第68回全慶應義塾対全早稲田馬術定期戦が11月18日・19日にわたって行われた。初日に行われた馬場馬術競技においては早大に上位を独占され惨敗を喫するも、その後の現役小障害飛越競技、そして翌日の高校生障害飛越競技で差を詰める。そして第6競技・現役中障害飛越競技において慶大が勝利し、二年ぶりの早慶戦勝利を果たした。
第68回全慶應義塾対全早稲田馬術定期戦
2017/11/18(土)・19(日)@早稲田大学馬術部・東伏見馬場
第1競技・JFE馬場馬術競技L1課目2013
選手名 | 馬名 | 総得点 | |
第4位 | 佐藤有美佳 | H.アフロダーテ | 535.5 |
第5位 | 森夏希 | 慶晃 | 527.5 |
第7位 | 岩崎星斗 | 慶豪 | 523.5 |
第8位 | 大森美穂 | 慶隆 | 519 |
第9位 | 田中宏明 | 慶晴 | 500 |
(各校上位3人馬の総得点で勝敗決定)
第2競技・学生賞典馬場馬術課目2010
選手名 | 馬名 | 総得点 | |
第2位 | 松田和佳 | 慶晃 | 638.5 |
第3位 | 津田脩子 | H.アフロダーテ | 632.5 |
第4位 | 高橋駿人 | 慶晴 | 627 |
(各校上位3人馬の総得点で勝敗決定)
第3競技・現役小障害飛越競技
選手名 | 馬名 | タイム | 減点 | |
JO | 椎野叶子 | 慶喜 | 57秒91 | 0 |
JO | 森田梨紗子 | 慶湊 | 61秒68 | 0 |
JO | 中野拓哉 | 慶暁 | 61秒79 | 0 |
JO | 四ノ宮康 | 慶紗 | 62秒81 | 0 |
JO | 三浦大輝 | 慶豪 | 64秒73 | 0 |
9 | 杉浦美桜里 | 慶雪 | 53秒23 | 4 |
11 | 森夏希 | 慶隆 | 2反抗失権 |
(JO…ジャンプオフ進出)
ジャンプオフ
選手名 | 馬名 | タイム | 減点 | |
第1位 | 椎野叶子 | 慶喜 | 42秒56 | 0 |
第2位 | 森田梨紗子 | 慶湊 | 43秒43 | 0 |
第3位 | 中野拓哉 | 慶暁 | 47秒31 | 0 |
第4位 | 四ノ宮康 | 慶紗 | 49秒38 | 0 |
第7位 | 三浦大輝 | 慶豪 | 63秒26 | 16 |
(ジャンプオフでの上位4人馬の団体ポイント数で勝敗決定)
第6競技・現役中障害飛越競技
選手名 | 馬名 | タイム | 減点 | |
第1位 | 高橋駿人 | 慶紗 | 62秒97 | 0 |
第3位 | 津田脩子 | 慶湊 | 62秒44 | 4 |
第5位 | 木村桐子 | 慶雪 | 65秒94 | 8 |
第6位 | 佐藤有美佳 | 慶麗 | 80秒31 | 10 |
第7位 | 大森実穂 | 慶隆 | 80秒69 | 10 |
第8位 | 岩崎星斗 | 慶迅 | 65秒09 | 12 |
第9位 | 田中宏明 | 慶楼 | 89秒66 | 16 |
(上位4人馬の団体ポイント数で勝敗決定)
18日に行われたJEF馬場馬術競技L1課目2013、そして全日本学生馬術連盟制定 学生賞典馬場馬術課目2010において早大の後塵を拝した慶大は、19日最初の競技である第4競技・高校生障害飛越競技において勝利。この時点でのポイントは早大が7に対し慶大が6。第5競技・OB障害飛越競技では勝利校に2ポイント、敗北校には1ポイントが入る。そして第6競技・現役中障害飛越競技では勝利校に3ポイント、敗北校には1ポイントが入る。全種目終了時点で、両校同点の場合は現役中障害飛越競技での勝利校が早慶戦の優勝校と規定されていることから優勝の行方は現役中障害飛越競技にかかっている。
OB障害飛越競技には各校のOB・コーチが出場し、熟練の技を披露した。この競技は同一馬に早慶から一人ずつ乗り、それぞれの馬ごとに勝敗を決定する。競技開始の際、慶大現役部員から慶大OBへ掛け声がかけられると、その後の早大OBの競技では早大現役部員からも掛け声が発せられるなど、両校盛り上がりつつ競技は進行した。慶大選手の落馬失権などの減点が響き競技自体には敗北したが、選手たちの健闘を称える拍手が両校から送られた。
そして早慶戦最後の競技、現役中障害飛越競技が行われる。慶大からは7名、早大からは4名が出場した。この競技では上位4名に団体ポイントを与え、その点数差で勝敗を決定する。先頭の岩崎星斗(経3・慶應義塾高)の競技では、騎乗する慶迅号との折り合いがつかず、少し馬が暴走気味になりながらもコントロールし、3落下の総減点12、タイム65秒09で終える。続く佐藤有美佳(理4・慶應義塾女子高)主将の競技は、「馬のやる気についていけなくて」という言葉の通り、勢いよく走る慶麗号に対し、それを抑えてコントロールしようとする佐藤という様子で進んでいく。結果、第4障害での反抗、そして一本の落下とタイム超過があり総減点10、タイム80秒31で競技を終えた。そして大森実穂(総1・田園調布雙葉高)の競技では第3障害での落下、第8障害での反抗がありながらも完走し、総減点10、タイム80秒69で終了。その後の木村桐子(総1・成蹊高)は馬の勢いに乗るスピード感あふれる競技を見せる。勢い余って第2障害飛越後に外ラチに接触しそうになるトラブルこそあったが、2落下の総減点8、タイム65秒94の結果を収める。全日本の舞台でも結果を残し続けている高橋駿人(総3・玉川学園高)は素晴らしい走りを見せ、その場にいた観客を沸かせた。騎乗する慶紗号と一体になったかのような、まさに人馬一体の競技、スムーズな進路取りから正確無比な飛越を見せる。現役中障害飛越競技に出場した全選手の中で唯一減点なしの走行、そしてタイムでも62秒97を記録した。その後競技した津田脩子(法3・東洋英和女学院高)も馬と息を合わせた素晴らしい走行を披露した。わずかにミスがあったものの、落下1の総減点4、タイム62秒44を記録した。そして最終走者の田中宏明(総3・成蹊高)はコンビネーション障害において反抗があるなど思うように行かない中、なんとか完走し1反抗2落下の総減点16、タイム89秒66を記録した。
早大の2名が二反抗により失権となるなど、難易度の高いコースに苦労する中、慶大は全選手が最後まで走りきった。結果、高橋と慶紗号が優勝。また慶大の現役中障害飛越競技での勝利と2年連続の早慶戦優勝が決定した。
その後、懇親会と表彰式が行われ、各競技の勝者にはメダルと賞状、優勝校の佐藤主将には優勝杯が渡された。佐藤主将が「お互いがお互いに頑張れた」ことが勝利の要因と話していた通り、団体として勝利するためにはチームとして良いムードをつくっていく必要がある。個人競技ではあるが、大学を代表して戦っている仲間として、お互いをリスペクトすることが大事になる。この2日間の慶大はそれを継続して行った結果、優勝という結果を残せた。次なる目標は「完全優勝」――佐藤主将は後輩たちに高い目標を託したが、慶大馬術部ならば必ず、成し遂げてくれるに違いない。
(記事 中村駿作)
選手コメント
佐藤有美佳主将(理4・慶應義塾女子高)
(二日間の早慶戦を振り返って)馬場は惨敗してしまったんですけど、皆演技は良かったし、負けるようなレベルではなかったんですけど負けちゃって、すごく悔しい思いをしました。来年は馬場の上手な子がいるので、この敵を取る、じゃないけどもいい演技をしてほしいと思います。2週間前に全日本学生(賞典総合馬術競技大会)があって、それが神戸であって、輸送が7時間ぐらいあって馬も疲れていて、立て直しをして今回だったので、立て直しきれない部分がある馬もいたので、その中でよく頑張っていたと思うんですけど、来年はパーフェクトな演技をしてほしいと思います。障害は皆よく本当に頑張って、レベルが凄く上がってきたので、安心して試合に臨めたのが良かったかなと思います。誰か一人が強くて、というわけではなく皆で勝てたので、すごく良かったです。(昨日の小障害の勝利、今日の中障害の勝利は思った通りだったか)そんな感じです。私の馬は結構落としちゃう馬で、パーフェクトで帰ってこられる馬じゃないんですけど、後続の後輩たちがすごくしっかりしていて、上手な子が多くて勝ってくれると思えるから私は安心して試合に出られます。(あとは馬場)完全優勝したい。来年私はOBになるので、負け続けているOB戦で私がその助けになれたら嬉しいです。(自身が出た種目について)私は馬場のL1課目と中障害に出て、馬場の方は先週の日曜日から乗りはじめたばかりの馬で、それでも馬がスーパーで乗っている子も上手な子でしっかり下乗りしてくれたおかげで、今までで一番いい演技ができたかなと思います。即席ペアなので結果早稲田には負けちゃったけれども、慶應の中で1位を取れて馬がすごいなあと思って、いい思い出をつくらせてもらってという感じでした。障害の方はちょっと悔しかったんです。もともとバーを多く落としちゃう馬なんですよ。夏合宿の前は1本落としたら減点4で減点28みたいな、13飛越中8落下って子で、必ず帰っては来られるんですけど落とすよね、という子だったんですけど夏合宿で覚醒して、0点で帰ってこられるようになりました。この間の全日本では総合馬術の最終日に3本落とす程度で帰ってこられて、万全の状態で臨める早慶戦なら0で帰ってこられたら良いねって思っていたんですが、一緒に出られる最後の試合ということを馬が感じて、馬のやる気がすごすぎて、人がそれについていけなくて、馬が「私がやる」ってなっていて、ちょっと待ってという感じだったので、それについていけなくて、立て直せなくて止まられちゃったんですけれども、馬をここまで立て直せてよかったなというのと、この馬に乗れなくなるのが一番寂しいという思いがあって、ちょっと悔しいという感じです。(後輩たちに一言)私達の代は2人しかいないので、すごい後輩たちが不安がっているんですけれども、皆しっかりしているし、今日の早慶戦もみんなの力があってこそ勝てたし、自信を持って楽しんで、充実した部活にしてほしいと思います。
高橋駿人(総3・玉川学園高)
(二日間の早慶戦を振り返って)前半の馬場馬術で2連敗してしまって、少し初日で慌てていたのですが、小障害で後輩たちが頑張ってくれたのもあって流れに乗って中障害で勝つことができました。(早慶戦の中障害、かける思いというところはあるか)一年間慶紗号という馬と一緒に頑張ってきたので、今年最後の試合ということで優勝を決めて、この一年を締めくくれたらなと言う思いで臨みました。(慶紗号とのエピソードや特徴など)今年の6月からコンビを組ませてもらって、関東大会の前から乗りはじめて、その頃は折り合いがつかず、うまく行かなかったんですけど、それから夏を経て馬との信頼関係も築けていけて、全日本でもそこそこの成績をのこさせていただいて、今日は優勝で締めくくれて本当に嬉しく思います。(慶紗号の印象は)牝馬ですけど少し気が強いところがあって、すごい能力がある分、人が邪魔しちゃうとその能力を発揮しきれないところがあるので、馬の流れに僕が乗っていくというスタンスで頑張りました。(これからの意気込み)僕自身が部活として出る試合はこれが今年最後なのですが、部活自体の試合はまだあるので、僕も指導する立場なので、後輩たち、同級生たちがしっかり結果を残せるようサポートしていきたいというのと、来年は最上級生として部活を引っ張っていかなきゃいけないので、来年、また今年以上にいい成績を残せるようにしたいと思います。