リーグ前期最終節を3-0の快勝で飾った慶大は、後期開幕戦となった今節、前期第1節で1-1の引き分けに終わった東洋大との試合に臨んだ。試合は立ち上がりから東洋大の積極的なプレスに押されながらも、10分に小川愛(総1・神村学園高)のゴールで先制する。しかし、直後の13分に失点。1-1で前半を終える。エンドが変わった後半は立ち上がりにいきなり失点すると64分にも失点。79分に山本華乃(理1・山手学園高)のゴールで1点差まで追い上げるもあと1点が遠く、結局スコアは2―3で今季2敗目となった。
第23回関東女子サッカー2部リーグ 後期第1節
2017/06/25(日)15:00KO@東洋大学板倉グラウンド
慶應義塾大学2-3東洋大学
【得点者(アシスト者)】
〔慶〕10分 小川愛(中島菜々子)、79分 山本華乃(小川愛)
〔東〕13分 大内梨央、46分 大内梨央、64分 楠春佳
◇慶大出場選手
GK野村智美(総4・作陽高) |
DF佐藤幸恵(総1・十文字高) |
DF奥本くるみ(環2・浦和レッズレディースユース) |
DF熊谷明奈(総1・十文字高) |
DF足立智佳(環1・大阪桐蔭高) |
MF松木里緒(環2・常盤木学園高) |
MF中島菜々子(総3・十文字高)→37分 山本華乃(理1・山手学園高) |
MF工藤真子(総2・日テレ・メニーナ) |
MF小川愛(総1・神村学園高) |
FW勝木日南子(総2・大和高)→62分 志鎌奈津美(環3・常盤木学園高) |
FW鈴木紗理(総1・十文字高) |
前期最終節となった前節、慶大は武蔵丘短大相手に3-0の快勝で見事に勝ち点3を獲得した。後期も勢いそのままに優勝争いに食い込んでいくため、開幕での勝利が欲しいところだ。相手は前期開幕戦で1-1の引き分けに終わった東洋大。慶大は前節から鈴村萌花(総3・村田女子高)に代えて佐藤幸恵(総1・十文字高)を、志鎌奈津美(環3・常盤木学園高)に代えて勝木日南子(総2・大和高)を起用してこの試合に臨んだ。
試合は前半立ち上がりから東洋大が積極的なプレスをかけ、慶大はなかなかうまくパスをつなげない時間が続く。そんな中でも6分には中盤でボールを持った工藤真子(総2・日テレ・メニーナ)から前線の鈴木紗理(総1・十文字高)、そこから右サイドを走っていた小川愛(総1・神村学園高)にボールが渡るとそのまま小川がクロス。これは中の選手には合わなかったが、ここから慶大が流れを引き寄せると迎えた10分だった。高い位置でボールを奪った中島菜々子(総3・十文字高)がゴール前に入ってきた小川にパス。ボールを受けた小川がこれを冷静にゴール左隅に決めた。「賢い選手」と伊藤洋平監督も語る成長著しいルーキー・小川のリーグ戦4試合連続ゴールで慶大が先制に成功する。しかし直後の13分、相手にディフェンスラインの裏に抜けられそのままシュートを許し失点。先制からわずか2分で試合を振り出しに戻されてしまう。その後はフィジカルで勝る東洋大に試合の主導権を握られ、チャンスらしいチャンスもあまり作れないまま前半を終えた。
後半、追加点を奪って再び流れを引き寄せたい慶大だったが、開始直後の46分、ディフェンスラインの裏に通されたボールへの対処が遅れクリアボールが相手に当たりそのままゴールへ。思わぬ形で追加点を許し1点のビハインドを追う展開となる。しかし慶大もここから反撃開始。53分にはスルーパスに抜け出した松木里緒(環2・常盤木学園高)が左足のシュートを放つ。だがこれは惜しくもポストにはじかれてしまった。すると64分、左サイドを突破されそのままクロスから逆サイドでヘディングで合わせられ三度失点。2点差に広げられる。何とかまず1点が欲しい慶大は79分、左サイドを突破した松木のクロスを小川が頭で折り返し最後は山本華乃(理1・山手学園高)がヘディングシュート。これが決まり山本の初ゴールで1点差まで追い上げる。その後も攻めへの意識を見せた慶大だったが得点には至らず。結局試合はそのまま終了し2-3。今季2度目の黒星となった。
「スコア以上に差があるという試合だった」と伊藤監督が述べたように、フィジカル面などでは差の見える試合だったかもしれない。しかし、リスクを負って得点を目指すサッカーにチャレンジしたことで見えてきたことも多くあった。また、1年生の活躍、特にここまでハイペースで得点を量産している小川などの台頭もポジティブな材料だろう。試合後に何度も「悔しい」と口にしていることからも、早くもチームの主力としての自覚がうかがえる。後期開幕戦は黒星スタートとなったが、前期を終えてチームは確実に成長してきている。悔しさをあらわにする選手たちの姿を目にすると、今後の慶大にますます期待せずにはいられない。
(記事 岩見拓哉)
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試合後コメント
伊藤洋平監督
(試合を振り返って)2-3というスコアですけど、スコア以上に差があるという試合だったと思います。(今日の試合前の狙いは)(相手が)GKを使ってビルドアップしてくることは分かっていたので、どこにどう追い込んでどう取るかというところを練習してきました。(前半は取りどころがないように見えたが)いや、前半に点を取ったシーンは高い位置で取れていたので、もちろん表裏一体というか、ギャンブルに出ているのでそこを外された時にはピンチになっていると思いますし、取れたところはチャンスになっていたかなと思います。(相手は積極的な守備をしてきていたが)相手は積極的に守備をしてきていたと思いますし、そこに少しビビりましたね。それで顔も上がらなかったですし、球際でも負けていましたね。(それに慣れてきてからは良かったか)これは慣れというか、もうこれは普段の練習の習慣というか、もちろん意識では埋めようと頑張っていましたけど、やっぱりそれ以上に普段の習慣の差というのが体つきにも出ていると思いますし、補えない以上の差があったのかなと思います。(差を感じたというのは具体的にどんなところか)まずやっぱり球際の強さだったり、普段だったら絶対にヘディングで打たれないようなシーンでもあっちはヘディングで飛び込んできますし、やっぱりそこの普段からの習慣がないと試合の中では修正できないですよね。(今日はサイドバックの裏を狙われることが多かったが)もちろん前から行った分サイドのスペースは相手に差し出しているわけですから、そこを突かれるというリスクはあって、やっぱりそこを使われるという問題よりは前で取れなかったというところだと思います。(中島選手を前半で変えた意図は)もう明らかにちょっとコンディションが良くなかったというか、彼女の日じゃなかったので。(山本選手を前に入れた狙いは)もちろん前半から代えたくはなかったですし、ただあのままやらせておいてもちょっとあまり改善する気配がなかったので、早めに決断しました。(ハーフタイムの指示は)一個は球際のところで負けないというところと奪ったら大事にしようというところで、さっきも言ったんですけど、取ってカウンターをするか、そこを外されてオープンに攻められるかというところで、まあ早稲田戦も控えているので、チャレンジしようというところでやっていました。その矢先に後半の立ち上がりに失点して、少し出鼻をくじかれたというのは感じました。(得点直後と後半の立ち上がりという失点のタイミングについて)まあ良くないですよね、誰が見ても。今のチームの課題っていうのはそういう時に締める選手だったり雰囲気を変える選手がいないというところなのかなと思います。(小川選手が好調ですが)やっぱりあの辺でボールを取ろうと言ったので、やっぱり賢い選手なんで、ボールが転がってくる位置とか、相手が嫌がる位置というのはすごく考えているんじゃないかなと思います。(次節に向けて)次節はあと2週間あるので、その前にまずは皇后杯にしっかり照準を合わせていきたいと思います。
野村智美(総4・作陽高)主将
(試合を振り返って)今日は自分たちとしては後期開幕戦ということで、前期やった相手に対して狙いどころを持ってやっていたんですけど、その狙いどころはうまくハマっていて、でもそれをすることで生じるリスクだったりとか空いてしまうスペースだったり、そこまで理解しきれずというか対応しきれず試合を運んでしまったのがこの結果につながってしまったなっていうのと、あとは本当に前期から成長したところを結果でしっかり示したかった分、結果には納得いかないし、しっかり現状と向き合って取り組んでいかないといけないなと思います。(リスクという点については、かなり前から圧力をかけようと)そうですね、前半はそこがうまくハマっていて先制点にもつながりましたし、後半のチャンス何回かにもつながっていたんですけど、前からプレスに行く分相手にスイッチを入れさせてしまっている。数的不利な状態を中で作ってしまってそこにボールを蹴り込まれたりとか、そこで処理しきれなかったりというのが失点につながってしまって、そことのバランスというかそこ2つのバランスが合わさらないとキツいのかなと。でもやってみて分かった結果なので、それは本当に今後につなげていかなきゃいけないと思っています。(失点は時間帯や取られ方が悪かったと思うが)失点は点を取った後の気の緩まった時間だったりとか後半の立ち上がりの部分、あとは終盤疲れてきて相手がうまくはめてきた時の対応しきれなかった場面の3つだったんですけど、本当にシーズンインから言い続けている気の緩まる時間、そこに対してのプレーがすごく甘く出てしまったなというのと、あとは全体に合わせて判断するところをもうちょっとはっきりやりたいなと思います。(相手とのレベルの差はそこまで感じず、ミスなどの紙一重の差に感じたが)まずそう言っていただけて嬉しいのと、あとは本当に得点も相手のミスから始まっていましたし、自分たちの失点というのも私たちがやろうとしたことをはめた中で空いたスペースとかを突かれているので、そこも含めお互いやろうとしていることがあってそこがはまっていてつながっているので、1点を守り切るところだったりとか、1点チャンスを決め切るところで勝敗が大きく変わっていくレベルの拮抗したリーグだと思います。(今後に向けて意気込みを)後期開幕前に全員で現状を把握した上でリーグ戦に臨んで、上位3つとはそんなに勝ち点差が離れていない、特に同率2位の東洋と武蔵丘短期大学には直接対決でしっかり勝ち切って結果につなげていこうと言っていた中でのこの敗戦だったので、もう1回先を見据える上でも目の前の1試合1試合にしっかり向き合って、勝ち点を積み重ねていきたいなと思っています。
小川愛(総1・神村学園高)
(試合を振り返って)負けたっていうのが1番悔しいです。(1点目のゴールシーンを振り返って)チームで東洋大戦に向けて練習していた通り守備がはまって、良い形でボールを奪えたので、高い位置で菜々子さん(中島菜々子、総3・十文字高)がボールを奪ってくれて良いパスが来たので、もうGKと相手を見て振り抜きました。(4試合連続でゴールを決めているが)やっぱりチームが勝てなかったっていうのが1番悔しくて、それが1番です。(前期の東洋大戦での引き分けを受けてどのような意識で臨んだか)前回引き分けだったので、今回こそは勝ちにいくっていう気持ちでチームでも臨みましたし、早慶戦が近いのでそこに向けてもチーム一丸となって戦うっていうふうにやっていたんですけど、やっぱりそこで勝てなかったっていうのはチームとしてもたくさん課題が残った試合だったなと思います。(次節に向けて)もう1部昇格に向けて負けられないので、全部勝ちにいくつもりで試合に臨みたいと思います。