練習試合 vs京都産業大
慶大24−31京産大
9月29日(日)14:00K.O.
@慶大日吉グラウンド
対抗戦は休止期間に入っているが、関西大学ラグビーAリーグに所属する京都産業大学と練習試合が行われた。前半は3トライを決め勝ち越したものの、後半は思うようなプレーができず失速。京産大の強力なFWに苦戦を強いられて4トライを奪われ、24―31と逆転負けを喫した。
慶大は序盤から京産大の強力なフォワードに苦しめられ、相手のモールにより20mのゲインを許す。しかし、前半9分、京産大のダイレクトタッチにより慶大のラインアウトでリスタート。そのボールを順当に繋ぎ、WTB鬼木崇(法1・修猷館)のトライで5―0と先制した。
続く前半14分、自陣内でペナルティーを犯し、ゴール前5mからのラインアウトを献上すると、モールで押し込まれトライを許し、同点とされてしまう。だが前半19分、ジャッカルが決まり、京産大陣内22mライン付近からのラインアウトを奪取すると、CTBイサコ・エノサ(環1・King’s College)がオフロードパスでFB小谷田尚紀(経3・慶應志木)につなぎトライ。SO中楠一期(総1・國學院久我山)のキックも決まり、12―5と勝ち越しに成功した。前半終了間際には、敵陣内ラインアウトの後ラックを形成して押し込むと、HO原田衛(総2・桐蔭学園)がグラウンディング。17―5とリードして前半を折り返した。
後半開始早々、LOアイザイア・マプスア(総1・King’s College)がトライを決めるなど、前半同様に流れをつかみたいところではあったものの、14分にはセンターライン付近で京産大がインターセプトし、そのまま独走されて24―17とされる。さらに、敵陣5mラインでターンオーバーを許し、京産大のSHにキックで自陣5mラインに戻される。京産大のスクラムをインゴールまで押し込まれ、トライを許し、24―24と同点に追いつかれてしまった。再び勝ち越しといきたいところだったが、攻撃のリズムが噛み合わない。後半36分にはゴール前のスクラムから展開され、24―31となる勝ち越しのトライを許した。
前半は慶大のペースで試合が進んだものの、後半は相手フォワードに押される場面が多かった。CTB栗原由太主将(環4・桐蔭学園)は「相手にやられたというより自分たちの自爆で相手の強みを出させてしまったと思います。規律の部分とかで守れなくて自爆の印象が強かった」と振り返る。「相手の強みがモールだったときに、ディシプリン(規律)の部分が保てなかったところが敗因の1つ」だとSH若林俊介(政3・慶應)も規律について指摘している。慶大が自分たちのペースで試合を進めるには、規律を守り我慢することが重要となるだろう。
「これを糧にしないといけないので無駄な負けにせず、しっかり切り替えて準備してやっていきたい」と栗原主将が語るように、11月の対抗戦に向けて今回の試合で見つかった課題を克服し、今よりもさらに強くなるであろう慶大蹴球部を楽しみにしたい。そして、今回はこの秋から入部した留学生のアイザイア・マプスアとイサコ・エノサが初めて先発メンバーとして試合に出場。早速高いスキルを見せつけ活躍した留学生からも目が離せない。
(記事:八幡藍 写真:竹内大志、堀内大生)
以下メンバー表、コメント
◇メンバー表
【Starter】
1.PR(プロップ) 有賀光生(総4・國學院久我山)
2.HO(フッカー) 原田衛(総2・桐蔭学園)
3.PR(プロップ) 大山祥平(経3・慶應)
4.LO(ロック) 相部開哉(政3・慶應)
5.LO(ロック) アイザイア・マプスア(総1・King’s College)
6.FL(フランカー) 良知健佑(商4・慶應NY)
7.FL(フランカー) 山本凱(経2・慶應)
8.No.8(ナンバーエイト) 濱野剛己(総3・桐蔭学園)
9.SH(スクラムハーフ) 若林俊介(政3・慶應)
10.SO(スタンドオフ) 中楠一期(総1・國學院久我山)
11.WTB(ウィング) 鬼木崇(法1・修猷館)
12.CTB(センター) 栗原由太(環4・桐蔭学園)
13.CTB(センター) イサコ・エノサ(環1・King’s College)
14.WTB(ウィング) 高木一成(商4・慶應)
15.FB(フルバック) 小谷田尚紀(経3・慶應志木)
【Booster】
16. 安田裕貴(政4・慶應)
17. 松岡勇樹(法1・慶應)
18. 鈴木悠太(政1・慶應)
19. 池田勇希(商3・熊谷)
20. 内田尚輝(経4・慶應)
21. 五藤隆嗣(商1・慶應)
22. 鎌形正汰(商3・慶應)
23. 宮本恭右(総3・慶應)
【選手変更】
52分 小谷田 尚紀→23 宮本恭右
56分 アイザイア・マプスア→19 池田勇希
56分 イサコ・エノサ→22 鎌形正汰
56分 若林 俊介→21 五藤隆嗣
62分 原田 衛→16 安田裕貴
62分 大山 祥平→18 鈴木悠太
62分 有賀 光生→17 松岡勇樹
62分 良知 兼佑→20 内田尚輝
75分 鈴木 悠太→3 大山祥平
◇試合後コメント
CTB栗原由太主将(環4・桐蔭学園)
――今日の試合を振り返って
相手にやられたというより自分たちの自爆で相手の強みを出させてしまったと思います。規律の部分とかで守れなくて自爆の印象が強かったです。
――普段対戦しない京産大との試合でしたが、どういうゲームプランで試合に臨みましたか
相手の強みがモールというのがあったので、あまり自分たちの陣地に入れたくなくて積極的にエリアを取ろうと意識しました。前半は比較的にできて後半に関してはディフェンスの部分で行かれてしまうところがありました。そこから自分たちの自陣に入られて苦しかったです。後半のところでうまく敵陣に入って止められなかったところがプランとして乱れてしまったと思います。
――ブレイクダウンでのプレーは
フォワードが近場で頑張ってくれました。苦しいのは分かっていましたけど、BK陣がそこで助けられませんでした。ブレイクダウンでもスクラムでも本当によく頑張ってくれたと思います。自分たちの力が足りないと思いました。
――FW陣が押されたことによる影響は
やられはじめると、落ちるのが目に見えてました。積極的に声掛けをしようと思いましたが、外から見てる以上にプレッシャーが内側にかかっていたと思います。そこの声掛けについて学べたと思います。
――留学生が2人出場しましたが、一緒にプレーされていかがでしたか
頼りがいがありました。言語の壁を感じることなくプレーできるので、本当に心強いです。雰囲気の部分で盛り上げてくれるので、いい流れをチームに持ってくれるかなと思います。
――同大戦に向けての意気込み
これを糧にしないといけないので無駄な負けにせず、しっかり切り替えて準備してやっていきたいです。
HO安田裕貴(政4・慶應)
――今日のゲームプランは
京産大の強みがFWだったので、まずは相手のモールでトライをとられないようにエリアマネジメントをしていくということと、チームとして、アタックはテンポを出してやっていこうということでした。
――それを踏まえて試合全体を振り返ると
前半はいいアタックができてリードして折り返しましたが、自分たちのペナルティから自陣に入られて、スクラムやモールで相手の強みのFWで得点されてしまいました。自陣に入れないということも大事でしたが、FWとしては自陣でも相手のモールやスクラムを上回る実力をつけていかなければならないなと思いました。
――普段対戦のない相手でしたが、相手のスクラムの感触は
シンプルに強かったです。自分たちの目指しているスクラムを相手にやられたという感じです。精度のところで相手に上回られました。
――体格では劣っているように見えませんでした
もっとスクラムやモールの時の姿勢であったり、技術であったりを向上していかないとなと思いました。
――途中出場される時の意識は
プレッシャーをかけられていたのでなんとかしたいと思っていんですが、自分が入ったあとも押されてしまって、正直不甲斐ない気持ちです。
――今後の改善点を挙げるなら
まずFWはしっかりセットプレー。FWが強くならないと日本一も達成できないと思うので、スクラムであったりモールであったり、セットピースにこだわって練習していきたいと思います。
SH若林俊介(政3・慶應)
――今日のゲームプランは
特に京都産業大学に合わせて何かしようということはなくて、自分たちの継続してある、チームだったらテンポを意識する、アタックはアーリーセット、ディフェンスは指差しノミネートというその3点を意識しました。
――今日の試合を個人的に振り返ると
チームとしては相手の強みがモールだったときに、ディシプリン(規律)の部分が保てなかったところが敗因の1つでした。メンタル部分では、自分は最後の方いなかったのですけど、取られたら落ち込んでしまってメンタル面でも劣勢に立ってしまったのが、見ていて良くなかったと感じました。
――落ち込んでしまったとき、どのような声かけをしましたか?
僕は最後の方、怪我で抜けてしまったのですが、キャプテンがよく発信してくれるので、それにしっかり乗っかって、僕を含むリーダー陣がもっとみんなを引っ張っていければ良い方向に向くのかなと思います。
――ハイパントを蹴る場面がありましたが、その意図とは
今日は結構暑さもありボールが結構滑っていたので、相手も処理が難しくて、今日は自分のキックも当たっていたので、積極的に10番の中楠からも僕にコールがかかって、自分が蹴る場面が多かったですね。
――前半はブレイクダウンが良かった印象を受けました
前半はバックスでも積極的にボールを運んでいって、フォワードもしっかり前に出ていました。敵陣でテンポ良く出しているときはブレイクダウンが良かったと思いますが、自陣の特にボールを大切にしなければいけないときに、フォワードのところで連携が取れなかったりするところがあったので、それは後半修正するようにという話は出しました。
――留学生が2人入りましたが、チームにどういう影響がありましたか
プラスの面でいうと、個々のスキルがすごく高いので、今日もそうでしたが、彼らに預けてサポートをしながらそこを起点にアタックを展開できるという部分があります。難しい部分としては、コミュニケーションが取りづらいのと、チームの戦術の落とし込みの部分がまだ足りていないので、そこは意思疎通が図れるように頑張っていきたいと思います。
――相手フォワードに押される場面が多かったですが、どのような意識でいましたか
相手のモールが強かったので、反則をしないでラインアウトを渡さないように意識しましたが、バックスのハンドリングミスだったり、そこからのスクラムのペナルティーだったり、フォワードが不用意なプレッシャーをかけて陣地を取られる場面が多かったので、プレーというよりディシプリン(規律)の部分でもったいなかったと思います。
――次の試合に向けてお願いします。
まずは怪我を治して、同志社戦をやって、対抗戦の再開に間に合うようにしっかり調整していきたいと思っています。
SO中楠一期(総1・國學院久我山)
――試合を終えての率直な感想を
一言で表すと自滅です。自分たちがやりたいことである、バックスがテンポよくボールを動かしながらアタックに絡み、全体でアタックマインドを持ってやるということを意識はできていたのですが、その精度の低さやコミュニケーション不足によってミスが起きてしまい相手に付け込まれました。
――今日のゲームプランは
相手のFWが強いことはわかっていたので、エリアを取って敵陣で戦うことを考えていました。また、これまでの対抗戦3試合ではフォワードに頼っていた部分があったので、ボールを散らそうと思っていました。
――前半を振り返って
前半は勢いもあり流れも良かったので、ミスをせずに得点に繋げることができていたと思います。
――後半逆転を許してしまった原因は
トライを取られた後に我慢ができなかったことだと思います。ディフェンスもそうですが、アタックの際にチャレンジしつつも丁寧なプレーを重ねることが重要だと思っていたのですが、思い切ったプレーをしてミスをしてしまい、相手にボールを奪われてしまいました。
――キックパスを多用した狙いとは
試合前から狙っていたわけではなく、試合中にコミュニケーションをとりながらスペースにアタックするというところで、WTBがしっかり外にポジショニングできていてコールもあったのでやりました。判断して行えたプレーだったのでそこは良かったと思います。
――これからの試合に向けての意気込み
負けられない戦いが続くので、良い試合ができるようにプレーの精度を高めて準備していきたいです。
WTB鬼木崇(法1・修猷館)
――今日の試合を迎えるにあたって、チーム全体としてのゲームプランは
全体的には、アタックでテンポをあげて、ディフェンスでは相手のテンポを下げよう、という内容でした。アタックでは相手より早くセットして、どんどんテンポあげて有利に進めよう、と。ディフェンスはタックルする前に一人一人が(相手への)ノミネートを徹底して、ミスが出ないようにしよう、といった感じです。
――そのゲームプランに関してはどのように評価しますか
前半、バックスが積極的にもらうことができて、しっかりテンポを出せた時は得点ができていました。でも後半ペナルティが多くなって、相手のペースにのまれた時は、あまり自分たちのテンポで出来なかったと思います。
――自身の先制トライを振り返って、何が上手くいきましたか
(ボールの)もらい方を練習していて、普段の練習から立ち位置を意識しています。もらってからが勝負ではなくて、もらう前から相手を切っておこうという意識ですね。
浅めに立って、13番のエノサからもらって、ディフェンスが追いつけないところで勝負できたので、しっかり抜けたのかなと思います。
――試合中、留学生とのコミュニケーションはどのようにして取っていますか
僕たちは元からやることをたくさん決めて練習しているので、決まっていることやっているような感じです。細かいところは「誰々見て」とかポジションとかを指示して「あいつ見て」とかは言いますけどね。練習通りにやっているので、試合中は特別なコミュニケーションはいりません。決まりごとを共有できていますね。
――ハーフ団を中心にキックが多めだったと思います。狙いは何でしたか
今年チーム全体として、スペースを狙って攻めよう、ということになっています。京都産業大学は、前にディフェンス上がってきていて裏のスペースが空いていたので、そこにしっかり蹴って、確実に奥でゲインをすることで優位に進めよう、という狙いがありました。
――後半になってFBに入りました。FBというポジションから見て、後半の劣勢な状況をどのように分析しますか。
一番はペナルティですね。ただそれ以外にも、個人個人のタックルミスとかセットが遅かったりしてサイドを抜かれたり。そういう一つ一つのミスが積み重なって、やられたかなと思います。
――今日の試合を振り返って、個人的な収穫は何でしたか
WTBとしては初めてAチームで出たんですけど、アタックは割と通用するかなと思いました。ただ、タックルミスが多すぎたので、アプローチを修正して、次回の試合出られたら修正できるようにしたいと思います。
PR松岡勇樹(法1・慶應)
――約1ヶ月の対抗戦休止期間中ですが、チームとしてどのような事を目標に取り組んでいますか
最初の三試合、自分たちでテンポを作る試合が出来なかったので、ディフェンスは相手のテンポを遅らせて、オフェンスは自分たちの気持ちのいいようにテンポを作っていくことを目標にしています。
――今日の試合を振り返って
ディフェンスで反則を重ねて、目標にしていたテンポ作りに失敗してしまったのが敗因です。
――ご自身は後半追い上げられている中での途中出場でした。ベンチからはどのような指示がありましたか
厳しい場面だったので、チームにエネルギーを与えてリフレッシュさせるよう強い気持ちで向かってくれと言われました。
――普段なかなか対戦のない相手でしたが、スクラムなど組んでみての感触は
相手は自分たちのやりたい、まとまって押し込むスクラムを展開してきたので、自分たちもそう出来るように練習しなければならないと感じました。
――今後の意気込みを
試合の中で色んなことを吸収して、対抗戦に向けて頑張っていきたいです。