9月の頭に行われた全国学生相撲個人体重別選手権大会。慶大からは東日本大会で勝ち上がった関野大輔(商4・慶應義塾)、橋本有人(経1・慶應義塾)、胡華興(薬4・慶應義塾)の3名が全国の舞台に挑んだ。65㎏未満級で出場した関野と橋本が接戦の末に初戦で敗れる一方、75㎏未満級の胡は1回戦を突破。2回戦では粘り負けに終わるも、自身最後の体重別大会でベスト8という結果を残した。
第44回全国学生相撲個人体重別選手権大会
9月1日(日)12:00~ @靖国神社相撲場
◇慶大出場選手◇
関野大輔(商4・慶應義塾)
橋本有人(経1・慶應義塾)
胡華興(薬4・慶應義塾)
◇65㎏未満級◇
<1回戦>
関野●(寄り倒し)〇市川倫太朗(朝日大)
橋本●(引き落とし)〇菅原光市郎(日体大)
65㎏未満級では初めに関野が土俵へと上がった。部員やコーチからの熱い声援を受けて立った初戦、関野は立ち合いから力強く当たった後に組み合うも、「相手の横の動きに反応しきれませんでした」と言うように、一瞬の隙に付け入られ徐々に押され気味に。土俵際では粘りを見せたが最後は場外へとなだれ込み、寄り倒しでの敗戦となった。
続いて登場したのは、1年目にして全国大会の切符を手にした橋本。東日本大会準優勝者との対戦となった初戦は「自分より格上だからこそ、思いきりいこう」とチャレンジャーの姿勢で臨んだ。立ち合いから両者は低い体勢で組み合い、しばらく膠着状態が続いた。橋本は落ち着いて組み直そうとするも、一瞬相手が引いたところで体勢が崩れ、手をついてしまった。関野に次いで、橋本も悔しい1回戦負けに終わった。
◇75㎏未満級◇
<1回戦>
胡〇(押し倒し)●玉山士温(関大)
<2回戦>
胡●(寄り切り)〇三苫慶大(日体大)
75kg未満級には胡華興が出場。まずは1回戦、立ち合いから相手の攻めに喉輪で対抗する。素早い攻撃で圧倒し、上体が仰け反った相手を押し倒しで下して2回戦 に進んだ。
ベスト4進出がかかった2回戦、胡は相手のまわしを上手でとって技を仕掛けていく。一方相手も低い姿勢で持ちこたえ、長期戦に持ち込む。両者譲らず土俵際で一進一退の攻防が続いたが、最後は胡が寄り切りで敗れた。
今大会慶大唯一の勝利を挙げた胡だったが、ベスト8で姿を消した。
結果だけ見れば悔しい結果に終わった今回の全国体重別大会。しかし、いずれの取り組みも一辺倒ではなく、それぞれが粘り強さを発揮していた。劣勢になりながらも最後まで踏ん張る姿勢からは、年に一度というこの体重別大会にかける軽量級選手らの熱い思いが感じられた。4年の関野と胡は最後の全国体重別となったが、彼らの取り組みへの姿勢は橋本をはじめ、次なる世代の軽量級選手へと受け継がれていくことだろう。
そして、慶大は10月5日にいよいよリーグ戦を迎える。「今年は100周年ということで記憶にも記録にも残る世代にしていきたい」(関野)との言葉通り、慶大相撲部にとって歴史を変える一日となることを期待したい。
(記事:堀口綾乃・栗栖翔竜 写真:宮崎柚子)
◇選手コメント◇
胡華興(薬4・慶應義塾)
――東日本大会から今日までどのような準備をされてきましたか
やる稽古としてはいつもどおりで、突き相撲を磨くということに集中しました。そうですね、突き相撲とトレーニングのみに特化して、できるだけ無駄を削って稽古してきました。
――4年目の大会でしたがどのような思いで臨まれましたか
1年2年とこの大会に出ていて、去年は出られなくてかなり悔しい思いをしたのですが。とにかく優勝したいという気持ちはずっとありました。
――1回戦目の取り組みを振り返って
1回戦目は西で準優勝していた選手でかなり格上ではあったのですが、まず西の相撲を全部見たところ自分みたいな相撲のタイプはいなくて、その分自分にも分があるなと思っていたので、その通り自分の突きで特に苦戦することもなく勝ててよかったです。
――2回戦目を振り返って
2回戦目は前の東日本の大会で負けた相手で、ここを絶対にリベンジして優勝につなげたいと思っていました。自分で言うのもあれですが、相手も前回自分に苦戦した分、かなり立ち合いも低く、自分の得意の突き相撲を最初から潰されてしまって、お互いまわしを取ってという形になってしまって。そうなるとやっぱり向こうに分があったので、善戦はしたと思うんですけど、向こうの完勝だなと。悔しいですね。
――ベスト8という結果については
最初にトーナメントを見たときから、準々決勝で日体大の相手にリベンジして優勝してやるという気持ちだったので、悔しいですが、ベスト8という記録も自分の中では一番高い記録ではあるので、そこは正直に喜びたいと思っています。
――4年間挑まれた体重別の大会を振り返って
元々自分は相撲部入って無差別でも勝ちたいという気持ちでやってきて、その過程の中で1年2年と自分と同じくらいの体重の相手に勝つことができるということで、最初の方は無差別でも勝っていくために必死だったんですけど、徐々に力をつけていくと同じ階級だとかなりの割合で勝てたり、頭一つ出てきたかなという実感があったので、最後の年は優勝することが目標でした。でも、体重別の大会はすごく面白いなと思っています。
――今後に向けて
自分にとって残りある大会は10月のリーグ戦。7人制の大会なんですが5人は無差別で、最初の2人が階級別になっていて、恐らく僕は最初の85㎏未満で出ると思うので。2部の相手なので、自分が結果を残しているという点においてはしっかりと格の差を見せつけられるように取れたらいいなと思っています。
関野大輔(商4・慶應義塾)
――東日本大会から約1ヶ月どのように取り組んできましたか
ケガをしがちだったので、体のケアをしながら調子を落とさないように過ごしてきました。
――地元で迎えた全国大会でした
昨年の全国大会は関西での開催だったので緊張もしませんでしたが、やはり地元ということで応援してくださる方々も多く、少し緊張しました。それでもこの場所で全国大会に出場できたことは本当に嬉しいです。
――取り組みを振り返って
体を大事にしすぎて、試合感が足りなかった結果が出てしまったかなという感じです。
――立ち合いではなかなか組み合うことが出来ませんでしたが、粘りを見せました
立ち合いまでは納得した形でしたが、相手の横の動きに反応しきれませんでしたね。(最後まで粘れたのは)意地ですね。
――相撲部としてはこれから秋に向けてリーグ戦やインカレが続きますね
今年は100周年ということで記憶にも記録にも残る世代にしていきたいと思います。
橋本有人(経1・慶應義塾)
――今大会にむけてどのような準備をされてきましたか
練習内容に大きな変化はありませんが、立ち会いで(お手本となる)いい人を発見したんです。元横綱の日馬富士の立ち会いに感銘を受けまして。それからはその鋭い立ち会い、はやい相撲というものを意識するようになりました。
――試合を振り返って
相手が東日本大会で準優勝した選手だったんです。自分より格上だからこそ、思いきりいこうと思っていました。試合がどんな風だったのかは覚えていないのですが、ぶつかったあと体を上手く動かせなかった記憶があります。相手が下から来る選手だという情報を意識しすぎたこともありますが、かなり緊張していたことも理由だと思います。試合をしてみて、筋力面で負けているとは思わなかったので、もう一度戦いたいです。結果的には全国初戦敗退となってしまいましたが、もう少しいけたかも、と感じる大会でした。
――次の大会にむけて
まだ、立ち会いが良いとき、悪いときとばらつきがあるんです。今は体重別で試合をすることの方が多いですが、いずれは、リーグ戦や無差別戦で自分より体格が大きい人と対戦することもあると思います。それに向けて、体を大きくしたり力をつけるなりしてやっていきたいです。