決勝トーナメント2回戦敗退という悔しい結果に終わった全関東学生弓道選手権大会から1週間。第30回全国大学弓道選抜大会が明治神宮の境内の武道館にて行われた。ここ2年で優勝、準優勝という功績を残している今大会、各大学からの注目をあびる中、結果はまさかのトーナメント1回戦敗退。夏シーズンに向けて課題の残る結果となった。
第30回全国大学弓道選抜大会
6月23日(土)、24日(日)@全日本弓道連盟中央道場、明治神宮武道場至誠館弓道場
ポジション | 選手名 | 予選 | 決勝トーナメント1回戦 |
大前(おおまえ) | 本郷一輝(法3・慶應湘南藤沢) | 4 | 4 |
二的(にてき) | 山下健太(商4・慶應義塾) | 2 | 2 |
三的(さんてき) | 小林研一郎(政3・慶應義塾) | 3 | 4 |
落(おち)前(まえ) | 牧原俊介(経2・慶應義塾) | 4 | 2 |
落(おち) | 平井遼太郎(総4・早稲田) | 3 | 2 |
合計 |
| 16 | 14 |
対戦校 |
|
| 早稲田大 |
計 |
|
| 17 |
※1回の試合で各選手4本矢を放つ。男子団体は5人で構成され、予選では計20本のうち上位16チームが決勝トーナメント戦へ勝ち進む。
トーナメントは2チームが同時に矢を放ち始め、計20本のうち的に中(あた)った本数の多いチームが勝ち進む。
先週の日本武道館での大声援の飛び交う独特な雰囲気とは打って変わって、今大会は明治神宮境内の武道館の静寂な雰囲気の中で行われる。選手と応援席の距離も近く、選手の緊張感が応援席まで伝わってくる。今年も全国から42の大学が明治神宮に集まり、頂上を目指した熱戦が繰り広げられた。
ここ2年で優勝、準優勝という好成績を残してきた今大会。一昨年悲願の初優勝を成し遂げたからこそ、昨年の準優勝という結果は選手全員が非常に悔しい思いをした。あの日から1年、リベンジを果たすべく、選手は気合十分で会場へと向かった。
初日に行われた予選、会場には雨が地面を強く打つ音が鳴りやまない。明治大が20射皆中を記録するなど高いレベルの争いとなったが、不動の大前本郷(法3・慶應湘南藤沢)と今大会初出場の落前牧原(経2・慶應義塾)が見事皆中をみせ計16中、7位タイで予選を突破し翌日の決勝トーナメントへと駒を進めた。
決勝トーナメント1回戦の相手は、予選17中の早稲田大。なんと1回戦で早慶の対決となった。慶大の課題でもある初矢、チームの流れは初矢から決まるともいえる重要な1本に、選手応援共に緊張が走った。しかし前半の2本で10射6中と雲行きは怪しかった。なかなか的中が繋がらず、最後は全員的中するも、皆中の本郷と小林(政3・慶應義塾)以外は2中で差を埋めきれずチーム計14中。対する早稲田大は17中で、一昨年王者は無念の初戦敗退という結果に終わった。
頂点の景色を見たことのある彼らだからこそ、トーナメント1回戦敗退という結果は悔しく、そして虚しい結果となった。敗因は実力を十分に出し切れなかったこと、練習では高的中を出している選手たちだからこそ、いかにその射を試合で出せるかが常に課題だ。
王座に向けて、残すはインカレのみとなった。もちろん負けてばかりではいられない、それが慶大弓術部。彼らのこれまでの努力が実を結ぶ、「練習ハ不可能ヲ可能ニス」を証明する時はそう遠くはないだろう。“日本一”、決して届かぬ目標ではないからこそ、彼らの本気の戦いは続く。
(記事:國分 萌々子)
監督・選手コメント
鈴木清久監督
―――一回戦敗退に終わりましたが、今回の大会を振り返って
やはり選抜の選手を決めるのが早かったので、我々の選考の段階からミスがあったのかなと思っています。上がり調子の選手を見極められなかったということがひとつ幹事や監督の選手選考のミスが響きました。
―――全関から選手の変更も見られ、今大会では牧原選手が出場しました
彼は春シーズンで比較的中っていたのと、早気の選手が多い中で、彼は割と会で粘れる選手だったため選んだのですが、やはり緩んでしまうという傾向によって実力を出し切れずこういう結果になってしまいました。なので思い切って強い矢を出していくということに専念させていくしかないと思っています。
―――今後に向けて
今東伏見で2軍が試合をしていますので、そこから出てくる選手たちと一緒にもう一度頑張って全日本勝ちに行きます。
本郷一輝(法3・慶應湘南藤沢)
―――今大会を振り返って
勝てると思ってたのでまさか決勝トーナメント1回戦で負けるとは思っていませんでした。悔しいというよりも悲しいという感じです。
―――敗因は
3番の小林が初矢を中てたにも関わらず、その波に乗れず後ろが2連抜けしてしまったことかな、と思います。
―――チームとしての課題は
「有言実行」ということだと思います。セレクションで入ってきてるチームではないので、いまチームに何が足りないかを考えると、自分で高い目標を立てそれを確実に達成し続けるということがチーム全体として足りていないのかなと思います。
―――自身は8射皆中だったが、もし反省点などあれば
粘りすぎたことです。会を長く持ちすぎて後ろを不安にさせてしまったのではないかと考えています。
―――今後に向けて
全関、また今回の選抜というのは一発勝負の試合だったのですが、優勝すれば王座に行けるという、年間を通して最も重要な一発勝負の試合である全日本に向けた布石だと思い、失敗を成功にできるよう頑張っていきたいです。
小林研一郎(政3・慶應義塾)
―――昨日と合わせて8射7中という結果でしたが今大会を振り返って
先週は自分が原因となって負けてしまいました。次の週も大事な大会ということで相当追い詰められてはいましたが、今回中らなかったらもう自分が表舞台に出ることはないだろう、という覚悟をもって挑みました。
―――先週からどういう点を改善したのか
先週も今週も練習での調子はかなり良かったのですが、先週は本番になったらコケてしまいました。そのため、練習と試合で何が違ったのか、本番で通用するためには何ができるのか、というのを試合と練習を見ていた仲間と話し、それを踏まえて本番に臨んだ結果、練習通りの射ができました。
―――会で意識している点は
射形の確認をしています。順番に言うと、口割れ、狙っていること、弓手の押している方向、引手が張り合っている方向、最後に弓手の方向を確かめて、放すイメージと矢が飛んでいくイメージをしっかり確認してから離しています。
―――今大会での反省点
昨日の試合と今日の試合で、自分が課題としていた悪い癖が初矢という一番緊張する場面で出てしまいました。これからはその点を改善し、安心して見ていられる選手になりたいと思います。