伝統校が集う秋の対抗戦。夏の猛暑に別れを告げるような冷たい小雨の中行われた開幕戦は、10選手が計12個のトライを決めるトライラッシュとなった。
ディフェンスでも前後半それぞれ許したトライは1個ずつと、快勝で対抗戦初戦を終えた。
関東大学対抗戦Aグループ VS日体大
9月15日(土)12:30K .O . @秋葉台公園球技場
得点 | ||||
慶大 |
| 日体大 | ||
前半 | 後半 |
| 前半 | 後半 |
7 | 5 | T | 1 | 1 |
7 | 5 | G | 1 | 1 |
0 | 0 | PG | 1 | 0 |
0 | 0 | DG | 0 | 0 |
49 | 35 | 小計 | 10 | 7 |
84 | 合計 | 17 |
T=中本2、辻、宮本恭2、豊田、古田、宮本瑛、江嵜、山中、植竹、沖
G=古田12
ポジション | 先発メンバー | 交代選手 |
1.PR | 渡邊 悠貴(経4・慶應) | →後半0分 有賀光生(総3・國學院久我山) |
2.HO | 中本慶太郎(経4・慶應) | →後半19分 山本英晴(商3・慶應) |
3.PR | 菅公平(政4・慶應) | →後半0分 大山祥平(経2・慶應) |
4.LO | 相部開哉(政2・慶應) |
|
5.LO | 辻雄康(文4・慶應) |
|
6.FL | 川合秀和(総3・國學院久我山) | →後半26分 植竹創(商4・湘南) |
7.FL | 山本凱(経1・慶應) |
|
8.No.8 | 山中侃(商4・慶應) | →後半32分 齊藤柊(環4・獨協埼玉) |
9.SH | 江嵜真悟(商4・小倉) | →後半13分 若林俊介(政2・慶應) |
10.SO | 古田京(医4・慶應) |
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11.WTB | 宮本瑛介(経4・慶應) | →後半13分 沖洸成(総2・尾道) |
12.CTB | 栗原由太(環3・桐蔭学園) |
|
13.CTB | 豊田康平(総4・國學院久我山) |
|
14.WTB | 宮本恭右(環2・慶應) |
|
15.FB | 丹治辰碩(政4・慶應) | →後半32分 中山和政(総4・桐蔭学園) |
開始早々、自陣でのスクラムからキックを獲得し、敵陣に攻め上がる。ラインアウトからモールで押し込むと、HO中本慶太郎(経4・慶應)のトライで2分に幸先よく先制。その後もCTB栗原由太(環3・桐蔭学園)やFB丹治辰碩(政4・慶應)が相手陣営を突破、キックパスも有効に使いボールを繋いでいく。そして7分、敵陣でのスクラムからゴール前での攻防に持ち込み、LO辻雄康(文4・慶應)が間をすり抜けグラウンディング。さらに14分には、相手のパスがこぼれたところから栗原、CTB豊田康平(総4・國學院久我山)と繋いで最後はWTB宮本恭右(環2・慶應)が決めるなど、「FW陣の実力ではこちらが勝っている」と、金沢HCの言葉通りにオフェンスで隙を見せない展開が続く。17分には再び敵陣でのスクラムから始まったパス回しで豊田が鮮やかにトライ。続く21分には自陣で相手にペナルティキックを与えてしまい、今日初めての失点を許してしまうが、慶大の攻めは止まらない。相手ゴール前で組まれたスクラムで粘られるも、古田がパスを受けて切り抜けてトライ。この試合寸分違わぬキックを決め続けた主将がトライも決めて見せた。
その後、WTB宮本瑛介(経4・慶應)、SH江嵜真悟(商4・小倉)も得点を決めたが、37分に途中出場の相手CTBにロングランを許し、今日最初の失トライ。49―10で試合は折り返す。
両PRに有賀光生(総3・國學院久我山)、大山祥平(経2・慶應)を投入して始まった後半。またも敵陣でのスクラムから、中本が後半早々トライ。
その後、相手の巧みなパス回しに追いつけず、相手WTBにトライを許してしまうが、18分には自陣ゴール前で組み直しを経たスクラムからペナルティを獲得。No.8山中侃(商4・慶應)がクイックスタートを選択し颯爽と決めた。25分にも宮本恭の今日二つ目のトライ。終盤で選手の多くが入れ替わっても慶大は攻め続ける。37分、辻の長いランからパスを受けたFL植竹創(商4・湘南)、そして試合終了直前40分にはセンターラインから攻め上がったWTB沖洸成(総2・尾道)がトライを決めて試合を締めくくった。合計7つのトライを決め、開始直後の失トライ以降攻め続けた展開だった。
千里の道も一歩から。まずは開幕戦、勝ち星で終えた。「開幕だからといって特にこれといったことはない」と金沢HCは言うが、それも強豪が揃う秋の対抗戦では1試合も気が抜けないという気持ちの表れだ。怪我人が多かった春を支えた新戦力、そして復帰した主力級選手たちを抱えて迎えるこのシーズンは、我々に1試合でも長くプレーを見せてくれるに違いない。19年ぶりの頂点へ。黒黄軍団の旅路は始まったばかりだ。
(記事:竹内大志/写真:川下侑美、重川航太朗)
| 帝大 | 明大 | 慶大 | 早大 | 筑大 | 日体大 | 青学大 | 成蹊大 | 勝敗数 |
帝大 | 11/18 @秩父宮 | 10/21 @秩父宮 | 11/4 @秩父宮 | 11/1 @熊谷 |
10/7 @帝大G
| 〇141-7 | 〇113-7 | 2勝 | |
明大 | 11/18 @秩父宮 | 11/4 @秩父宮 | 12/2 @秩父宮 | 10/7 @足利陸上 | 9/30 @江戸川陸上 | 〇88-0 | 10/20 @明大G | 1勝 | |
慶大 | 10/21 @秩父宮 | 11/4 @秩父宮 | 11/23 @秩父宮 | 9/30 @江戸川陸上 | 〇84-17 | 11/1 @熊谷 | 10/7 @慶大G | 1勝 | |
早大 | 11/4 @秩父宮 | 12/2 @秩父宮 |
11/23 @秩父宮
| 〇55-10 | 10/21 @前橋敷島 | 10/7 @足利陸上 | 〇99-5 | 2勝 | |
筑大 | 11/1 @熊谷 | 10/7 @足利陸上 | 9/30 @江戸川陸上 | ●10-55 | 11/18 @前橋敷島 | 10/21 @筑大G | 11/3 @上柚木 | 1敗 | |
日体大 | 10/7 @帝大G | 9/30 @江戸川陸上 |
●17-84
| 10/21 @前橋敷島 | 11/18 @前橋敷島 | 11/3 @上柚木 | 12/2 @熊谷B | 1敗 | |
青学大 | ●7-141 | ●0-88 | 11/1 @熊谷 | 10/7 @足利陸上 | 10/21 @筑大G | 11/3 @上柚木 | 11/18 @前橋敷島 | 2敗 | |
成蹊大 | ●7-113 | 10/20 @明大G | 10/7 @慶大G |
●5-99
| 11/3 @上柚木 | 12/2 @熊谷B | 11/18 @前橋敷島 | 2敗 |
次戦 9月30日@江戸川区陸上競技場
VS筑波大
12:30キックオフ
以下コメント
金沢篤HC
――開幕にあたって選手にかけた言葉などは
開幕だからといって特にこれといったことはないです。とにかくフィジカルで圧倒しようとは話していました。
――今年の日体大の印象は
バックスにパスやランが良い選手たちがいるので、個人というよりはチームのレベルで守っていけたらと思っていました。FW陣の実力ではこちらが勝っているかなというところですね。天候もありましたし、それを踏まえた対策も心がけるよう伝えました。
――それを踏まえて今日の試合は
スクラムやモールではいいパフォーマンスを見せてくれたと思います。しかしコミュニケーションがとれていなくて、リアクションの動きが遅かったということもあり、それが課題だと思います。
――大差のついた試合でしたが
単に力の差だと思います。それをしっかり出し切れた結果が点差につながっていると思います。
――開幕戦とは単に7試合のうちの1つですか、それとも何か重みがあるものなのですか
一緒ですね。一緒といっても、7つに均等に分散ということではなく、全試合に全力をぶつけるという意味では一緒だと思います。ここでつまずけば次に響きますし、全試合を落とせないので一緒に扱っています。
――再来週の筑波大戦については
今日よりももっと厳しい戦いになると思いますが、もっとコミュニケーションのレベルを上げて勝ちきりたいと思います。普段できていることなので。
――今後の課題は
自分たちのミスにも相手のミスに対しても、リアクションの精度を高めていきたいです。
――今日の試合内容を振り返って
前半いい流れで入れて、結果的に差をつけて勝てたので、そういった部分は良かったと思います。しかし、ラグビーとしてはまだまだなので、また振り返ってしっかりやっていきたいです。
――点数をつけるとしたら何点でしょうか
70点です。フォワードのプレーで主導権を握ろうということで、すごくいいプレーをしてくれたと思います。
――残りの30点は
80分を通して、自分たちのラグビーを続けるという点ではまだまだだったと思います。あとは、ブレイクダウンのところで少しプレッシャーを受けたので、そこは改善していかないといけないと思います。
――今日に向けての雰囲気作りは
特に4年生のメンバー、もちろん1年から3年も、みんなの思いを込めて戦おうというふうにやってきました。メンバーもすごくよくやってくれて、このままチームとして積み上げていければと思います。
――前半開始早々にトライが生まれました
気持ち的にはすごく楽になりました。
――その後も着実にトライを積み重ねましたが
そうですね。フォワードが主導権を握れていたので、そこが本当に大きかったと思います。
――後半は少しペナルティーが増えた印象でした
相手のアタックも良かったですし、逆に自分たちもアタックでリズムを崩した部分もあるので、メンバーが交代してからもしっかりとやっていけるようにしなければいけないと思います。
――ご自身のプレーを振り返って
ディフェンスの部分では抜かれてしまっているので、そこは修正が必要だと思います。(ゲームコントロールでは)押せ押せのムードの中でも上手くキックを使えたと思うので、良かったです。
――コンバージョンも全て成功でした
良かったです。あまり調子は良くなかったですが、いい集中でできたと思います。
――開幕戦勝利となりましたが、どのように捉えていますか
チームとしてまず一段階踏めたと思うので、一個一個の試合でしっかりと成長していけば、見えるものが見えてくるかなと思います。
――次戦は筑波大との対戦ですが、筑波大の印象は
早稲田には差をつけられて負けていますが、簡単に勝てる相手ではないので、しっかりと臨んでいきたいと思います。
――次戦に向けて
慶應らしいラグビーを続けられるように、2週間しっかりと準備をして臨みたいと思います。
——今日の試合を振り返って
春・夏やってきたことをしっかり出せば、勝てる相手だと思っていたので、やってきたことをしっかり出そうと臨みました。
——フォーカスポイントは
相手がキックを起点に攻撃をしてくるというのは、いろいろな試合を見てわかっていたので、BK3としてそのキック処理の責任とカウンターアタックや相手のキックからどう自分たちで攻めていくのかを自分の中で意識して試合に臨みました。
——試合をして、その部分の評価は
結構対応できたところもありました。
ペンディラムのところもコミュニケーションをよく取れていて、夏にやってきたコミュニケーションの部分はできていたと思うので引き続きやっていきたいです。
——改善点は
チーム全体を通しての改善点は、コミュニケーションの数がまだ少ないことです。リアクションが遅くなり、後手後手になってしまうシーンがけっこうあったので、初戦で硬くなっていた部分もあると思いますが、次戦からしっかりコミュニケーションをとって、自分たちのラグビーをしっかり出せば、また勝てるのかなと思います。
——次戦に向けた意気込みを
トライを取るのも自分の役目だと思うので、トライをとって、4年生としてしっかりチームを引っ張って、最後のシーズンに良い勢いで早稲田大、明治大、帝京大のような強い相手に臨めたらなと思います。
――今日の試合を振り返って
今日のフォーカスが、自分たちにとって有利な相手に対して、雨が降っている中でフィジカルで勝負していくことでした。前半の入りからフォワードがセットプレーで圧倒して良い感じでできていました。悪かったところはトランジションのところでセルフジャッジしてしまったところがあり、反応が遅くなってしまったところです。
――対抗戦初出場となりましたが、率直な感想をお願いします
緊張はしましたが、特別な意識はなかったです。
――今日の試合での個人的な収穫は
オフェンスメインの試合になったので、僕の強みは出せませんでしたが、着実に前に出ることができたことです。
――開幕戦取材の際に『献身的なプレー』を目標に掲げていましたが、その点は今日の試合ではどうでしたか
悪くはありませんでしたが、ミスボールへの反応が遅くなってしまいました。夏にフォーカスしていた相手より速く、より低くというところが完璧とはいかなかったです。
――次戦に向けての意気込みをお願いします
どんどんディフェンスからプレッシャーをかけて圧倒していきたいと思います。
――今日の試合を振り返って
デビュー戦なので楽しめました。
――対抗戦初出場の感想は
通用する部分と成長しなければいけないなという部分が両方ありました。スキルアップしなければいけない部分を頑張って修正していかなければと思いました。
――今回感じた良かった点や課題は
良かった点は前に出れたということです。80分間常に良いプレーを出し続けられるような調節などが課題かなと思います。
――次戦に向けての意気込みをお願いします
相手のレベルが今日よりも上がると思うので、慶應の強みであり僕の強みであるタックルでチームに良い流れを持っていこうと思います。