【バレーボール】全カレ開幕!苦難の末に掴んだ1勝/第71回全日本バレーボール大学男子選手権1回戦vs立命大

バレー戦評

全日本インカレが開幕した

「日本一」を掲げるTEAM伊藤最後の大舞台、全日本バレーボール大学選手権がついに始まった。初戦は関西大学リーグ1部7位の立命大。普段対戦はなく地力のある相手に対して吉田祝太郎(政2・慶應)のサーブや樫村大仁(環2・茨城高専)の高さを生かした攻撃など持ち味を発揮し、簡単に2セットを連取した。しかし、第3セットは相手に押され、4セット目は土壇場から逆転を許し、試合はフルセットにもつれる。それでも最後は富澤太凱(経3・慶應)が相手コートに打ち抜いて勝負あり。苦しみ抜いたが、大きな1勝目を手にした。

 

2018年11月27日(火)

第71回全日本バレーボール大学男子選手権

1回戦 慶大×立命大

@墨田区総合体育館サブアリーナ

 

得点

慶大

セット

立命大

25

18

25

15

16

25

28

30

15

10

 

秋季リーグを1勝10敗12位、2部降格こそ阻止したが納得のいく結果は出せなかった慶大。しかし1年を締めくくる全カレはすぐにやってきた。最後こそ悔いなく終わるために、そして目標とする日本一へ、挑戦の幕が上がった。

 

司令塔の吉田

第1セット、マルキナシム(総3・川越東)のレフトからのスパイクを完璧に止められると、相手のジャンプサーブに押されて先行を許してしまう。しかし、吉田のサーブが相手を崩して7連続得点と一気に逆転する。富澤、マルキの両輪も火を噴き、難なくバックアタックを成功させていく。小出捺暉(環1・駿台学園)が相手のライトを止めるブロックを決めると、吉田が2連続を含む3つのサービスエースを奪って大勢を決めた。2度の大量得点で第1セットを取った。

 

 

片波見が久しぶりの出場を果たした

 

第2セットは慶大が開始から6連続得点し、主導権を握った。久々にスタメン出場した片波見和輝(文3・成田)のクイックで先制すると、磨いてきたというサーブでエースを奪ってみせた。相手のクイックも樫村が一枚で堂々と止めた。慶大自慢のセンターが躍動した。最後も片波見がブロックポイントを取って2セットを連取した。

 

 

一気に決めたい3セット目だが、先に主導権を握ったのは立命大だった。開始から一挙に5連続失点すると、小刻みに連続得点を許していく。マルキのサービスエースなど、攻撃面は好調を維持していたが、アクシデントで選手交代があった相手の変化に対応できず、サイドアウトを1回で切ることができなかった。ダブルコンタクトなど簡単なミスも目立ち、大差でこのセットを落としてしまう。

 

 

岩本のサーブレシーブ

挽回したい第4セット、サイドアウトの取り合いから、富澤にボールを集め、4点を先行する。レシーブも次第に安定し、連続得点を許さない。中盤さらに3連続得点して点差を7に広げ、勝負あったかと思われた。しかし、フローターの動くサーブに崩されて失点を重ねてしまう。先に20点に到達したが、吉田と富澤のホットラインがここでうまく機能できず、デュースに持ち込まれてしまう。緊迫したこの場面、1点先行の中で先にブレイクを許してしまう。しかし、崩されながらの吉田のスパイクが決まり、再び先行する。しかし、ここでミスが出てチャンスを逃すと、相手の主将の意地に押されて3連続失点。まさかの大逆転を喫して“逆王手”をかけられた。

 

 

最終第5セット。まず相手のサーブを一度で切ると、ブロックでワンタッチを取り、マルキと富澤につなげる慶大らしい攻撃で4連続得点。このセットは強いサーブ、変化するサーブもしっかり対応するレシーブも光り、一度もブレイクを許さなかった。3、4セット目と打って変わり安定した試合運びでフルセットの試合を制した。

 

 

チームに指示を送る伊藤主将

秋季の公式戦で挙げた勝利はこれまでわずかに2つ。主力のケガ、それにともなう選手の動揺やスタイルの変化もあって思うような試合運びが出来ていなかった中、この最後の舞台でなんとか1つ勝つことができたことは大きい。弱点だったレシーブ、変化への対応力もこの一年を通して次第に克服してきた。どんなことがあっても、それでもらしさを貫いていけば勝利を掴むことができるのだ。

次戦の相手は秋季から2部に昇格し、リーグ戦でも5連勝でフィニッシュした勢いのある立教大。下位リーグの相手とはいえもちろん油断は大敵、もちろん選手たちも理解している。昨年は2回戦で敗退し、悔し涙を飲んだ。そして、目指すべき「日本一」のためにも勝ちつづけなければいけない。「歴史を変える」。偉大な第一歩を今踏み出し、その歩みはまだ止まらない。

 

 

(記事:尾崎崚登 写真:藤澤薫)

 

 

以下、コメント

 

 

宗雲監督

 

――厳しい展開になったが

向こうが入替戦のときのように途中から生き返ってしまいましたね。元々力のあるチームなので、ワンサイドで勝てないとは思っていましたが、向こうが息を吹き返してから大変でした。

 

――全国の舞台で選手の様子は

油断をしているつもりはないでしょうし、大丈夫だったと思います。64チームに絞られてきて、1回戦から強い相手と当たるので、準備はしてると思います。ただ変則なチームに当たると少し弱いので、その部分でバタバタしてしまったと思います。

 

――ブロックなど高さを生かしたプレーが目立ったが

高さは自分たちのスタイルなので、最後はブロックでワンタッチを拾ってという展開が出来ました。それまでは向こうもこちらの高さを理解して、当て出しを狙われていましたが、それは何回もされてきたことなので、その想定の上で最後は守備位置を変えたりしていました。そういう意味では高さが生きたんじゃないかなと思います。

 

――後半は相手の攻撃に苦しめられたが

入替戦と同じで、2つセット取ったときにオポジットの子が変わりました。その子が小気味よく打ってくるようになったことと、対して少しこちらの対応が遅れた部分があったと思います。終盤、向こうのキャプテンのジャンプサーブが素晴らしかったですね。しっかり打ってきたことを敵ながら褒めるべきと思いますね。

 

――課題は対応力ということか

ディフェンスしたことがない相手だと少しドタバタしたり、今の慶應の選手は変化に弱い部分がありますね。ただ、入替戦でもそうですが、5セット目で何とか変化に対応できたのはすごい収穫だと思います。

 

 

 

岩本龍之介副将(商4・仙台第二)

 

――今日の試合を振り返って

基本的に雰囲気は最初から上げていけたので、1・2セット目は取れたんですけど、やっぱりそれで、油断が見えたというか。気の緩みがああいう形になっちゃって。3セット目に関しては本当に試合中に立て直せるなって思っていたんですけど、それができなくてああいう形になっちゃったのはもったいなかったなって思います。

 

――気の緩み以外で何か3セット目以降で不調の原因は

明らかに変わったのは、向こうのディグ(スパイクレシーブ)が良くなったのと、向こうのジャンプサーブの勢いが尋常じゃなく強くて。それでやられちゃいましたね、完全に。それで押されて、何とかこっちも攻めるけど拾われて、みたいな。完全に流れ持っていかれているから、それでなかなかうまくいかなかったっていう感じですね。

 

――普段対戦することがないチームだったが

一応ビデオは見たんですけど、結局ビデオを見ても相手が本当にそのメンバーで来るのかもわからない。けどだいたいのチームスタイルって人が多少変わってもあまり変わらないから、ミーティングでしっかり分析して対策は立てたんですけど、結局試合でやってみて、そこで臨機応変に対応できるようにしようって話はしていたし。やっぱり何よりも自分たちのバレーをやることが一番大事っていうことは言っていました。

 

――今日の守備面を全体的に振り返って

全然だめですね、今日は。サーブレシーブは、結構相手も役割分担をしっかりしていて。強いサーブ入れるのと、きっちりフローター入れるのと分けていたので。きっちり入れてきたのは本当に返さなきゃいけないし、強いのはもうちょっとまとめなきゃいけなかったって思います。ディグに関しては、最初サイドの攻撃がストレート抜けていて、それを絶対にやめよう、ストレート閉めよう、横拾おうってなっていたんですけど、いざ抜けてきたボールが全然拾えなくて。最後までなかなか修正できなかったので、明日はそこを頑張りたいなって思います。

 

――いよいよ全カレが開幕しましたが、今の心境は

正直やってみないとわからなかったので、今日やって結果ああいう形になっちゃったんですけど、逆に吹っ切れて。一日一日戦って勝つだけだなっていうのを実感したので、また明日は明日で頑張ります。

 

――明日に向けて

相手がどうこうっていうのは置いておいて、やっぱり自分たちが自分たちのバレーをする。それで相手を苦しめられたらいいなって思うし、相手の攻撃に関しては、やっていくうちに慣れるっていうのも良い練習なので、まあ僕は最後ですけど。今日できなかったそういうところを意識して、明日はやりたいなって思います。

 

 

 

片波見和輝(文3・成田)

 

――今日の試合を振り返って

序盤ガッとみんな集中して、入っていけたと思いますが、3セット目以降集中が切れてしまう場面があって、ズルズルいってフルセットという感じになってしまいました。でも結果的に勝てて良かったと思います。

 

――久々のスタメン出場だったが

自分が出てチームに貢献できたということで、良かったです。

 

――自身のプレーはどうだったか

自分の強みは高さよりは粘り強いブロックやシャットアウトはなくても触っていくところにあると思うので、そういうところがポイントで出せたと思います。

 

――サーブはどうだったか

サーブは一番練習してきました。4年の加松さん(加松陽主務=経4・慶應湘南藤沢)がサーブ練習とかで意識するように言ってくださったので、それが今日の結果として出たのかなと思います。

 

――チームの雰囲気は

初戦は結構難しいと思いますが、勝ってここから乗っていけるんじゃないかなと思います。

 

――明日の試合に向けて

明日も勝ちます!

 

 

 

富澤太凱(経3・慶應)

 

――今日の試合を振り返って

このチームの最後の大会ということで、昨日から全体として上がっていたんですけど、結果としてフルセットまでもつれてしまって。良くない部分が出たかなって思います。

 

――普段対戦しない関西の大学だったが

関西リーグは関東に比べて、少し個人技の面で優れている選手が多くて。いわゆる強豪校で培ってきたノウハウがあったりするので、戦いづらさがやっぱり少しありましたね。

 

――以前、関西のブロックが嫌だと話されていたが

そうですね。これも個人技で、マッチアップが悪いとやっぱりどうしても…相手が流れを持っていくブロックもあって。その点やっぱり戦いづらかったです。

 

――今日もスパイクをたくさん決めていた

入替戦終わってからの練習に比べれば、だいぶましな方になったと思います。でもやっぱり4セット目にもろさが出てしまったように、細かい組合せの練習だったりそういうところはまだまだ甘かったのかなって思って。今日もこれから少しセッターと話して、少しでもそういうミスが減るようにしたいと思います。

 

――明日の試合に向けて

去年、僕は(全日本インカレ前にけがをして)応援席から見ていただけでした。明日良い形で勝って、次の試合につなげたいと思います。

 

 

 

吉田祝太郎(政2・慶應)

 

――今日の試合を振り返って

ちょっとあんまり覚えてないんですけど、最初の方は良かったのかな。向こうがサーブの強いチームで。相手のサーブが上手くて、1本目がうまくいかなくなって、その3・4セット目は取られちゃったんですね。こっちも我慢していたんですけど、最後やっぱり向こうのサーブに負けちゃったっていう感じかな。だから相手がちょっと強かったなっていうのはあります、正直。こっちも頑張りました。もう引退見えちゃったんで、最後、本当に。「あ、これ4年生引退させちゃうな」って思ったので。そこで多分キャッチする人も、みんな1本ずつ丁寧に、踏ん張って勝てたんじゃないかなって思います。

 

――今日のご自身のトスは

1本目が割れる(ネットから離れる)ケースが多かったんですけど…うーん、まあまあいつもよりは良かったんですかね。割れたときのトスっていうのも練習していたので、練習通りできたのかなって思います。

 

――サーブが好調だった

サーブは、最近良いんですよ。でも5セット目の大事な場面でトスをミスしてしまって入らなくて、そこはちょっとあんまりいただけないんですけど。明日もこのコートなので、この体育館で慣れて、勝ち進むにつれて良いサーブを打てるように。徐々に感覚は掴み始めています。

 

――明日に向けて

(インタビュー時点では対戦相手が)まだわからないんですけど、どっちが来ても。大商大が来たら去年のリベンジ。立教大が来たら…まあ順位的には1部・2部ですけど、何があるかわからないので、全力で立ち向かっていきたいと思います。

 

出場選手

サイド

小出捺暉(環1・駿台学園)

センター

樫村大仁(環2・茨城高専)

オポジット

富澤太凱(経3・慶應)

サイド

マルキナシム(総3・川越東)

センター

片波見和輝(文3・成田)

セッター

吉田祝太郎(政2・慶應)

リベロ

岩本龍之介(商4・仙台第二)

途中出場

加藤真(商2・慶應)



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