慶應スポーツ新聞会

【端艇】つかみかけた栄光…対校エイト悔しくも散る/第88回早慶レガッタ

荒れた隅田川を一糸乱れぬ漕ぎで駆け抜けた男子対校エイト

先週の観漕会では、女子対校エイト、第二エイト、対校エイトの各クルーが力強い漕ぎを見せ、ますます期待が高まった今年の早慶レガッタ。早慶両校の闘志が雨予報を吹き飛ばしたものの、終始曇った空の下レースは行われた。慶大は3年ぶりの勝利を目指し、満を持してこのレースに臨んだが、第二エイトが勝利、女子対校エイト、対校エイトが敗戦という結果に終わった。

 

2019年4月14日(日)第88回早慶レガッタ @隅田川

 

 

女子対校エイト

2〜4年生のうち選ばれたメンバーが集った女子エイトクルー

<メンバー>

C:水谷智咲(環3・小林聖心女子)

S:笠原万緒(政2・慶應女子)

7:根岸彩子(政3・白百合学園)

6:青木遥南(法4・慶應女子)

5:兼子佳恵(政2・慶應湘南藤沢)

4:松原佳代子(商4・東京女学館)

3:流石章代(総3・山梨県立吉田)

2:遠藤佳奈(商3・豊島岡女子)

B:江藤祐実(経4・吉祥女子)

<タイム>

1着早大女子対校エイト 3:21.26

2着慶大女子対校エイト 3:33.17

<艇差>

3と1/2艇身

悔しくも敗戦を喫し、30年の歴史を塗り替えることはできなかった

1000mの距離を競う女子対校エイト。早大は30連覇をかけたレースであっただけに、その実力に拍車をかけたスピード感で慶大に襲いかかる。少しずつ差をつけられた慶大は、その差を埋めることができないまま1000mを漕ぎきり、結果3と1/2艇身差をつけられ敗戦した。

 

 

 

 

第二エイト

<メンバー>

C:向井新(経3・慶應)

S:八木志洋(文4・逗子開成)

7:永田大智(環3・清風)

6:村上廉太郎(政3・慶應志木)

5:鈴木魁(経4・慶應)

4:コントレラスピート遥介(経4・東京都市大付属)

3:小宮山息吹(経3・慶應)

2:田村直親(政3・慶應)

B:浦敬太郎(経3・攻玉社

<タイム>

1着 慶大第二エイト 12:33.62秒

2着 早大第二エイト 12:53.46秒

<艇差>

6艇身

近年隅田川での勝利に見放され続けている慶大第二エイト。早大の3年連続完全優勝を止めるため、後に控える対校エイトに勢いをもたらすため、そしてなによりこの日に向けて全てを懸けて努力してきた自分たちのために強い覚悟を持って試合に臨んだ。

今大会、慶大は墨田区側(カーブの内側)であったため早大よりも後方からのスタートであった。また、「スタートにはあまり自信がない」と八木志洋(文4・逗子開成)がクルーを分析していたようにスタートには苦手意識があった慶大だったが、ここぞという場面で力を発揮した。波が大きくうねる難しい条件の中、スタートスパートの段階からスタートの差を徐々に詰めていくと、700m地点にある両国橋の時点で若干早大の前に出る。

まさに「理想的すぎる展開」(八木)で勢いに乗る慶大。「コンスタント(レースの間約3000m)に強いクルー」(鈴木魁=経4・慶應)はここからその実力を存分に発揮する。両国橋通過直後に半艇身の差があった慶大は安定したペースで艇を進め、若干の焦りを見せる早大との差をみるみるうちに広げていき、厩橋(1850m)通過時には8秒近いリードを奪う。

観漕会での会心の漕ぎから期待の高かった第二エイト

だが早慶レガッタは長丁場の戦いだ。カーブも波もあり全く油断はできない。そのような状況でも慶大クルーは決して崩れることなく漕ぎ続けた。「コールに対して戻ってくる能力が結構あるクルー」とコックスの向井新(経3・慶應)が語っていたように、たとえリズムが悪くなったり漕ぎが乱れたりしても、向井のコールによって「悪いポイントを作ら」ず、「高い水準の漕ぎ」を持続させる。このようなまとまりは長い時間をかけてトレーニングを積んできたからこそできたのだろう。「2ヶ月やってきたところが負けたら全て無駄になってしまう」(向井)。慶大クルーはそのような並々ならぬ覚悟を持って一漕ぎ一漕ぎ慌てず力強く漕ぎ進めていく。

 

 

見応えのあるレースで会場を沸かせた

そしてレース終盤。早大はなんとしても追いつこうとピッチを上げるも、慶大は余裕を持って着実に艇を進め尚もその差を広げていく。「早稲田も最後のスパート力など侮れないところはあったので自分の中では最後まで気を抜けない状態でゴールまで漕いでいた」と鈴木が振り返ったように、慶大は最後の最後まで「必死」に漕ぎきりゴール。4年ぶりに慶大が第二エイトの勝利を掴んだ。「なんともいえない初めて味わうような内からこみ上げてくるような嬉しさ」と鈴木が表現したように言葉には表すことができないような感情を慶大クルーは爆発させた。

 

振り返ってみれば、まさに「完勝」という言葉がふさわしい清々しい勝利だった。しかしこの勝利を掴むまでの道のりは決して平坦ではなかっただろう。厳しい選手選考を勝ち抜け、日々対校エイトと共に練習をし、早大になんとしても勝つためにしてきた努力は計り知れないものがある。「3年間の努力が報われた」(八木)。これほど今回の勝利は慶大端艇部にとって価値があり、見事早大相手に「意地」を見せることができたといえる。これから始まる新シーズン、第二エイトのメンバーを中心にこの勝利をきっかけとしてさらなる飛躍を遂げ、再び天高く拳を突き上げる姿を我々に見せてれることに期待したい。

 

 

対校エイト

<メンバー>

C:福原涼介(経4・慶應志木)

S:三輪崇(商4・慶應志木)

7:新井勇大(経4・慶應志木)

6:宮嵜裕之(法4・慶應志木)

5:栗野稜平(政4・慶應志木)

4:本多進之介(経4・慶應志木)

3:王田恭之(商3・慶應)

2:朝日捷太(経2・慶應)

B:古谷高章(商3・慶應志木)

<タイム>

1着 早大対校エイト 12:49.64秒

2着 慶大対校エイト 12:51.01秒

<艇差>

カンバス差

 

スローガン”意地”でこのレースに全力を注いだ

強い風が吹き、水面が波立つ隅田川は、艇を進めるには万全なコンディションではなかったが、不幸中の幸い、雨の予報が外れたことは、天までもがこの対校エイトを見守っているかのようだった。対校エイトは、早慶両校から選りすぐりの9人が出場する、早慶レガッタの花形種目。新大橋上流から、桜橋までの3750mを勝負する。第二エイトの勝利で勢いづいていた慶大は、このレースにその流れを汲み、「やってきたことへの自信はあったので、レース前は程よい緊張感で、絶対に勝てるという自信を持って臨みました。」と新井主将は語った。

 

レース後に各々の感情を噛みしめる男子エイトクルー

今年は慶大が墨田区側のインコース。スタート位置に着くのに手間取りつつも、レースはスタートした。「(スタート地点の)両国橋(700m地点)で主導権を握られてしまった」(新井勇大主将=経4・慶應志木)と述べるように、序盤に早大に少し差が開き、1/4艇身差から3/4艇身差、そして1艇身差までつけられたものの、徐々に距離を詰め、中盤をすぎたあたりで横並びになる場面も。ところが、早大は早々にスパートをかけ慶大を突き放そうとし、慶大はそれを追う形となった。とうとう観衆が溢れる桜橋に差し掛かると、もはやどちらの艇が勝ってもおかしくない状況になる。しかし、先に漕ぎ切ったのは早大だった。その差はわずかにカンバス分、タイムにしてみればたった1秒37。この差で敗戦したのだ。

 

レース後、早慶両監督・主将による会見が行われた

レース後の会見では、「レースが終わった今でも、力の差はなかったのかなと思います。」と早大漕艇部の藤井拓弥主将(社4・県立吉田)は述べ、接戦であったことは艇に乗る彼らでも感じていた。カンバス差での敗戦という結果に対し、新井主将は、「正直負けた理由はすぐには見つからないくらい、ここにかけて全員でクルー一丸になってやってきた」とするように、今年の慶大の“意地”は相当なものであった。3年間対校エイトに出場した新井主将。「3年間のなかで、一番レースに自信があって、クルー9人でまとまって、早稲田に勝ちに行くぞという一体感を持っていたと思います。」ただただこのレースの結果が悔やまれるばかりだった。

 

彼らのレースが我々の心を震わせ、熱くさせた。結果はどうあれ、この事実は確かだ。そして、慶大端艇部の1年はまだまだこれから。インカレ、全日本など、戦う場所はいくつも残されている。だからこそ今回の結果を受け止め、前を向いて漕ぎ続けるしかない。慶大端艇部が日本一を掴み取るまで、決して目を離せない。

 

(記事:津田侑奈、東修司/写真:津田侑奈、東修司、左近美月)

 

観漕会の記事もあわせてご覧ください。

Tagged as: , , ,

Comments are closed.