両校の意地とプライドを懸けて、今年も早慶ラクロス定期戦が日吉陸上競技場を大きく沸かせた。勝負は開始わずか1分、AT西村(商4)が先制弾を打ち込み、慶大側に大きく傾く。その後もMF石田(経4)やMF伊藤(経4)の得点で圧倒し、前半を6-0で折り返す。後半戦では早大の猛攻が続くも、G大沢(経4)の好セーブなどで2失点に抑える好守備を見せる慶大。最後はAT友岡主将(政4)がゴールを決め、9-2で試合を締めくくった。宿敵早大を大差で下し、みごと早慶戦2連覇を果たした。
第26回早慶ラクロス定期戦
5/20(日) 12:30ドロー @日吉陸上競技場
| 前半 | 後半 | 合計 |
慶大 | 6 | 3 | 9 |
早大 | 0 | 2 | 2 |
スタメン
ポジション | 背番号 | 名前 | 学部・学年 | 出身高 | 得点 |
G | 28 | 大沢かおり | 経4 | 学芸大附属国際 | 0 |
DF | 62 | 櫨本美咲 | 経4 | 慶應女子 | 0 |
DF | 75 | 平井淑恵 | 商3 | 慶應女子 | 0 |
MF | 51 | 石田百伽 | 経4 | 慶應女子 | 1 |
MF | 58 | 清水珠理 | 商2 | 慶應女子 | 1 |
MF | 66 | 石川のどか | 政4 | 品川女子学院 | 0 |
MF | 73 | 伊藤香奈 | 経4 | 慶應女子 | 5 |
MF | 81 | 野々垣眞希 | 商2 | 慶應女子 | 0 |
AT | 18 | 荒井理沙 | 経3 | 慶應女子 | 0 |
AT | 32 | 友岡阿美 | 政4 | 慶應女子 | 1 |
AT | 33 | 西村沙和子 | 商4 | 慶應女子 | 1 |
AT | 72 | 吉岡美波 | 理4 | 大妻多摩 | 0 |
ベンチ入り選手
ポジション | 背番号 | 名前 | 学部・学年 | 出身高 | 得点 |
G | 8 | 青山芽生 | 政3 | 慶應湘南藤沢 | 0 |
MF | 17 | 脇坂遥香 | 経3 | 慶應女子 | 0 |
MF | 26 | 井上ゆり子 | 経2 | 慶應湘南藤沢 | 0 |
MF | 59 | 日野美咲 | 商2 | 慶應女子 | 0 |
MF | 77 | 橋本ひかる | 政4 | 慶應女子 | 0 |
MF | 91 | 竹内梨紗 | 政3 | 慶應女子 | 0 |
MF | 97 | 小久保磨里奈 | 政4 | 慶應NY | 0 |
AT | 22 | 清水あも | 経4 | 慶應女子 | 0 |
ついに迎えた早慶ラクロス定期戦。六大学戦での歯痒い引き分けに決着をつけるべく、両校選手が快晴の下、日吉陸上競技場に集まった。絶対に負けられないこの大舞台にて、「超攻撃型」の慶大ラクロスが満場のスタンドを沸かせた。
前半、1本目のドローを奪ったことが大きかった。開始1分、AT西村沙和子(商4)が敵陣に切り込んでいき、先制点を挙げる。すると2本目、MF石田百伽(経4)からパスを受けたMF清水珠理(商2)がゴールに強く向かいシュート。さらに7分、積極的にゴールを狙っていた石田がネット裏から回り込みもう1点。3得点を奪い取り、慶大が序盤の流れを掴み取る。その後も高いボール保持率で終始圧倒。終盤にかけてはMF伊藤香奈(経4)がハットトリックを見せ、6-0と慶大の攻撃一辺倒で前半を終わらせた。
6点リードで迎えた後半、1本目こそ伊藤の4得点目で先取するものの、その後は早大がボールをキープ。守りの時間が長く続いたが、幾度となく打ち込まれるシュートをG大沢かおり(経4)が好セーブで仕留め、なんとか2失点に抑えた。終盤は、慶大の「攻めるディフェンス」で再びボールキープに成功。フリーシュートで伊藤が自身5得点目を決めると、最後はAT友岡阿美(政4)がシュートで会場を沸かせた。終わってみれば9-2と、慶大が圧勝で宿敵早大を破った。
六大学戦では引き分けに終わった早大戦だったが、今回の早慶戦ではみごと6点差の大勝を挙げた。勝因の一つは、やはり出だしのテンポ良い攻撃だ。石田のドローに続き、西村の得点と、どの一発目においても慶大が優位に出られたことが大きかった。さらにもう一つ、勝利に大きく作用したのが後半の守備だ。早大の長いボールキープにも関わらず失点はわずか2点。大沢のセーブももちろん、「(DFが)早大に悪いシュートを打たせてくれて」(大沢)と振り返るように、陰の立役者となったDF陣もチームに貢献した。攻と守、まさに全員で挙げた大勝利となった。しかし「このチームが完成形だとは思っていない」(清水)というように、秋のリーグ戦へ向けてまだまだチームに進化の余地はある。今回見えた課題を「いかに克服して、より自分たちの今のレベルをアップさせていくか」(友岡)が鍵となる。彼女たちの夏は、まだ始まったばかりだ。
(記事:堀口綾乃 写真:新井賀南子 内田貴啓)
以下、選手コメント
友岡阿美(政4・慶應女子)
――今日の試合を振り返って
まず、早慶戦勝利を勝ち取れたというところはよかったです。でもやっぱりチームとして完成していない部分も多く見えたので、これからのリーグに向けて改善すべきところなのかなと思いました。
――後半は早大のボールキープが続きましたが
前半にポンポン点が入った分、後半で自分たちの流れを上手く作れなかったというのが一つと、相手も自分たちもファウルが多くなってしまってポゼッションを相手に簡単に渡してしまうシーンが多かったので、そういうところがきっかけで流れを持っていかれてたのかなと思うので、そういうところを少なくしていくのがリーグに向けて大事だと感じました。
――前半の得点ラッシュの要因は
最初は「ボールから逃げたら終わりだ」という話をしていて、みんながボールにガツガツ寄っていってきちんとボールを相手のゴールに叩き込むというか、勢いで行ったところだと思います。そこが点を上手く入れられたところが要因だと思います。
――最後のシュートシーンを振り返って
前半でシュートをミスってしまったシーンが多かったので、絶対に1点を取りたいと思っていて、ツーマンアップだったのでここは確実に決めようと思って決められたのでよかったかなと思います。
――最後に秋リーグへ向けて
六大学戦、早慶戦、女子高戦を通して、各チームの中で課題が見えてきたと思うので、その課題をいかに克服して、より自分たちの今のレベルをアップさせていくかというのが大事だと思います。そこを詰めていけたらリーグもいい形で入れていい形で終われるんじゃないかなと思います。
伊藤香奈(経4・慶應女子)
もう単純に嬉しいの一言に尽きます。ありがとうございます。
――試合の方を振り返って
前半の入りから上げていこうという話で、ずっとここ1ヶ月くらい意識して練習してきたんですけど、それがしっかりと体現できて、1本目のドローもしっかりと百伽が取ってくれましたし、最初のシュートも沙和子が決めてくれたので、そこでいい流れに持っていけて前半を楽に戦えたのかなと思います。
――5得点と絶好調でしたが
とにかく迷ったらシュートにいこうと、自分からどんどん仕掛けて流れを作っていこうと思っていたので、そこを意識し続けてここ何日間か練習してきたことがしっかりとフィールド上で出せたのは大きかったのかなと思います。
――ボールキープでの活躍も見られました
フィールド上で一番走って一番ボールに関わろうというのが今日の自分の目標だったので、落ちたボールでもどんな遠いボールでも、しっかり追いかけにいこうと思っていたら触ることができたのかなと思います。
――最後の早慶戦ということでどのような思いで臨まれましたか
そうですね。寂しいという思いが強くて(笑)私自身出場するのは3回目の早慶戦なんですけど、2年のときは負けてしまい、去年は自分が何もできずに、でもチームは勝てたというなかで、しっかりと今年は自分も勝利に貢献できたし、チームも圧勝することができたという、自分たちのなかで一番思い出に残る楽しい早慶戦でした。
――最後に秋リーグへ向けて
今日で結構いい流れを作れたと思うので、しっかりとまた一同気持ちを引き締めて、リーグの開催幕戦であったり、FINAL4であったり、その先の日本一に向かって全員で、全戦勝利で日本一を掴みに行きたいと思います。
石田百伽(経4・慶應女子)
――今日の試合を振り返って
六大学戦で早大と引き分けで終わったんですけど、去年と全く同じ状況で、去年は早慶戦で一点差だったので、なかなか厳しいゲームになると思っていたのですが、前半に大量の得点を取れたので、後半は楽な気持ちでプレッシャーを感じずにできたと思います。
――ドローを振り返って
五分五分の勝負くらいかなというのはメンバー全員がわかっていて、それでもサークルまで飛ばしたら、慶大はサークルの方が強いので、私はサークルまで飛ばそうという気持ちでやって、サークルの人たちを信じていました。前半は良かったのですが、後半でなかなか流れを持っていけなかったのは、ちょっとドローがいけなかったのかなとも思うので、リーグ戦までには変えて、いろんな対応ができるようにしたいです。
――ご自身で決めた3得点目について
絶対点数を決めたくて、4年の意地というか、去年ドローだけ試合に出たのですけれど、その時に4年がぐいぐい引っ張って試合展開をしていってくれて、4年に頼っていた自分もいるし、そこで倒れ込んで喜んでいる4年を見てかっこいいなと思ったので、今年は私も覚悟を決めて絶対一点はもぎ取るという気持ちでいきました。多分パスを出せばよかった場面がたくさんあると思うのですが、一点確実に取れて良かったかなと思っています。
――秋のリーグ戦に向けて
去年に比べて圧倒的な運動量というのはもちろんのことなんですけれど、技術力というのが今年の慶應が目指しているものなので、あと3、4ヶ月で詰めていける部分だと思うので、そこを個人としても全体としても伸ばすということと、あと本当に25-0で勝つということを目標にやっているので、もっと点数が取れるチームになっていけたらいいなと思います。
大沢かおり(経4・学芸大附属国際)
まず早大相手にしっかり勝てて良かったという気持ちです。今までの早慶戦と比べて、ある程度の点差をつけて、チームで圧倒して勝てたので嬉しい気持ちです。
――後半早大に攻められた時の好セーブについて
DF陣が最後まで怖がらずにゴール前にあげて、早大に悪いシュートを打たせてくれて、それを私が取ったというだけです。本当にDF陣全員で守れたことが嬉しかったし、良かったと思います。
――早大の攻撃を抑えられた要因は
DFもそうですし、前線からずっとハイプレッシャーで下がらずに前のラインでボールを奪おうという練習をしてきて、そこがしっかりと、運動量を活かしつつ、前から圧勝していけたからだと思います。なので、DF陣だけでなく、全員で、AT陣の力もあったから守れました。
――初めて早慶戦に出られて
去年は一回も出たことがなかったのですが、チーム全体でしっかりと練習をしてきたという自信があったり、自分自身にも相手のシュートのスカウティングだったりいいプレーをしてきたという自信があり、ほぼ緊張せずに試合に出れていました。
――秋のリーグ戦に向けて
チームとしては、入りは良かったかもしれないですけれど、どうしても試合中で波が出てきてしまうので、そこはしっかりと、私たちの弱点だというのを改めて受け入れた上で、いかに安定したプレーをチームでできるのかというのを模索していきたいです。個人としては、今回取られた2得点とも同じシューターに薄い角度から得点を決められてしまったので、そこをもう少しポジショニングやDFとの連携で止められるようにしたいと思います。
清水珠理(商2・慶應女子)
率直にめちゃめちゃ嬉しいです。早慶戦という伝統的な試合で、しかも初めて自分が入ることができて、勝利に貢献できたかはわからないですけど、大事な一戦を勝ち切れたことが嬉しいです。
――今日の試合を振り返って
自分のでもチームの反省でもあるんですけど、最後まで100%の力で走り切れなかったなと思います。前半の入りは押せ押せで全員が100%の力を出し切って攻めていたと思うんですけど、後半になると個人個人で走り切れていない部分があって、早大のペースになってしまったと感じたのでそこはめちゃめちゃ反省しています。
――自身初の早慶戦出場となりましたがどのような思いで臨まれましたか
初めての早慶戦でもあるし、私がスタメンでゲームメイクをするという役割も兼ねていたので、「若い選手のプレーは絶対にしない」というふうに決めていて、「自分が点を決めるんだ」という強い気持ちを持って臨みました。自分の中で絶対にやろうと決めていたことは、ファーストドローを取ろうということです。ファーストドローもファーストシュートも一発目のプレーを自分の中でこれだけはやるって決めていました。結局、ドローは自分のところに飛んでこなかったので取れなかったんですけど。とにかくドローは来たら絶対に取ると、それだけは決めていました。
――ご自身の得点シーンを振り返って
あのシーンはラッキーだったんですけど、もんさん(石田)がボールを取ってくださって、ちょっと私の状態は悪かったんですけど、もし、もんさんがボールを出してくださったら自分はゴールに強く向いて打ってやろうと決めていたので、もんさんがあそこでパスをくれてよかったです。
――最後に秋のリーグに向けて
まだ私を含めて新戦力が多いなか、今は慶大の強みである「奪うディフェンス」だったり「強気なディフェンス」だったりを一から先輩方に教えてもらっている状況で、このチームが完成形だとは思っていないので、それを究めて、全員が攻めのチームになるようにディフェンスを詰めていきたいです。