【ラグビー】節目の一戦を勝利で飾れず  第100回慶應義塾・同志社定期戦

 

 記念すべき100回目の開催となった同志社大との定期戦。過去何度もの名勝負を生んだ伝統の一戦は、両校はその節目を飾るにふさわしい、互いに一歩も引かない激しいトライの応酬となった。前半2分、SHのトライで慶大が先制する。だが、すぐさま向こうもトライを奪い返し、両校数分刻みでリードが入れ替わる目まぐるしい攻防が展開された。同点で前半が終了し、勝負は後半戦へ。慶大はLO永末千加良(法4・慶應)、FL川合秀和(総2・國學院久我山)の連続トライで一時は9点差をつける。だが24分、26分と立て続けにトライを奪われ逆転を許すと、そのまま流れを引き戻すことができないまま無念のタイムアップ。節目の一戦で勝利を奪えなかった。

 

5/4()13:05K.O.100回慶應義塾・同志社定期戦

@秩父宮ラグビー場

 

得点者(慶大のみ)

T=永末2、細田、川合、江嵜、金澤

G=古田5

得点

慶大

 

同志社大

前半

後半

 

前半

後半

4

2

T

4

5

3

2

G

3

2

0

0

PG

0

0

0

0

DG

0

0

26

14

小計

26

29

40

合計

55

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポジション

 先発メンバー

 交代選手

1.PR

細田隼都(商4・慶應)

→後半33分  松本拓弥(総2・常翔学園)

2.HO

中本慶太郎(経3・慶應)

→後半33分  安田祐貴(政2・慶應)

3.PR

中島雅大(環3・桐蔭学園)

→後半33分 菅公平(政3・慶應)

4.LO

永末千加良(法4・慶應)

 

5.LO

佐藤大樹(総4・桐蔭学園)

→ 後半11分 田中芳樹(政3・慶應)

→後半19分 辻本大河(法3・慶應)

6.FL

中村京介(文4・明和)

 

7.FL

川合秀和(総2・國學院久我山)

 

8.No.8

松村凜太郎(商4・慶應)

 

9.SH

江嵜真悟(商3・小倉)

 →後半33分 小田嶋啓太(環4・桐蔭学園)

10.SO

古田京(医3・慶應)

 

11.WTB

金澤徹(商4・慶應)

 

12.CTB

柏木明(経4・慶應)

 

13.CTB

豊田康平(総3・國學院久我山)

→後半0分 今成哲(経4・城北)

14.WTB

宮本瑛介(経3・慶應)

→後半26分 権正拓也(政4・慶應)

15.FB

高木一成(商2・慶應)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 開始早々から試合は動いた。2分FB高木一成(商2・慶應)のゲインでチャンスを作ると、そこからパスを受けたSH江嵜が走り込んでトライ。SO古田のゴールも決まり7点を先制する。だが6分、自陣残り5mほどの地点でスクラムから崩されてしまい、すぐさま同点に追いつかれる。慶大も11分にラインアウトモールから最後はLO永末が押し込みトライを決める。16分に逆転を許すも、19分にSO古田のキックパスからフリーの状態のWTB金澤徹(商3・慶應)が走り込んでトライ。26分にトライを奪われるが、終了間際にフェーズを重ね徐々に前進していき、ラインアウトから最後はPR細田がトライを奪い、前半を26-26のイーブンで終える。

 

 後半も点の取り合いは続いた。3分に同志社大WTB鶴田佳樹がハーフラインから一気に独走。慶大ディフェンス陣もついていくことができずトライを奪われた。負けじと慶大も5分にLO佐藤大樹(総4・桐蔭学園)のゲインから前進し、LO永末がこの日2つ目のトライ。8分にはNo.8松村凜太郎(商4・慶應)の突破でチャンスを作るとフェーズを重ねていき、最後はFL川合が相手ディフェンスを巧みにかわしグラウンディング。ゴール正面のコンバージョンをSO古田京(医3・慶應)が決め、9点差をつける。このまま押し切りたい慶大だったが、激しさを増す相手のアタックを最後まで耐え忍ぶことができなかった。12分に慶大のオフサイドからピンチを招くとそのまま押し切られトライ。24分WTB鶴田のスピードに付いていけず逆転を許すと、26分にも同様の形でWTB鶴田にこの日4トライ目を奪われ同志社大が一気にリードを広げた。終了間際の38分にもトライを奪われ、40-55で敗戦。節目となる100回目の定期戦を白星で飾ることはできなかった。

 

 同志社大の外に展開していくラグビーの前に、ディフェンス陣のリズムは明らかに崩れていた。そこからスピードのある相手WTBの独走を許してしまい、失点を抑えられなかった。金沢HCのコメント通り、「一人ではなく、しっかりとカバーディフェンスをしていく必要があった」が、それを徹底できなかったことが今回の敗因と言えるだろう。

 

 課題も多く見つかった試合だが、自らの持ち味を発揮できた選手もいた。特にSO古田はこの日6回のゴールキック機会のうち5回を成功。前半のWTB金澤のトライを演出したキックパスも冴えていた。FL川合は先日の青学大戦の勢いそのままにこの日も相手タックラーを巧みに交わしての鮮やかなトライを決めて見せた。

 

「春は消極的にならずにどんどんチャレンジしていきたい」(佐藤)。記念の一戦を制すことはできなかったが、下を向いている暇はない。慶大はこの後、中2日で春季大会第2戦の拓殖大戦に臨む。まだシーズンは始まったばかり。佐藤組のさらなる飛躍に期待だ。

 

(記事:森田悠資)

 

 

 

金沢篤HC

 

——今日のゲームプランは

 

特にアタックはいつも通りにやっていこうという話でした。

 

——試合を振り返って

 

ディフェンスだけだと思います。ディフェンスがあまりにもひどかったので、昨年の関東対抗戦が4位でBリーグに春はいますけど、それよりも上のグループのフィジカルの強さだとか、アタックの強さを早い時期に体感できたということはある意味では選手にとってはよかったと思います。

 

——攻撃を振り返って

 

ポジティブな収穫は感じていないんですけど、自分たちに足りないものがわかったという意味では収穫になったと思います。

 

——一方でディフェンスについて、後半相手WTBに突破を許すシーンが多かったが

 

個人の能力の問題もあると思います。向こうのWTBの鶴田くんのスピードが速かったので。それに対して、一人では難しいので、しっかりカバーディフェンスをして防ぐしか無いんですが、それでも止めきれなかったです。

 

——次の試合に向けてどういった準備を

 

次の試合にむけては時間もないので修正は難しいですが、春の間の中長期的に修正していきます。

 

——次の試合に向けて

 

頑張るだけです。慶應らしいゲームをしたいと思っています。

 

 

佐藤大樹(総4・桐蔭学園)

 

——今日の試合を振り返って

 

今まで春は状況判断などに力を入れて練習してきました。慶大のぶれてはいけない軸としてディフェンスというところがあると思うんですけど、後手後手に回ってしまったり、一つ一つのタックルとかで受けてしまう場面があり、それによって同志社大の強いランナーに走られてしまったのかなと思います。

 

——ゲームプランは

 

ディフェンスのセットとラインスピード、前に出る速さをディフェンスでは意識しました。アタックではランストラクチャー、カウンターなどそういうところをどれだけできるかというところを意識したんですけど、結局それ以前にディフェンスのタックルなどのところで、こういう結果になってしまったと思います。

 

——前半は攻め込めていました

 

アタックはいつも通りやってたことをやっていましたが、最後取りきれずにミスで終わってしまうところがありました。そういうところは練習からでも起こっているとこなので、もう少し僕からも注意して声かけたりとか締まった練習をしていかないといけないのかなというふうに思いました。

 

——守備は崩れました

 

慶大のぶれていけない軸、ここは抑えておかないといけないところなので、今日は本当にディフェンスがよくなかったところが一番の反省だと思います。

 

——横の展開を防げませんでした

 

タックルで一人が一人を殺しきれずに、いろいろ巻き込まれてしまって人数が足りなくなって外に回されたのかなと思っているので、一人一人のタックルを修正していきたいと思います。

 

——どう修正しますか

 

まずは自分にベクトルを向けて、タックルのところで一人一人がプライドを持って、低いタックルというのを練習していかなきゃいけないなと思います。それができるようになって初めていろいろ積み重ねていけるものだと思うので、タックルを次の試合までに直していきたいなと思います。

 

——次の試合に向けて一言

 

春は勝ち負けが全てではないですし、そこから得るものも大きいので、いろいろ消極的になることなく、チャレンジできていけたらなと思います。

 

 

永末千加良(商4・慶應)

 

——今の心境は

 

チームでやっていたことができなくて、慶大はディフェンスを武器にしたいチームだと思うんですけど、そういうチームが最終的には55-40という点の取り合いの試合に持ち込んでしまったのが、まず良くなかったです。

 

——相手の接点でのプレッシャーはどうでしたか

 

(あくまで)僕個人としてですけど、フィジカルの面では勝ってるな、というのが正直な感想ですね。そこまで圧力は感じなかったです。

 

———いつものディフェンスがチームとしてできなかった、というのはどういったところに原因があるとお考えですか

 

同志社大は外に展開するラグビーをしていたと思うんですけど、そこに対応できていなくて。外に行かれてリズムが崩れて、いつも通りのディフェンスができなかったのかなと思います。(これは)FWの僕としての意見なので、BKから見たらちょっと違うのかもしれないんですけど。

 

——永末選手としては2トライを挙げる活躍を見せましたが、ご自身のプレーは

 

そうですね。アタックでは自分の持ち味である身体の強さを生かせたと思います。(ただ)もうちょっとディフェンスのシチュエーションに効果的にプレーして、チームに貢献できれば良かったのかなと個人な反省としてはありますけど、概ね悪くはなかったと思います。

 

——7日の拓大戦に向けて修正しなければならないところは

 

やはり今日の問題点は、ファーストタックラーが自分の責任を果たせていなかったところだと思うので、そこを修正してディフェンスからリズムを作れるように改善していけたら良いなと思います。

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