はいかかですか。
別府合宿と、福岡大学での合宿、2つとも内容が良くて、1年生が入っても違和感なく、去年とメンバーが上野さんしか変わっていないので、そこに2メートルの子が入って、吉田君が入ってうまく回っているので、感触は監督含めてみんないい感じかなというふうには思います。
――反対にチームをまとめるなかで難しさなどを感じることは。
最初は全体の意見を聞こうと思って、下の子たちの意見も聞いていたんですけど、みんないろんな意見を言ってくるので、全部聞いていると大変だなと思って、切り捨てるタイミングとかわからなかったんですけど、徐々にこいつの話は置いておこうとか、話のどれを吸い上げるべきかなというのが明確になってきて、軸に沿った話をもらうということに最初は苦労しました。
――だいぶ軸は固まってきたということですか。
今年は高い子が入ってくるのでブロックとか高さのあるプレーでしっかり2部で優勝して1部に行こうというのがあって、そのブロックという軸があって、その軸にあったいろんな人の話を聞いています。
――今年、慶應義塾高校が春高に出場しましたが、期待の新入生はやはり吉田選手ですか。
あと加藤君も最初は迷っていたみたいなんですけど、入ってくれるみたいなので、全体の底上げというところにも期待しています。
――実際にプレーを見ていていかがですか。
吉田君は、エースの黒田に次いでうまい。むしろそれ以上の器なのかな。小学校か中学校のときに優勝しているんですよね、全国大会で。高校はひとりエースで神奈川で優勝して。じゃあ次は大学でお願いしますと。
――ほかにキーマンとなる選手は。
黒田(彪斗・環3)なのかな。吉田君が入ってくるのと4年生がリベロの長澤(翔吾・環3)と黒田しかいなくなって、チームを鼓舞するのが彼の仕事なので、彼に期待しています。
――そういった部分で4年生の雰囲気は変わってきましたか。
そうですね。主将どうこうではなく、できるやつがやるという、適材適所という感じにしてきたので、やるべきことはみんな各々わかっていると思うので、やりやすいのかなと思います。
――春合宿など、オフシーズンに強化してきた点は。
ブロックが今軸になっていて、しっかり落とすかもらうかして、そのあとの攻撃、カウンターアタックというんですけど、相手の攻撃を受けたあとのレシーブをして、トスを上げてそれを決めるという流れの攻撃についてはすごく強化している部分です。一応ブロックがあってこそのカウンターアタックなのでそれを強化していて、完成に近づいてきています。
――練習試合などを通してその手ごたえは。
センターの佐藤が腰を怪我していて戻ってきたので、最高到達点がすごく高くて跳ねる選手なので、彼をチームとして使えるようになって機能してきたので手ごたえは十分あると思います。
――今年チームとして目指すバレーは。
ここにはかなわないなという圧倒的なというか、盤石なというかそういうチームを目指したいかなと思います。
――そのための課題は。
ちょこちょこしたもったいないプレーというのを減らせるように、バレーをうまくなるというための練習をやっていて、まずボールを多く触る、左利きの富澤がへたくそなんですよ。でもずっとコートにいるやつなんで、だいたいあんまりうまくないやつがセンターにいてリベロに代わるという感じなんですけど、彼はオポジットに入っているのでレシーブとかうまくできないとだめなんで、全体って言っているんですけど彼中心に、細かいプレーをしてもらって、圧倒的な高さがあるのでつないだら決まる、という形にすることが課題です。
絶対に1部に上がります!
――今季対戦が楽しみな大学、ライバル視している大学は。
前回負けた青山学院と、なんだかんだ入れ替え戦などで縁のある大東文化大学、あと僕、習志野高校出身なんですけど、その同期がたくさんいる法政大学などには勝って今年慶應強いなと思われたいですね。
――今年見ている人に注目してほしい点は。
パワフルで、圧倒されるような、うまいなというよりは強いなと、今後強くなるチームだなと思われたいですね。パワーとか高さのあるプレーですね。
――ご自身の今季の目標は。
選手としては、試合に出るためにやるというよりはチームが勝つために、僕が試合に出てチームが勝てるんだったら僕が出ますし、2メートルの子が出て勝てるんだったらそいつ出しますし、まずチームを第一に考えたい。自分の目標としてはどうにかチームに貢献するというのが目標で、チームとしては全日本インカレでセンターコート、ベスト4に入ること、その前にリーグ戦で春で1部に上がるということが目標ですね。入れ替え戦にまず行くということが目標ですね。
――最後に応援している人に一言。
絶対に1部上がります!
(取材:太田彩恵、岩本弘之 カメラ:岩本弘之)