【テニス(男子)】届きそうで届かなかった日本一。やはり早大の壁は高かった/全日本大学対抗テニス王座決定試合決勝 早大戦

庭球男子

近大との激戦を制した慶大は、決勝で早大と対戦。ダブルスは、D1福田真大(商4・慶應湘南藤沢)・今村昌倫(環3・清風)組とD3田中隆輔(環3・秀明英光)・佐々木健吾(環2・高松北)組が勝ち星を上げ、2勝1敗で折り返す。シングルスでは、一時は慶大に流れが来たと思われたが、勝負所で早大が強さを発揮し、慶大に流れを渡さなかった。結局、1勝5敗でシングルスを負け越し、最終的に3勝6敗という結果で王座決勝を終えた。

 

慶大

スコア

早大

D1 ○福田・今村

2{6-4,7-5}0

古賀・安上

D2 ●川島・羽澤

1{3-6,7-6(5),3-6}2

島袋・千頭

D3 ○田中・佐々木

2{1-6,6-4,6-4}1

髙村・田中

S1 ●今村

1 {6-3,2-6,2-6}2

島袋

S2 ●羽澤

0{0-6,4-6}2

白石

S3 ●福田

0{3-6,2-6}2

千頭

S4 ○甲斐

2{6-3,6-4}0

田中

S5 ●成

0{3-6,2-6}2

木元

S6 ●伊藤

1{6-3,5-7,1-6}2

藤井

合計3

 

 

全日本大学対抗テニス王座決定試合決勝 早大戦

 

2019年10月13日@愛媛総合運動公園

 

※試合が終わった順に戦評を掲載しています

 

ダブルス

慶大2-1早大

 慶大のダブルスの鍵を握るD1福田・今村組。試合開始からシーソーゲームが続くが、徐々にペースが福田・今村組に。6-4で第1セットを奪取する。続く第2セットもゲームを取りあう展開となる。多彩な攻撃を披露する古賀・安上組に対し、福田・今村組はネットプレーと今村の強力なサーブで応戦。流れが目まぐるしく変わる中、第11ゲームでブレークに成功すると、直後の第12ゲームも奪取。第2セットを7-5で取り、慶大の1勝目を挙げた。

 

近大戦では激戦を演じたD3田中・佐々木組が躍動した。第1セットは相手のコーナーを突くサーブ、アングルショットに苦しめられ、1-6で落としてしまう。後がない第2セットでは、積極的にネットプレーに出ることによって相手のストロークに対応する。サービスゲームをキープし続けてペースを掴むと、第9ゲームに相手のミスも絡んでブレークに成功。続くサービスゲームをしっかりキープし、6-4で奪取した。迎えたファイナルセットでは、強気のストロークで相手を崩しチャンスボールをしっかり決める。第1セットで相手にやられていたことをやり返すような鮮やかなコンビプレーで終始主導権を握ると、6-4で相手を振り切り、見事勝利を掴み取った。

 

D2川島颯(総3・名古屋)・羽澤慎治(環2・西宮甲英)組は大激戦を演じた。第1セットから互いに強力なサーブ、ストロークを打ち合い、キープし合う展開が続く。迎えた第8ゲーム。セカンドサービスを相手に叩かれる場面が続き追い込まれると、ついにブレークを許してしまう。続くゲームを相手にキープされ、3-6で落とす。第2セットも一進一退の攻防が繰り広げられる。第7ゲームにはブレークを許すも第8ゲームですぐにブレークバックするなど互いに譲らず、ついにタイブレークに突入する。タイブレークでも互角のぶつかり合いが続くが、羽澤の強力なストロークで相手を押し切り、第2セットを7-6で奪い返す。迎えたファイナルセットも強烈なストローク戦が続くが、第8ゲームでミスが続きブレークを許してしまう。なんとしてもブレークバックしたい第9ゲームだったが、相手の強烈なサーブを最後まで攻略することはできず、3-6で勝負が決まった。

 

シングルス

慶大1-5早大

 

団体戦で思うようなプレーができず、苦しんでいるS5成耀韓。試合開始から相手にストロークで左右に揺さぶられ、流れを掴めない。結局、第1セットを3-6で取られると、続く第2セットも相手のプレーに押され、2-6でこのセットを落とした。

 

 

「後悔がないように頑張ろうと思って臨んだ」というS4甲斐直登(環4・日出)は、去年の王座決勝で敗れた田中優之介と対戦。「自分のポジションを下げないで前に張り続けてプレッシャーをかけるということをずっと意識していた」という言葉通り、積極的なストロークで攻め、第1セットを6-3で奪取。続く第2セットは、お互い強力なストロークを中心としたラリーでポイントを取り合う。ブレークバックが続くなど、一進一退の攻防となるが、第9ゲームでブレークに成功する。直後の第10ゲーム、果敢に攻める田中に対し、15-40と追い詰められる。だが、甲斐も激しく応戦する。積極的なプレーで4ポイントを連取。6-4で第2セットを奪い、ゲームセット。去年の雪辱を果たし、勝利で有終の美を飾った。

 

成長著しいS6成長著しいS6伊藤竹秋(法2・慶應)は、第1セットから見応えのあるストローク戦を演じる。第6ゲームで相手のダブルフォルトを生かしてブレークに成功すると粘りのストロークを続け、6-3で先取。第2セットでは早々にブレークを奪うなど主導権を握り続け、ついにマッチポイントを迎えるが、試合はまさかの展開となる。勝利に対するプレッシャーからかミスを連発するとブレークを許し、相手のペースに持ち込まれると、5ー7で落としてしまう。切り替えたいファイナルセットだったが、勢いに乗る相手に終始主導権を握られ続け、試合のペースを掴むことができなかった。1ー6で落とし、勝負の厳しさを味わう結果となった。

 

S3福田は、「高3の時も最後のジュニアインターハイの時に千頭とやって負けて、今回こそは勝ちたい」と並々ならぬ思いで試合に臨んだ。だが、千頭の粘り強いプレーに対し、満足のいくプレーができない。福田らしくスライスでつなげるも、フォアハンドがなかなか決まらず、3-6で第1セットを落とす。続く第2セットで悪い流れを打開したい福田だったが、全体的にアウトになる打球が目立ち、最後まで波に乗り切れなかった。このセットを2-6で取られ、悔しい負けを喫した。

 

S2羽澤は、リーグ戦で黒星を喫した白石と対戦。リーグ戦の雪辱を果たしたいところだったが、得意なネットプレーを持ち込もうとするも、白石にパッシングショットを決められるなど、ストロークをコースに丁寧に打ち分ける白石のプレースタイルに苦しむ。終始相手に主導権を握られ、0-6で最初のセットを落とす。このまま終われない羽澤は、第2セットで意地を見せる。一時1-4とリードされるも、強力なストロークとネットプレーが決まりはじめ、4-4と追いつく。このまま羽澤が優位に進めると思われたが、白石の安定したストロークを攻略できず、最終的に第2セットを4-6で落とした。羽澤の敗退により、早大の王座15連覇が確定した。

 

D2の熱戦が続く中で始まったS1今村昌倫(環3・清風)は、相手エースとレベルの高い試合を繰り広げた。第1セットはサーブが不調な相手のセカンドサービスを積極的に叩き、早々にブレークに成功するも、相手の強力なストロークに崩されてブレークバックされる展開が続く。第8ゲームに3度目のブレークに成功すると、続く第9ゲームをキープし、6-3で奪取する。第2セットも激しいストローク戦が続く中で、D2の試合が終わり早稲田の優勝が決定すると、相手エースが復調。中盤から終盤にかけてブレークを許すと、強烈なサーブに苦しめられ、2-6で落としてしまう。ファイナルセットでも相手に圧倒される。チャンスボールを決めきれずにカウンターを決められるなど、相手の勢いを最後まで抑えることができず2-6で奪われ、決着した。慶大は3勝6敗で敗れ、王座決定戦は全国準優勝という結果で幕を閉じた。

 

前日の準決勝で近大に辛勝し決勝に進出した慶大。ダブルスを2-1で勝ち越し、「あと1ポイントを取れば流れが完全にくる」(坂井利彰監督)ところまで早大を追い詰めた。だが、「細かいところの経験の差というのが一番大きいと思う」と福田主将が話すように、勝負所で粘り切れず、あと一歩及ばなかった。今季の団体戦を振り返ると、4年生の活躍なしには語れない。「すごく心強かった。強いリーダーシップでこのチームを引っ張ってくれた」と坂井監督はその活躍ぶりを高く評価した。特にリーグ戦初戦の明大戦、リーグ戦3戦目の法大戦、王座準決勝の近大戦は、負けてもおかしくない展開となったが、福田主将、甲斐が流れを作り、慶大の勝利につながった。今大会を最後に4年生は引退となるが、後輩たちはこの悔しさを糧に進化し、来年こそ王座優勝を果たしてくれるに違いない。

 

 

(記事:萬代理人、林亮佑、写真:萬代理人、堀口綾乃、林亮佑)

 

 

▼監督・選手コメント

 

坂井利彰監督

――今日の試合を振り返って

男子は、あと1ポイントを取れば流れが完全にくるというところまで追い詰めた試合だったので、率直に言うと悔しいです。ただ、D3、S4など、今までなかなか取れなかったところで取れたのが収穫だと思います。最後は届きませんでしたが、やり切ってくれたと思います。

 

――王座に向けて取り組んできたことは

今までと違うことを取り組もうとしました。今まで形だけだった部門を全員が実行するところまで移そうということでやってきました。戦略に関してもいろいろやってきたので、それが結果に結びつきました。リーグ戦の修羅場の連続を乗り越えられたのはそれに真剣に取り組んでくれたからだと思います。

 

――一年間を振り返って

4年生がすごく心強かったです。強いリーダーシップでこのチームを引っ張ってくれました。本当にいいチームを作ってくれたと思うので、来年にいいバトンを継げたと思います。胸を張ってこのチームを誇りに思いたいです。

 

 

福田真大(商4・慶應湘南藤沢)

ーー今日一日を振り返って

チームとしてやはり3-6で負けてしまって悔しさは残るんですけど、今まで取れていなかったD3だったり、同期の甲斐が初めて早慶戦で勝ってくれたのが本当に嬉しいことで、来年甲斐はもう引退ですけど、やはりD3のことだったり、伊藤もリーグ戦では小林に勝って、今回もマッチポイントまでいったりしていて、本当に来年に向けて良い準備が整ってるのではないかなと思いました。

 

ーーD1ではチームに勢いをもたらしました

関東のリーグではD1で出て負けてしまって、すごく責任を感じていて、自分が少し狙われてしまったこともあって、1ヶ月しっかり出た課題というのを潰して、ここに今日臨めたので、今村と組んでやる試合も最後だったので、勝ててよかったなと思います。

 

ーーシングルスの相手は千頭選手でした

僕は一回も勝ったことがなくて、高3の時も最後のジュニアインターハイの時に千頭とやって負けて、今回こそは勝ちたいなという思いがあったんですけど、自分の思うようなプレーをさせてくれなくて、そこを打開できなかったなと思っていて、試合に関しては自分のやれることはやったと思っているので、そこまで悔いはないですけど、最後勝って終わりたかったなとは思います。

 

ーー王座という大会を振り返って

王座だけでなくて、ずっと厳しい戦いの中、ここまで踏ん張ってきてくれた選手たちに感謝していますし、このチームでやってきてよかったなという思いがあって、全員、部員ひとりひとり、誇りに思いますし、一日一日成長して来てくれたなと思っているので、また来年は男女で日本一を目指して頑張って欲しいなと思います。

 

ーー早稲田というチームの強さを感じる場面

簡単には負けてはくれないなというのがあって、甲斐は田中に勝ったんですけど、少しまくられそうな雰囲気もありましたし、伊藤とやっていた藤井もマッチポイント取られてからまくって、ファイナルも6-1で勝ったり、ちゃんと勝つところは勝つ、実力としてはそんなに差はないなとは思っているんですけど、そういう細かいところの経験の差というのが一番大きいのかなと思います。

 

ーーこの4年間を振り返って

自分の中ではやりきったなと思っていて、ただ結果がついてこなかったんですけど、面白い同期にも恵まれましたし、今年キャプテンもやらせてもらって、みんなついてきてくれたので、報われたなというのと、自分がここまで強くなれたのは歴代の先輩方が自分にアドバイスしてくれたり、自分を試合で使ってくれたりというところがあったので、この試合が終わってからも先輩方にもう一度感謝の気持ちというのを伝えて、ご飯ちょっとおごってもらったりして、同期はこれからも一生の付き合いになると思うので、同期を大事にしたいなと思っていて、あとは来年以降後輩が優勝する瞬間を見たいのでまた王座に応援に行きたいなと思っています。

 

 

甲斐直登(環4・日出)

――今日の試合を振り返って

今日の試合は人生最後の試合だったので後悔がないように頑張ろうと思って臨みました。

 

――積極的に相手のバックハンド側にストロークを狙った印象がありますが

特に狙っていたわけではないですが、このコートで後ろに下がってしまうと主導権を握られるので、自分のポジションを下げないで前に張り続けてプレッシャーをかけるということをずっと意識していました。

 

――王座を振り返って

準決勝の近大戦は自分の負けがあって決勝はチームとしてギリギリでしたが、そこをなんとか踏ん張りました。一年間ずっと取れなかったD3が取れたりなど、来年に向けて後輩らちにいい収穫があったと思います。この経験を無駄にせず、来年以降に生かしてほしいと思います。

 

――4年間を振り返って

高校時代と比べたら結果を残せなくて苦しい時間が長かったですが、その中でも先輩、監督、コーチにここまで成長することができた4年間だったと思います。最後に初めて早慶戦で勝つことができたのでやってきたことが間違ってなかったと思いますし、悔いはないです。

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